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【祝・最新作発売】“愛すること”の葛藤を真正面から描く名作BL『同級生』シリーズ

2025/08/26 19:30

恋愛、友愛、家族愛…あらゆる愛の形を繊細に描き出す

 


 
「まじめにゆっくり恋をしよう。」というキャッチコピーでおなじみ、中村明日美子先生の青春BL同級生シリーズ>。
2008年に1巻目の単行本が発売されて以来、今なお高い評価と人気を獲得している本作ですが……なんと、2025年7月・8月にファン待望のスピンオフ佐条利人の父とその部下が発売されました!

メインカップル・草壁×佐条の佐条の父親を主人公にしたスピンオフとのことで、ファンの間には衝撃が走りました。「一体どんな物語が繰り広げられるんだろう……」と手にとって読んでみると、そこには苦しくも優しい愛の物語が……(涙)。シリーズをもう一回読み返したい!

というわけで、本記事ではスピンオフ発売を記念して、改めて名作青春BL<同級生シリーズ>全体を、発売順にネタバレありで振り返っていきたいと思います♪
 

◆目次◆
1.【高校生編】キラキラした青春が眩しい!
2.【大学生編&スピンオフ】たとえ距離が離れていても
3.【成人編】すれ違いによって深まる絆
4.【結婚編】恋人から、家族へ
5.【スピンオフ&佐条の父親編】佐条父が息子と向き合うまで

 



一見正反対に見えるやんちゃなバンドマン・草壁優等生・佐条が合唱コンクールの練習をきっかけに距離を近づけていく様子を描いた同級生
声優の野島健児さんと神谷浩史さんのW主演でのアニメ映画化も話題になりました。
2人のピュアな恋愛模様はもちろん、それだけではなく、佐条の挫折やトラウマ、“同性を愛すること”に対する障壁が描かれているのも特徴的。繊細に描き出される人間ドラマが、多くの読者の心を打ちました。

特に心に残っているのが、音楽教師の原先生が佐条に告げた「まわりに女がいるようになったら“そう”じゃないやつはあっという間に女の尻を追っかけるようになる。佐条、草壁は“そう”じゃないよ」というセリフ。残酷な言葉でありながらも、佐条がこれ以上傷つかないように……と身を案じた言葉だということも伺えます。
このまま関係を続けていいのか葛藤する佐条に対して、佐条が不安を感じる度に何度も何度も気持ちをぶつけて彼を引き戻す草壁の真っ直ぐな愛情表現がとても眩しい! ザ・青春を感じた作品です。

第2巻となる『卒業生 冬』、第3巻の『卒業生 春』では高校3年生になり、卒業を目前にした2人の様子を見ることができます。




進路のことや家族の問題、様々な困難に直面しながらも一歩一歩進んでいく2人。佐条が母親に対して男性と付き合っていることをカミングアウトし、草壁を紹介するシーンは特に印象的でした。

環境の変化で余裕がなくなることがあっても、恋人として側に居続けるために関係性を模索していく2人。
お互いのことが好きで、離れたくないのに、刻々と卒業までのタイムリミットが近づいてくるのがなんともしんどい!!
卒業して離れ離れになっても、草壁と佐条はこのままの関係でい続けることができるのか……!?

ラストの卒業式のシーンでは何度泣いたことか……。悩み衝突した末にたどり着く、2人の未来に胸が温かくなる名作です。


ここからは大学生編! 高校という環境から離れ、草壁はミュージシャンとして、佐条は大学生として、お互いに別々の道を歩み始めます!


その後刊行された『空と原は、高校生編で見事な当て馬ムーブを披露してくれた教師・原先生と、新入生・ソラノがメインのスピンオフ作品!
佐条が卒業してからも彼のことが忘れられない原は、気を紛らわすために久しぶりにクラブへと赴きます。そこで見かけた若い男に声をかけて唇を奪うのですが、なんと彼は原が勤める学校の新入生のソラノで……!?

15歳という若さでゲイの集まるクラブに入り浸るソラノ。そんな彼に向かって「飛び級したってロクなことねえぞ」という原ですが、ソラノは「日ごろの暮らしでスキな人とかできてもさー、基本全敗じゃないですか。だからもうほんとにしんどい恋はしたくないから」と告げます。

学校という狭い空間のなかで出会う相手は大抵、自分とは違う性的嗜好の持ち主。だからこそ、自分が傷つかない環境に身を置いて恋愛をしようとする……そんなソラノに対して原は「しんどくない恋なんてあるわけねえだろ」と返します。同じ性的嗜好でも、実らない恋もある。今まで恋の酸いも甘いも噛み分けてきた大人の男だからこそのセリフに痺れます……!
本編を読み終わったあとはぜひ、裏表紙の漫画もお見逃しなく♥

その後に発売された短編集『O.B.』では、『空と原』で登場した原とソラノや、原の古くからの友人・コマっちゃん、原の元教師である有坂とその恋人・響など、<同級生シリーズ>でおなじみのキャラたちのその後が描かれます!




こちらで個人的に特に印象的だったのは、原の元教師である有坂と、その元教え子・響のカプ!

バツイチの有坂は、大人になった自らの娘と久々に再会するのですが、そこで元妻に「離婚した理由は同性が好きだから」だとカミングアウトをすることに。

その様子を見ていた響は、『自分と一緒にいることで有坂が奥さんと復縁する道や、娘と一緒に過ごす道を諦めなければいけなくなってしまっているのではないか』と感じ、苦しみます。
「俺といるといろいろ諦めることになる気がして」と有坂に吐露する響。ですが、有坂は「僕はね、ずっと自分には手に入らないものを欲しがってたんだ。それを諦めさせてくれたんだよ。響が」「僕のしあわせは君だ」と告げます。紆余曲折を経て来た有坂先生だからこそたどり着いた、自分にとっての本当の幸せ。このシーンは涙が止まりませんでした。

そして、メインカプの草壁と佐条にも大きな変化が! 同級生の結婚話をきっかけに「お前ならいい父親になっただろうな」とごちる佐条。ですが、草壁は「俺はそのときどきで一番ベストな選択をしてるつもりだし、幸せにする自信もある」と答えます。
その答えを聞いた佐条は、草壁に「20歳になったら結婚してください」と告げて……!?
この日から”いつか苗字が一緒になるなら”とお互いを下の名前で呼び始める2人が尊すぎる~~~!!!

どのカプもそれぞれ、自分たちなりの幸せを掴もうと一歩一歩突き進んでいく様子に胸が震えます!


そして高校を卒業して3年の月日が流れ、とうとう20歳になった草壁と佐条。
前作の短編集O.B. 2のラストでの約束どおり、20歳の誕生日に指輪を送り合った2人でしたが……。



blanc #1でもお互いそれぞれ違う道で日々忙しく生活を送りながら、遠距離恋愛を続けている2人。ですが、会える時間も減っていき、少しずつすれ違いが増えていきます。

大学の飲み会で同級生の女子が結婚するという話を聞いて、思わず彼女の手に光る婚約指輪に目がいってしまう佐条。
朝帰りした佐条の家の前で待っていた草壁に向かって、佐条は「先が見えない」と告げ、2人は距離を置くことになってしまいます。震える手で指輪を外して去っていく草壁の背中が辛い……!

その後、佐条は大学の同級生の女子・宮村との飲みの場で自分の本当の気持ちを吐露します。「人を自分の人生にひっぱり込んで、あいつが変な目で見られたり何かを失ったり傷つくようなことがあったら全部僕のせいだ」と嘆く佐条。相手を想うからこその葛藤や、社会からの目から未だ自由になれない佐条の苦しみに胸を締め付けられます。

一方、草壁はライブを見に来た原に「いつでも会える学校みてーなとこはもうないんだぜ。これからもずっと一緒にいたかったらどうしたらいいかってことなんだよ」と叱咤されます。


その後の『blanc #2では、佐条の母親が入院することになり、離れた大学に通っている佐条の代わりに草壁が佐条の母親の看病を手伝うことに。
今まで距離を置いていたぶん、ラインや電話、会う予定を決めることでさえもまるで付きあいたてのように緊張する2人。まるで初恋のように初々しくやりとりをする姿が愛おしすぎるよ~~~!
どこまでお互いに踏み込んでいいのか迷いながらも、また2人は徐々に距離を縮めていきます。

そして、とうとうずっと病気と闘っていた佐条の母親が他界してしまうのですが……。
ここで、スピンオフ佐条利人の父とその部下で登場する佐条の父親が初登場!
「なんだ君は家族以外の人間がここにいるのはおかしいだろう」と草壁を病室から追い出そうとする父親。そこで佐条は「彼は僕の恋人だ」と、とうとうカミングアウトをすることに。

ここからのお父さんとの激しい言い争いがなんとしんどいことか……。カミングアウトを受け入れられない父親は佐条の頬を殴り、「母さんが死んだんだぞ」「恥ずかしくないのか!!」と声を荒げます。それに対し「僕の方がよっぽど恥ずかしいよ」「あなたみたいな頭の古い差別主義者の親に生まれて」「あんたが死ねばよかったんだ!!」とまくし立ててしまう佐条。結局2人の溝は埋まらないまま、草壁と佐条は結婚式を開くことに……。

原や谷をはじめ、これまで2人を見守ってきた人たちに囲まれて愛を誓い合う草壁と佐条。有坂の恋人である響が佐条に告げた「結婚式とか 招ばれても 自分とは関係ないものだなって思ってたんですけど そんなことないんだなって 思いました」という言葉が刺さります。結婚式をリアルに、真摯に描いているところにも作品に込められたメッセージがひしひしと伝わってきます。

そして、そこにはご祝儀を置いて去っていく佐条(父)の姿も……! 「妻が君にプレゼントするために曲のリストを作ってたんだ CDをたくさんありがとう」と、後ろを向きながらCD-Rを草壁にプレゼントするお父さんの不器用な愛よ……! 明言はされていませんが、お父さんが2人の関係を認めだしたことが示唆された、素敵なシーンでした。




その後刊行された『homeは、結婚式を挙げたあとの2人や、その後の同級生シリーズの別カプを描いたオムニバス短編集。
特に、最後に収録されている表題作では、新居に引っ越して同棲を始めた草壁と佐条の姿を見ることができますよ♥

高校時代を回想しながら、お互いの新しい生活に想いを馳せる佐条。2人とも成長しているはずなのに、高校時代のままのようなあどけない顔で一緒に眠りにつく2人の姿には目頭が熱くなりました……!

「お前いつからそうだったんだ?」という佐条(父)の問いに佐条が向き合っていく「green teaという短編もあり、こちらも必見です!!


そして最新作の『佐条利人の父とその部下』巻では、なんと息子のセクシュアリティを受け入れられず、息子と激しい衝突を繰り広げた佐条(父)が主人公! ゲイの部下で、佐条と同年代である夏目との交流を通して、自分の中の差別意識と向き合うことになります。

ゲイであることを理由に心ない言葉を浴びせられたり、アウティングに遭ったりと心の傷を抱えている夏目。自分を責めてしまう夏目に「お前は悪くない」と救う佐条(父)の変貌ぶりに感涙! そして、夏目との交流を通して佐条と向き合えるようにもなり、彼に対して告げた一言にも涙が止まりませんでした。こちらはぜひ本編でご覧ください……!

*****

<同級生シリーズ>で描かれるのは、決して同性愛に寛容な優しい世界ではありません。表面上は「多様性」を謳っていても、心のどこかには差別意識があり、そうした発言や世間からの視線で傷を負ってきた人物の心情がリアルに、真摯に描かれています。

それでもこのシリーズに温かいものを感じるのは、人と人との“愛”が丁寧に表現されているからではないでしょうか。「同性愛者」と「異性愛者」など、肩書やセクシュアリティなどでどうしてもラベリングをしてしまいがちですが、そうしたバイアスを超えた個人と個人の関わり合いが愛を育む……<同級生シリーズ>を読んで、それをひしひしと感じました。

SNSの発達でさらに個人が匿名化され、ラベリングによる断絶が広がってきている今日、『同級生』から読み返すとさらに胸に迫るものがあります。ぜひ気になっていたという方も、以前読んだという方も、手に取ってみてはいかがでしょうか。


担当記者:さら
女子校で培養され、オタクとして立派に育ちました。切ないBLに泣かされたい。眼鏡男子 BIG LOVE…………。

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