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こじつけのようで意外にそうでもない…？必殺作品探し術

「甘くて切ない作品が読みたい！」「どうしても今、かわいそうな受けが読みたい……」
人間、誰しもこんな瞬間があるかと思います。

特に、今はBLアワード2022直前。気に入った作品に清く正しく尊い一票をブチ込むため、2021年に発売されたコミックスをおさらいしなければなりません。
BLへの出費はいとわない我々ですが、読む前に求めているストーリーやテイストの作品が分かればそれに越したことはありませんよね！

そしてBLアワードに向けて日々鍛錬を重ねる(？)筆者は、読みたいテイストの作品を見つけ出す秘技を発見してしまったのです……。そう、それこそ……！

「表紙の人数から内容読み取る法」

「いやそんなことある？」とお思いの皆様。これが意外にもある(ような気がする)んです。だまされたと思って記事を読み進めてみてください。こじつけもそれっぽく見えてくるので！

さてそれでは、過去5年以内のBLアワード受賞作品や、今年の高評価作品を例にこの"技"について検証してみましょう～！

1人：鬱や切ない要素が強め、だが希望の光(？)はある

 
まずは1人の場合を見ていきます。筆者の考察では、大きく2つのパターンに分かれます。それがコチラ！

(1)鬱や切ない要素が強い、心がしっとりするBL

例えば今年高評価の『シティ・ライツ・バースデイ』(本郷地下)。β×Ωの切なすぎる恋のお話が描かれています。
また、17年度のベストコミックス部門がめちゃくちゃ分かりやすいです。1位の『カラーレシピ(1)』(はらだ)、3位『ネオンサイン・アンバー』(おげれつたなか)、4位『コヨーテ(1)』(座裏屋蘭丸)……。

どちらかというと、心して読まなければいけないヘビーな作品が多い印象。表紙に1人しかいない作品を見つけたら、光属性のBLファンの方は要注意！ 夜明けや黄昏の腐女子の方にオススメの作品が多いかもしれません。

しかし1人表紙には、もうひとつ可能性があります。表紙に1人しかいなかったからといって、あきらめる必要はないのである……！

光あふれるビル群を背景に1人……しっとりBLはこれだ！

『シティ・ライツ・バースデイ』作：本郷地下

【あらすじ】
あるホワイトクリスマスに、β（ベータ）の東馬は、Ω（オメガ）のまほろと出会う。怪我をしたまほろを手当したお礼にと、セックスの手ほどきを受ける東馬。風俗に勤めるまほろは、お金を貯めながら、幼少期に出会った〝運命のα〟を捜しているという。まほろに惹かれてしまった東馬は、せめて役に立ちたいと「運命のαを一緒に探します」と提案。受け入れてもらったものの、二人で過ごすうち、まほろへの想いは膨らみ続けていった。そしてまほろも、運命を求めながら、東馬へ名前のつけられない感情を持ちはじめ……。「あなたは、ちゃんと運命の人と幸せになってください」確かな〝運命〟を前に、ひたむきに生きる二人と一人の、切なくも優しい恋の物語。

 
(2)1人で表紙を飾る度胸のある、"""強"""い男が出てくるゴリつよハッピーBL

21年度、隠しきれない漢の風格を漂わせていたこの人。『そんなに言うなら抱いてやる』(にやま)の裏川忍さんです。カメラへの寄り具合、不敵な笑み、タイトルを隅に追いやる圧倒的主役感。言うことはないでしょう。
今年発売され人気の『春懸けて、鶯』(那梧なゆた)もそうです。余裕あふれる不敵な笑顔、3秒後には殴りかかってきそうな治安の悪い背景、ヤンキー座り……。

このように、「たった一人で自信満々に表紙を飾れる男のBL＝強めのBL」という説もあり得るのです。

余談ですが、平成最強のスパダリこと『ファインダーシリーズ』(やまねあやの)麻見様も、最新刊『ファインダーの最果て』で屈強な身体を披露しています。納得の強さ。

"""強"""い男が拝める"""強"""いBLといえば……

『そんなに言うなら抱いてやる』作：にやま

【あらすじ】
昼は冴えないヒラ社員。夜になれば、視線ひとつで腰を砕く“男たらし”。夜遊びを心から愛する男・裏川忍は、2つの顔を使い分けて人生を謳歌していた。馴染みのゲイバーに、いけ好かない営業部の“プリンス”、表屋ヒカルが来るまでは……! 以降というもの、毎晩のようにやって来るヒカルのせいで夜遊びも叶わない。ノンケのはずだが、どうやらお目当ては自分らしい。それならば。「1回くらい遊んでみるか? ……安心しろよ。俺セックスうまいから」そうして一方は隠したまま、もう一方は知らないまま。夜だけの関係が始まった―――。

1.5人：どちゃエロ or 切なさと甘さが同居する作品

 
そもそも「1.5人とは……？」と思われる方が圧倒的大多数でしょう。この記事で1.5人とは、片割れが見切れていたり後ろ姿だけだったり、手足など身体の一部分しか登場していない状態を指します。基準が難しいですが、どちらかの顔がしっかり見えていなければ今回は1.5人扱いです。
それでは1.5人もレッツ検証！！！！！！

(1)どちゃどちゃにえろっちいBL

例えば21年度エロ作品部門。第2位の『ナカまであいして』(百瀬あん)では、押し倒され膝を抱えた楪と、その足に指を這わせる常盤のものであろう手が描かれています。

ウワ～～～～～～えっちだ～～～～～～～！！！！！！！！！！

ちなみに21年度、ベストコミック部門トップ20作品の中で1.5人表紙の作品は1作品のみですが、エロ部門だと6作品。この説割といい線いっているんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

ちなみにですがどちゃエロは、「手や足などパーツのみ出演」か「服がはだけた or 裸の状態での出演」の表紙の場合に高確率で現れます！ 探してみてください！(偏見)

単体では1.5人でも上下合わせると……怒涛のどちゃエロで脳が死ぬ

『甘えたい獣 上/下』作：ゆいつ

【あらすじ】
“レンタルお兄さん" のアルバイトをしている大学生の新。ある日<潤太>という依頼主と待ち合わせをすると、なんとやって来たのは超強面のヤンキー! ? まさか新手の恐喝! ? と思いきや、「頭撫でてもらいたいんです」と言い出した。男前なのに頬を赤らめて、甘えてくる様子がなんだか……かわいい! ! !

(2)切なさと甘さが同居する作品

21年度ベストコミック部門唯一の1.5人表紙がこちら、『Daisy Jealousy』(おげれつたなか)。才能と嫉妬を丁寧に描いた、リアルなヒューマンストーリーBLです。

20年度ベスト20も見てみましょう。2位『恋をするつもりはなかった』(鈴丸みんた)、6位『いつか恋になるまで 上』(倉橋トモ)、8位『黄昏アウトフォーカス』(じゃのめ)など、切なくも愛おしさあふれる作品が並んでいます。20年度、人々がいとしさと切なさと心強さを感じたい年だった説ありますね……。

ちなみにこのパターンは、「きちんと服を着て背中まで出演している」タイプの1.5人表紙に多いです。さらにしっかりがっつりハグしている場合は、天下の執着攻めの登場も期待できる気がします！ 知らんけど！

話題の1.5人といえば……いとしさと切なさと心強さを兼ね備えたBL

『夜明けの唄 1』作：ユノイチカ

【あらすじ】
圧倒的な筆力をたずさえた、新鋭・ユノイチカのデビューコミックス！黒い海からくる化け物と闘うたび、命が蝕まれてゆく戦巫女のエルヴァ。それを知った少年アルトは憤り、エルヴァが救われる術を探しながら、そばにいることを誓う。そうして8年ーー。アルトは精悍な青年へと成長した。ともに過ごす日々で降りつもった恋心を、そっと胸にしまったまま…。一方、数年の命と思われたエルヴァは、何故かアルトと過ごすうちに回復の兆しをみせていて…？健気に恋する忠犬ワンコと、無愛想な愛し下手が紡ぐファンタジー・救済ロマンス、第1巻。「ずっと貴方のそばにいます」「…残酷なガキだ」

2人：2人が圧倒的多数すぎて人数だけじゃわからない

 
そのままです。2人の表紙が多すぎて、これに関しては検証しようがありません。
2人の立ち位置、表情、ポーズなどから推して知るべし！！！以上！！！

……とはいえ、たった2行で終わるのは乱暴すぎるというものです。そこで、BL表紙史(？)について軽く説明いたします！

BLコミックスの表紙のスタンダードは、かつて「ゴリゴリに絡み合う男子の上半身アップ」でした。謎背景に謎シチュエーション、謎のえちえち密着ポーズ……。2000年代前半の典型的BLコミックスですね。

それが徐々に変化したのが、2000年代の終わりごろから。『セブンデイズ』シリーズ(宝井理人)や『同級生』シリーズ(中村明日美子)など、2021年にも通用しそうなエモみのある表紙が登場しはじめます。
その後も『宇田川町で待っててよ。』(秀良子)、『囀る鳥は羽ばたかない』シリーズ(ヨネダコウ)など革新的な表紙は増え続け、決定的にトレンドが転換したのが2015年。

BLアワードの特設ページ自体も圧倒的スタイリッシュに生まれ変わったのですが、表紙も飛躍的におしゃんになりました。『それでも、やさしい恋をする』(ヨネダコウ)や『リンクス』(キヅナツキ)など、もはや映画のポスター！

そして表紙は順調に映画のポスターみを増していき、スタイリッシュな表紙が目立つようになります。
こうしてBLアワードベスト部門はスタイリッシュ一強になりましたが、一方でエロ部門はゴリゴリ絡み合い表紙が圧倒的健在。謎の棲み分けができるようになってしまった……。

こうして考えてみると、2人の表紙の場合は「映画のポスター感」と「2人のゴリゴリ密着度合い」からなんとな～く内容がわかりそうではある……気がする……(弱気)。

ゴリゴリ密着！ いにしえより伝わるえちえち構図のBL表紙

『鬼上司・獄寺さんは暴かれたい。』作：あらた六花

【あらすじ】
敏腕だけど鬼上司な獄寺さんにいつも怒られている社畜男子・庄司。ひょんなことから獄寺さんに飼い犬のSNSアカウントを教えてもらうはずが、 送られてきたURLの先には女性モノの下着をつけたHな男性の姿が……。これってまさか……?!?! 昼は鬼畜、夜はエロカワな上司のギャップに、社畜ワンコの煩悩ブレイク待ったなし!!!

美麗さに引き込まれる！ 映画のポスター感溢れる表紙

『オールドファッションカップケーキ』作：佐岸左岸

【あらすじ】
寝て、起きて、仕事をする──それだけの毎日、それだけを好きで選んでいる自分に最近少し憂鬱な39歳・野末。ちょっと無愛想だけど信頼厚い部下29歳・外川は、そんな野末が気になる。ひょんなことから、女子で賑わうパンケーキのお店に2人で行くことに。ここから、外川による野末のためのアンチエイジング大作戦が始まった。休日まで野末のために時間を割く外川に「なぜ」? が募っていく野末だが…!?

3人：えちえち3P・三角関係orほのぼの家族もの

 
3人表紙の作品は一気に数が減りますが、その分説を立証しやすい気もします。うすうす見当がついている方も多いのではないでしょうか！ ということで、筆者の説はこちら！

(1)えちえちえっちな3P or 三角関係

BLで3人表紙……そう、3Pや三角関係を最初に思いついたのは筆者だけではないはず。平等に受けを愛し合うモヨシ、攻め2人で受けを取り合うもヨシ、バッチバチに切ない三角関係でもヨシ！！！！！！
ちなみに「裸か服がはだけている」ものは3P、「しっかり服を着ている」ものは三角関係率が高いと勝手に思っております。具体的な作品を見ていきましょう。

21年度エロ部門の第7位である『ハイキー×ローキー』(灰田ナナコ)。見るからにエロい……写真撮ろうとしてるの最高……流出させんなよ……。

はだけた服、紅潮する頬、絡み合う3人……えちえち3PBL

『ハイキー×ローキー』作：灰田ナナコ

【あらすじ】
メディア露出の少ない謎に包まれた写真家・Melが撮るイケメンモデル・ケイの写真に目を奪われて以来、ケイ目当てに個展に通う真央。写真に見惚れていると、突然「君を撮らせてほしい」と声をかけてきたのはなんとMel本人。モデルさながらの甘い顔に落ち着いた大人の声、絡みつくような視線に取り込まれ気づけばベッドの上――。「いい子に出来たらケイに会わせてあげる」そんな言葉をかけられわけも分からずただ気持ちよさに夢中だった真央だが、後日、真央の目の前にはケイが、しかもMelに撮られながらケイとセックスすることになり――…!?!? 「俺らがイイとこ全部触ってやるから」トラウマ持ちの写真家×孤独を抱えたモデル×純真無垢なファンとろけて、交わる――純粋で無自覚な三つ巴恋模様。灰田ナナコ、Qpa初登場!!

(2)ほのぼの家族BL

3人表紙はそれだけではありません。切なくも心温まる家族BLを発掘することもできるのです！
『ただいま、おかえり』(いちかわ壱)や『僕らの食卓』(三田織)など、心癒されたいときにもってこい！ ちなみに、子ども2人と大人2人の4人の場合もこちらの可能性がほぼ100％！ 自信をもって購入できますね！

ほのぼの愛しい家族BLが読みたい？ なら表紙に子どもは必須だぜ！

『嫌いでいさせて』作：ひじき

【あらすじ】
Ωの雫斗は一人娘のしずくと暮らすシングルマザー。娘を愛する雫斗だが、αに対するトラウマは根深く、番は作らないと決めていた。しかし、むりやり参加させられた婚活パーティーで雫斗を「運命の番」だと言うαが現れる。その場は逃げ帰ったものの、後日新しい勤め先で学校制服姿の件のα・葉月と出くわして!? 描き下ろしはその後のラブラブ孕ませエッチ♡

4人以上：強い光で心を照らす！ 日常、どちゃエロ、ギャグ強めなど

 
『真夜中ラブアライアンス』(みちのくアタミ)、『滅法矢鱈と弱気にキス 1』(腰乃)などなど……。
圧倒的光、圧倒的エロ、圧倒的ギャグ。たまに訪れるシリアスシーンが胸に突き刺さることもありますが、基本的には焦げ付くほどの光を放つ作品が圧倒的多数！ 気分は真夏！ イケナイ太陽！！！

これ以上の説明は必要ない気すらしてきますが、要はそういうことです。

表紙にわらわら登場＝自我が強いまぶしい人間が多い説

『藤咲忍はかく語りき』作：吾妻香夜

【あらすじ】
あの男たちが帰ってきた!! 演技派S・八坂×究極ドМ変態紳士・藤咲の特濃カップル★ 25年前の初恋を実らせラブラブ絶好調!! ……かと思いきや、藤咲は八坂に隠し事をしているようで!? 桜田と壬生も巻き込んだトラブル発生!!

 
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(正直ちるちるの詳細検索使えば一発解決なのですが)意外にも説得力のある検証になったのでは……!?
あくまで傾向ではありますが、ふわっと総括としては「表紙の人数と作品の光具合は比例する」「同じ人数の中で作品の傾向が正反対になることが多い」という感じでしょうか……？

作品選びの参考にしたり、表紙から内容を当てるゲーム(？)をしてふんわり楽しんでいただければと思います～！
BLアワードに備えて、好きな作品の表紙を眺めて内容を振り返ってみるのもいいかもしれませんね！

担当記者：たまち あほえろと鬱を交互に摂取してバランスの良い生活を送っています