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異論は認めません!? 私のイチオシはこれ!2

2009/04/17 00:00

新刊の中から、話題になっている作品、私のオススメ作品などをピックアップして紹介します。
視点は少々(いや相当?)偏っていることもありますので、ご注意くださいませ。
胸を打たれる素敵な作品が印象的だった2009年3月の新刊から、まずはこの2作品をご紹介。

■オールトの雲/著者:一穂ミチ/挿絵:木下けい子/Dear+文庫
--あらすじ--
お隣同士で、幼馴染みの太陽と流星。
ハーフで人目を集める容貌をしているけれど、物静かで頑固な流星は子供の頃から上手く周囲に馴染めない。
そんな流星の隣にずっといる太陽は、流星とは逆に元気で明るい男の子。
タイプは違ってもいつも一緒にいたふたりだったが、別々の高校に通い始めてからは少し疎遠になっていた。
そんなある日、自分の知らない環境に馴染みつつある流星を見た太陽は、何故か苛立ちを覚えて…。

序盤からずっと泣きっぱなしでした…。
流星の身に起こった事自体も悲しいけれど、自分の気持ちを上手く表現できない流星が、ずっとひとりで苦しみを抱えていたのかと思うと、胸が痛くてたまらない。
それに対して、一番近くにいたと思っていた流星が自分に何も言ってくれなかった、という事にショックを受けている太陽の気持ちも分かる。
その後、結局まだ高校生であるふたりが、好き合っていても思い通りに出来ないもどかしさに苦しんだり、家族という繋がりの大切さに気付いたりする過程にも共感する部分が沢山ありました。
高校生ふたりが、互いを大切に思い、支え合おうとする姿が眩しい。
不器用だけど一生懸命で、どんどんいろいろなことを吸収し、成長していくのが感じられていいですね。
自分も高校生の頃はもっと真っ直ぐだったのかもしれない。
今は色々と考えすぎて、人と関わることに臆病になっているなぁと痛感しました。
失ってみて分かる…とよく言いますが、歳をとると、若いときの時間の大切さにようやく気づく事が出来るんですよね。
いろいろな意味で切ないです。

まだデビュー間もない作家さんのようですが、すごく惹き込まれるお話でした。
全体的に落ち着いていて静かな印象だけど、そこから優しさや熱さやいろんな表情が見えてきてハッとさせられます。
今後の活躍が楽しみです!

■純情(全3巻)/著者:富士山ひょうた/ダリアコミックス
--あらすじ--
フリーライターの戸崎圭祐は、ある日高校時代の同級生・倉田将成と再会する。
当時倉田に好意を寄せていた戸崎だが、ふたりが親しくなることはなかった。
しかし、再会した倉田は「自分のこと好きだっただろう」と言い出す。
勢いで寝てしまい、改めて倉田への気持ちを自覚してしまった戸崎は、期待と不安を抱えたまま、その後も倉田の強引な誘いを拒めずにいて…。

友達以上恋人未満。
セフレのような関係だけど、戸崎は好意を持っていて、倉田は嫉妬もする。
ここまで気持ちがあるならさっさと恋人になってしまえばいいじゃない…!と思ってしまうのですが。
ふたりは恋愛に対して臆病で、特に倉田がなかなか自分の気持ちを認めたがらないので関係は一進一退。焦れったい…!
そんなふたりの心が通じ合うまでが既刊本の話で、3月に出た最終巻に収録されているのはその後の話。
ふたりの覚悟が試される大きな問題に直面しますが、ドロドロの一歩手前で話をまとめてあり、程よい緊張感で読み応えがあります。
その一番の要因は、戸崎が自分の気持ちをしっかり主張していたこと。
内心不安いっぱいなんだけど、それでも真摯に自分の気持ちを訴える戸崎の姿にとても好感を持ちました。

BLコミックスは一般のコミックスと比べると複数巻続く作品が少なく、さらにその中で、普通の恋愛で最後まで楽しませてくれる作品となるとなかなか出会えないなぁと思います。
「純情」はその意味でとても満足度の高い作品でした!

そして最後にこんな一冊。
BLというジャンルは廃刊などが多い事もあって、新装版として古い作品が再び日の目を見る事が少なくありません。
この機会に、過去の名作に触れてみてはいかがでしょうか。

■セントエルモスファイア/著者:花郎藤子/挿絵:円陣闇丸/B-PRINCE文庫
--あらすじ--
複雑な家庭環境で育ち、15年前に父母が入水心中して以降、厳格な祖母と母親の違う妹・深生子と3人で暮らしている河村和彦。
栄華を誇っていた過去にしがみつく祖母は、絶対の存在。
その祖母に育てられた和彦は家から離れられないまま、深生子に対する許されない想いを秘め、静かに生きていた。
そして大学時代からの親友・不動健とは、曖昧な関係が続いている。
しかし、不安定ながらも静かだった日々は、ある日突然終わりを告げ…。

この家が置かれている状況や、事件の内容はとてもドロドロしているのに、話全体の雰囲気はとても静か。
その生々しい現実と、非日常的な雰囲気のギャップが印象的です。
終わりは見えているのに、絶妙なバランスで成り立っている家。
それが、ひとつの綻びからどんどんバランスを崩してゆき、追い詰められてしまいます。
結局、皆家に囚われていて、大切なものを見失っている。
そして失ってみて初めて、その大きさに気付くのです。
言葉にしてしまうと簡単な事だけど、当事者が自分の置かれている状況に気付くのは難しかったりしますよね。
恋愛だけじゃなく、家族愛とか共同体としての結びつきみたいなものが話に上手く絡んでいて、読み応えがあります。
倫理的な問題もあり、手放しで祝福できるようなハッピーエンドではないと思いますが、この先、痛みを共有して生きていくこの家族が幸せになって欲しいと思うラストでした。

この作品は元々10年以上前に出た作品です。
最近はドッシリと重みのあるシリアス作品に出会う事が少ないですが、私はこういった話の方が好み。
文章に力があって、説得力がありますね。
こういった作品をどんどん復刊して欲しいです!

紹介者プロフィール:にゃんこ
長い冬眠期間を経て数年前に復活。内容はもちろん大切。でも萌えるHも大好物! 心躍る萌えを求め、腐海を彷徨う流浪の腐女子。 小説&コミックスを中心に、BLCD、BLゲームなども含めた感想をブログで書いていますので、そちらもよろしくお願いします! http://macnyanko.blog22.fc2.com/

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