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映画『Winter boy』都会のお兄さんに出会い、父の死を乗り越えるゲイの少年

2023/12/17 18:00

肉親の死とセクシャリティをめぐる少年の心の動き


ブルー基調の美しいキービジュアルが気になっていた、2023年12月8日公開の映画『Winter boy』。『メロンの味』などを手掛けるBL作家・絵津鼓先生もコメントを寄せていました。



父を亡くしたゲイの少年が父の死、そして自分のセクシャリティと向き合う
、優しいヒューマンドラマだった本作。
是非皆様にも見てほしい! と思ったので、その魅力をプレゼンします!

 

 

Winter boy』監督:クリストフ・オノレ


あらすじ
冬のある夜。寄宿舎で暮らす17歳の少年リュカは父が事故死したとの連絡を受け、アルプス山麓の実家に帰る。愛する父の死に直面し、大きな悲しみと喪失感にさいなまれるリュカ。葬儀の後、兄に連れられて初めてパリを訪れたリュカは、兄の同居人である年上のアーティスト、リリオと出会う。優しいリリオに心惹かれるリュカだったが、リリオにはある秘密があった。

◆目次◆
1.父の死で不安定になる17歳の少年
2.パリで年上の青年と出会い心溶かされる
3.傷ついた心と体、再生までの道のり

 

 

 

学校の寮で暮らしている高校生のリュカ。ゲイである彼は、幼馴染の男の子とこっそり付き合って(?)おり、作中ではおうちエチシーンも生々しく描かれています。

ある日リュカは、夜中に起こされて父が事故に遭ったことを知らされます。車に乗せられて急いで病院に向かいますが、道中で父が亡くなった知らせを受け、その足で実家に帰ることに。実家には親戚が集まっており「落ち込まないで」「母親を支えてあげてね」など口々に慰めてきます。

慕っていた父の突然の死に、初めは呆然として信じられないリュカでしたが、自室で1人になった時にとふと悲しみが襲ってきて大声を出して暴れてしまいます。母や親戚から止められたり、その後も幼馴染に慰められたりしますが、この時からリュカの心は少しずつ崩れ始めていき……。


 

 

そこで、気分転換にパリの兄の家に数日間居候させてもらうことに。画家の兄はキュレーターとの打ち合わせなど連日仕事で忙しいため、1人でパリ観光をしたり、兄の友人であるリリオが相手をしてくれたりすることになります。

そのリリオがすごく魅力的な男性なんです。ただの観客でさえそう思うので、17歳の少年の目にはどれほど輝いて映ったことでしょう……。傷心のリリオを優しく気遣ってくれただけではなく、美大出身で芸術に造詣が深く、都会的でファッショナブル。そしてリリオもまたゲイであり、そんな彼にリュカが恋心を描くのも必然でした。

しかしリュカは同時にパリで、アプリで相手を探しワンナイトしたり、ダンディーな紳士にパパ活しようとしたりと(結局兄にバレて怒られて未遂)、現実逃避のように性行為を求めます。
ちなみにこのワンナイト相手もとても優しくて彼とくっついちゃいなよとも思ったのですが……なにしろ住んでいるところも遠いし、一回限りの気軽な関係を求めたリュカの意思を尊重するしかありません。 


 

 

リリオとの交流によって少し癒されたかと思いきや、実家に戻って生活するうち、結局また気持ちが沈んでいくリュカ。ついに自傷行為で瀕死の状態にまでなってしまい、一時的に声を発することができなくなり、メンタルクリニックへ入院することに。

クリニックで本を読んだり音楽を聴いたりして静かに声の回復を待っていましたが、そんなある日パリからはるばるリリオが訪問します。リリオはリュカの兄に言われたでもなく、ただリュカの様子が気になって自ら訪れてきてくれたとのこと。そこでリリオの気持ちや、スマートな大人の男に見えた彼も不安を抱えているという事実を聞くうちに、徐々に心が溶かされていくリュカ。

その後リュカがどうなったかは、ぜひ作品をご覧になって確かめてみてください。パリでリリオと一緒に行っていた朝のランニングに入院中も取り組んでいたことから、リリオの存在がリュカに良い影響を与えていたんだなということがわかりますね!


*******************


いかがでしたでしょうか? 肉親の死とその遺族の心の回復の過程というセンシティブなテーマを扱いつつ、自身のセクシャリティをも巡って、少年の心の変化をみずみずしく描き出した作品でした。
ところでリリオのオシャレなゲイアート、ポストカードとか欲しいなぁ……。
是非チェックしてみてください!

 

担当記者:廣井無名
完全には幸せになれない作品、CPが好き。キーワードは死ネタ、愛のないSM、流血、狂気、宗教、叶わない恋など。

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コメント4

投稿順 | 最新順

匿名3番さん(1/1)

作品もゲイとBL分けるかタグ選択出来るようにして欲しい。最近増えてきましたよね、 混同を避けるため作品検索でジャンル分けしていただけたら。

匿名2番さん(2/2)

訂正。
四行目、「一方」→「後者」。

匿名2番さん(1/2)

そもそもゲイの創作物とBLの創作物は別物なんですけどねぇ…。
前者は現実世界に存在するホモセクシャルを題材。
一方は現実世界に存在しないオタク達が創ったファンタジーが題材。

何故かちるちるはこういう記事を載せたがるのが不思議。
ゲイとBLを混同する人が増えるきっかけにしかならないと思うけど。

匿名1番さん(1/1)

わ〜、見てきましたよ〜。
主人公の繊細さんの気持ちに寄り添えなかった私…とはいえ美しかったですね。にしても、プレゼンの熱量高くてほぼほぼこちらで全編紹介されているような気がしてならないですけど、大丈夫かしら…?

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