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※メロのゲシュタルト崩壊注意※攻めがキスをするときの激メロしぐさ5選
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2021/08/13 16:00
2025/09/06 18:00
筆者はナチュラルボーン黄昏のBLオタクなので三度の飯を食らいながらメリバを貪る餓鬼なのですが、所謂闇属性の作品を友人に薦めるたびに言われる言葉があります。
「趣味のBLですら悲しい話は嫌だ……」
「ハピエン以外読めない……」
「何日も引きずって何も手につかなくなるから読めない」
その気持ち、痛いほどわかります!!!
好きなカプには幸せになってほしい。その通りです。メリバは悲しいからつらい。
ですが、失ってはじめて気付けるものもあるのではないでしょうか?
漫画や創作における悲しみ、喪失は、私達に「生きたい」という気持ちを与えてくれると筆者は考えています。私達はさまざまな創作物の読者として、キャラの抱える色々な悲しみを見ることが出来ます。それは読者である私たちの特権なのです。
読み終えた後、悲しみこそあれ「生きたい」という気持ちが生まれませんか? その感情こそ、良質な闇属性作品の大きなポイントだと強く思います!
そして夏と言えば、色々な創作物の中で「死」の季節として扱われていますよね。
死んだ蝉を見かけたり、心霊系の番組が頻繁に放送されていたり。要因はいくつもあると思いますが、やっぱり夏の終わりにはどうしてもセンチメンタルになってしまうのが日本人の性。そして「死」に魅せられてしまうのも人間の性……。
今回はそんな切ない、夏にピッタリの「喪失」BLを一挙にご紹介していきます。
今回は普段漫画しか読まないな~という方にもオススメの小説も二作品参戦です。この機会にガッツリBLを浴びてみてはいかがでしょうか!
※「死ネタ」を扱っているため、ネタバレ注意です!
◆目次◆
コミックス
1.もう戻れないあの夏
2.「痛み」から深まる2人の儚い青春
3.純愛と狂気、怒濤の上下巻
4.辛くても前に進み、歌い続ける
5. やさしい「終わり」のその先
6.「愛しい」と思えるのも幸福な最期
小説
7. 最後の1ページまで。呼吸を忘れる程の愛。
8. 最期の言葉、「◯◯◯◯◯◯」に震える
もう戻れないあの夏
愛してるから、さようなら。オメガバース作品を含む珠玉の短編集
コミックス創刊第1弾!初版限定描き下ろしペーパー付! !「高校出たらさ、二人で暮らさね?」陽(はる)と奈津(なつ)は物心つく前から、何をするにもどこへ行くにも二人一緒だった。ずっと、こんな日々が続くと信じていたのにーー君がいない夏がくる
こちらは表題作である『還らずの夏』をピックアップ。
表紙からして既に切ない……。線香花火は儚い夏の思い出のキーアイテムですよね。おすすめポイントはなんといってもキャラへの感情移入が半端じゃないところ。細かな仕草やコマの使い方など、的確に心を抉る演出が用意されています。
ふたりが喋るたびに締め付けられるような苦しさを覚えますが、夏という季節のジメジメしていない、爽やかな部分と非常にマッチしていて闇属性初心者さんにもおすすめの一作です。勿論悲恋大好きマンなあなたも楽しめること間違いなし! 収録されている他のお話も耽美な雰囲気と少し儚い描写で惹きこまれる、とっても素敵な一冊です。
「痛み」から深まる2人の儚い青春
”痛み”を介し、熱を帯びた彼らの鮮烈な物語。
母親と、その恋人が取り巻く家庭環境に苦悩する淀井。
トラウマにより、グロテスクなものに性的興奮を覚えてしまう村瀬。
ある日、村瀬が苛烈ないじめに遭っているのを目撃した淀井は、激昂し止めに入る。
それをきっかけに交友をはじめたふたりは、お互いの持つ"痛み"を知り、関係を深めていく。
ふたりのほの暗い青春に、光は差すのか――。
こちらは非BLレーベルからの刊行作品ですが、男子中学生2人の濃厚な関係性と、喪失の痛みがこれでもかと描かれているので、ぜひ紹介させてください……!
グロテスクなものに性的な興奮を覚える村瀬と家庭環境に苦悩する淀井。はじめは村瀬がいじめられるきっかけを作ったのが自分ではないかと、罪悪感から村瀬に近づき、トラウマを「自分」で上書きさせようとします。村瀬を救おうとする淀井ですが、実は淀井自身も家庭環境に悩みを抱えていて……。
次第に互いが無くてはならない、かけがえのない存在へと変わっていきます。してこのまま愛し合うハッピーエンドで終わると思いきや、予想だにしない展開に……。
重厚なストーリーにどんどん引き込まれ、読了後は「死」について考えさせられる作品です。読後にここまで余韻に浸れる作品は少ないのではないかと思います。
闇のBLオタクの方はもちろんですが、純文学が好きな方にもおすすめできる作品です!
純愛と狂気、怒濤の上下巻
大好きだった近所のお兄ちゃんが、“成長しない”体で戻ってきた!?お人よしで皆に愛される福太は、子供の頃の記憶が一部欠けている。それは憧れていた葵兄ちゃんの記憶。得体の知れない喪失感を抱えた福太の前に、葵兄ちゃんが昔と変わらない姿のまま現れて――!?失った記憶。それは思い出してはいけない過去。連載時から賛否両論! ハートフル不穏BL、謎かけ編。描き下ろしは念願のほっこり食卓が実現――?
ドラマCD化等で話題になったのでご存知の方も多いのではないでしょうか。
「心中」というネガティブなワードが入っているにも拘らず根強い人気を持つこちら。その評判に違わず、お話も画も大変魅力的なものになっています。
上巻は「謎かけ編」ということでひぐらしのなく頃に等を思い出しながら読んだのですが、なるほど確かに。謎が至る所に散りばめられていてミステリー要素が強いです。しかし描かれるカプの間にある気持ちはどこまでも純愛で、物語の仄暗さと相まって読み進める手が止まりません。
上下巻構成ですが一気に読めてしまいます。そして下巻まで読み終わった後、上巻をもう一度読み直して伏線ポイントを見返したくなります……!
今の商業BL界のメリバを語る上で欠かせない一作ではないでしょうか!
辛くても前に進み、歌い続ける
メジャーデビューまであと一歩のところで
喉の手術により歌えなくなってしまった
シンガーソングライターの鉄太。
友人に曲作りを頼まれるも、断り続けていた。
そんなある日、海の近くで
父親とレストランを営む凪と出会う。
凪は自分の悩みを見透かしてくる
不思議な青年だった。
凪の歌声に
体の奥から沸き立つような衝撃を受け、
はじめて自分の曲を
誰かに歌ってほしいと思った鉄太は
店に通い詰めるようになるが、
凪には人には言えない秘密があって―――。
夢破れたシンガーソングライターと
ある秘密を抱えた青年が歌で繋がる
切ないファンタジーラブ!
夢をあきらめたシンガーソングライターの鉄太が、美しい歌声を持つ凪に出会い、再び音楽に向き合う物語です。
過去にとらわれ歩み出せないでいた鉄太ですが、凪の歌声を聞き衝撃を受け、自分の歌を歌って欲しいと思うようになります。はじめは断る凪ですが、毎日説得しに通い続けた鉄太に心を動かされ歌うことを決意します。凪の美しい歌声を鉄太の曲で皆に届けようと歩み始めた鉄太と凪。順風満帆に進んでいた2人ですが、凪が抱えていた秘密により物語は大きく転換し……。
2人の物語は切ない結末を迎えるのですが、バッドエンドではなく、しっかり希望を持って前へ進み続けるような終わり方になっています。
また、ソライモネ先生の独特で美しい絵柄がこのストーリーをより鮮やかに彩っており、特に凪が歌うシーンの美しさは圧巻。このせつなくも美しいストーリーと引き込まれるようなイラストも相まって、一度読んだら忘れられない作品です!
やさしい「終わり」のその先
終焉を迎えようとしている世界で独りで暮らすシロウ。
彼の前に突然現れたクロエの正体とは……!?
終末の世界で生まれる永遠の恋の物語。
SF終末ディストピア。オタク心擽りまくるワードの羅列に震えます。
これまでとはまた雰囲気ががらりと変わって、ひたすらに儚く美しいお話になっています。
皆が宇宙へと旅立った後。滅びゆく地球で孤独に暮らす科学者のシロウは、ある日クロエという謎の青年に出会います。科学者としてのシロウに深く関わるクロエは、ただただシロウへの感謝と愛を以って最後の瞬間まで寄り添います。
誰もいない世界で一人終わりを待つシロウの心境に思いを馳せると、クロエの存在にありがとうと涙ながらに言わざるを得ません……。世界が終わる目前にこんな人の愛し方ができるのか、と胸がキュッと締め付けられる思いです。
かなり悲壮な書き方をしてしまいましたが、本編はバッドエンドというわけではなく、未来に希望を持たせるようなお話になっています。
闇属性初心者の方にもオススメできる一冊です!
「愛しい」と思えるのも幸福な最期
朽ちる町。変化はやってくる。日々寄せられる住民の不満に疲弊する町役場の役人・矢澤は、癒やしを求めて「ねこレンタル」を利用することにした。サービスに来たのは猫耳しっぽをつけた人間の“タマ”だった。人間とわかっているのに、タマと過ごす時間は矢澤にとってかけがえのないものになっていく。なぜ傷だらけの身体で、なぜこの仕事をしているのか?本当のタマのことは何も知らなくて……愛しいと、最期に思える存在。あなたにはありますか?
「愛しいよ タマ」
前半と後半の温度差が激しく胸を打つ、衝撃的な一冊!
忙しない日々に疲れ、「ねこレンタル」を利用することにした町役場の役人・矢澤。
しかし現れたのはなんと、猫耳しっぽをつけた謎の青年・"タマ"。
猫のように愛らしく振舞うタマ。彼が前半で見せる可愛いらしい表情の数々を見て、最初はほのぼのなお話かと思いきや……段々と明かされていく胸苦しい過去とそれぞれが抱える孤独で作中の雰囲気が一転します! 中でも、2人が一つの布団で温め合うシーンは必見。矢澤の体温に身をゆだね、ゆっくりと眠りにつくタマの姿が忘れられません……。
ボロボロの人生で巡り合った、ぬくもりを与えてくれる人。ラストの解釈は様々ですが、共に過ごした時間、その中で芽生えた思い……これらが彼らにとっての幸せの形ではあると筆者は思います。どうか、ご自身で彼らの変化を、最期を、見届けて欲しい作品です!
最後の1ページまで。呼吸を忘れる程の愛。
「俺はもう誰とも恋愛はしない」仄かに恋情を抱いた男から、衝撃の告白をされた小説家のつぐみ。十年来の恋人に振られ傷ついたつぐみを下宿に置いてくれた朔太郎は、つぐみの作品を大好きだという一番の理解者。なのにどうして…?戸惑うつぐみだが、そこには朔太郎が抱える大きな闇があって!?今日の大切な想い出も、明日覚えているとは限らない…記憶障害の青年と臆病な作家の純愛!!
記憶障害の青年と臆病な作家の恋愛。うーん、黄昏心がざわざわと……。
こちらは大変リアル寄りのBLとなっています。読み進めていく感覚も、凪良先生の流石の文章力でまるで非BLの一般小説を読んでいるものに近いです。
ですがしっかりと愛は描かれます。
人間関係の複雑さや記憶障害というハードルを抱えた上で人を愛することの難しさ。主要カプ以外にも登場する人物の人生に思いを馳せてしまいそうなほど、「人間」が詰め込まれた一作となっています。
こちらは同時収録されている本編後のアフターストーリー、「スイート・リトル・ライフ」を読んで初めて完結する作品です。ネタバレは控えますが、本編で育まれた愛がいかにかけがえのないものであったかを分からされて号泣間違いなし。私は一週間ほど引きずりました。今も思い返すだけで涙が出そうになるほど、心に優しい爪痕を残す物語になっています。
ある種のハッピーエンドの極みと言っても過言ではないと思います。
最期の言葉、「◯◯◯◯◯◯」に震える
「敵機を墜として俺も死ぬ」浅群のその願いを、三上の整備魂は許せなかった―――。要保護の軍神・浅群塁と、整備に燃える三上の青春の日々。戦後十八年目のある日、三上徹雄のもとを病死した旧友・城戸勝平の息子が訪れた。彼は城戸が亡くなる直前に、三上へ一通の封筒を預かったという。封を開けると、中には戦死した零戦パイロット・浅群塁に関する内容がしたためられていた……。―――時は太平洋戦争中期。
ラバウルに向かう途中、三上が乗っていた一式陸攻は敵の攻撃に遭い、不思議な音を響かせて戦う一機の零戦に助けられる。着任後、命の恩人を捜していた三上は、「ローレライ」という二つ名を持つ、声の出ない、碧い目の搭乗員に出会う。彼こそが三上たちを救ってくれた、零戦乗りの浅群塁一飛だった。
戦時中を描いたBL作品、珍しいですよね。
こちらはあらすじの段階で受け・塁の死が仄めかされています。
攻め・三上の過去回想という形で物語は綴られていくのですが、戦時中という特性上二人とも常に死と隣り合わせの生活を送っています。また戦闘機の整備員のため三上は基地に居るのですが、塁はパイロットであるために敵襲のたびに三上の整備した零戦に乗って飛び出して行ってしまいます。
過去に起きた事件の影響で声が出なくなり、他人も信用できなくなってしまった塁。「敵機を落として俺も死ぬ」と語りますが、三上は真摯に寄り添い続けます。ですが戦況は悪化の一途を辿り……。
昭和が舞台ながらも物語と挿絵は古めかしさを一切感じさせず、非常に読み易いものとなっています。時代物であるがゆえの悲しさは勿論ありますが、それだけでない温かさも与えてくれる作品です。南の島で繰り広げられるある青年二人の切ない恋の物語。
塁の遺した最期の六文字は、BL史に残る一世一代の告白です。
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以上8作品をどどっと紹介して参りました。
「喪失感」は心にぽっかり穴をあけられたような感覚に陥りますが、それがついついクセになってしまいそうですよね。
紹介した中に貴方の人生に刻まれる作品があれば嬉しいです。
コメント1
匿名1番さん(1/1)
喪失ものは読むのがつらくて手を出しにくいですが、確かに読むと心に残るものが強いなぁ。
『蒼穹のローレライ』は絶版が本当に惜しい。読みたいと思っている人が今もたくさんいるのに。生きる、命の大切さを忘れないためにも読み継がれるべき本だと思う。良い出版社と縁あってまた再販されますよう願ってます。