ヤクザといえば傲慢オレ様攻のイメージが強いかもしれませんが、ヤクザ受も美味しいんです! というわけで、今回は数あるヤクザものBLの中から、オススメのヤクザ受作品をご紹介します。
ツンデレヤクザの場合■
さよならを言う気はない、
愛してると言う気はない / 著者:英田サキ / 挿絵:北畠あけ乃 / SHYノベルズ(2006, 2007年)
元刑事の陣内は、現在ひとりで探偵事務所を開いている。ヤクザの大物幹部・天海は、高校生の時に刑事だった陣内と出会い、現在はヤクザと探偵という関係。ある日、天海の組のトラブルに陣内も関わることになり…。
という、ヤクザと探偵のお話。ふたりが出会ったのは12年前。少年だった天海は正当防衛とは言え殺人を犯してしまい、その後、強さを得るため暴力団の幹部へとのし上がっていきます。当時刑事だった陣内
は、予兆を感じながらも天海を止められなかったという負い目があり、探偵とヤクザという関係になっても天海をむげにできません。そして、その背景には惹かれ合う気持ちがある。誤魔化しながら続いていた関係がついに動き始めます。
強気で暴力的なヤクザである天海が、実は純情な想いを抱えているというギャップが一番の魅力。強くありたいと自分を追い込む天海の危うさから目が離せません。そんな天海が、ヘタレ探偵の陣内に対して、ふとした瞬間に見せる隙や表情に萌えが刺激されること間違いなし。強さと繊細さの絶妙な塩梅!
エッチの最中も強気な、男前で色気たっぷりな天海の受っぷりをじっくりお楽しみ下さい。
羽化を待つヤクザの場合蛇淫の血 / 著者:沙野風結子 / 挿絵:奈良千春 / f-LAPIS文庫(2006年)新装版 ガッシュ文庫(2011年)
美大生の円城凪斗は岐柳組組長の隠し子だが、組とは一切関わらない生活を送っていた。しかし、岐柳組の跡取り候補として名前が挙がってしまったため、長男・辰久に狙われる事となり、平穏な生活は突然終わりを迎える事に。凪斗のボディガード兼教育係を任された角能は、頼りない凪斗に不安を覚えるが、辰久によって催淫剤を飲まされた凪斗を抱く事になり、凪斗の妖しい本性に気がつき始める。一方、凪斗は共に過ごし、抱かれる日々を送るうちに、角能に惹かれていくのだが…。
という、大人しい美大生が跡目争いに巻き込まれるお話。組長の息子とはいえ、凪斗は組とは関わらず生きてきたため当然威厳も覚悟も何もありません。序盤は、凪斗の少々流され気味の性格や踏ん切りの悪さに、不安を感じる展開なのですが……角能と爛れた関係を持ち、愛憎を知る事で開花していく様が圧巻! 弱々しい印象から始まるだけに、殻を破って本性現してくるくだりがとても印象的です。男を喰い目覚めるヤクザの血。
凪斗の妖しい魅力と、迫力あるプロポーズをご堪能あれ!
ほのぼのヤクザ(仮)の場合ヤクザとネバーランド / 著者:砂原糖子 / 挿絵:高城たくみ / ルチル文庫(2007年)
広告代理店の営業マンである奈木蝶也は、ある日、両親の離婚以来疎遠だった父親が亡くなったことを知る。花畑組の組長であった父の死後後継者がおらず、組員達は奈木に二代目になれと迫ってきた。しかし、拒む奈木の前に現れた13年ぶりに会う幼馴染み・枦山尭平への反発から、勢いで組長を引き受けてしまう。そんな中、ある出来事で自棄になり飲み過ぎた奈木は、枦山と関係を持ってしまうが…。
という、サラリーマンからヤクザの組長に転身するお話。子供の頃、奈木にとって枦山はいじめから庇う存在だったのに、大人になって奈木の前に現れたのは、硬派で男らしく成長した枦山。そんな枦山に戸惑いながらも、勢いで肉体関係を持ってしまい、さらに最初は避けていた組員たちに対して次第に情がわいてきた奈木は心が揺れます。
ヤクザはヤクザでも、花畑組は一昔前の雰囲気を残した潰れかけの組。奈木が花畑組に馴染んでいって、枦山ともなんだかんだありつつ理解し合って…という、ほっこりほのぼのした展開かと思いきや! 話は思いがけない方向に転がります。
上記の沙野先生の作品と展開は似ていますが、作風は全く違い、こちらはコミカルな雰囲気。作家さんの個性の違いを楽しむのもまた一興ですね!
3Pなヤクザの場合 threesome / 榎田尤利 / 円陣闇丸 / リブレ出版(2015年)
ヤクザの辻良典は、無類の女好き。しかし刺激を求めて組長の娘に手を出し、それが組の顧問弁護士である財津に知られてしまう。財津は甥であり辻の舎弟でもある菊池と共に、身体の関係を求めてきた。快楽に流され、関係を続けている辻だったが…。
という、ヤクザ男をめぐる3Pもの。優男で仕事も出来る辻は、女だけでなく男のファンも多く、菊池もそのひとり。辻に心酔し、酷い扱いをされてもめげることなく仕えている。そんな菊池を巻き込み、辻に惹かれていた財津は肉体関係を迫ります。なんだかんだ言いつつも快楽を得た辻はその後も肉体関係を受け入れていますが、財津と菊池に屈しているわけではありません。快楽には弱くても普段の辻の傲慢なオレ様っぷりは変わらない。財津と菊池との関係は、強い自分を演じる必要のない息抜きのようなものだと、辻は言葉にはしませんが思っています。そうした中で、今回ある事件が起こり、辻の認識に変化が訪れる事に。
プライドが高く強気な態度の辻が、ふたりの男の欲望を受け入れる。屈辱的な気持ちかと思いきや、思いがけない居心地の良さを発見し、内心楽しんでいる姿が新鮮です。一方で、相手の言葉に乗せられ、本意じゃないはずが、負けず嫌いもあって最終的に自ら乗っかっていく展開になっている辻がとてもかわいい!
菊池のワンコっぷりがコミカルで、財津も辻も飄々としているので軽減されていますが、話の内容は軽くなく読み応えたっぷり。そして、三人の個性のバランスが秀逸。円陣先生の素敵な挿絵も味わえる、オススメの1冊です!
記者
にゃんこ
コメント7
匿名1番さん(1/1)
これは良記事!全部面白そうですね。大好きな英田サキ先生からいくか、ラストにするか。
あねさんさん
ここに掲載の書籍全て読ませていただいています。どれも何度も読み直している位好きなお話しばかりです。
どれもただ強いヤクザじゃない、弱さもずるさも持っていて、本当に愛おしいヤクザなんです。
匿名2番さん(1/3)
threesomeはeroticaに掲載された話も入ってるのかな?
蛇印の血、この頃の奈良さんの挿し絵はマジ凄い(*´∀`*)
匿名3番さん(1/1)
2番さま、入ってなかったです
erotica→threesomeの順になってたよ
匿名2番さん(2/3)
匿名3番さま
情報ありがとうございます(*´∀`*)
匿名4番さん(1/1)
匿名2番さま
threesomeは、eroticaの中の「10×3」というお話の続編です。
ちなみに挿絵の円陣闇丸さんも「10×3」がすごくお気に入りで続編をプッシュされていただけあって、
threesomはイラストも素敵ですよ。
匿名2番さん(3/3)
匿名4番さま
榎田尤利さんのノベルスは、コミックが二冊買える良いお値段なので、今はコミック優先購買に、なってます(*^^*ゞ
円陣闇丸さんのイラストも好きなので、\に余裕が出来たら、読みますね(≧ω≦)b