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Ｈ少なめからエンタメ、ファンタジー、リーマンまで
新しいことが始まる予感いっぱいの4月。今回は、BL初心者、新BL読者にオススメする作品をピックアップしてみました。無限の可能性を秘めた、萌えあふれるBLの世界へようこそ！

ほっこり癒されたい！
■くろねこ屋歳時記（全2巻） / 著者：椹野道流 / 挿絵：くも / プラチナ文庫（2013年）

カフェを舞台にした、オーナーや従業員たちの話。複数カップルの話がオムニバス形式で収録されています。

四季折々の草花があふれる庭を眺めながら、くつろぐ猫とともに静かで穏やかな時間を過ごすことが出来るカフェ「くろねこ屋」。従業員たちは男性ばかりで、新人君以外は皆彼氏持ち。素敵なカフェに、萌えもあり猫もいるなんて幸せすぎますね！

どこもかしこもゲイカップルだらけのシリーズですが、どの話も可愛くてほのぼのした雰囲気なので濃い印象はありません。舞台がのんびりしたカフェという事もあり、微笑ましいやりとりに癒されます。一応どのカップルも身体の関係には至っていますが、描写はほとんどありません。でも、椹野先生の作品はキャラや関係性に萌えがあるのでこれで充分です。むしろ少ない描写だからこそ想像で萌える！
穏やかな読後感だけどドキドキもちゃんとある、そんな癒される1冊。くも先生によるコミカライズ版も併せてぜひ！

ワクワクしたい！
■ラブ＆トラスト（シリーズ全4冊） / 著者：榎田尤利 / 挿絵：石原理 / SHYノベルズ（2002-7年）

新宿近くのビルにある「坂東速配」は麻薬や銃以外なら何でも運び、新宿界隈で独自のネットワークを築いている。経営する坂東核とその弟・天は、誰もが目をとめる美形の兄弟。ある日、ふたりが預かった荷物は外国人の5歳の女の子だった。偶然再会した天の幼馴染み・興福正文の助けもあり、しばらく世話をすることになったのだが…。という、坂東兄弟と正文をはじめとした個性的な面々が事件を解決していくストーリー。

板東兄弟の兄・核とヤクザの沓澤、弟・天と幼馴染みの大学生・正文、2組のカップルが登場します。「坂東速配」は裏の世界に片足突っ込んでいるけれど、つかず離れず、深入りしない程度のお付き合いを心がけている運び屋。

トラブルに巻き込まれ解決していく中で恋愛面も大きく動き、相手との距離が近づいていきます。生い立ちや事件の背景は複雑だったりしますが、基本的にエンターテインメント要素が強く、シリアスな展開はほとんどありません。個性的なキャラたちが活躍する、テンポのよい展開が楽しい！
ワクワク楽しいBLを読みたい！そんな時にオススメなシリーズです。

ファンタジーもBL！
■ウサギの王国 / 著者：松雪奈々 / 挿絵：元ハルヒラ / ルチル文庫（2012年）

仕事で瀬戸内海に浮かぶ島を訪れた稲葉泰英は、ウサギを追いかけているうちに見知らぬ世界に迷い込んでしまう。そこは昔の日本に似た景色の、大柄でウサギの耳がついた人々が住む島。泰英は「兎神」と勘違いされ、災厄から島を守るために王である隆俊という青年と毎日エッチしなくてはいけなくなってしまい…。

という、ウサギの島に異世界トリップしてしまう話です。
見た目も言葉も日本人だけどウサギが混じっているためにウサギの耳がはえていて、さらに独自の文化が発展した結果、泰英の常識とはかなりずれた感覚を持っている島の人々。

この作品はそんな文化の違いを生かしたストーリーになっていて、そこがとても面白い。まさか耳を触ることがそんないやらしいことだなんて！ たくさんの「まさか」に爆笑したり驚いたり萌えたり大変です。

ファンタジーBLはいろいろありますが、この作品は世界観が個性的かつ予想の斜め上をいっていてとても新鮮。力業の設定なのに、どんどん話に惹き込まれますよ！
 BLで異文化コミュニケーション！ なファンタジー作品です。

働く男にドキドキしたい！
■くちびるに銀の弾丸（シリーズ全2巻）/ 著者：秀香穂里 / 挿絵：祭河ななを / Chara文庫（2003-6年）

ゲーム制作会社ナイトシステムに新しく入ってきた水嶋弘貴は、ゲーム業界でミリオンヒットを連発しているトップクリエイター。水嶋は妥協を許さず厳しいが、ゲームに対する真摯な姿勢は他を圧倒している。水嶋のゲームを担当することになった広報の澤村朗はそんな水嶋に興味を持つが、水嶋の態度は冷たい。しかし、ふとしたきっかけで水嶋がゲイで自分に気があることを知った澤村は、興味本位で水嶋と関係を持つことに。次第に水嶋に惹かれていく自分に気がつきながらも、澤村は水嶋と関係を持つ傍ら相変わらず女遊びを続けていたが…。という、ゲーム会社を舞台にしたリーマンBL。

傲慢で自分勝手な澤村は水嶋との関係を軽く考えているのですが、失ってみて初めてその大きさに気が付きます。初めは澤村が水嶋を振り回していたけれど、結局の所、相手に惚れて身動き出来なくなってしまったのは澤村。そうした恋愛面の変化に、ふたりが開発していくゲームが大きく影響しています。

そして、ゲーム業界に詳しくなくても、このゲーム開発過程がとても面白い！ 仕事と恋愛がうまく絡んで、読み応えがあります。
BLは男同士だからこそ、恋愛だけじゃなく仕事も大切！ 働く男たちを堪能出来る作品です。

卒業腐女子も、再入学どうぞ！
オススメしたい作品たくさんありすぎて選びきれません。男同士だからこそ面白さが引き立つ設定がある一方で、男同士なのに?! と驚くような設定があったり、BL作品の世界は驚くほど広大で可能性に溢れています。先入観にとらわれず手に取ってみれば、きっと新しい自分の萌えが発見出来るはず！

今回の記事はいかがでしたか？ 前回は「卒業」BLをテーマにおおくりしましたが、記事がきっかけで無事腐女子を卒業された方はいらっしゃるでしょうか。
でも再入学して、フレッシュな気持ちでBLを読みたい方にぜひオススメです！

記者：にゃんこ