新刊の中から、話題になっている作品、私のオススメ作品などをピックアップして紹介します。視点は少々(いや相当?)偏っていることもありますので、ご注意くださいませ?。
今回は2013年9月の新刊から、動物が登場するこちらの2作品を紹介します。
■クロネコ彼氏の甘え方 / 左京亜也 / Dear+コミックス 紆余曲折を経て恋人同士になった賀神と真悟。毎晩のように賀神に抱かれているけれど、今までずっと孤独に生きてきた真悟はそんな幸せに戸惑ってもいる。賀神を好きなのに終わる事への不安を持ち続けている真悟の心に、賀神は気付いていた。そんな中、賀神の写真集の撮影のためカメラマン・蓮見が現場に出入りするようになった事で、賀神の苛立ちが募っていき…。
人間の中に紛れ込んで生きている猫科人間のシリーズ3作目で、このカップルとしては「クロネコ彼氏のアソビ方」に続く第二弾。賀神(豹)は人気俳優で、真悟(家猫・黒猫)は撮影セットの設営の仕事をしている裏方。ふたりの関係は、賀神が真悟の正体に先に気付いて手を出したところから始まっています。それまで軽い気持ちで適当に遊び回っていた真悟ですが、賀神には翻弄されっぱなし。でも、賀神の強引さに腹を立てているのに、その強引に与えられ交わる感情を欲してもいて、次第に真悟は賀神に惹かれていきます。前巻ではそうした状況に反発しながらも賀神を受け入れるところで終わり。今回は、それでもまだ一歩引いてしまっている真悟と、それに苛立ってしまう賀神とのすれ違いが描かれています。
ふたりとも相手を好きで、毎晩のようにエッチしているのにうまくいかなくなってしまう。好きになればなるほど不安になっていくふたりは、セックスで相手の気持ちを確かめようとし、自分の不安を誤魔化して、そうして小さなズレが少しずつ気付かない間に大きくなっていきます。上手くいきすぎると怖くなる真悟の気持ちも、賀神の苛立ちも理解出来るのでもどかしい。でも、そんな不器用さがキャラに対する愛着に繋がっていきます。ツンツンしているけど実は寂しがり屋な真悟がかわいい。一方の賀神も、恋愛の駆け引きに慣れていそうなのに真悟に対しては好きな気持ちが大きすぎて冷静になれていなくて、完璧でないところに好感が持てます。真悟みたいなタイプは、不安をちゃんと吐き出しておかないと後でネガティブ思考に嵌って逃げ出したりしそうなので、いろいろありつつも結果オーライ。雨降って地固まったふたりなのでした。
そして! 最初から最後までエロいっぱいです!! 普段の真悟はあまり受っぽくないのに、エッチに突入すると文句を言いつつもどんどん可愛くなっていくのがたまりません。そんな真悟を可愛いと思っているのが伝わってくる賀神の表情もいい。ふたりのいちゃいちゃっぷりが美味しすぎて悶えます。
猫科人間というイロモノ設定ですが、恋愛面もしっかり読み応えのある内容になっています。そして、猫の姿や仕草がとにかくかわいい! 特に、お尻丸見えな後ろ姿が…雄なので丸いホワホワも付いていてかわいい!触りたい!つつきたい(笑)猫好きにな人にはたまらないシリーズですよ?。
そんな動物人間モノがある一方で、動物を使ってまさかの××!な作品があるのがBLの世界。奥が深いですね!
■熱砂と月のマジュヌーン / 木原音瀬 / 笠井あゆみ / GUSHノベルス 石油王の父を持ち、裕福で自由気ままな生活を送っていた美貌のファウジ。しかしそんな生活は、父親の会社の倒産により終わりを告げる。父親の失踪で奴隷として売られ、屈辱的な扱いを受けたファウジは、ラージンという若い実業家に性奴隷として買われた。夜ごと金持ちたちが集まるパーティで性的な奉仕や奴隷たちとのセックスを強いられる日々が続く。世話係であるハッサンは我が侭で口の悪いファウジに辟易しながらも、生きる希望を与えるため、偽りの愛を囁くのだが…。
舞台はアラブの国で、ファウジの父親もアラブ人ですが、母親の血により白人の容姿をしているファウジ。ハッサンは奴隷出身で、ラージンに拾われた黒人。ふたりの間には歴然とした階級の差がありますが、父親の没落により立場が逆転します。ラージンにある目的のために買われたファウジは、屋敷の中で孤立無援。差別意識が強く性格に問題のあるファウジは、周囲の人たちを苛立たせます。自らの自己中心的で高慢な性格故に招いた事態でもあるのに、ファウジは全く反省したりせず、ひたすら自己憐憫とラージンたちに対する反発しか示しません。精神的に弱って自殺未遂したりもしますが、基本的に性格は変わりません。ハッサンがラージンの命令で気のある素振りをすると、途端に調子に乗ってハッサンを挑発する態度を取ったり。浅はかなファウジが滑稽で哀れになります。
カップリングすら想像できない愛のない展開の中最終的にはファウジとハッサンが恋愛関係に至るわけですが、ハッサンが何故こんなファウジに惹かれてしまったのか?誰もが謎に思うところでしょう。いたぶられるファウジを見て、眠っていたハッサンの中のドSの血が騒いだのか。プライドの高いファウジの強気の姿勢と、身体を弄ばれて屈辱と快感にまみれて理性を失って泣いている姿のギャップにうっかり嵌ってしまったのか。意外にも読み進めるうちに、ハッサン同様、ファウジが可愛く感じるようになっていきます。プライドの高いドMは美味しいですね!
しかし兎にも角にもエロがすごいです。まさかの大型動物登場…!! ファウジは快楽に弱いので、泣き叫んでいても悲壮感や残酷な印象はそこまで強くありません。この手のプレイが苦手な方でなければ、なかなか出会えない勢いのあるマニアックなプレイを心ゆくまで堪能出来る事間違いなし。笠井先生の挿絵がステキで萌え倍増です。
力業ながら、意外にもうまくまとまっていてびっくりな木原先生のアラブでした。あんなに性格的にかなり問題のあったファウジが可愛いく思えるようになるなんて。エロが特殊なので覚悟は必要ですが、最後はちゃんとハッピーエンドですのでご安心下さい。大型動物どんとこい!な方は是非どうぞ?。
紹介者プロフィール:にゃんこ長い冬眠期間を経て数年前に復活。内容はもちろん大切。でも萌えるHも大好物! 心躍る萌えを求め、腐海を彷徨う流浪の腐女子。 小説&コミックスを中心に、BLCD、BLゲームなども含めた感想をブログで書いていますので、そちらもよろしくお願いします! http://macnyanko.blog22.fc2.com/