新刊の中から、話題になっている作品、私のオススメ作品などをピックアップして紹介します。視点は少々(いや相当?)偏っていることもありますので、ご注意くださいませ?。
今回は2012年12月の新刊から、もっふもふな作品を紹介します。もふもふは癒し!
■地角の衆生/栗城偲/ミナヅキアキラ/プラチナ文庫 異端の存在である妖・鵺には、親も仲間もいない。唯一付き合いがある雷獣の迅雷にきつく止められながらも、同じ「鵺」を探すため里に下りた鵺だったが、人間に狩られてしまう。しかし、罠を仕掛けた人間・寛慶は鵺の姿を見て興味を持ち、怪我をした鵺は退治されることなく助けられ寛慶と共に暮らすことになった。柚丸と名付けられた鵺は、次第に寛慶を大切に思うようになり…。
という、人間と妖怪の話。舞台は鎌倉時代辺りの設定です。「鵺」は頭は猿(ここでは人間)、身体は狸、尻尾は蛇、手足は虎という妖。無から生まれ常にひとりしか存在しない鵺は常に孤独です。寛慶も様々なしがらみが原因でひとり孤独に僧として生きている男で、ふたりは一緒に暮らすうちに互いの存在に癒されていく。そして、親愛の感情が恋愛へと発展し、番になる事を誓い合います。
ふたりの関係の変化はとてもシンプル。鵺と寛慶の短編2本と、迅雷と寛慶の友人・実道の短編1本が収録されています。最初の、出会いから番になるまでの短編は昔話や民話のような雰囲気でした。民話だと、一緒に暮らした人ならざる者と夫婦になる展開は珍しくないですよね。これはBLなので、鵺は雄で、男同士の夫婦になりますが。自分の居場所を見つけられずにいたふたりが、互いに必要とし合い、癒されていく様子に心があたたまりました。
2本目の短編は、番になったふたりが身体を繋げるまでの話。嫉妬の感情や夜の営みについて無知な鵺が、無自覚に寛慶を振り回しています。まさかそこまで何も知らないとは思っていなかった寛慶は、鵺の行動に苛立ち、つい八つ当たりしてしまったりしちゃうわけです。寛慶、大変だ…。
しかし! そんな知識のなさが、萌え的には大変美味しいのです! 初物ですよー! しかも精通を攻の手で迎えるのですよー! まっさらな雪原に足跡を残す快感(笑)初めて与えられる快感に翻弄されている受に萌え。そしてそんな受に鼻血出そうな勢いで興奮している攻にも萌え。人外モノだからこそ出来るショタ風味エロ万歳!
そして萌えポイントその2はもふもふ! 鵺の身体は狸で手足が虎なので、当然もっふもふな身体なのですよ! 寛慶にお腹をわしゃわしゃされていたり、すり寄って甘えたり、文字の表現だけでもそのもふもふ具合に癒されましたが、挿絵が素晴らしすぎてさらに悶えました。手足が太くて、ライオンや虎の子供みたい。お腹を見せて甘えている鵺がかわいいです!
鵺の無邪気な雰囲気ともふもふ具合に和み、寛慶の野性味溢れる姿にドキドキさせられるこの作品。ミナヅキ先生の挿絵も雰囲気ピッタリで、もふもふ萌えを盛り上げていました。萌えも存分に味わえますよ!
今回はもふもふ繋がりでもう1作品ご紹介。もふもふなBL作品は時々登場しますが、動物は様々。こちらの作品は、うさぎと狐のカップルです!
■お稲荷さまのハニーバニー 1,2巻(以後続刊)/サクラサクヤ/Charaコミックス 生きるため、人間に化ける術を御領の稲荷から授かったうさぎ。そのうさぎを祖父に持つ高校生・宇野小春もまた、人間の姿で暮らしている。しかし、人間の姿をしていてもそれは術。化けるのがヘタな小春は他の動物に見つかってしまい、狙われることも少なくない。そんなある日、小春を助けてくれたのは、現・御領の稲荷の御領凌士と戌神テツ。ふたりもまた人間の姿をした狐と狼で、御領に気に入られた小春は、ふたりと共に事件に巻き込まれていくのだが…。
という、動物いっぱいな和風ファンタジー。敵もイタチやカラスなど、人間の姿をしていてもほとんどのメンバーは動物。1巻は世界観とキャラの紹介がメインとなっており、2巻で徐々にふたりの周囲で起こり始めた事件の概要が明らかになってきます。種族特有の悩みがあったり、主従関係があったり、物の怪モノらしい展開も盛り込まれているので、こうした系統の作品が好きな方なら、BLとしてだけでなく話を楽しめるのでは無いでしょうか。
一方、恋愛面もゆっくりですが進展しています。天然でキャンキャンしている小春と落ち着きのある大人の御領というカップリングは王道ですが、何といっても、ふたりが動物の姿になるというところが魅力です。耳と尻尾がもっふもふ! お尻プリプリ! もふもふモノは尻尾ついた状態でのエッチも萌えのひとつだと思うので、出来れば尻尾を活用して欲しいところ! まだ少し時間がかかりそうですが、もふもふエッチが楽しみですね。
ということで、もふもふだけでなく様々な動物が登場するこの作品、動物好きな方にオススメ! うさぎと狐の今後の展開が気になります。そして、脇にも動物いっぱいです。人の姿を取ることの出来るイタチやカエル、人間の姿になりませんが、カラスやスズメ、猫、みんな可愛い?。丁寧で細かく描かれている動物たちはかわいさのみならず、迫力がありました。今後の展開が楽しみな作品です。
紹介者プロフィール:にゃんこ長い冬眠期間を経て数年前に復活。内容はもちろん大切。でも萌えるHも大好物! 心躍る萌えを求め、腐海を彷徨う流浪の腐女子。 小説&コミックスを中心に、BLCD、BLゲームなども含めた感想をブログで書いていますので、そちらもよろしくお願いします! http://macnyanko.blog22.fc2.com/