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異論は認めません!? 私のイチオシはこれ!24

2011/03/19 00:00

新刊の中から、話題になっている作品、私のオススメ作品などをピックアップして紹介します。視点は少々(いや相当?)偏っていることもありますので、ご注意くださいませ?。
今回は2011年2月の新刊から1冊、既刊本から1シリーズをご紹介。SMは読めば読むほど奥深いです!

■禁縛/剛しいら/嵩梨尚/プラチナ文庫

天才緊縛師であった筧が亡くなり、弟子の安念龍地がそのすべてを継いだ。
その龍地の元に、ある日、実力人気共に若手の筆頭である女形歌舞伎役者・松波草矢が訪ねてくる。
草矢は代々続く尾形一門の長男として生まれ、幼い頃から女形になるために稽古を積み、生活のすべてはそのために捧げられていた。
しかし、跡継ぎのため結婚を期待される中、草矢は女性に対する興味を持てずにいたのだが、強引に会わされたカウンセラーを介して龍地のいる世界に足を踏み入れる。
そして自分が求めていたものに気付くのだが…。

という、歌舞伎役者が緊縛の世界に足を踏み入れ、自分を見つめる話です。
草矢と同じように、一般の人からしたら緊縛は裏の世界のもので、身近にあるものではないですよね。
そこに何故足を踏み入れることになったのか。
そこで得たものは何なのか。
草矢だけでなく、龍地の側からも踏み込んでいます。
歌舞伎という世界の中でしか生きられなかった草矢に対して、龍地は一般家庭に生まれながらも重い過去を背負っている。
龍地にとって、人を縛るのは救えなかった姉に向き合うためなので、性的嗜好とは必ずしも一致していません。
仕事で人を縛っても、自分の身体を使った性行為までは及ばない。
でも、草矢はそんな龍地の心を揺さぶります。
そして草矢も龍地に惹かれていく。
草矢の場合は自分を解放してくれた龍地に精神的に依存している部分があるのですが、龍地に興味を持ったからこそそこに至ったわけで、龍地も草矢へ特別な感情を持っていたからこそ、緊縛という入り口から恋愛に発展している。
その感情の流れがしっかりしているので、プレイだけでなく、恋愛面もしっかり読ませる話になっていました。

緊縛を始めとしたSMが話の中心になっている場合、どうしてもSM考や精神論に繋がっていくので、内へ内へと入っていく作品が多い。
作品として成り立たせるためにその掘り下げは必要で、キャラがそこを乗り越えるステップが重要になってくると思います。
自分がどうして縛られたいのか、縛りたいのか、それを理解するために自分と向き合い、相手を見つめないといけない。
その結果、冗長になりがちで、着地点が難しい。
その点、今回のこの作品は全体的にはシリアス寄りで、内面にも踏み込んでいるけれど、読後感は意外に軽い(明るい)のが印象的でした。
それぞれの過去はともかく、ふたりの関係はジメジメしていません。
これは草矢のキャラによるところが大きいのではないかなと思います。
緊縛に関しては悩んでいますが、草矢の自分の才能や仕事に対するプライドがうまく働いて、全体的には外に向かっている。
そして、草矢がかわいいのです!
龍地に見せる顔も、家族に見せる顔も、仕事で見せる顔も、それぞれ違うのにすべてが魅力的。
日常と非日常の切り替わるスイッチにドキッとさせられます。

ということで、タイトルからして買わずにはいられなかった剛先生の緊縛本。
緊縛を始めとしたSMは奥が深いですね。
一見Sが主役のように見えるけれど、Mが解放されるためにSはMに奉仕しているという形を考えるなら、実際はMが主役なのでは?
視点を変えてみる事で、新しい面が見えてくるのではないでしょうか。

BLでSMをシリアスに扱っている作品は多くありませんが、萌えだけでなく、SM的な関係の面白さを堪能できるテーマだと思います。
この作品は、要点は押さえていますがそこまでSM考や精神論に寄った話ではないので、SMを扱っている話としては読みやすいのではないでしょうか。
そして、これを機にもっとSMについて知りたい!SM面白い!と感じた方。
そんなあなたには、こちらのシリーズをオススメします!


■ 快楽の支配者/暁由宇/九条えみり/アイノベルズ(2001年)
■ 罪深き誓約/暁由宇/九条えみり/アイノベルズ(2002年)

能代聡は、ある日ハッテン場で同じ会社の澤崎謙に出会い、関係を持つことに。
お互いに惹かれていた二人はその後も身体の関係を続けるが、会社での冷たい態度とは全く違う、あまりに従順な澤崎に能代は次第に戸惑うように。
耐えきれず問いつめると、澤崎は「私は、マゾヒストなんです」と打ち明けてきて…。

元々ゲイではあるけれど、SMは初心者の能代。
ふとした切っ掛けで会社の上司である澤崎と関係を持ち、Sの素質に目覚めますが、欲望のまま澤崎を痛めつけることには抵抗があります。
過去の経験が原因で自分の中にある暴力的な嗜好から目を逸らし続けていた能代ですが、それを快楽として受け入れる澤崎と出会い、好きになった事で、その欲望と向き合わなければいけなくなります。
一方で、澤崎は能代をSMの世界に導きながらも、常に能代に捨てられるのではないかと不安を抱えている。
相手だけでなく、自分自信を受け入れるために悩み苦しむふたりの心の動きがとても読み応えのある話になっていました。

SMは互いの事を知って成り立つ行為だとシリーズ1冊目を読んで改めて感じましたが、2冊目では、相手だけでなく自分も知る事でもあるという部分に踏み込んでいます。
SMという形を通して、他者とどのように信頼関係を築いていくか?
考えさせられる部分が沢山あり、SMの奥深さについて、分かっているようで分かっていなかったなと、目から鱗が落ちました。
SMという言語ではありますが、話の中心仁なっているのは恋愛一般にも通じる関係論だと思うので、共感出来る部分もたくさんあります。
古い作品ですがオススメ!

紹介者プロフィール:にゃんこ
長い冬眠期間を経て数年前に復活。内容はもちろん大切。でも萌えるHも大好物! 心躍る萌えを求め、腐海を彷徨う流浪の腐女子。 小説&コミックスを中心に、BLCD、BLゲームなども含めた感想をブログで書いていますので、そちらもよろしくお願いします! http://macnyanko.blog22.fc2.com/

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