稀代のエンターテナーとして、ブッチギリでBL界に君臨する榎田尤利。
揺るぎない文体と確かなキャラ設定、そして鋭い人間観察。
彼女の作品の特徴としてしばしば言及される「エンタメ性」はそれらを下敷きにした上澄みの部分かもしれない。
今回、ちるちるではBLを超えてファンを獲得する榎田尤利について、ユーザーから寄せられた熱いコラムを軸にして、作品を徹底的に掘り下げてゆきたいと思う。
BL大好きな私ですが、BL小説はほとんど読みません。というか読めません。
小さい頃から小説を全く読まなかったので、文字を読むということ自体が苦手なんです。
そんな中、私が作家買いをしてしまう数少ないBL小説家さんの中に、榎田尤利さんがいます。
榎田さんといえば、交渉人シリーズとか、魚住くんシリーズとか、永遠の昨日とか(個人的にこの作品が一番好き)、素晴らしい作品をたくさん書かれていますが、私が初めて読んだ作品は「きみがいなけりゃ息もできない」でした。
今まで小説を読むときは途中で眠くなったり、1冊読むのに1週間かかったり、内容がなかなか頭に入ってこなかったりしていた私でしたが、この作品は2、3時間で読めました。
そしてこの作品のおかげでBL小説の魅力を味わったんですよね。
単純に文字を追うことが苦手な私は、どうやらキャラ萌えで話に引き込まれていったようです。
自由奔放天真爛漫な漫画家・ルコちゃんと、なんでもできるパーフェクト人間なのに趣味はルコちゃんの世話を焼くことというオカン気質の東海林。
きっとルコちゃんだったらこういう時こうするだろうな?とか、そうしたら東海林はこう返すんだろうな?とか、そういうことがパっと頭に思い浮かぶくらい、二人のキャラはぶれない。まるですぐそこにルコちゃんと東海林がいるとさえ思えるくらい、リアルで愛おしい。
そして二人のやりとりがなんとも可愛くて萌えて。
ぐいぐいと話に引き込まれていきました。
ルコちゃんは現実にいたら私は絶対嫌いなタイプだと思います(笑)。甘えたで何にもできなくて東海林に頼りっぱなしで。
いい加減にしろよって言ってやりたくなるけれど、東海林は喜んでそれを引き受けてるんだからどうしようもない。
ルコちゃんはヘタレ男なんだけど、実はこうやって見てみると女王様なのかもしれない。
逆に東海林は完璧男のようでいて実はヘタレですよね。
そんな二人がヘタレ×女王様好きの私の心に火をつけたのかもしれません(笑)
交渉人シリーズの芽吹と兵頭にしろ、今回のルコちゃんと東海林にしろ、私は榎田さんの描かれるカップルの距離感というか関係性にすごく萌えることがわかりました。
相互依存、執着…。なんというか…お互いがお互いなくしては生きていけない、そういう関係に思います。
「きみがいなけりゃ息もできない」それは究極の愛の告白だと思うのですが、それくらい実際二人は本当に相手がいなけりゃ生きてくこともできないんですもんね。
二作目「きみがいるなら世界の果てでも」のほうでは、東海林のダメダメっぷりが明らかになって、東海林にこそルコちゃんが必要なんだっていうことがわかってもう涙が出ました。自分がいなけりゃダメダメだと思ってたルコちゃんだったけど、実は反対だったなんて。ルコちゃんの裏切りによってそれがよーーくわかった東海林。
このことでお互いの立ち位置はちょっと変わったかもしれませんね。ルコちゃんはずっと変わらないと思うけど、東海林の中で二人の関係性は変わったと思う。
「息もできない」だけだったらここまで萌えたかはわからないけど、この「世界の果てでも」のほうを読んでから、もうこの二人が大好きで大好きでたまらなくなりました。
小冊子などで番外編やその後のお話などを読んで、幸せそうな二人を見るたびに、この二人はもう大丈夫だな…と感じます。
男夫婦…ならぬ親子にさえ見えてしまう二人ですが(東海林がオカンすぎて。笑)、だからこそ続いていくのかもしれないですね。
来年、漫画家シリーズCDの全サでルコちゃんと東海林のその後が見られる(と思うのですが)、それが今一番の楽しみかもしれません!
二人は今もイタリアでうまいことやってるのかな?。
東海林のホットケーキ、一度でいいから食べてみたいな。
紹介者プロフィール:ミドリ9月でBL歴1年を迎えました! この1年で気づいたのは、浮気ダメ、強姦・監禁・凌辱ダメな、意外に純愛作品好きだったこと。 でもエロエロは大好きです。 BL読み始めて本棚3つ増えました! コミック主体で山田ユギ、ヨネダコウ、山本小鉄子、日高ショーコを神と崇めてます。 最近は榎田尤利にハマり中。