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異論は認めません!? 私のイチオシはこれ!7

2009/10/16 00:00

新刊の中から、話題になっている作品、私のオススメ作品などをピックアップして紹介します。視点は少々(いや相当?)偏っていることもありますので、ご注意くださいませ?。
今回は2009年9月の新刊からこちらの2作品をオススメします。

■忘れないでいてくれ/著者:夜光花/挿絵:朝南かつみ/リンクスロマンス
接触することにより、他人の記憶が見えてしまう。
中学時代に起こったある事件のあと、突然この能力を得てしまった守屋清涼。
それによって他人との接触を恐れるようになり、他人と距離を置くようになりますが、塚本という男と出会った事でその能力を商売にすることに。
ある日、とある事件の目撃者の記憶について疑問を持った秦野が、清涼の仕事場に押しかけてきた。
清涼は軽くあしらうが、苛立ち紛れに秦野の記憶を覗いてしまう。
激昂した秦野に、清涼は犯されてしまうのだが…という二人の出会いから話が始まります。
刑事なのにレイプかよ!と思わず突っ込んでしまったのですが、この後意外にもふたりの関係は続いていくことに。
それは、秦野が清涼に惚れてしまったことに加え、清涼の方も、他人が触れてはいけない部分を不用意に煽ってしまった事を認めていて、秦野の反省する姿にほだされてしまったから。
接触することで他人の心が覗けてしまう清涼は、なかなか恋愛関係を発展させることが出来ずにいますが、始まりが始まりだけに、秦野に対しては構えなくてもいいという安心感がある。
そして、過去の辛い記憶を手放さず、それも自分の一部だと言い切る秦野に、清涼は惚れてしまっているのです。
今回、キャラクターがとても生き生きしていてとてもよかったです。
清涼のツンデレな所も可愛いけれど、過去の事件に対する気持ちの変動がとても人間くさくて、その不完全さがとても魅力的でした。
同様に秦野も、ただの正義感の強い堅物の刑事ではなくて、清涼に対して不器用な愛情表現をしていたり、思いがけない脆さを露呈していたりします。
意外にヘタレキャラ。
でも芯はしっかりしているからかっこいい。

以下、ネタバレ気味です。
核心の部分は伏せていますが、予備知識がない方が絶対に楽しめると思います。
未読の方はご注意くださいませ。

清涼は、「記憶を消す」と言っても完全に消去しているわけではなく、実際には暗示をかけているだけ。
それと同じ方法で、清涼も中学時代に起こった事件の記憶を封じられています。
それは、両親が殺害され、清涼自身も大怪我をするという悲惨な事件。
秦野と出会った事で、その記憶の鍵となっていた犯人と偶然にも接触した清涼は、復讐のために動き始めます。
過去の事件に対する思いを含め、清涼が自分の気持ちを見つめ直す過程にしっかり筋道があり、納得できる展開でした。
清涼の心の揺れがいい。
人間味が増しました。
ラストのまとめ方もよかったです。
話の流れからすると、その着地点がなくても、ふたりがラブっとすればそれはそれで納得していたと思います。
でも、過去の記憶との共存の仕方を見つけたことで、ふたりとも一歩先に進むことが出来た。
そのステップが入ったことが、スッキリとした読後感に繋がっていると思います。

設定は特殊ですが、事件を追っていく過程と恋愛がうまく絡んでいたと思うし、何よりキャラが魅力的で惹き込まれました。
主役ふたりの魅力は上記で述べた通りなのですが、そこに朝南先生の挿絵がすごくマッチしていて、相乗効果でとても萌えツボに嵌りました。
夜光花作品の受は線の細い少年タイプが多いのですが、朝南先生の描かれる受は美人だけど骨格がしっかりしている。
大人の男同士だからこそ、ふたりの時折垣間見せる弱さや不器用さが魅力に繋がっているのだと思います。
脇の塚本やその彼女・黒薔薇(仮名)もすごくいい味出していますね〜。
この不思議なふたりがいいスパイスになっていたと思います。
そんな魅力的なキャラたちに加え、話の構成もすごく上手くて、テンポよく読み進めることが出来ました。
いろんな要素がちゃんと最後には拾われてまとまっている。
久しぶりに大興奮な一冊でした!

■ ザイオンの小枝/著者:稲荷家房之介/BBC
伯爵に拾われ、育てられたユダヤ人の少年。
その伯爵は、ユダヤ人収容所に関わっていた。
第二次大戦後、彼は戦犯として追われる伯爵を監禁するのだが…。

15年間支配され、自分と同じユダヤ人を殺すことに協力させられた、というのが男が伯爵に対して復習をする理由になっているけれど、実は…という話。
収容所とか戦争についての予備知識はありましたが、冒頭に出てくるノアの方舟の記述(旧約聖書)とか、割礼とか、宗教的な背景についての知識が薄いので、そういった事がどのくらい重要なのかが分からなくて最初は戸惑いました。
攻は伯爵が好きだからこそ裏切られたように感じて、歪んだ執着に走ってしまうけれど、伯爵の心は閉じていくばかり。
伯爵はちゃんと愛情を持っていたのだけれど、不器用だから全然伝わっていないんですよね。
すれ違ってはいるけれど、こうした精神的なやりとりに萌えます。
年の差、下克上、オヤジ受、執着、監禁というキーワードにピンと来た方、そして軍隊、下克上、執着という辺りが「百日の薔薇」と被るので、「百日〜」が好きな人にはオススメします!
ただ、激しい性描写も出てくるので、万人受けはしないかな…。
私はそういった所にむしろテンション上がりましたが(^_^;)
それにしても…伯爵の年齢は40代くらいかなと思うのですが、身体が若すぎやしませんかね(笑)

ということで、短編集の中から表題作を抜粋して感想を書きましたが、稲荷家先生の新刊はとってもドイツな1冊でした!
1話だけ違うけれど、他はナチもの。
制服とか、盲目的な信念とか、そういったものがBLと合うなぁと思います!
加えて、稲荷家先生の画がゲルマン系に合っていて雰囲気出ている。
表題作はエロも濃厚で美味しかったです〜♪
ストーリーは一見難解そうですが、「百日の薔薇」より人間関係は分かりやすくて、世界観もファンタジーじゃないので取っ付きやすいと思います。
程良く間に小休憩できる短編も入っているし。
面白かった〜。満足です!

紹介者プロフィール:にゃんこ
長い冬眠期間を経て数年前に復活。内容はもちろん大切。でも萌えるHも大好物! 心躍る萌えを求め、腐海を彷徨う流浪の腐女子。 小説&コミックスを中心に、BLCD、BLゲームなども含めた感想をブログで書いていますので、そちらもよろしくお願いします! http://macnyanko.blog22.fc2.com/

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