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『ENNEAD』オシリスの“執着”に潜む真意とは…超重厚エジプトBL徹底考察!

2024/04/11 21:00

外堀を埋める攻めは最高、これ紀元前からの自明

 

 
「タヒんだはずの兄が蘇る」SNS広告が一躍話題となった、エジプト神話BLの『ENNEAD』。エキゾチックな見た目と骨太ストーリーにハマって、一気に読み進めた方も多いのではないでしょうか?

その本作! ついに! 単行本の発売が決まりました! ヤッタ~~~ッ!!!! 4月24日に1・2巻が同時発売され、以降は順次刊行予定だそう。ご尊顔を本棚に飾れると思うと……今からソワソワが止まりません♥

そこで本記事では、歓びの舞を踊りたい気持ちを抑えて『ENNEAD』を分析! キャラと相関図・ストーリー展開の解説、そして主人公の兄・オシリスを軸に置いた溺愛っぷりをご紹介します♪

※本記事は第1部(73話)までの内容で執筆しています。目次3からは無料公開話(30話)以降のネタバレも含んでいるので、未読の方はご注意ください!

 

◆目次◆
1.キャラ・相関図解説
2.勧善懲悪の裏側を描く"わからせ"ストーリー
3-1.※ネタバレ 執着攻め・オシリスの「赤い花」
3-2. なぜ種をアヌビスに渡したのか?
3-3. オシリスの執着愛に抱く違和感

 

 


まず、作品名にもなっている「エネアド(ENNEAD)」は「エジプト九柱の神々」であり、彼らが集会する様子を指します。一般的に該当する神は、ラー(太陽神)・シュー(大気の神)・テフヌト(湿気の神)・ゲプ(大地の神)・ヌト(天空の神)・オシリス(生命の神)・イシス(魔法の神)・セト(戦争・嵐の神)・ネフティス(平和の神)の9名。役割の異なる神たちがバランスよく力を発揮することで、エジプトの安寧を守っているのです。

多数の神が登場しましたが、本作で特に押さえておきたいキャラたちはこちら!



なんということでしょう……愛する妻と息子がいるセトに、2つのアツい矢印が向けられているではありませんか!! 本作は家族に向いたセトの愛をどうにか振り向かせようとする、セト総受けバトルストーリーでもあります。中でもホルス→セト←オシリスの肉体関係トライアングルは見逃せません。ちなみに話数が進むごとに特大ラブアローが増える兆しが見えるので、あわせて要チェックです!

詳しい相関図はENNEAD公式HPや電子単話の巻末に掲載されています。興味のある方はぜひそちらをご確認ください♪

 
『ENNEAD』の基盤にあるのは、エジプト神話の「オシリスとイシスの伝説」。神話では、王位を継いだ兄・オシリスを恨む弟のセトが、兄の身体を14つ(※ENNEADでは9つ)に切断して遺体をバラまきます。そして遺されたオシリスの妻・イシスは息子のホルスとともに、かの邪知暴虐な神・セトに復讐を果たすべく後継者争いに乗り込み……。といったディープな内容が繰り広げられます!

このように、インスパイア元でオシリスは殺された善良な神様、イシス・ホルスは仇を討つ英雄、セトは苛烈な悪神として扱われます。特にホルスが力を持つ過程に重きを置いており、右肩上がりのハッピーエンドと言えるでしょう。

対する『ENNEAD』はセト視点で物語が進むので、右肩下がりどころか肩脱臼レベルで"堕ちて"いきます。武力を殺人に使い、集まった呪力でまた人を殺める。非道さから恐れられて完全に孤立した頃、ホルスと勝負して男性としての尊厳と名誉をはく奪されていく。「わからせ」要素を全部詰めた贅沢っぷり、もう口角ニチャァ……でしかありません。

また、本作は時系列のスタート地点も異なります。インスパイア元では、序破急の「序」がオシリスが現世で生きていた頃にあたります。ホルスvsセトの戦いは「破」、盛り上がりの部分に該当しますね。一方『ENNEAD』ではホルスvsセトが「序」にあたります。搭乗した時点でジェットコースターの頂上にいるようなものです。この先は身体も格式も奈落に堕ちるまで秒読み。うーん最高!

 
先述通り『ENNEAD』はオシリスが冥界送りにされた後から始まり、ホルス×セトの関係をメインに描きます。じゃあ、オシリスってラブバトルに介入する隙がないのでは……? そう思っていた時期もありました。「あの夜」を知るまでは。ということで、策に策を練ってセトを手籠めにしようと試みる、オシリスの執着愛を語らせてください……!



オシリスは冥界の王であると同時に、死と再生を司る植物神でもあります。『ENNEAD』で彼が現世に植え付けた禍根はいくつもありますが……。1番ゾッとした「赤い花」を通して、オシリスの切なすぎる愛情を考えてみましょう!

ホルスvsセトで石船競争をしたとき(第1部22話~24話)、セト陣営の石船に赤い花が咲きました。それはホルス側に肩入れしたアヌビスが渡した種で、曰く「オシリスから冥界で預かった」と。初見時は全く気付かなかったのですが、実は41話以降の「あの夜」に絡む重要な伏線だったんです……!

ここでネタバレ注意の問題を1つ出したいと思います。

Q. 20話前半と40話前半で咲いた花の正体は?
A. セトの精○

正解はまさかの下半身の種!!! セト夫妻は長年不妊に悩まされていましたが、そもそも生命の根源をオシリスに摘まれた状態だったのです。摘まれた理由は、セトのDNAが他人と交わることを許せなかったから。倫理観お留守の執着ラブに、罪深い尊さが湧き上がってきます……♥

 


そんな深い因縁のある種ですが、筆者は疑問に思いました。オシリスはなぜ、冥界まで持参するほど思い入れのある種をアヌビスに渡したのでしょうか?

読んでいる当初、立てていた仮説は2つありました。

1.競争の切り札としてホルス側に使わせるため
2.オシリスの存在をセトに思い出してほしいから

まず1番目の切り札説。
セトを冥界に連れて行きたいオシリスと、セトを倒したいイシス。夫婦の利害が一致し、競争に備えて預けたと思っていました。しかしこの考察には矛盾点があります。20話でアヌビスの存在が「数百年間成長の止まっている神の子」と書かれていることから、アヌビスとオシリスが直接冥界で出会った過去は数年単位といった直近の出来事でないことが読み取れます。争いが起こること自体予測できないのではないでしょうか。

また、石船競争自体がホルス優勢だったことも理由に挙げられます。湿った砂は武器にできないため、セトが使える乾いた砂は僅か。ホルスがセトの矢を避け続けて持久戦に持ち込んでいれば、「種」がなくともホルスに勝算があったと考えます。

となると、2番のオシリスの完全私情説が浮上してきます。
ここで気になるのは、太陽神・ラーの発言とセトが抱える不安。59話では、神は本来群れを成さず個人で生きることが言及されています。そんな神々が集団で愛を育み始めたことに関し、ラーは「あんたたち兄弟って人間と変わらない」と指摘。さらに41話では、人間染みたセトが忘れ去られてしまうことの恐怖を語っています。セトの「あいつらの中で俺の存在が消されるんじゃないか」という言葉に、オシリスもアンサーとして「俺は昔からその恐怖に震えながら生きてきた」と告白します。

これらのエピソードから察するに、人間のように寄り添う心地良さを覚えた彼らは、以前のように孤独に耐える生活ができなくなってしまった。1人ぼっちで冥界に葬られたオシリスは、憎しみの感情でもいいから自分の存在を思い出して欲しいと考え、種の正体を知らないアヌビスとイシスに種を託した。このように考察しました! もし仮説が正しければ、オシリスの愛情ってとても健気じゃないですか!?!? 既婚者ですけど……。

 


ここまで書いてさらに謎を呼ぶのが、オシリスの常軌を逸した愛情のきっかけ。48・49話でオシリスが発したセリフには、

「未練もなしに散っていくお前」 
「何のために…俺が何を諦めたのか分かるか!」
「太初の創造の神様(中略)なぜ"またも"奪い去って行くのですか!」

という意味深な要素が散りばめられています。

1つ目に関しては、「あの夜」以前のセトにはネフティスとアヌビスという家族がいて、現世に未練の塊があるとしか思えません。2つ目は、セトを諦めきれずアクションを起こした場面にのみフォーカスが当たっています。3つ目に至っては、奪われたシーンが1部時点で全く描かれていないんです。おそらく、ストーリー本軸からかなり遡った過去に真相が隠されているはず。続きが気になりすぎます……!

**********

いかがでしたか? 『ENNEAD』は1コマ1コマに伏線が張られているので、何度読んでも新しい発見がある作品! 行動の裏にある心情を読み取ることが好きな方にはきっと刺さると思います♪

単行本発売まであと少し! この記事をきっかけにENNEAD熱を高めていただけたら嬉しいです♥

『ENNEAD』12 作:Mojito

 

 

 

神を貪るのは誰だ――――
遥か遥か昔。「エネアド」と呼ばれる九柱神のうちのひとり、セトの暴政にエジプトの地は疲弊していた。他の神々までセトに頭を下げるなか、まだ神に名を連ねていない若者ホルスが反旗を翻す。傲慢で奔放なセトを玉座から引きずり落とさんと戦いを挑むホルス。二人の関係は次第に執着と欲望を孕んで……!?
エジプト神話をもとにした一大叙事詩BLがここに開幕!




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