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沼デビューBL、あなたは思い出せますか？

絶賛人口爆発中の商業BL界隈。期待のルーキー読者を眺めながら、筆者はBL道に足を踏み入れたウン年前に思いを馳せていました。当時は枚数の少ない野口さんを握りしめ、挙動不審になりながら某ショップのレジへ向かったものです……。

そんな回想から皆さんが初めて買った商業BLが気になって「BLソムリエ」アカウントでアンケートを募集したところ、なんと800件超のリプライ＆引用RPをいただきました……！ ご回答くださった皆さん、本当にありがとうございました(多謝)。

そこで今回は、以前アップした記事につづいて初めて自分で買った商業BLを調査しました！ コミックで5票以上、小説で複数票集めた作品を「沼デビューBL」と称し、ピックアップした数作品をご紹介いたします♥

◆目次◆
コミック部門
∟1．1970年代～1990年代
∟2．2000年代～現在
∟3．2010年代～のライトBL
小説部門
番外編：作家部門

コミック部門

1．1970年代～1990年代

ギャグ＆成長のバランスが最強！ 真っすぐな青春ラブ

『グラビテーション 1』作：村上真紀

ミュージシャンをめざす高校生・新堂愁一の前に現れた、ナゾの超美形小説家・由貴瑛里。ひかれあうこのふたりを軸にして、イカした男たちのドラマが始まる……。愁一の真剣な想いは、瑛里に伝わるのか？ そして、愁一とヒロのデビューの可能性は？

性格も愛情も髪の毛も全部ドストレート!! ミュージシャンの卵・愁一のエネルギーを受け、周りも次第と引き寄せられていく……！ そんな眩しいストーリーと爆笑必至なギャグ要素との緩急が素晴らしい本作から沼入りした方を多数観測しました♪

夢見る高校生・愁一が一生懸命考えた歌詞を酷評し、立ち去った小説家の由貴。彼は過去のトラウマから卑屈な思いに囚われていましたが、愁一の真っすぐで前向きな愛情に好影響を受け、内面も変化していきます！ その精神的な成長に胸が熱くなりました……！

また、個人的には音楽面にもエモさを感じました♥ デモ音源でカセットテープを取り出したり、デビュー曲の番宣で縦長パッケージの8cmシングルが登場したり。今では中々お目にかかれない代物の数々に懐かしさが溢れますよ!!

少女たちの心を鷲掴みにした！ これぞ元祖執着愛

『絶愛-1989-(1)』作：尾崎南

【鋭い瞳に魅せられた究極の愛】南條晃司は、小5の時に出会った鋭い瞳の少女が忘れられないでいた。時が経ち、人気歌手となった晃司は、高熱のために路上で倒れていたところを、サッカー少年・泉拓人に拾われる。その拓人こそ、晃司が想っていたあの少女(実は男)だった！ 衝撃の愛の物語が始まる！

「BL」というワードが定まる前に、少女マンガ誌で連載されていた絶愛シリーズ。爽やかラブコメが並ぶ中、繰り広げられるのはドロドロ愛憎劇……背伸びした刺激的展開に、全国の少女読者は釘づけになったそうです♥

気になるストーリーは、平成初期のイケイケな雰囲気を感じさせるハードテイスト。サッカーが上手い"少女"に一目ぼれした晃司は、数年後に強烈な再会を果たします。しかし、長年の片想い相手は"男性"だった……という事実が判明し、頭をガツンと殴られるような衝撃を受けました。

そんな本作を語るうえで欠かせないのが、攻め・晃司のド執着愛！ クソデカ矢印の向け先である拓人を守るためには、ヤカラに絡まれて肩を負傷したり、トラックに轢かれたりすることも辞さない……!?!? 身を犠牲にする重い愛情のぶつけ方にテンションは爆上がりです!!!!

2．2000年代～現在

安定感抜群！ 王道ラブが全身の細胞に染みわたる

『純情ロマンチカ(1)』作：中村春菊

『恋に落ちなさい　愛を語るのはそれからだー』
兄の友人で超有名小説家の宇佐見に、なぜか家庭教師をして貰うハメになった美咲。ところが、訪れた宇佐見の自宅で、兄と宇佐見を主人公にした「ボーイズラブ小説」を発見！ 思わずキレた美咲だが、寝起き最悪の宇佐見が襲ってきてしまってー!?
命令口調で強引な色男×やんちゃ高校生のドッキドキ☆ファーストラブレッスン。

言わずと知れた商業BL界の名作♥ 俺様小説家×しっかり者DKのドキドキラブに萌えが制御しきれず、布団でのたうち回った読者も多いのでは……!?!?

大学受験を目前に控えた美咲が、兄の親友・宇佐見に勉強を教えてもらうシーンから発展していく表題作。最初は「兄」という軸のもと関係を続けていましたが、巻を追うごとに溢れ出す溺愛っぷりたるや……♥ あま～い雰囲気に悩殺され、読後には口角が天井に突き刺さっていました。

そんな『純ロマ』シリーズにおける魅力の一つは、中村先生が描く等身大のキャラクター像！ 年齢差や社会的な地位の差など、作中では大きな壁を感じさせる場面も登場します。それでも、一緒にいようと奮闘する美咲の真っ直ぐな姿勢にはキュンが爆発します♥ また、完璧超人に見える宇佐見も寝起きの機嫌が非常に悪かったりと、年相応の「抜け感」が見えるのがギャップポイント！ 人間味たっぷりの彼らには共感の嵐です♪

想像の100倍純真!? 個性的DKが巻き起こす性春ラブ

『ヤリチン☆ビッチ部 1』作：おげれつたなか

新鋭おげれつたなかがお贈りする山奥の全寮制男子校で繰り広げられるフリーダムな恋と性春。意外と？ 甘酸っぱい展開にハマる人続出！

強烈なタイトルと鮮やかなキノコのデザインが目を引く『ヤリ部』シリーズ♥ 1巻の序盤でオ〇ホも大活躍しているので、家族に見られたら即アウト……！ 実家暮らしの方は隠し通すために躍起になった記憶が甦りませんか!?(笑)

そんな本作、テンポの良いコミカル要素と汁飛び交うエッチに振り切っているかと思いきや、読んで初めて分かるスト重比率の高さ……！ 林間学校や夏休み合宿で同時多発する性春イベントはもちろん、個性豊かなキャラクターたちのピュアな心の揺れ動き、細かいコミュニケーションが丁寧に描かれているんです。読めば読むほどのめり込むスルメBLだと思います。

また2018年には特典としてアニメ化もされており、かの有名な「主題歌」から気になって沼入りした……という強者もいるそうです!?

3．2010年代～のライトBL

中高生の人気絶大！ 夢でムフフな展開に♥

『誰か夢だと言ってくれ (1)』作：みっしぇる

低身長が悩みの高校生・星川小夜は、片想いしていた女子が高身長イケメン・真柴にフラれる現場を見てしまう。勝負を挑むけど、ことごとく惨敗…! 真柴に「可愛い」と言われてさらにムカつく!と思っていたら、誰かに抱きしめられる不思議な夢を見るようになって……!?

 
BLアワード2023で「次に来る」部門3位にもランクインしたトレンドBL！ アプリの「マンガMee」で掲載されており、スマホで読んでから紙単行本を購入した、という方が沢山いらっしゃいました♥

本作は、小動物っぽいツンギレDK・小夜が夜ごとエッチな夢を見て、同級生・真柴との距離をだんだん縮めていく胸キュンストーリー♥ 顔を真っ赤にして全力で照れる小夜の表情が超キュートで、攻めだけでなく読者も胸を撃ち抜かれます！ 対する真柴といえば、クールに見せかけて脳内はかなり雄弁、というムッツリ思想の持ち主！ DKらしいギャップに愛おしさを感じます♪

また、メインカプの2人以外にもたくさんのカップリングが登場します！ ピチピチJC・JKに戻って、どのカプ派～？ って盛り上がりたいです。切実に。

ゆるふわタッチな極道BL!? ギャップ度120％の純愛

『ハレルヤベイビー』作：仔縞楽々

極道一家の跡取り息子、用心棒に溺愛されておりまして。荒っぽい一族の中で唯一暴力反対を掲げる桜咲組(おうさきぐみ)の跡取り息子・冬夏。用心棒　兼　友人の都は冬夏を献身的に護衛するが、どうやら過保護が行き過ぎているようで……？

淡くてふわふわな絵のタッチで「極道BL」だと……!? 意外性たっぷりの『ハレベ』が沼デビュー作！ という方からも多くコメントが寄せられました♥

「護衛」という目的以上のクソデカ感情を抱える溺愛幼馴染・都と、ヤクザ一家の後継者ながら、聡明で清らかな心を持つ冬夏。相手を守りたくて動いた結果、互いが望まぬ生傷が増える……辛いけれど愛情を感じる行動を読み取れて、感情が複雑骨折しました！

また、ハラハラ止まらぬ場面展開も見どころ。イチャあまなプライベートや同級生との学校生活など、ありふれた日常を大切にしたい。それなのに、2人の想いとは裏腹に戦火に巻き込まれていくんです……。読者はただ見守ることしかできず苦しいのですが、先生はハピエン公言済み。信じて待ち続けたいです！(泣)


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【この作品から沼デビューした方も多数！】(※敬称略・作品50音順)
＜1970年代～1990年代＞
・『アーシアン』シリーズ　作：高河ゆん(リンクは完結版)
・『風と木の詩(1)』作：竹宮恵子
など

＜2000年代～現在＞
・『いつか恋になるまで 上』(『家族になろうよ』シリーズ)　作：倉橋トモ
・『海辺のエトランゼ』シリーズ　作：紀伊カンナ
・『世界一初恋』シリーズ　作：中村春菊
・『抱かれたい男1位に脅されています。』作：桜日梯子
・『テンカウント 1』作：宝井理人
・『同級生』シリーズ　作：中村明日美子
など

＜2010年代～のライトBL＞
・『ギヴン 1』作：キヅナツキ
・『ショタおに 1』作：中山幸
・『鯛代くん、君ってやつは。 1』作：ヤマダ
・『マスク男子は恋したくないのに』作：参号ミツル
・『みなと商事コインランドリー １』作：缶爪さわ(著者)・椿ゆず(原作)
など

小説部門

人気ゲームが小説化！ キュートな見た目に反してシリアス!?

『好きなものは好きだからしょうがない！！FIRST LIMIT』作：沢城利穂(著者)・つたえゆず(原案)

転落事故からようやく退院したオレを待っていたのは、生徒会副会長兼寮長の本城祭と、幼なじみだという藤守直。だけど事故のせいか、オレは直のことをまるで覚えていなかった。事故の真相を調べるうちに、ルームメイトの直や数学教師の水都にからまれたり、おまけに直に憑いていたユーレイ（？）に、妙なオネガイをされたりしちゃって!?

R18指定のBLゲームが原作となる『好きしょ』シリーズ。ノベライズ化に際して、ゲームの脚本・原案を担当された沢城利穂先生・つたえゆず先生がタッグを結成しており、原作ファンの方がBL小説を手に取るきっかけにもなったそう！

本作はゲームに準拠。事故で幼馴染・直の記憶を失ったことがきっかけとなり、主人公・空の出生ルーツを辿っていくストーリーが進みます。未プレイ勢の筆者は、タイトルやキャラの見た目からポップなDKラブをイメージしていました。しかし、蓋を開けると闇深な真相が暴かれるシリアス展開……！ 良い意味で期待を裏切られ、心拍数が爆上がりしました！

また『好きしょ』といえば、緑川光さんや保志総一朗さん、子安武人さんや山口勝平さんなど、腰を抜かすほどの豪華キャストが揃ったドラマCDも有名ですよね！ 先述の通りメディアミックスが豊富で、別の入り口から書籍を購入したケースが多いようです♪

色気漂う不器用な恋に悶絶♥

『しなやかな熱情』作：崎谷はるひ(著者)・蓮川愛(イラスト)

画家の秀島慈英は、初めての個展に失敗し傷心のまま訪れた先で、刑事の小山臣と出会う。綺麗な容姿に似合わず乱暴な口をきく臣と会うたびに心を奪われていく慈英だったが、この感情が何なのかはわからない。ある日、偶然目撃した事件のせいで狙われ怪我をした慈英に、臣は思わず迫るのだが……!?

絶大な人気を集める慈英×臣シリーズの第1作！ "天才"画家と"美人"刑事という他人が羨む才能を持つように見えて、心の内では大きな空虚感を抱えている……そんな2人が不器用な恋をする様子に悶えまくりました！

挫折を味わった画家・慈英は、心の疲れを癒すための旅行で事件に遭遇します。そこでフェロモン駄々漏れ刑事・臣と出会い、絵以外で初めて心を揺さぶられる感覚を刻みつけられるのです……♥ そんな本作の魅力の一つは、臣の誘い受け属性！ 愛され方を知らない不安定な色香が、読者と慈英の目を奪うと同時に、胸を苦しくさせました。

また、本作はドラマCDも発売されており、慈英役を三木眞一郎さん、臣役を神谷浩史さんが演じられているんです！ お二方の繊細な演技が非常に高く評価されていて、CDきっかけで小説沼にドボンした方も観測しました♪


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【この作品から沼デビューした方も！】(敬称略・作品50音順)
・『泉＆由鷹シリーズ』作：あさぎり夕
・『禁断のウィスパー』シリーズ　作：さいきなおこ
・『タクミくんシリーズ』作： ごとうしのぶ(著者)・おおやかずみ(イラスト)
など

番外編：作家部門

良作が多数あって投票先も分散している……その傾向が見受けられたので、番外編としてコメントが多く寄せられた商業BL作家部門をご紹介いたします！

①はらだ 先生
光とギャグセンスを感じる『やたもも』や『ハッピークソライフ』から、深淵を覗く『にいちゃん』や『カラーレシピ』まで、幅広い作風が印象的なはらだ先生。衝撃的な結末を迎える作品が多く、その斬新なストーリー展開に強く惹きこまれます……！

②栗本薫 先生
JUNE時代から大活躍し、BL黎明期を支えた栗本先生。『終わりのないラブソング』や『真夜中の天使』など、ダークで痛くて蠱惑的なセンテンスが特徴的で、一度読むとやみつきになること間違いなしです……！ 先生の作品からBL沼に入り、一通り界隈を巡ってから改めて読み返す。そんな楽しみ方をしている方もいらっしゃるそう！

③宝井理人 先生
心の陰が見え隠れする繊細なキャラクター像が魅力的な宝井先生。人気作が多数ありますが、特に『テンカウント』シリーズに沢山のコメントが寄せられました！ センシティブとそうでない触り方のスレスレを進む前半、そして枷が外れ、濃厚な交わりを見せる後半……この緩急にノックアウトされました！


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いかがでしたか？ 今回は初めて自分で購入した「沼デビューBL」をご紹介いたしました♪

余談ですが、筆者が初めて買った商業BLは桜日梯子先生の『年下彼氏の恋愛管理癖』。1・2巻をまとめてレジに持ちこんだ記憶が鮮明に残っています。貴重なお小遣いを筆プレイシーンに捧げられたこと、今でも誇りに思います……！

本記事には残念ながら掲載しきれませんでしたが、ちるちるアカウントでのポストには他にも沼デビューBLが沢山集まっていますよ！ 新たな沼を拓きたい方は要チェックです♪

担当記者：明智みつ子 倫理的に反していることはわかっていても、運命に抗えずに体を重ねてしまう……。そんな2人が大好物な闇のオタク。