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ホラー、人外、狂気。この絶望感にハマる！

 
怖い、でもどうしても惹かれてしまう……。ホラーに一種の「快楽」を感じるのは、脳の「側坐核(そくざかく)」という部位が関係しているのだとか。

恐怖と結びついている側坐核は、怖いものを見ると身の危険を感じパニック状態になります。しかしフィクションだと分かると、そのパニックにブレーキがかかり、なんと快楽に変換されるのだそう……！(出典：ホラー映画・怖い話しが好きな人の心理状態４つ | ホットニュース (HOTNEWS)）
これはホラーBLを無性に読みたくなってもしょうがねえや。

というわけで今回は、鬱屈さや怖さが逆に尊い「鬱怖BL」をご紹介していきたいと思います！

◆目次◆
1．閉鎖的な田舎を舞台にした鬱屈
2．人ならざる者、ヒタヒタと忍び寄る恐怖
3．メリバの匂いしかしない狂気サスペンス

1．閉鎖的な田舎を舞台にした鬱屈

『俺の気持ちがわかるか』作：京一

あらすじ
閉塞的な田舎町で育った二人は、幼い頃から一緒に行動し、マイペースな尋の面倒をしっかりもののシロが見てきた。尋がなにかミスをするとシロがつっこみを入れる。他愛もないじゃれあい。それがいつしか、エスカレートしていく。自分の行動に戸惑いながらも、尋を殴る力は日毎に強くなっていき――。

鬱怖ポイント 
他愛もないじゃれあいと称してぶったりぶたれたり、その感覚にゾクゾクしたり。サドマゾヒズムが見え隠れする危ない関係。お互いの中にある劣情に気付かないふりをしながら、徐々に増幅していく背徳感のいびつさが不気味です。

『青い春を売る教室』作：yoha

あらすじ
「さあ、どの子が好み」？ 限界集落における学校というコミュニティを存続させるべく、土地で生まれ育った学生たちが取った行動とは……？ 失われゆく日本の原風景と土地に暮らす人々をおおらかに描く。

鬱怖ポイント
少年たちが村を訪れる男たちに身体を売ることで学校を存続させていくというぶっ飛んだ設定。一人一人の少年にフォーカスしていく形で進むオムニバス作品ですが、それぞれの背景に描かれるドロドロとした恋情や確執が、救いようがなく耽美的です。

2．人ならざる者、ヒタヒタと忍び寄る恐怖

『めいめいの怪』作：きのう

あらすじ
「霊のようなものが見えてしまう」青年・小牧。怪異を恐れながらも天然な性格の小牧と、彼と共に居ようとする"友人"・水野だったが……。上れるはずのない二階の窓ガラスを引っ掻く"女"、テレビに現れる"手形"、バッグの中からのぞく"手"、祖母の家にある謎の"部屋"――。日常の中、じんわりと突然に、「異界」は垣間見えてくる――。ひやりと背筋が凍る"怪談BL"。

鬱怖ポイント
さまざまな霊が見えてしまい怪奇現象に巻き込まれる小牧くんと、そんな可哀想な小牧くんを隣でコッソリ守っている水野。ヒヤッとする本格ホラーであるとともに、水野の独占欲のようなものもちょっと怖い。同時収録のヴァンパイアと人間のお話、「To say goodbye is to die a little」もオススメです！

『君ありて幸福』作：山田袋

あらすじ
「今すぐボクと“遊んで”や　人助けやと思って」お人好しの大学生・環は、黒い羽根と尻尾をつけた関西弁の男・佐久間に出会いアパートに引きこもって淫らな生活を送るように。願われるまま行為に応じていた環だったが、歯車は徐々に狂い始め……。

鬱怖ポイント 
羽としっぽが生えた淫魔とのセックスに溺れる退廃的な日々に、時折訪れるゾクっとするような瞬間が徐々に増幅され……。山田袋先生は『とろける恋人』でも人外BLを描かれており、様々な形に変化自在の謎のブヨブヨが人間の姿となって攻めとエッチします(もちろんナカも変化自在！)。
 

『錆のゆめ』作：久間よよよ

あらすじ
進藤が勤める会社では、とあるモノが造られている。それは、生身の少年の身体を改造したセックスの為のサイボーグ。試作品であるサイボーグの世話を任された進藤は、最初は嫌がるものの世話をしていくうちにサイボーグの少年に温かい感情を抱くようになり……。

鬱怖ポイント
一件、可愛いセクサロイド少年とその保護者のほのぼの、ちょっとエッチな日常BL。しかしその少年の出自が明らかになると、思わず目を背けたくなるような事実に鬱々とした気持ちに……。しかし、作品の雰囲気自体は逆に怖いくらいに甘々ですので、ご安心を(？)。

3．メリバの匂いしかしない狂気サスペンス

『月食奇譚』作：春泥

あらすじ
高校生の星野照道は、同じ夢を見る。大正時代に「先生」と呼ばれる男に誘われ、少年が絞殺される夢だ。そんな星野の前に、ミステリアスな雰囲気の同級生、山田臣彦が現れた。彼と親しくなるにつれ、心惹かれてゆく理由は……宿縁の呪い、連なる因果の、猟奇と純愛の物語。

鬱怖ポイント
どこか懐かしさを感じる絵柄が、血まみれホラーと驚異の親和性をたたき出しております。謎の美少年の周囲で起こる不可解な猟奇事件に巻き込まれていく同級生、明らかになっていく恐るべき因果。メリバ厨の聖典のような作品です。

『紅い椿と悪い虫』作：博士

あらすじ
同性愛者の転校生・白椿は、転校早々にクラスメイトの変人・貝柄に目をつけられてしまう。美しいものに固執する貝柄の歪んだ愛情表現でイジメられ、大人も同級生も信用できず、一人で堪え忍ぶ日々。そんな中、いつでも真っ直ぐ向き合ってくれる日向先生の存在が次第に大きくなっていき……。

鬱怖ポイント
生徒二人、教師一人からなる三角関係。歪んでしまった中二病少年、巻き込まれるクラスメイト、鋼メンタルが逆に怖い太陽属性教師。登場人物みな狂気。身も心も蝕んで徐々に転落へ向かっていく、救いようのない闇BLの金字塔ですね！

『噛み跡とフローライト』作：柳瀬せの

あらすじ
発展と荒廃が交わる少し先の未来――
代わり映えしない日常を過ごすアパレル店員の陽。
そんなある日、夜道で美しい男が襲われそうになる瞬間を目撃。咄嗟に庇ったけれど、致命傷を負ってしまう。混濁する意識の中死を悟るが、目が覚めると何故か傷が消えていた!!混乱する陽の前に現れたのは前夜に救ったその男――秋人は自らが吸血鬼だと語る。さらに瀕死の陽を生かすため吸血し、いずれ吸血鬼になる存在”タンク”にしたと説明。
「お前をタンクにしたのは俺が原因だ。完全に吸血鬼に変容するまで責任をもって守ってやる」
物語上でしか聞いたことない吸血鬼――
俺はもう人間には戻れないのか。不安が募る中、自らの運命を受け入れ明るく振るまう陽だけれど、寄り添ってくれる秋人と次第に距離が近づき…!?

鬱怖ポイント

半純血の吸血鬼・秋人と、通りすがりの不審者に殺されかけたことで「タンク」という吸血鬼予備軍となった陽。
吸血鬼BLといえば「血」が欠かせませんが本作はなんと、序盤で受けが喉元を引き裂かれるという中々ゾクッとするシーンから物語が始まっていきます。リアルな血飛沫がホラー……。
しかし、行為中の吸血による「血」はまた別のゾクゾク感があり堪りません……。これでこそ吸血鬼BL！と大満足すること間違いなしです♥