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知らぬ間に心を束縛されている！ サイコパスの恐るべき手口

相手が気付かないうちに、行動や思考を思い通りに制御する「マインドコントロール」。皆さんはマインドコントロールには4つの要素があることをご存知ですか？

行動コントロール：特定の行動を過剰に称賛したり非難したりすることで、「こうしなければならないんだ」という固定観念を植え付ける。
思想コントロール：自分に都合の良い特定の思想を植え付け、それ以外の考え方を排除する。
感情コントロール：罪悪感などのネガティブ感情を刺激することで正常な判断から目を逸らさせる。
情報コントロール： 自分の言うことだけが正しいと信じさせ、他の情報を遮断させる。

BLには精神的に受けを追い詰める攻めが登場する作品もありますが、マインドコントロール＝精神的拘束はBLにおいてどのように表現されているのでしょうか？
今回はマインドコントロールのメカニズムと、BL作品の具体例をご紹介します！

◆目次◆
1．意に反するとオシオキされる!! 「恐怖」で支配
2．犯した罪が足枷となり……「罪悪感」で支配
3．仇で返すわけにはいかぬ。「恩」で支配
4．沼った頃にはもう遅い！ 「優しさ」で支配

1．意に反するとオシオキされる!! 「恐怖」で支配

相手が意にそぐわない言動をしたら不機嫌になったりお仕置きを与えたりと、精神的・肉体的苦痛で相手を支配するという典型的な洗脳のパターンです。親子や夫婦など身内で起こったり、上司が部下になど上の立場の人間が下の立場の人間に対して抑圧したりという形で見られます。「友達と遊びに行ったら恋人に殴られるので、遊びに行けない」などはその一つ。逆らったら痛い目に遭うので、従っているうちに自分の本心がわからなくなっていきます。

そんな「恐怖」による精神的束縛が描かれる本郷地下先生の『シンデレラリバティ』。二重人格のようなサイコパス兄・遼一への思慕と恐怖で精神をコントロールされる弟の洋二。ガチ兄弟モラハラ共依存、既にヤバい匂いしかしません。そして兄の同級生敦也もまた遼一に振り回されながら、洋二を救うことはできるのか？

『シンデレラリバティ』作：本郷地下

あらすじ
実の兄である遼一を慕いながらも恐れる洋二は大学生の頃、クラブで遼一の高校の同級生の敦也に出会う。敦也に突然押し倒された上、洋二の兄への想いや２人だけの秘密の関係を知られていて!?

 

2．犯した罪が足枷となり……「罪悪感」で支配

 
自分のせいで迷惑をかけてしまったり、それどころか相手の人生を狂わせてしまったりしたら、罪悪感を抱かずにはいられません。その見返りとして金銭を要求されたり、理不尽なことを指示されても、罪悪感を抱く側は負い目があるので受け入れざるを得ないのです。まさに「感情コントロール」を利用した支配。

西本ろう先生『トワイライト』はそんな罪悪感を利用して相手を欺くマインドコントロールが見られます。サッカー部エースだった稜に、大事な試合前に膝にケガを負わせてしまった陽平。もともと稜に好意を抱いていた陽平は、松間杖生活になった稜に服従し、体さえ差し出すように。負い目を利用して陽平に言うことを聞かせていた稜の衝撃の事実、そしてそれを乗り越えて描かれる二人の愛に注目です。
 

『トワイライト』作：西本ろう

あらすじ
「まるで奴隷だよな」。家にも学校にも居場所がなく、いつも一人で過ごしている高校生の陽平。そんな時、同級生でサッカー部エース・稜と出会い、二人は次第に惹かれ合うが……。ある事件を機に、二人の関係は大きく変化してしまう事に。それは、数年に及ぶ歪んだ純愛の始まりだった――。

3．仇で返すわけにはいかぬ。「恩」で支配

「罪悪感」と少し似ていますが、ポジティブな「貸し」を利用して相手の弱みにつけ込む方法も。相手に何かを貰ったら返したくなる「返報性」という心理を利用した、ビジネスにおいても実は使われている手法です。ちょっと「あれ？」と思っても、でも助けてもらったしな……と疑念を削いでしまう、優しさのようで恐ろしい束縛ですね。

はらだ先生の『カラーレシピ』では、恩を利用するどころか自ら作り出し、好きな子を手に入れようとするド執着サイコパスが登場します。コミュ強ハイスペイケメンの福介と、無骨な職人肌の笑吉。同じ美容室の店員として接していても犬猿の仲ですが、笑吉への無言電話やドアノブぶっかけ事件など何者かによるストーカー被害がエスカレートする中、心当たりの常連客を撃退し救ってくれた福介に、徐々に心を開いていく笑吉でしたが……。真面目でピュアな人ほど陥りやすいのです。
 

『カラーレシピ』作：はらだ

あらすじ
店に新しくスタイリストとして福介が入社してきてから、笑吉の周りでは不可解なことが続くようになる。これはただの偶然、いや……。あいつは、白馬の王子様のふりして、本当は……。


 

4．沼った頃にはもう遅い！ 「優しさ」で支配

 
誰も味方がいないという孤独感の中、唯一手を差し伸べてくれた人がいたら、その人がダメになるくらい甘やかせてくれたら、その優しさに依存してしまい正常な判断を失ってしまうことも。ホストに入れ込んで生活を犠牲にしながらも搾取されてしまうお客も、ある意味こうしたコントロール下にあると言えるでしょう。自分に自信が無いと余計に支配されやすく、支配する側もそれを知っていて飴と鞭を使い分けるところがポイントです。

『何かいいの見つけた！』シリーズのスピンオフ、ひなこ先生の『何でもいいから消えてくれ』は、一匹狼な八度に優しく話しかけてくれる先輩の鴨原に心を開いていった矢先に鴨原が豹変。『何か～』の甘々な雰囲気とは打って変わ　本当に同じ作者様ですか!? と言いたくなるような不穏さです。恋をしてしまった頃にはもう時既に遅し、裏切られ、頭では危険なやつだと分かっていても心では彼から逃れられません……。

『何でもいいから消えてくれ』作：ひなこ

あらすじ
独りでいることが多い八度陸は、一学年先輩の鴫原洋二と知り合う。鴫原は、学校で会うたびに声を掛けてくる変な人だ。信頼、憧れ、どんどん鴫原を好きになっていく八度。初めての恋、そして、初めてのセックス。無我夢中で、八度は気づいていなかった──鴫原の腹の中。自分だけが特別ではなかったことに……。

いかがでしたでしょうか？ 強い執着がサイコパスを産んだり、一方的な精神的束縛から共依存へ陥ってしまうことも。それも一つの愛の形なのか……!? ご紹介した作品たちも、不穏BLを求めている方にはぜひチェックしていただきたいです！

担当記者：廣井無名 完全には幸せになれない作品、CPが好き。キーワードは死ネタ、愛のないSM、流血、狂気、宗教、叶わない恋など。