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上下巻BLは名作が多い、は本当か?2024
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2022/10/10 16:00
2024/01/13 16:00
Q.江口拓也さん、斉藤壮馬さん、羽多野渉さんの共通点はなんでしょう?
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A.正解は……事務所が同じ!!!!!(81プロデュース)
さて、推し声優さんのBLCDを聞いていると「あれ、この方また脇役にキャスティングされてる! 共演多いなぁ」と気づくことがありますよね。これは事務所で売り出し中の後輩さんがバーター(抱き合わせ)出演されている場合があります。
そしていつの間にか事務所の後輩さんがBLデビュー……同じ事務所どうしのメイン共演が実現することも……! 事務所を制するものはBLCDを制すと言っても過言ではありません。
ということで、キャスティング予想やフリートーク視聴がもっと楽しくなる!! 声優事務所とBL出演歴についてまとめました! 大手声優事務所とBLCDに出演された声優さんを絞り込み、新規BLCDにメインで出演されていた期間を大調査!
調べていくうちに、同じ事務所内での世代交代も、異なる事務所間での世代交代も見えてきました! 事務所によって色はさまざま。まだ「箱推し事務所」がない方はぜひ見つけてみてはいかがでしょう!
◆目次◆
BLCDの歴史(2000年以降)
あなたの推し事務所は?11大声優事務所紹介
1.高打率を誇るBL界最強軍団アーツ
2.声優界のエリート青二はBLもエリート!?
3.アイドル的人気と確かな実力の81
4.アイムを年下キャラと侮ることなかれ!
5.安定と信頼のBL優等生賢プロ
6.吹き替えで鍛えた演技力が光るマウス
7.個性派脇役も手堅くこなすシグマ
8.新世代実力派揃いのヴィムス
9.狭き門をくぐり抜けた職人肌!大沢
10.すべては俳協から始まった!
11.声優界のアベンジャーズ!バオバブ
下剋上発生!?事務所の出演率遷移グラフ
その他事務所はこちら
ご紹介の前に、2000年以降のBLCDの歴史をざっくりと振り返ってみましょう。
2000年代前半がいわゆるBLCDバブル。そうそうたる人気声優さんたちが長編シリーズに出まくりました。CDの年間発売数としては2006~2008年頃にピークを描きます。→「BLCD出演2年が全盛期説!? BLCD声優出演数研究」
この時期は何を出しても売れたのか、多くの声優さんが一気に出演する豪華オムニバス形式で、フリートークを複数人で賑やかに回すことも多かったです。
2010年にはBLCD恐慌が発生。「サイバーフェイス」「インターコミュニケーションズ」といったCDレーベルが相次いで倒産してしまいました。その後CDの生産数が減り続けて2013年に所謂冬の時代を迎えます。とはいえ2010〜13年はなかなかCDが出せない分、重厚で凝ったストーリーの作品が多い印象です!
2015年頃からは男はじシリーズに象徴されるようなオリジナル脚本シリーズが大流行。発売数のV字回復を果たします。その少し前からお隣の乙女界隈でもシチュエーションCDが大いに賑わいを見せていましたね。多くの若手声優さんがBL参戦を果たし、全盛期よりもキャスティングが多様化。→「BLCDに出演する声優って減ってるの?増えてるの?これからも予測してみた」
2018年に二度目のCD発売数のピークを迎えた後、近年は徐々に減少傾向。データ配信のボイスドラマなど発信媒体も移り変わりつつある過渡期です。
さて、それでは泣く泣く厳選した大手声優事務所と声優さんたちのBL新規出演歴を見ていきましょう! 「〇〇さんがいない!」とのお声もあると思いますが、全てを網羅するのは難しいためご容赦いただけますと幸いです……。
※グラフについて補足
続編ではないBLCDにラブシーンのあるメインCP役として出演された時期で集計しています。続編のBLCDに出続けてくださる声優さんも多いですが、 新規作品にキャスティングされる方との差別化のため。
グラフ掲載の代表的声優さんは、BLCDのメイン出演10作以上が目安ですが状況によって変わりますのでご容赦ください。
受け・攻め・リバ全ての声優さんが揃ったアーツビジョン、通称アーツ。お名前を見るだけで名作の数々が脳内によみがえります……。2000年代のBLCDはアーツなくしてはならずと言えるでしょう。
2011年にBL界の帝王・森川智之さんが新事務所を立ち上げ独立されましたが、その後も前野智昭さんや鳥海浩輔さんが長くBLに携わってくださって有難い限りです。
しかしながら、アーツは梶裕貴さんより後は若手声優さんをあまりBLCDに出さない方針に感じました。山下大輝さんや梅原裕一郎さんはサブキャラとしてのBL出演はありますが、メインは実現せず。一方で広瀬裕也さんと安田陸矢さんがYouTube番組「推すBL Lab.」を配信されていたり、BLのボイスコミックに出演されたり、売り出し方を模索中なのかもしれません。
近年は濱野大輝さんや竹内栄治さんといった攻め低音勢が手堅く抑えていましたが、2023~4年広瀬さんの初メインが決まるなどアーツBLに新たな風を感じます!
同事務所内のメイン共演CD(◆)やそれぞれの声優さんの出演作(◇)をなんとなくご紹介するコーナーです。名作が多すぎて選びきれない……!
◇緑川光×保志総一朗『好きなものは好きだからしょうがない!!FIRST LIMIT TRUTH』
◆森川智之×鈴木千尋『ANSWER』
◇置鮎龍太郎×鈴村健一『右手にメス、左手に花束』
◆鳥海浩輔×飛田展男『NOW HERE』
◆檜山修之×鳥海浩輔ほか『嫌いじゃないけど』
◇羽多野渉×千葉一伸『地下鉄の犬』
◇日野聡×梶裕貴『あめの帰るところ』
◇前野智昭×立花慎之介『テンカウント』
◆福島潤×武内健『純愛えろ期』続編でリバあり
◇竹内良太×興津和幸『彼らの恋の行方をただひたすらに見守るCD「男子高校生、はじめての」 (第3弾 生徒会役員の密かな謀)』
◇濱野大輝×小林裕介ほか『ヤリチン☆ビッチ部』
◇松田健一郎×中島ヨシキ『シャングリラの鳥』
◇竹内栄治×榊原優希『猫とスピカ』
◇広瀬裕也×増田俊樹『バーチャルくんはおとなりさんから逃げたい』
◇阿座上洋平×高梨謙吾『憐れなβは恋を知らない 1』
青二プロダクション、通称青二(あおに)。声優界のエリート輩出事務所としてお馴染みです。青二というと眼鏡をかけたツンデレ委員長キャラのイメージを個人的に抱いているのですが、どなたの影響でしょう。
緑川光さんに置鮎龍太郎さん、神谷浩史さんといった3桁プレイヤーを有する青二は2000年代BLCD界の花形であり続けました。ただし、ある程度の年齢で新規の受け役を卒業される傾向があり、2010年頃からBL世代交代を危ぶむ声も。
島﨑信長さんや赤羽根健治さん以降は若手を新たにBLCDに送り出すことが減り、「もしや青二はBL撤退?」と思われたところに阿座上洋平さんという若手ホープが登場! 甘い低音と安定の演技力で2022年以降攻め役に引っ張りだこです。
一時期新規が途絶えていた(弟)野島健児さんのBL復帰、シグマ・セブンからの(兄)野島裕史さんの移籍で見所も増えました。20年間BLで受け続ける野島兄弟はまさに生きる伝説……!
若手だと『チェンソーマン』早川アキ役の坂田将吾さんが2023年BLメインに抜擢! 青二は滅びぬ、何度でも蘇るさ!
◇三木眞一郎×緑川光『二重螺旋』脇に阪口大助さんも!
◇神奈延年×伊藤健太郎『純情エゴイスト』
◆置鮎龍太郎×千葉進歩、遊佐浩二×神谷浩史『この罪深き夜に 清澗寺家シリーズ(1)』ちなみに続編は小西克幸×野島健児の定番コンビ。
◇野島裕史×中井和哉『くいもの処 明楽』
◆神谷浩史×野島健児『同級生』先生役の石川英郎さんがメインとなる続編『空と原』
◆石川英郎×野島健児『どうしても触れたくない』
◇谷山紀章×島﨑信長『臈たし甘き蜜の形代』花降楼シリーズでは緑川光さん演じる蜻蛉のCPが有名。島﨑さん演じる椛は蜻蛉とそっくりなのでした。
◇阿座上洋平×興津和幸『オールドファッションカップケーキ』
◇坂田将吾×千葉翔也『ピットスポルム 一葉・二葉』
81プロデュース、通称81(エイティワン)。巷ではアイドル事務所だと誤解している方もいるそうですが、大手声優事務所さんです。
BLCD黎明期から黄金期、そして今に至るまで強くない瞬間がない81。特に最近の勢いはダントツですが、関俊彦さんや三木眞一郎さんの時代からしっかり土台を固めてくださったからこそ。宮田幸季さんや三宅健太さんといったベテラン勢がたまに新規CDにカムバしてくれるのも胸熱です……!
さて81はBLCD界の王子と呼ばれた櫻井孝宏さんを筆頭に、中島ヨシキさんや伊東健人さんなど、攻めて良し受けて良しなリバ層が厚すぎるんです。羽多野渉さんや江口拓也さんは攻め配役が多めですが受けでも多彩!
かと思えば名言「BL食物連鎖」の生みの親で元祖ショタ声の宮田さんや、受け出演数5年連続No.1を誇る「BLCD界のプリンセス」こと斉藤壮馬さんがいらっしゃり、出演傾向にも強い個性が発揮されます!
81は若手声優さんのBL出演を促して、ご本人のファンから新たに顧客を開拓してくださったイメージがあります。これからも「○○さんのために初めてBLCDを買いました♡」というご新規さんを吸い寄せてください!
◇塩沢兼人×関俊彦『間の楔』(URLはOVA版)
◇子安武人×櫻井孝宏『豪華客船で恋は始まる』
◇寺島拓篤×柿原徹也『酷くしないで』3巻からは柿原さんから中島ヨシキさんへキャスト変更
◆三宅健太×宮田幸季『兎オトコ虎オトコ(1)』
◆三木眞一郎×羽多野渉、堀内賢雄×三木眞一郎リバほか『新宿ラッキーホール』
◆羽多野渉×斉藤壮馬『目を閉じても光は見えるよ』
◆駒田航×伊東健人、江口拓也×古川慎ほか『ドラッグレス・セックス』
◆神尾晋一郎×駒田航、野上翔×中島ヨシキほか『三兄弟、おにいちゃんの恋』
◆田所陽向×榊原優希ほか『濡れトロ3P 大人のオモチャモニター 上』
アイムエンタープライズ、通称アイム。アニメに強いという特長を持つアーツビジョンの子会社です。
鈴木達央さんのBLデビューが19歳という話は有名ですが、初BLCD発売時の年齢を簡単に計算してみると高城元気さんは21歳、アイム時代の鈴木千尋さんは22歳、下野紘さん・松岡禎丞さん・内田雄馬さんも24歳でした。BLメインデビューは26〜7歳が多いので、アイムはBL参戦が早い傾向がありますね。初受け・初攻めまとめはこちら。
BL英才教育(?)が盛んで、どんどん実戦経験を積ませて伸ばすのは流石大手といったところでしょう。若い頃から出演される方が多いためか、受け役や幼いキャラクターが比較的多い印象です。そして徐々に役幅が広がっていくのを見守る楽しさよ……(後方親目線)。
ここ最近のBLでは親会社のアーツをしのぐ勢いでしたが、内田さんの移籍など懸念点も。天﨑さん以降の若手……男はじ第15弾でBL初参戦の佐藤元さんや、2023年初受けの大塚剛央さんの動向に注目です!
◇野島健児×高城元気ほか『きみには勝てない!』
◇杉田智和×鈴木達央『美しいこと』
◇小野友樹×下野紘『やたもも』
◇川原慶久×間島淳司ほか『恋するインテリジェンス』
◆内田雄馬×松岡禎丞『黄昏アウトフォーカス』
◆内田雄馬×天﨑滉平『愛の本能に従え!』ムシシリーズ第5弾はアイム同期共演!!ちなみに第1弾の受け役は下野さんで、第4弾の受け役は松岡さん。
◇佐藤元×伊東健人『彼らの恋の行方をただひたすらに見守るCD「男子高校生、はじめての」~第15弾 部活の後輩はガチ恋している~』
◇古川慎×大塚剛央『凪がれ星』
途切れることのない供給力を見せる賢プロダクション、通称賢プロ。BLCDにおける事務所比率調査(後述)でトップを占めることはないものの、常に存在感を示す存在でした。
小西克幸さんから佐藤拓也さんへの主力攻め様の移行もスムーズですし、谷山紀章さんもオファーがあれば2022年に新作で受けてくださり、どの時代も安心して推せる沼が賢プロではないでしょうか。阿部敦さんの受け安打製造機ぶりも見どころ。
他には加藤将之さん、樋口智透さん、林勇さん、櫻井トオルさん、畠中祐さん、小松昌平さん、新祐樹さん等が所属。林さんは劇団ひまわりの子役出身なので、BLメイン出演が決まったときは界隈がざわついたとか何とか。
数は多くないですが、芸能界のサラブレッドこと畠中祐さんもこのようにBLに出演されていて……賢プロのBLへの意識の高さには恐れ入ります。これからも何卒よろしくお願い申し上げます……!
◇小西克幸×近藤隆ほか『世界一初恋 ~小野寺律の場合+吉野千秋の場合~』
◆代永翼×佐藤拓也『コイトモ!?』
◆佐藤拓也×阿部敦『キチク、エンカウント』
◆高橋広樹×林勇、一条和矢×林勇ほか『ROMEO』
◇加藤将之×斉藤壮馬リバ『にいちゃん』
◇小林千晃×谷山紀章『寺野くんと熊崎くん』
マウスプロモーション、通称マウスは外国映画の吹き替えが強いことで有名。声優さんのお名前を見るだけで、おしゃんてぃな美声が浮かんできますね。
BL界の女王と称された石田彰さん、BL全盛期にご活躍の大川透さんと浜田賢二さん、出演期間は短いながら強い印象を残した小野大輔さん、そして2013年に囀るで衝撃デビュー以降、BL界を牽引してくださる新垣樽助さん、現在受け率100%を誇る河西健吾さん。他にも高橋英則さん、木島隆一さんなど有名作品の脇役としてのご出演も結構多いので、どこからともなく良い声が聞こえるな~と思ったらマウスの声優さんだった!!こともしばしば。そのくらいBL貢献率は高めです。
石田彰さんは移籍されてしまいましたが、河西健吾さんや2020年にシグマからマウス入りした田丸篤志さんは憧れの声優に石田さんを挙げていたとか。女王の魂は目には見えずとも受け継がれているのかもしれません。
◇森川智之×石田彰『銀の鎮魂歌』初版(盤)はこちら
◇小野大輔×神谷浩史『言ノ葉ノ花』
◇羽多野渉×新垣樽助ほか『囀る鳥は羽ばたかない』
◇浜田賢二×阿部敦『between the sheets』
◇大川透×鈴木達央『アウトフェイス ダブル・バインド外伝』
◇木島隆一×伊東健人『サラブレッドはなびかない』
◇内田雄馬×河西健吾『夜明けの唄 1』
◇高橋英則×石谷春貴『馬鹿とハサミ』
「シグマ・セブンの吉野裕行です」という吉野さんの自己紹介でお馴染みのシグマ・セブン。通称シグマ。ナレーションに強いのが特徴の事務所さんです。
吉野さん・野島裕史さん・安元洋貴さんといった元シグマの方々は勿論メインでも輝いていますが、その確かな演技力から個性派の名脇役としても作品を支えてくださいました。シグマがいれば安定感マシマシ。どこか裏稼業感があるのもご愛嬌です。
ただ、移籍や独立が相次ぎ、2023年シグマのBLCDメイン出演数は0。寂しいですが、グラフを見ればわかるように移籍後もBL出演を続けてくださる方が多いのは僥倖。それぞれの新天地で応援しましょう!
ちなみに長いBLの歴史の中では一瞬でしたが、数々の名作を生み出した中村悠一さんもここシグマでした。レーベルの倒産で中村さんのCDは入手困難なものが多いのにも関わらず、2021〜22年のちるちるアクセス数でトップ10入りされるなど人気は衰え知らず。どうにか再販して欲しいですね……!
◆安元洋貴×中村悠一『DEADLOCK』
◆吉野裕行×安元洋貴ほか『傷だらけの愛羅武勇』
◆野島裕史×吉野裕行『恋惑星へようこそ』
◇森川智之×野島裕史『それでも、やさしい恋をする』、名作『どうしても触れたくない』の続編
◇立花慎之介×田丸篤志『彼らの恋の行方をただひたすらに見守るCD「男子高校生、はじめての」~第2弾 後輩が可愛すぎていじめたい~』
◇内田雄馬×千葉翔也『カットオーバー・クライテリア』
ヴィムスは2001年に森久保祥太郎さんが移籍された際に設置されたアイムエンタープライズの子会社です(会社としての分離独立は2007年)。2013年にアーツビジョンから梶裕貴さんが移籍して来ますがBL新規はほぼなし。
ヴィムスはですね、ここから上がるだけ!!という新しい風を感じさせます。
村瀬歩さんがBLデビューされたのは2014年。つまりBLCD発売数どん底の翌年だったため、こんな可愛い声で演技が上手な若手声優さんがわざわざ7~8枚も予習してBLに出てくれるなんて……と天使に見えました。今もなお大天使です。
八代拓さんや野上翔さんの頃は若手声優さんのBLデビューラッシュで、ベテラン勢ともガンガン絡んで上達され、気づけばすっかり定着しました。鈴木崚汰さんも台頭が目覚ましいですが、2023年に移籍。今後は市川太一さんや浦和希さん、伊瀬結陸さんなど脇役経験のある若手がどこまでBLに進出するか気になるところ!
◇井上和彦×森久保祥太郎『過激に愛して』
◆八代拓×村瀬歩『アホエロ』
◇加藤将之×野上翔『とろけて開いて』
◇阿座上洋平×鈴木崚汰『彼らの恋の行方をただひたすらに見守るCD 「男子高校生、はじめての」 ~第14弾 先輩を好きでいていいですか?~』
言わずと知れた声優界の老舗、大沢事務所。こちらは女性声優さんやベテラン男性声優さんは強いものの、しばらく新人の男性声優さんを採らなかったのが特徴。BL世代的には結構な断絶があります。
『純情ロマンチカ 』の宇佐見秋彦役の花田光さんなどBLバブルを思い出して懐かしくなりますね……。小杉十郎太さんと千葉進歩さんも数多くのシリーズものにご出演されていてまさにレジェンド。
一方で、若手筆頭の山下誠一郎さんの頃は先輩のBLCDにバーター出演ができず、BLの売り方もほとんど手探りだったのではないでしょうか。フリートークによれば初メインと同時に初脇役が決まっていたそう。後に続く小林千晃さん・市川蒼さんの頃は、ある程度脇役で経験を積んでから注目度が高まった頃にデビューという丁度良い感じに!
2022年からはプロ・フィットから石谷春貴さんと坂泰斗さんが移籍。より賑やかになった"大沢男子"にBLCD界の未来を感じます……!
◇小杉十郎太×石田彰『お金がないっ』
◇花田光×櫻井孝宏『純情ロマンチカ(1)』
◇神奈延年×千葉進歩『YEBISUセレブリティーズ』
◆山下誠一郎×小林千晃『跪いて愛を問う』脇に市川蒼さんもご出演!
東京俳優生活協同組合、通称「俳協」。
声優事務所の祖でありほとんどの事務所はここ俳協から枝分かれしたのですが、なにぶん大所帯だからこそあまり同じ事務所感が出ていないような……?
諏訪部順一さんは攻め多め、伊藤健太郎さんは受け寄りのリバ、岸尾だいすけ(大輔)さんは受け多めといった出演状況で、お三方の時代は共演される機会も多かったです。BLCD自体に活気があり出演数も長期シリーズも多め。その後はBL世代がやや断絶しているかもしれません。
中澤まさともさんと熊谷健太郎さんですと『ヤリチン☆ビッチ部(2)』でのご活躍が記憶に新しいですね。表に載せた方以外では遠近孝一さん、内匠靖明さん、井口祐一さん、笠間淳さん、狩野翔さん、重松千晴さんもここ俳協。事務所色は薄めですが安定の演技で物語を彩ってくださいます!
◆諏訪部順一×伊藤健太郎『異国色恋浪漫譚』
◆諏訪部順一×岸尾大輔『さあ 恋におちたまえ(1)』
◇遊佐浩二×遠近孝一『SIMPLEX』
◇井口祐一×川原慶久ほか『ネトラレトライアングル』
◇古川慎×中澤まさとも『残像スローモーション』脇に内匠靖明さんも!
◇熊谷健太郎×小野友樹『神様なんか信じない僕らのエデン』脇に重松千晴さんも!
……アクセルワンの図では?と感じなくもないですが、BL出演時期的にぷろだくしょんバオバブ声優さんの印象が強いため表題はそちらに。
2011年に森川智之さんがアクセルワンを設立し、バオバブ声優さんのほとんどが移籍されました。2018年に福山さんと立花さんがW社長として独立されたのも記憶に新しいですね。
福山さんが2004年~5年トップクラスの受け出演を誇るなど、かつては受け若手しかいない!!と危ぶまれていたバオバブですが、立花さん・日野聡さん・寺島拓篤さんらのその後の攻め移行がスムーズでした。
2010年のBLCD恐慌を乗り越え、2015年頃からのBLCD再ブームに至るまではバオバブ(アクワン)勢のお力が大きかったと思います。この世代が続けてくださったからこそ、次世代へ受け継がれた技術もあったのではないでしょうか。
現在のアクセルワンは森川さんや寺島さん、そして2022年にメインデビューを果たしたBLマスター葉山翔太さんにご注目!
現在のぷろだくしょんバオバブでは、脇役出演経験ありの水中雅章さんや海渡翼さんが気になるところです。
◇緑川光×水島大宙『ワルイコトシタイ』シリーズ
◇小西克幸×福山潤『独裁者の恋』定番コンビのひとつでした。
◇高橋広樹×杉山紀彰『1円の男』
◇杉田智和×立花慎之介『不埒なスペクトル』
◇日野聡×野島裕史『マザーズ スピリット』
◇佐藤拓也×寺島拓篤『そんなに言うなら抱いてやる』
そのほか『恋ひめやも』や『職業、王子』などバオバブやアクワン共演も多くありました!
まずは2001年に発売されたBLCDの中から、当時の声優さんの所属事務所がわかる範囲で割り振り、比率をグラフにまとめました。なお、すべて筆者の手動につき薄目で見ていただけると幸いです。
集計方法:cv.森川智之さん×cv.石田彰さんのCDなら合計2人で、アーツに1人、マウスに1人入ります。その年のCD分すべてのCPを事務所に割り振って、合計人数から事務所ごとの比率を算出。移籍された方はわかる範囲で発売日の所属事務所にカウントします。
2001年はほぼアーツ・青二の二強体制!!
続いてマウス・大沢・81も強し。マウスはとにかく石田彰さんが多かったです。
続いて2010年のグラフと比較していきましょう(2011年でない理由は後ほど)。
2010年は二割以上を占めるアーツが最多でした。
それに次ぐ81、青二も一割前後と安定の底力を見せてくれました。バオバブ・シグマ・賢プロ・アイムはそれほど差が開いていませんね。
続いて2011年のグラフをどうぞ。相変わらず首位はアーツです。
なぜ2010年のグラフを先にお見せしたのかというと、2011年4月に森川智之さんがアーツから独立し、アクセルワンを設立されたからです。福山さんや立花さん、日野さんなどのバオバブ声優さんの多くが2011年にアクセルワンへ移籍。
つまりグラフの緑のゾーンはバオバブからの移籍組+2011年4月以降の森川帝王(約4割)の出演数の合計になっています。これもう帝王が外れ値なのでは?
2011年の3位は安定の81ですが、ここでさらっと青二を抜いているシグマやアイムも見どころかもしれません。シグマは安元洋貴さんや吉野裕行さん、アイムは鈴木達央さんが多かったです。
ちなみに2010年にレーベルの倒産が相次いだため、CD全体の発売数としては2011年の方がかなり減少。森久保さんの影響でVIMSは0、大沢も消えそうです。
さて、では最新の2021年をご覧いただきましょう。
2021年は圧倒的81の年……!
中島ヨシキさん、斉藤壮馬さん、江口拓也さん、伊東健人さんを中心に安定して枚数を稼いだ結果、堂々の首位でした。
ここへ来て初めて賢プロが2位に躍り出ました。佐藤拓也さんが最多出演の年と考えると納得の結果です。そんな2021年の出演数研究はこちら。
81以外はそこまで差がないのが2021年の特徴と言えます。しかし2011年に1割を占めたシグマが2021年に消えてしまったのは悲しいですね……元シグマ声優さんは移籍後もBLを続けてくださってますが!
20年スパンで見ると、BL出演のとびきり多い声優事務所がアーツ・青二から81へ交代したことがわかりました。
また、アーツの系列会社であるアイムとVIMSが伸びてきてついにアーツ越えを果たしたことから、アーツから徐々にBLの実権(?)が移ってきたと考えても興味深いかもしれません。
年によって比率は上下しますが、どの事務所さんもBLCDに出演してくださって有難いことに変わりはありません。いつも大変命が助かっております……。今後ともどうぞよろしくお願いいたします!
「その他」の比率多くない???と感じたあなたへ。
単純に選択肢が絞られるため、中小事務所の看板声優さんになった方がBLCD出演は集中しがちかもしれません。
「大手事務所では?」というお声も聞こえてきますが、あくまでBL目線ということでご紹介していきます!
■アトミックモンキー
関智一さん(←俳協)、杉田智和さん(→2020年AGRS設立)、小野友樹さん(→2017年フリー)、榎木淳弥さん
■プロ・フィット(2022年閉鎖)
石谷春貴さん・坂泰斗さん(→大沢事務所)、堀江瞬さん(→岡本信彦さん設立のラクーンドッグへ)
■アクロスエンタテインメント
川原慶久さん(←アトモン←ケッケ)、花江夏樹さん、村田太志さん、仲村宗悟さん
■トイズファクトリー
増田俊樹さん・古川慎さん(←ともに2018年にスペースクラフトより移籍)、千葉翔也さん(←2023年シグマ・セブンより移籍)
※BL歴史は浅いですが2023年の出演数調査で事務所比率2位に!
■ケッケコーポレーション
興津和幸さん
■ビーボ(2022年閉鎖)
近藤隆さん(→AMBERnote)
■ゆーりんプロ
小林裕介さん、高塚智人さん(→マウス)
■EARLY WING、(子会社)WITH LINE
白井悠介さん、土岐隼一さん
■ケンユウオフィス
堀内賢雄さん(2002年設立)、山中真尋さん、寺島惇太さん、鈴木裕斗さん(←2023年新加入)
■ティーズファクトリー
子安武人さん(1998年設立)
■悟空
山口勝平さん(2004年設立)
■フリーランス
遊佐浩二さん、平川大輔さんなど
■複数の事務所を渡り歩かれた方
井上和彦さん、黒田崇矢さん、高橋広樹さん、成田剣さん、速水奨さんなど
***********************
ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。
同じ事務所内でのBL主力声優さんの世代交代、そして異なる事務所間での世代交代が起こっている様子を探ってみようと始めた企画でしたが、BLCDの歴史や数々の名作を振り返る良い機会になりました。
筆者の力及ばず、調査が甘いと感じられてしまう部分もあったかと思います。申し訳ございません……! もしよろしければ追加の情報等コメントに残していただけると大変ためになります。
長々と書いてまいりましたが結論はどの事務所さんも「みんな違ってみんないい」!!それぞれの持ち味を活かして、これからのBLCD界をますます盛り上げてくださることを願ってなりません!
担当記者:はち丸わん |
コメント1
匿名1番さん(1/1)
大変面白い記事ですね!ここまで調査してくれるのはちるちるさんだけでしょう。
BLCDは数年前に出戻った身なので、「最近は81ばっかりだな」「シグマどこ行った?」など、昔と勝手が違うことを肌感覚として持ちながらも、これといった確証を持てずにおりました。BLCDが安定的に供給されるか予測するためにも、今後とも色んな視点からの調査・考察を期待しております。