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愛し合うと死ぬ!?オメガバースに続く○○バースまとめ
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2022/05/07 14:00
自分の存在意義について考えたことはないだろうか。
歴史が発展していく過程において、産業革命以前に社会で発達していた身分制は自己の存在を階級によって言語化または可視化することに成功していた。しかし、身分制が事実上廃止された現代社会において、自己の確立は以前ほど容易なものではないと言える。生き甲斐や働き甲斐、個性が重要視され他人との明確な線引きが必要とされる今、自分の存在意義について悩まされる機会は増えたのではないだろうか。
とビビるほど真面目なきりくちから今回皆様にお届けするこちらの記事、BL好きとしてのアイデンティティ確立を心理学的観点からみた考察記事となっております。
※あくまでBL的観点からの考察になります。学術的な情報の参考にされたい場合は、専門家の方へご相談ください。
BL好きとして生きること十年。自分の趣味嗜好を客観的に把握することができるようになったものの、自身の性癖が洗練され言語化できるようになるまでのみちのりは非常に険しく長かったと、本棚にずらっと並ぶ数々のBL本(歴史)を眺めながら噛み締める筆者。
少女漫画やアニメを好んでいた若かりし頃の筆者は、ある日男の子同士が仲良くしている描写に萌えまくるようになり、この感情に忠実に従い続けた結果ボーイズラブという新地に辿り着きました。そこには既に数々のジャンルが存在しており、自分の性癖を探求するには十分の多くの作品がそろっていたのですが......。
その膨大さから、ふと自分が「何が好きで何が苦手なのか」が分からなくなってしまう時期があったのです。
リバ、体格差、女体化、年の差などなど、色んな設定に出会い自分の性癖が揉まれまくる日々......。揺らぎまくる好みに自分はいったい何者なのか、その答えにたどり着くことのできない期間に突入したのでした。
以上のように、まだBL好きとして何者でもなかった自分が、好きなジャンルや萌えポイントや地雷を見つけるために、様々なBLを開拓して自己探求していった猶予期間。振り返ればこの「BLモラトリアム」こそが、BL好きとしての自己を確立していく重要な心理状態であると感じます。
「(BL好きとしての)自分ってなんだろう?」
社会生活を送る中で、一つのアイデンティティであるBL好きとしての自分。今回はこの自己を構成する一つの要素、BL好きに関するアイデンティティの確立と、「BLモラトリアム」の向き合い方について考えていきます。
(※ここまで読んでいた皆様はもうお分かりの通り、少々専門的な用語や概念と大量のこじつけを含んだ記事となっておりますため、多少辛抱しながらお付き合いくださると幸いです。)
皆様はエリクソンをご存じでしょうか。
人間が生まれてから死ぬまでの発達課題を8段階にまとめたモデル「人生の8段階理論」を提唱し、その文脈のなかで上記で紹介した心理学的用語としての「モラトリアム」を使用した心理学者です。
彼は、人生の中でどのような発達上の課題に直面し、それを乗り越えられないときにどのような心理的危機が生じるかをまとめています。
それに従い、ここでは彼の定説をBL好き的観点に置き換えた「BL好きの4段階理論」についてみていきます。(大量の個人的な見解を含みます)
第一段階:少女漫画、アニメ、小説などでつくられるBL好きの下地
↓
第二段階:BL好きとしての自我の芽生え
↓
第三段階:BLモラトリアム
↓
第四段階:BL好きとしてのアイデンティティの確立
まず第一段階としてBL好きとしての下地が作られていきます。その要因は少女漫画、アニメ、小説など多岐にわたると考えられていますが、このベースをもってBL好きとしての自我が芽生えることとなり、ジャンルの開拓がはじまります。この時期に作品を探しすぎて好みがわからなくなる瞬間が訪れるのですが、これを「BLモラトリアム」といい、BL好きとしてのアイデンティティの確立するための重要な期間として捉えることが出来ます。
この流れを明確につかむために、以下の文章ではアイデンティティ確立までのプロセスとその段階ごとの特徴、およびBLモラトリアムとの向き合い方について詳しく解説していきます。
ここでは、BL好きとしての下地ができるまでの過程についてみていきます。
BLに興味を持つようになる理由は様々で、BL好きの数だけその理由があると思うのですが、今回は筆者の例に沿って考察していきます。
〈少女漫画:筆者の例〉
少女漫画が大好きであった幼き頃の筆者、月刊少女漫画雑誌を読み漁る日々を送っていました。
ある日、筆者の推しA君が出ている作品において、ヒロインがA君からの告白を断りドS俺様イケメンB君と付き合う展開に遭遇。
優しくヒロイン想いのA君を捨て、どちらかというとクズよりのイケメンと付き合う行動をとったヒロインに不信感を抱くようになってしまった筆者。
付き合った二人を見て推しが静かに涙を流すシーンに耐えきれず「誰かこの子を助けてあげて!!」とページ越しに激しく感情を募らせていたところ、推しのそばに寄り添ったのが、A君の仲良しイケメンクラスメイトC君だったのです。
推しを捨てたヒロインに対する不信感と傷心のA君に寄り添うC君のきれいすぎる描写に居心地の良さを感じまくった筆者は、BLへの門戸をたたくことになります。
このように、さまざまなきっかけからBL好きとしての下地を形成する私たち。これによってBL好きとしての自我が芽生えます。
引き続き筆者の例で考察していきます。
少女漫画でわずかに出てくる男の子同士の描写を探すことが趣味と化した筆者、完全に目的が変わってしまった時期についに一冊の商業BLと出会います。たまたま立ち寄ったBLコーナーで、今後の人生を変える運命の作品を見つけたのです。
初めて手にした商業BL、男の子が仲良くしている描写が大量に詰まった神漫画に「自分が求めていたのはこれだ!」とピンときました。
そこからというもの、速やかに少女漫画からの移行をすまし商業BL好きとしての自我が芽生え、BLに圧倒的な熱量を注ぐことになったのです。
このように、生きていく中でぼんやりと感じていたものが、ふとした時に形を持ち認識できるようになった瞬間。
精神分析用語に「鏡像段階」というものがあります。これは六か月から一八か月の幼児が鏡に映る自分の像を自分のものとして確認する段階の事であり、人が人になる決定的な成長期を経て自我の形成と自己愛を語ることができるとされていますが、鏡に映る自身を認知してこそ自我に対して興味をもち、感覚を楽しみ、喜びを得ることが出来るのです。
「BL鏡像段階」において、BL鏡の中の自分をはじめて認識しその像(BL)に興味をもつことで、BLを楽しみ、喜びを得る。
こうして、BL好きとしての自我が誕生していくのです。
「アイデンティティーの確立」とは、「これぞ自分だ」という自分を確立すること。つまり、「BL好きとしての自分って何者なんだろう?」という問いに、自分なりの答えが見つかっている感覚のことです。
様々な作品を通して、様々な設定に出会い磨かれていく自分なりの感性。新たな作品に出合った時、設定やストーリー展開に対し気持ちの揺るぎがなく、その感情に至った経緯の言語化に成功したその時がアイデンティティの確立といえるのではないでしょうか。
コメント1
匿名1番さん(1/1)
雑食だから流行を追うのみ。
今は欧米とかアジアのBLのような、普通のストーリーの中に登場するBLカップルを愛でるのが楽しい。
海外のBLのように子供向け一般向けのアニメやゲームやドラマでBL展開流行ってほしい