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闇に溶けゆく男達の官能――秋の夜長に読み耽ろう

 

 

夏の暑さもすっかり落ち着き、涼しい日が続く今日この頃。
夏と言えば海！ 花火！ BBQに飲み会！ だったのに、厳しいご時世の影響でお酒を飲んだりして騒ぐ場はすっかり遠い過去のようになってしまいましたよね。

さてさて、「夜の街」とはよく聞くようになった言葉ですが、皆さんはどんな印象を抱きますか？
そうBLで夜の街が出てくる＝エロい＆ドラマティックな展開が起こるって決まってるんです！！！！！！
ちょっと踏み入れるとディープな世界、だからこそドラマチックなできごとが起こるのでは!? 勿論エッチな展開も満載なので、今回はどちらも一挙ご紹介！

『好きなんて言わんといて』作：ツバダエキ

 

 

STORY
2年前のクリスマスに妻から離婚を言い渡された樹。彼はその過去を引きずり、なかなか前進出来ないままでいた。そんなある夜、泥酔して迷い込んだゲイバーで湊に出逢う。酔った勢いも手伝って2人は身体を重ねるが、湊を忘れられなくなってしまった樹をよそに湊は釣れない態度を取る。傷を抱えた男同士の恋を描く、ツバダエキ デビューコミックス。

 
不器用バツイチリーマン×関西弁ゲイバー店子というまさに夜の街！ なふたり。デビュー作とのことですが、な、なんだこの完成度と密度は……と読了後思わず天を仰ぎました。
関西が舞台ということで、攻めの樹を除く登場人物のほとんどが関西弁！！！ た、たまんねぇ……。方言フェチ、命助かった……。

ゲイバーは最近TwitterやYouTubeなどでも雰囲気が分かるものを見かけたり、中には実際に行ってみた方も居るのではないでしょうか？ 本作はそんなゲイバーのリアルかつBLに昇華した雰囲気がひしひしと伝わってきます！
実際ゲイバーの店子の方って美人でも可愛くても性格は強かな印象が強いのですが、本作はそんなリアルな世界観をしっかりと丁寧に描いています！ 繊細なタッチで描かれる物語のディテールや空気感がありありと伝わってくるのが魅力的すぎる！

そのためメインカプのみならずサブキャラが全員魅力的で、君たちの物語も読みたいんだが！？！？！？！？ と詰め寄りたくなってしまいます……。
また、ページを捲るたびに「触り心地が良さそう……」なのも特大ポイント！！！ 表紙がマットなのもさることながら、画風が本当に美麗なのとすべすべしてそうな肌がリアルすぎて質感に感服です（大の字）。
こちらはストーリーとエロのバランスが非常に良い一冊。読み易くも心に響くリアルなBL体験、いかがですか？

『ハプニングバーで逢いましょう』作：中川リィナ

 

 

STORY
勤勉なサラリーマン・四谷彰の唯一の楽しみは鏡を前にコスプレ姿で自慰をして他人に痴態を見られる『視姦プレイ』を疑似体験すること。そんなある日、ハプニングバーに興味を持った四谷は勇気を出して来店を決意する。そこで出会ったのは年下のちょいSイケメン・山城蒼馬で言葉責めで自慰を誘導され、他のお客さんの前で盛大にイカされてしまい――!?

 
「ハプニングバー」はご存知ですか？ 性的趣向が様々な人が集まり、トークやその場の行為を楽しむ、といったことが目的の、実在するお店なんです！
銘打たれているだけあり、ちょっとエッチなお店で出会う二人が描かれます。ただ出会って惹かれ合って……ではなく、初めましてが体操服オナニーだったり、攻めがヤリチン大学生でお金の関係から始まるのがアブノーマルでイイですよね！
自分に自信が無いらしい受けの四谷ですが、いやエッチすぎでは!? 初めてのハプバーに実名の体操服で乗り込んだり、リーマンならではのスーツプレイで大興奮したりとなかなかの変態さんな模様。ちょっとSな攻めもセックスは獰猛なのにいざという時に本命童貞なの、絶妙なバランスでgood!
中川リィナ先生の可愛いタッチで描かれるドスケベアブノーマルラブラブエッチ、気になる方は即決で間違いナシ♥

『シティ・ライツ・バースデイ』作：本郷地下

 

 

STORY
あるホワイトクリスマスに、β（ベータ）の東馬は、Ω（オメガ）のまほろと出会う。怪我をしたまほろを手当したお礼にと、セックスの手ほどきを受ける東馬。風俗に勤めるまほろは、お金を貯めながら、幼少期に出会った〝運命のα〟を捜しているという。まほろに惹かれてしまった東馬は、せめて役に立ちたいと「運命のαを一緒に探します」と提案。受け入れてもらったものの、二人で過ごすうち、まほろへの想いは膨らみ続けていった。そしてまほろも、運命を求めながら、東馬へ名前のつけられない感情を持ちはじめ……。「あなたは、ちゃんと運命の人と幸せになってください」確かな〝運命〟を前に、ひたむきに生きる二人と一人の、切なくも優しい恋の物語。

 
こちらはβ×Ωのオメガバース作品。「α×βしか読んだことない/読めない」なんて人もいると思いますが、そんなあなたにこそ読んで欲しい一冊です！
Ωであるまほろは、幼少に出会った運命のαを探すべく風俗で働きながらお金を稼ぐ生活をしています。そんな受けと偶然出会うβ・東馬が織りなす人探しのお話なのですが、あくまでキャストとお客さんの関係を崩さないよう接する東馬が健気な攻めすぎる……！

店舗型の風俗の一室で逢瀬を重ねる二人が切なくて切なくて……。エッチな事をするために払われるべきお金を使ってまほろの想い人を探すの、あまりにも『愛』では？？？？？？？？？？？
家無し金なし家財なしのまほろはお店に住んでいるため、登場のたびに違ったコスプレで登場するのも思わず笑ってしまいながらも萌えるポイントの一つ。

オメガバースという設定を活かしながらも、発情期などの濡れ場のみならず『運命』をキーワードに紡がれる切ない物語。ひと味違ったオメガバ作品はいかがでしょうか？

『少年ナイトクラブ』作：ととふみ

 

 

STORY
社会の厳しさに疲れてしまった青年・佐倉光(さくらひかり)が出会ったのは、少年たちが夜な夜な働く店――『少年ナイトクラブ』そこで働く人気キャスト・アサヒ。彼が思い出させてくれたのは、幼い頃の純粋に楽しむ気持ち。そんなアサヒのことが、頭から離れなくて――少年と禁断の愛に堕ちる。

 
ショタ好きには堪らん天国がここに広がっている……！！！！！！！
大きな目、眩しい膝小僧、つやつやした太もも、成長してしまうことの楽しみと哀しみ。そんなショタがハチャメチャに出てくるなんて、こんな贅沢いいんですか？？？？ シャンパン開けなきゃ……！ とうっかり財布を出しそうになってしまいました。

こちらは少年たちが夜な夜な夢を売る『少年ナイトクラブ』を舞台に、サラリーマンの佐倉が寂しがりな少年・アサヒと出会う物語。ショタと夜のお店で逢瀬するの、背徳が過ぎませんか？
本来なら許されないショタ専門クラブというのも相まっていけないことしてる感でワックワクします！ たまらんゾクゾクだ……！

何といっても作家さんのこだわりが細部にまで描かれているのが最大のポイント！ 少年達の制服のデザインだったり、可愛い系、カッコイイ系など様々な属性のショタが登場したり、モブとの絡みとそこからの純愛だったり……。本気でショタ好きの方が描かれている！ とひしひし伝わってきて情熱◎です。

『青くて苦い』作：芽玖いろは

 

 

STORY
ホストのミヤは、女を抱くと男に抱かれたくなる。そんな時に思い描くのは、片想いしている同僚・タマの顔だった。想いを伝えるつもりはない。なのに──「俺が抱くんじゃダメなの？」抱かれたら、欲が募ってしまった。一方のタマも、抱かれ馴れた従順なミヤに苛立っていく。そして、彼を仕込んだのはオーナーだと知り……。

 
ホスト×ホストの片想い拗らせBL、好きに決まってるんだよなぁ……（しみじみ）。
こちらはThe・夜の街であるホストクラブが舞台。客の女性を抱くとその分男に抱かれたくなってしまうナンバー持ち・ミヤは、拾われたオーナーにそう仕込まれてしまったために苦悶します。そんなミヤが密かに心を寄せるのは同僚のタマで、偶然男に抱かれた直後の姿を見られてしまったことから体の関係が始まります。

本作の大きな特徴は、「女性関係の描写がはっきりとされている」ことです。ホストという職業を語る上でリアルを出すには女性の描写が欠かせないものになってきますが、ストーリーにガッツリと関わってくることでドラマのような空気感を醸し出しています。ウーン、イイ！！！！

女性を相手しながらもタマへの片想いで潰れそうになってしまうミヤの感情表現の切なさたるや……！ 女性との枕は滅多にしないミヤだからこそ、そういった描写の節々に滲む悲痛さにぐいぐい引き込まれてしまいます！
オーナーとミヤ、そしてミヤとタマ。簡単にはいかないホストの世界の中でミヤが選択するものとは……！
ギラギラ度MAXな夜の世界、垣間見ちゃいませんか？

 

『トワイライト』作：西本ろう

 

 

STORY
俺の為にセックス覚えたんだろ？俺様ホストx地味健気 切ないばかりの両片想い「まるで奴隷だよな」家にも学校にも居場所がなく、いつも一人で過ごしている高校生の陽平。そんな時、同級生でサッカー部エース・稜と出会い、二人は次第に惹かれ合うが…。ある事件を機に、二人の関係は大きく変化してしまう事に。それは、数年に及ぶ歪んだ純愛の始まりだった――。"家事、送り迎え、そしてセックス。稜の望む事は何だってする――すべては、稜と一緒にいるため"ストーリーテラー・西本ろうデビュー作。

 
俺様ホスト×地味健気、嫌いなはずがない……！ と思って読み進めるとうっかり涙が止まらなくなるほどストーリーに惹きこまれてしまう本作。
高校時代の甘酸っぱい情景や青春の匂いに！ ピュアピュアDKモノだ！！ とキュンキュンしながらページを捲ると、徐々に不穏になっていく空気と衝撃展開から目が離せなくなっていきます。そして中盤を迎えるころには二人の関係と状況はがらりと変化し、そのギャップに思わず「何ィ！？！！？？ さっきまで読んでいたピュアピュアDK青春BLは！！？！？！！？」と叫んでしまいました。

ホストという職業がこんなに悲痛に描かれることがあるでしょうか！ 描写自体はそう多いものではないのですが、ずっと隣で支え続けている相手がいるにも関わらず、仕事ではお客さんの範疇を出ない女性に愛を囁いて生きている様子があまりにも苦しい！！！！！ 嫌でもギラギラした世界と暗鬱とした日常生活のギャップが目立って胸が締め付けられます……。

本作の魅力は何といっても一冊を通して描かれる一年二年じゃ治まらないほどの純愛です！ 学生時代も大層モテて、大人になったらホストという職に就くような攻めとそんな攻めのお世話をする受け。これが純愛に描かれるんですから凄まじい……！
ガッツリとした重厚なストーリーで描かれる二人の只ならぬ関係に注目です！

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『夜の街』BLはいかがだったでしょうか！
アンダーグラウンドな世界だからこそ、触れれば触れる程底なし沼ですよね！
夜が長くなる秋、ぜひ都会の街並みに思いを馳せて読んでみては♥

 

担当記者：Rあーる 日ノ本の軍人さんに目がない黄昏の腐女子。BLに関する夢に向けて邁進中。黒髪青目美少年受けサーチマン