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2022/08/14 18:00
みなさんは「愛」の反対の感情は何だと思いますか？
人は、同一の対象に対して相反する感情を同時に抱くことができます。心理学用語では「アンビバレンス」ーー別名「両価感情」と言います。愛と憎しみであったり、尊敬と軽蔑であったり、人は一見して矛盾する二つの感情を一つの対象に持つことがあるのです。人間は複雑な動物ですね。
矛盾するように見えても、矢印は同じ方向に向いているので、相手に関心があるという点では同じ。愛するが故にちょっとしたきっかけで「裏切られた」と感じたり、逆に憎んでいるからこそ離れられないこともあるでしょう。
BLでも、はじめは険悪だったキャラ同士や復讐に燃える男とその因縁の相手とが、お互いを知るにつれ徐々に好きになっていくことがありますよね。決して「好き」とか「愛してる」とか、甘い言葉は言っていないのに、むしろ敵意剥き出しなのに、どうしても愛の告白に聞こえる！ そんな行間読みタイプのBLファンに共感していただけるであろうあるある物騒セリフを探してみました。
◆目次◆
1．お前なんか大っ嫌いだ！
2．お前は絶対に俺が倒す
3．どうせ死ぬならお前に殺されたい
4．またお前か……〇〇。
5．お前を許さない……地の果てまで追いかけてやる
6．お前見てるとなんかイラつくんだよ
7．お前の命は俺が握っている
8．お前は一生俺の所有物だ
9．俺から受けた屈辱を忘れるな
10．私の元に寝返れば命だけは助けてやろう
◆敵意が好意に脳内変換されるセリフ10選
いやいや、嫌いって言ってますやん。これを好意に変換は無理がありますやん。火の玉ストレートな「嫌い」の表現でも、しかし、行間読みの達人の手にかかれば熱烈な愛の言葉に聞こえるものです。
やっぱりここまで嫌いになる過程は気になりますよね。一体何をされたんでしょうか？ こいつのせいでいつも上手くいかない、攻めからの好きな子いじめに耐えかねた、付き合ってないのに無理矢理チューされちゃった……攻めがめちゃくちゃ危ないことをやらかして、無事を確認して安堵の一言かも。シンプルゆえに、可能性を秘めたセリフですね。
「聞き分けの悪い人は嫌いです しつこい人もです」
嫌い嫌いと言いながら攻めのかっこよさには抗えない、意地っ張り受けのお手本のような年上リーマン君です♥
あらすじ
そつなく仕事をこなす真面目な会社員・静は、夜の街ではキザな台詞もスラスラ口にでき恋する自分に陶酔できるという裏の顔を持っていた。ある夜、顔も身体も好みで、最高に甘やかしてくれる理想の男性・寿々邦と出会った静。忘れがたい最高の夜を共にしながらそれも一夜限りと思っていたのだが、突然彼が自分が勤める会社に社長代行として現れ……!?
相手への憎しみを糧に生きてきたAが、ライバルのBに対して放った一言。スポーツやゲームなどで「お前を倒せるのは俺しかいない」と闘志を燃やすシチュでしょうか？ あるいは裏社会ものや戦闘ものなど、“ガチ”の生き死にがかかっているのかもしれません。
お前は俺がヤる！ 他の人間には手を出させない！ 他の人間じゃああいつには張り合えない!! そう息巻く間に、他の人間に倒された時の喪失感たるや凄まじいものがあるでしょう。恐るべき執着ですね〜(暗黒微笑)。
シリウスを汚していいのは俺だけだ
この恨みは俺がはらす！ 他のやつには手出しをさせない！ 愛と憎しみの間で苦悩する男の物語です。
あらすじ
粗野な山男・オンブラに助けを求めてきたのは 純朴な妾腹(しょうふく)の王子シリウスだった。 シリウスの父に両親を村ごと焼き討たれたのが10年前。 ーーアイツは親の仇で、仲睦まじかった幼い頃にはもう戻れない。巡ってきた復讐の機会に、動揺と葛藤が渦巻くオンブラ。ところが、そんな苦悩に気づかないシリウスは、昔のことも思い出さぬまま、オンブラに惹かれはじめてしまいー...?ロマンスにはほど遠い、愛憎デスティニー!
「お前は絶対に俺が倒す」の裏返しバージョンとでも言いましょうか。「倒すのも倒されるのもお前でありたい」という、運命共同体に送るセリフですね。死に場所を託すなんて、究極の信頼の現れと言えるのではないでしょうか？
ちなみに②の「お前は絶対に俺が倒す」は受け、③の「どうせ死ぬならお前に殺されたい」は攻めっぽい気がしますが、いかがですか!?
「…貴方になら斬られてもいいと思いました」
愛した相手が仇だった……。そんな葛藤の中で生まれた、切なくも美しい複雑な感情。
あらすじ
憎くて愛おしい、命をかけた剣と肉の交わり。稀代の剣の達人・間宮に押しかけ弟子入りした侍・一馬。その真の目的は父の仇討ちだったが、間宮の剣の
すさまじい美しさと生き様の寂しさにどんどん惹かれてしまい…また間宮も一馬の目的を知りながら、その天真爛漫さに、自分が斬った彼の父親の面影を重ね心が揺れる。互いにどうしようもない激情で体を重ねてしまった二人。しかし無常にも仇討ち試合は迫り来る―!
何度も刃を交えてきた相手と、再び対峙した時の一言。警察官と常習犯？ あるいは共通の敵がいて、なんだかんだいつも一緒に戦うことになる腐れ縁CP？ 飽き飽きしているようで、内心ちょっと喜んでいるツンデレさんかもしれません。
なにはともあれ、このセリフが出てくるということは相手を因縁の……いや、運命の相手だと認識しているということ。手合わせをしすぎて、相手のやり口や癖なんかもよくわかっているのではないでしょうか？ もはや熟年夫夫と言っても過言ではありません。
「大ヤマ挙げたいって思わねーのか？」「そりゃお前次第ってトコだろ」
本来は追いかけっこの関係のヤクザと警官がタッグを組むという、禁断のバディ関係が激アツです！
あらすじ
1990年代、警察庁は相次ぐ拳銃事件の対策として全国的な銃器摘発キャンペーンを始める。全国の警察は厳しいノルマを設けられ、それをこなす為に警察がヤクザと手を組むという点数稼ぎのデキレースが横行した。そんな中にエースと呼ばれる男・鬼戸圭輔(きど けいすけ)はいた。彼は何人もの犯罪者を情報提供者として飼い、北海道警察の中で一際多くの拳銃を"摘発"していった。そして彼は自分の運命である誠凛会(せいりんかい)の幹部・八敷 翔(やしき しょう)に出逢ってしまう。より大きい山を当てるために鬼戸は柏組(かしわぐみ)の武器庫に目を付け、八敷を潜入捜査に誘う。八敷は薬の密輸入を目溢しすることを条件に鬼戸と組む。二人は甘美な成功を期待して潜入捜査に乗り込むが――。
出、出〜!! 「一生お前を離さない」宣言奴〜〜!!! どこへ逃げても追いかけるぞという強い意志、そのクソデカエネルギーを「お前」にだけ向けているという事実!!
地の果てまで追いかけるほどの憎しみを生み出したエピソードが気になりますが、ここまで深い憎しみからどうやってラブに発展させていくのか。そして、芽生えてしまった愛とこの憎しみの葛藤に、どう折り合いをつけていくのか。妄想の腕の見せ所ですよ～！
「僕は貴方を死んでも許す気はないーー……」
ここまでバチバチのCPってなかなかいないんじゃない!? ってくらいいがみ合う殺伐CPです(歓喜)！
あらすじ
芽生えはじめていた恋心は憎しみに豹変。「心も身体も同じように蹂躙してやる」それだけが、内海を生かしていた。時は流れ、ふたりは再会をはたす。怒りを噛み殺しながら、内海は思わせぶりに近づき、好きだった男の身体を踏み荒らしてー…!?男の因縁と確執を描く、紫能了の怪作!
どこかで見たような、でもどこで見たか思い出せないあるあるセリフ。険悪ムードから始まる恋の幕開けですね♥というか、イラつくなら見なきゃいいのになんで見てるんですか？(核心)。陰口言わず本人に直接言うだけまだいい奴かもしれません。
どんなところがイラつくのか、相手はドジっ子？ お人好し？ 本当はいいところがあるのになんだか自信がなさそうなところ、そんな彼を見て焦ったくなっているのかも。それともイライラしているのは下の方……おっと誰か来たようだ。
正反対だからこそ、イライラもしちゃうし惹かれちゃうんですよね……♥
あらすじ
予備校で社会を教える篠田千歳は、勤務初日から、鬼講師と評される数学担当の中津に生徒への接し方を注意される。理詰めで容赦のない中津。篠田はそんな中津の考え方や言い方につい反発してしまう。けれど、時に窮地を救ってくれる中津は篠田にとって憧れの存在でもあった。そして、気づかぬうちに中津への感情は変わり始めて!?
王と忠実な兵士？ あるいは監禁されている人とその犯人？ ヤクザの頭とその右腕でしょうか。何らかの主従関係が見えるセリフですね。こんなことを言われたら怖くて逆らえないし、強気受けくんなら「はぁ？」と反発してバチバチになってしまってもおかしくなりません。
しかし、言う側の心理を考えるとまた違う味わいが楽しめます。駒を手懐けるための単なる脅しなのか、こうすることでしか愛する人をつなぎとめられない不器用さなのか。あなたには心に鎧をまとうセリフ主の魂の叫びが聞こえますか……？
捨てるなら…その命、俺に寄こせ
お前の命は俺のモンだから、好きにさせてもらうぜ……というセリフに隠された真意とは。
あらすじ
"エリート社員の桂木は、完璧な人生から転落…全てを失い絶望…酔った勢いで飛び降り自殺をはかる。「捨てるなら…その命、俺に寄こせ!」突然現れた謎の男・余田に止められ身を預けることに…。次の朝、覚めた瞬間から恐ろしい緊縛拘束調教されまくる監禁生活が始まった…!?極限のセックスを描いて人生を転落した孤独な男の絶望と再生を、エロチックに感動的に読者に訴えかける傑作BL漫画の誕生です。
これは……要するに「ボクのものになってください」ってことですよね!? しかも一生って……実質プロポーズと言っても過言ではありません。「こんなプロポーズは嫌だ」ランキングにノミネートさせておきます。
「お前は今日から俺の所有物になってもらう」
エクストリーム・溺愛・不器用クーデレ攻めによる、誤解1000%の愛の告白です。
あらすじ
女遊び大好きなホストの泉は、突然数人の黒服に拉致された。とある御曹司の婚約者を誑かし、婚約を破談にしたと責められるが――目の前に現れた御曹司は高校のときの同級生・御子柴で!? 今回の件を水に流す代わりに、泉を自分の所有物にするという。いやいやそんなまさか…と思っていたら、豪邸に連れて行かれたうえに「好きだ」と告白され、押し倒されてしまい――!?
これも戦闘もの、スポーツもの、はたまた凌辱もの。物理的な戦いのみならず、勉強や出世争いなど、さまざまな可能性を秘めたセリフと言えるでしょう。半〇直樹のような政界やカネの絡んだ設定もオイシイ。土下座だ土下座ァ～!!
自分が与えた屈辱を忘れさせないために追い打ちをかけ、深く刻み込むA。歪んだ独占欲ですね……。言われなくても一生忘れられない苦痛と屈辱を刻み込まれたB。そして「お前を絶対に許さない……」へ。
「忘れるな、俺から受けた痛みと快楽を――」
俺様攻め×強気受けの聖典ともいうべきこちらの作品。屈辱が二人を結びつける……!?
あらすじ
フリーカメラマン・秋仁は、裏社会の美しき実力者・麻見の手に堕ちる…！！ 監禁され身も心も奪いつくされた秋仁は……！?
要するに「嫁に来ないか」ってことですよね!? そうですよね!? 敵陣に乗り込んで捕まってしまうA。Aには既に忠誠を誓う主人がいるけれど、拷問され嬲り殺される瀬戸際で、こんな交渉を持ち掛けられたら……。
もしかすると、全てＡを手に入れるための策略だったなんて可能性も。ペロッ、これは三角関係の味！ 当て馬はどっちだ!?
「お前がマオのために死ねると誓うなら お前の本能の渇きを埋めてやるよ」
命(タマ)の売買と言ったらやはりヤクザもの。暴力と忠誠の裏社会オメガバースです！
あらすじ
誰かに、何かに、支配されたい。
黒崎組組長の次男でありαのマオ。彼に忠誠を誓い、目的のためならカラダを使うことも厭わないΩの八坂。そんな2人に瀕死のところを拾われたα、ニシキ。ニシキはマオ達のただならぬ絆を目の当たりにしながらも、八坂に惹かれていく。運命に導かれているのか、本能で目が眩んでいるのか。傷を負い、絡み合い、騙し合う苛烈な男達を描くmisoデビューコミックス。
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いかがでしたでしょうか？ たったの一文をこんなに曲解して妄想できるなんて、やはりBLは想像力(妄想力)トレーニングにもってこいですね。
商業BLに限らず、ライバルや因縁の敵同士など、お互いへの執着が強ければ強いほど胸が高鳴る方も少なくないはず。もはや何かの矢印が向いていればそこに萌えはある！ 矢印がデカければデカいほどいい!!
皆様も、こんな物騒セリフも自分には盛大な愛の告白に聞こえるんだ！ という主張があれば是非コメント欄で教えてください♪
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担当記者：廣井無名 |
