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王侯貴族BL…一周回って来そうな気がするんだ…

『背中を預けるには』の流れで骨太ストーリーな貴族BLの波が来た!? いや、来い!!!(魂の叫び)

近頃、王弟と辺境伯の恋を描いた小説『背中を預けるには』が大変な人気を博しています！ 今も昔も小説では王侯ファンタジーが大人気。しかしコミックスでは現実世界を舞台としたもののほうが圧倒的に多いですよね。

2020年に王侯BLコミックスは29作品発売されたのに対して小説は81作品。実にコミックスの3倍以上！ どうか王侯BLコミックスがもっと増えますように……(流れ星にお願い)。

しかし、小説よりは少ないといえども、激重シリアスな本格王侯BLは、コミックスにも、あるんです！……あるんです!!!(大事なことなので2度言う)
今回は、そんな本格王侯BLを6作品ご紹介します！

西洋編

シリアス度★★★☆☆

『BARBARITIES Ⅰ』作：鈴木ツタ

 

博愛主義の色男・アダム子爵が恋をしたのは、超堅物の司法卿・ジョエル!? スーパー美形の猛烈アタックが始まるわけですが、この話はそれだけに留まりません。政治に宗教、恋愛以外の問題が山積みなのです。

2人の暮らす小国・ロラインの目下の問題は宗教対立。しかしジョエルは政治と宗教を切り離して合理的に判断を下していきます。そんな危ういジョエルの立ち場を利用してある陰謀が動き始める!! そして国内の混乱に乗じて近隣国も怪しい動きを見せ始め……

設定が激重(喜)な作品ですが、攻めの軽薄色男・アダムの存在が物語に弾みをつけてくれます。規格外の美形が思春期の男の子のようにジョエルの挙動に一喜一憂したり、はたまた彼の危うい立場を誰より理解し身を挺して守ろうとしたり……。アダムのぶっ飛んだ属性は物語に笑いをもたらしてくれます。

陰謀と愛の物語を是非ご覧ください。

ーSTORYー

昔々の遠いどこかの異国。国の宝である司法卿に届いた脅迫状への対応策として、アダム子爵が警護に任命された。だがこの子爵、老若男女の全てを虜にしてしまうようなとんでもない色男。その色男が司法卿の甥である超堅物のジョエルに本気の恋をしたから大変なことに…!? 真逆な二人のハラハラする恋の駆け引きを中心に、他国の次期国王と従者達の気になる面々を携えて、話題の異国ロマンが遂に登場。

シリアス度★★★★☆

『坂の上の魔法使い』作：明治カナ子

 

魔法使いとその弟子の日常を描いた作品……かと思いきや、こちらもそれだけではなかった!!! いつも仏頂面で、しれっとスーパー有能な魔法使い・リーの過去と、その弟子・ラベルの正体が明らかになった時、物語が急激な展開を見せます！

魔法使いと王族・人間の関係、長生きする魔法使いの秘密。すべての設定がファンタジー好きの心をくすぐることでしょう！ ファンタジーでありながら王家のしがらみや残酷さがリアルに伝わってくる点もこの作品の魅力です……！

リーが仏頂面でラベルを慈しんでいる日常を、読了後抱きしめたくなります。年相応にやんちゃなラベルと、そんな弟子に手をやくリーのやり取りは心のオアシス♥ 癒されること間違いなしです！

ラベルの成長とリーの変化に感動のラストを、是非ご覧ください。一気読み必至、物語の世界にとどまっていたくなる作品です。

ーSTORYー

魔法使いが多く住む町・ゲルの外れの荒れ山に、魔法使いのリーと弟子のラベルは住んでいる。町が苦手でちょっぴり変わり者のリーとの暮らしは決して裕福ではないが、学校に魔法にと勉強に励むラベルは充実した毎日を送っていた。そんなラベルの成長を、ときに厳しく、ときに温かく見守るリーだが…!?

シリアス度★★★★☆

『5人の王 1』作：恵庭

 

大人気小説『5人の王』のコミカライズ！
意志の強い頑張る受けが好きならとにかく読んで!! と声を大にして言いたい本作、主人公のセージの精神が強すぎて辛い……。守りたいもののため、必死に自分を押し殺し、しかし流されきらないその逞しさ！ 読者一同夢中になること請け合いです！

予言の力をもつ妹・ヒソクの代わりに王宮へ召し上げられたセージ。その王国は5人の王が治めており、セージは冷酷な青の王に仕えることになります。

第一巻で描かれるのは、偶然出会った心優しい赤の王との淡い恋！ 青の姫であるセージの立場では許されない想いが切なすぎて……。次々と展開していく物語に、一体次は何が起こるのか、先の展開が読めなくてワクワクがとまりません！ そして冷酷な青の王との関係はどうなるのでしょうか。

自ら道を切り開いていくセージのしなやかな逞しさに大注目の本作、ぜひご覧ください♪

ーSTORYー
神の血をひく"5人の王"が治める国、シェブロン。身寄りのないセージは、「星見」という神の力を持つ幼い妹を守るため、傲慢で冷酷な青の王・アジュールに身を捧げる。しかし、偶然出会った赤の王・ギュールズの優しさに癒され、淡い恋心を抱いてしまう。青の王の所有物であるセージの想いは許されるはずもなく、アジュールは嘲笑うかのように気持ちを弄び――。

東洋編

シリアス度★★☆☆☆

『皇帝と宦官』作：日野晶

 

ありそうでなかった宦官ＢＬ!! 身分さとは裏腹の距離の近さが最高に熱いです。そして何より宮廷を舞台にしているだけあって陰謀が渦巻きすぎ!!(歓喜)。ついには海燕、簀巻きにされて川に放り込まれてしまいます！

そしてこれに対する皇帝の怒り方がスゴイ！ 怒り方すらも皇帝していて(？)無慈悲な一面に背筋が凍りました。ありがとうございます!!

当時の中国において宦官になる、すなわち性器を落とすことは死よりもいとわれることでした。つまり、家族によって強制的に宦官にされた海燕には半ば家族に捨てられたようなつらい過去を持っているのです。

しかし、海燕は底抜けに明るく純粋な性格をしています。そんな海燕に振り回される皇帝と、陰謀も吹き飛ばす熱い恋に注目ですよ♥

ーSTORYー
昼はあどけない顔。夜は後宮の妃より魔性。海燕は歌や踊りを披露する宦官。仕事の要領が悪く叱られてばかりだけど、前向きで元気いっぱい(楽天的とも言う)。ある日、皇帝の夜伽を命じられ、そこで待ち受けていたのは――!? 話題沸騰・嫉妬と欲望が渦巻く淫靡な宮廷ドラマ、遂にコミックス化!

シリアス度★★★★☆

『夜画帳 1』作：Byeonduck

 

好色な貴族・スンホの目に留まった元春画師・ナミン。
スンホから「自分のための春画」を描くよう命じられた彼は、スンホが貴族の男と交わる様子を観察し描き写すことになります。しかしナミンには春画を描けない理由があって……。

情事を無理やり見せられて、しかもスンホの床の相手に嫉妬された挙句はめられそうになるナミン。完全にとばっちり。とにかく可哀想……(泣)!! でもなぜかもっとやれと思ってしまうジレンマ。

スンホは、ナミンに対して「卑しいものを抱く趣味はない」と言いながらも、なぜか情事の最中相手ではなくナミンをじっと見ます。しかもスンホと関係を持つ男に嵌められ、袋たたきになりそうになった時もなぜかナミンを赦します。スンホの真意はいったい何なのでしょうか……。

ナミンはなぜ春画を描けないのか。スンホはなぜ、情事の最中ナミンをじっと見ているのか。そこに愛はあるのか!? 現在1巻まで発売されていますが今後の展開にも注目の作品です！

ーSTORYー

元・春画師のナミンは、名家の長男で男色家として有名なスンホに「私のための春画を描け」と誘拐される。彼の情事を見せられ、それを描くように命じられるが、ナミンはある理由により春画はもう描かないと決めていた。しかし、権力者であるスンホに逆らうことはできず、葛藤しながらも筆を取る。やがて、彼の関心はナミン自身に向けられ――?

シリアス度★★★★★

『華なるもの』作：西つるみ

 

平安のドシリアスBLが読みたい方、この作品を読めば間違いありません。「メリバもやぶさかではない」という方、今すぐ読みましょう。

こんなにやるせない恋ってある……!? 受けが意地っ張りすぎてどうにもならん。本来どん底であるはずの受けよりも読者の方がダメージを受けている気さえする本作、主人公の意地にヤキモキすること間違いなしです。

院政期を舞台に、武家の三男でありながら上皇の寵人となり成り上がった美貌の高前。院の御所では高前を陥れようと魔の手が忍び寄るのですが、毎回翻すどころか余裕で倍返するのが通常運転。悪役よりも悪役しているときさえあります。

そんな高前のこころにさざ波を立てるのは、高貴な身分に生まれ、高前の欲するものすべてを手にした智実。彼との恋模様はいつだってすれ違いで……。智実！ 高前の心の奥の奥を読んで!!(無茶ぶり) と祈ってしまいます。とにかく素直になれない恋を、どうぞご覧ください。

ーSTORYー

時は平安末期。武家の三男と卑しい出自でありながら、権力者たちの寝所を渡り歩き、上皇の寵人となった高前（たかさき）。美しい成り上がり者として畏怖と羨望の視線を集める高前だったが、有力貴族の御曹司・智実からは素直な好意を寄せられ、その余裕を不愉快に感じる。しかしある日、二人の関係が決定的に変わる事件が起こりーーー。引けぬ意地と激情が絡み合う切なく底深い大人の恋愛劇、〝数年後〟を描く掌編を描き下ろし。

担当記者：ふろまる 推しの幸せな未来をいつも願っている。重度のハピエン厨であるが、最近個人的ハッピーエンドの定義が拡大傾向にある。