「名作は前から読んでも後ろから読んでも名作」説を検証してみた
BLアワード2021 BEST シリーズ2位 より
中村明日美子先生の人気シリーズ『同級生』。現在までに全部で8巻発売されているロングシリーズですが、どの巻も高い評価を受けている名作ぞろい。『blanc #1』もBLアワードのシリーズ部門2位にランクインしましたね!
しかし、実はコミックス『同級生』とその劇場版アニメしか触れたことがない筆者。それを友人に告白すると「絶対人生損してる!!!」と熱弁され……。「『blanc』からでもいいから読んで!!!」と謎の提案を受けることに。
シリーズものを最終章から読む人がいる??? と思いましたが……いや待てよ。名作は前から読んでも後ろから読んでも名作なのでは?
そこで、今回はそんな『同級生』シリーズを『blanc』からさかのぼって読んでみたらどうなるのか、検証してみました! 前代未聞の実験結果はいかに……。春の自由研究(?)開始〜〜〜!
あらすじ「20歳になったら、」卒業から3年━━…京都大学へ進学した佐条。東京で音楽を続けながらバイト勤めをする草壁。別々の進路を歩むことになった二人の行方は……。不朽の名作『同級生』シリーズ、時代を越えて新たなステージへ。
早速、『blanc』シリーズから読んでみると……まず草壁と佐条がますますいい男になっとるやんけ!!!(大興奮)
『同級生』しか読んだことがない筆者は、まさに浦島太郎状態。「なんで『卒業生』を読まなかったんだ……」と過去の自分を激しく後悔しました。草壁はさらにおしゃれになっているし、佐条は表情が柔らかくなってるし……彼らの成長の過程が激しく気になるよ……。
また、佐条が京都の大学生に、草壁がミュージシャンになっていることから、二人の夢が叶ったのだということも伺えます。遠距離ながら交際が続いていることにもほっとしました。
……というのも束の間、2人はだんだんとすれ違ってしまうことに。お互い好きなはずなのに……なんでー!!!(涙)。社会や家族というシビアな壁に直面した2人が苦しく、胸が痛みます。
そんな困難を経てから読む最終話の美しさに、全てが救われたような気がしました。もう多くは語りません。
彼らのことをもっと知りたい! と、飛びつくように次の(前の?)『O.B.』へ。
『O.B.』作:中村明日美子
あらすじ出会い、そして紡がれる未来へ。『同級生』『卒業生』の草壁と佐条、『空と原』のハラセンとソラノ、その他、コマっちゃんや有坂&響など、〈同級生シリーズ〉を彩る魅力的なキャラたちの"その後"を描いた待望の続編『O.B.』が、2冊同時で堂々の完結!!
くぅ〜〜〜! 『blanc』でぶつかっていた佐条と草壁のイチャイチャラブラブっぷりが染みる〜〜〜! 最高です。これまたラストが美しかった。
そして、ハラセンに男ができている……だと……。若くてかっこいい男の子といい感じになっちゃっているハラセンに感動しました。失恋を乗り越えられたようで何より……!
そんな草壁と佐条、ハラセンと彼氏のソラノをはじめ多数のキャラクターが登場するオムニバス的な作品。どれも短いストーリーなのにキャラクターの人生が浮かび上がってくるような深みがあって、スッと彼らの物語に入り込めました。
中村明日美子先生の表現は、本当に素晴らしいの一言に尽きます……。
『空と原』作:中村明日美子
あらすじ
原 学(はら まなぶ)、37歳、男子校教師、独身、「生徒には絶対手を出さない」というポリシーを持つ男。3年間の片想いから脱するために訪れたゲイの集まるクラブで若い男に出会う。後に彼は、原が勤める学校の新入生、ソラノだと分かり…?? 不器用なオトナ、永遠のアテ馬と呼ばれる原先生に春は来るか!?
ハラセン報われた〜〜〜!!! めでてえ〜〜〜!!!(大号泣)
永遠の当て馬・ハラセンと飄々とした高校生・ソラノの馴れ初めが描かれたスピンオフ作品。ソラノも生徒だったのね。悪い大人だ……。
でも、生徒相手に葛藤するハラセンがとても不器用で、そんなところにまた愛しさが募ります。
失恋で傷ついた心を癒すソラノとの恋模様は、まさに高校生のような初々しさ。若さならではのグイグイ感でハラセンに恋する様子に、こちらまで救われた気持ちになりました……。
ラストシーンはパワフルな未来を予感させるものでしたが、先に『O.B.』を読んでいる筆者の脳内には「※この後も数年待たせます」という注意書きがぐるぐる回っていました。ハラセンらしくてニヤニヤが止まりません!
『卒業生』作:中村明日美子
あらすじ
大学受験を間近に控えた佐条は、予備校帰りに草壁とのデートの時間を重ねていた。そんなある日、佐条の母が入院することになる。病院への往復、家事、そして受験に追われ、心身ともに疲れきっていた佐条は「今、お前に会いたい」と、だれもいない自宅に草壁を呼んだ…。ほか、ハラセンの青春時代を描いた番外編『げに大人というものは』同時収録
卒業する季節が近づいてきてしまった佐条と草壁、そして佐条に片想い中のハラセンのお話。
『空と原』が切望された訳がよくわかりました。ハラセンがあまりにも不器用で切なすぎる! 順番通りに読んでいたらハラセンに感情移入をしすぎておかしくなっていたかもしれません。未来を知っていて良かった……。
そして、佐条のお母さんの病気などを経て、絆を深めていく草壁と佐条。そして最終話で改めて行われる結婚の約束。ここでびっくりしたのが、佐条と草壁が結婚をめぐって本気で喧嘩していたこと! 若気の至りではなく、未来を見据えた心からの約束だったんだと知り、『blanc』がより一層重く感じられました。ちょっともう一回『blanc』読み返してきます……。
『同級生』作:中村明日美子
あらすじ合唱祭前の音楽の授業中、同級生でメガネの優等生・佐条利人が歌っていないことに気付いた草壁光。佐条は歌なんかくだらないのかと思っていたが、ある日の放課後、だれもいない教室でひたむきに歌の練習をする佐条の後ろ姿を見た草壁は思わず声をかける…。高校時代のピュアな恋愛をさわやかに描いた、青春ときめきボーイズ・ラブ第1弾!!
最後に2人の始まりの物語にようやく到達! 読むのは初めてではありませんが、付き合う前の初々しさが新鮮で、胸キュンが止まりません❤︎
今ではすっかり人生のパートナーで強い絆で結ばれている2人の馴れ初め話を聞いているような、そんな桂●枝のような気分になりました。この幸せな回想をずっと眺めていたい……。
この頃から喧嘩が多い2人ですが、彼らは何度ぶつかったとしても大丈夫。そんな絶対的な安心感とともに読み進めることができ、読後には未来に想いを馳せ胸がいっぱいになる。そんな読書体験でした。
最終章から読み、また始めから順番に読む……そんな無限ループにはまりそうです。こりゃいい沼を見つけたな。
【番外編 『映画 同級生』を見返す】
ここまで漫画を遡って読んでみましたが、せっかくなら映画も見返そう! ということで、NetFlixで視聴。久しぶりの鑑賞でしたが、いや~……本当に素晴らしい。
原作のゆったりとしたさわやかな空気感をそのままに、素晴らしい演技や色彩、音で彩ることで『同級生』という作品がより鮮やかに輝いていました。原作漫画やドラマCDとは違う魅力に溢れています。
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今回は「名作シリーズ『同級生』を最終巻からさかのぼって読んでみたらどうなるのか?」という検証を行ってみましたが、いかがでしたでしょうか?
遡って読んでみると、「これはこのシーンの事だったのか!!」と伏線(?)回収され、普通の読み方にはない楽しみ方が出来ました! やっぱり名作は後ろから読んでも名作です。はい。
読んだことないシリーズでも、何度も読んだシリーズでも楽しめると思いますので、ぜひたまには「さかのぼり読み」を試してみてはいかがでしょうか?
※5/23追記:本文の表現に一部誤りがございました。訂正してお詫び申し上げます。
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担当記者:呉莉みよた クズ攻め・ビッチ受け・共依存が大好きな闇の腐女子。怯える顔と悔しそうな顔が大好物で、見かけるとページ数をメモする習性がある。
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コメント2
匿名2番さん(1/1)
「名作を 逆から読んだら ヤバかった」
川柳?!なんか惹かれましたw
ブルスカでやってみたいですねー!
匿名1番さん(1/1)
「絶対人生後悔してる!!!」 ←???損してるって言いたかった?(^-^;