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\受けの羞恥顔が見たいBLオタク集まれ/
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2019/03/02 16:27
先日初対面の人と趣味の話になった際、うっかり「漫画が好きです」と発言してしまった筆者。普段ほとんどBLしか読まないため「どんな漫画が好きなんですか」と問われ、答えに窮してしまいました……。
隠れ特撮オタクなOLの日々を描くドラマ『トクサツガガガ』を見て、そんな筆者の苦い経験を思い出してしまいました。NHK総合にて毎週金曜22時「ドラマ10」枠にて放送されていたこのドラマは、周囲に自分の趣味を隠し懸命に社会生活を送るオタクたちの息苦しい日常を切実に表現し、多くの共感を得ています。
コメディタッチで描かれるオタバレとの格闘の日々に笑いながらも心が痛みます…。特にオープンに話しづらいBL好きの方々は「わかる!」としみじみ感じてしまうポイントも多いのではないでしょうか。
このドラマでは、隠れ特撮オタクとして働くOL・仲村叶の日常がリアリティたっぷりに描かれています。社内の流行についていけなかったり、隠れてガチャガチャを探したり……。あまりにリアルすぎる生態に共感の嵐です。
社内でカラオケに行くことになった仲村さんは、歌える曲が特撮のテーマソングしかないためどう切り抜けるか煩悶することに。無理矢理歌わせられることになってしまった際、オタバレせずにやりきる方法を苦心してひねりだそうとする姿に思わず笑ってしまいました! 「キャラソンやボカロを歌うわけにいかない…」とうろ覚えの邦楽を歌っていた学生時代を思い出し、筆者も苦い気持ちに。オタクにとっては同志のいないカラオケも苦難のイベントなんですよね。
また「休日の過ごし方」を同僚に聞かれた際、どう答えるのがベストかと悩んでしまうというエピソードも。本当は「オタ活してます!」と答えたいのに、隠さなければいけない辛さ……。「寝てます」と答えても「そんなに寝て何してるの?」と聞かれ、「遊びに行きます」と答えても「お土産買ってきてよ」と言われる始末。どんな風に答えてもなかなか逃れられないのがこの質問の難しいところです。
何気なく交わす会話やイベントにもオタバレの危険あり! 社内にはオタクをあぶり出す思わぬ罠が潜んでいるのです……。
そんな息苦しい日々を過ごしていた仲村さんですが、次第に趣味を共有できるオタ仲間と出会っていきます。初めての特撮オタ仲間である吉田さんとの出会いもオタクならでは。仲村さんの好きな特撮ヒーローのマスコットをかばんにぶら下げている吉田さんを見て、同志であることを示すために仲村さんも大好きな推し戦士のマスコットを付けてアピール! 2人は目と目で通じ合い、そしてヒーローショーで再会した後特撮オタ友達となります。マスコットで同志を発見するアレ、身に覚えがありすぎる……。
回を追うごとに、仲村さんはアイドルオタクだった同僚の北代さん、北代さんのオタク友達、駄菓子屋さんの店主で女児アニメが好きな“任侠さん”など様々なジャンルのオタク仲間と親交を深め、趣味を分かち合える喜びを味わいます。趣味限定のカラオケや「推しにしてもらいたいポーズ撮影会」などオタ活を全力で楽しむ彼女たちに涙が……。ジャンルの違うオタ仲間と遊んだことがあまりないので、彼女たちの絆が羨ましく感じました。
あまり公にできない趣味だからこそ、共有できたときの喜びはひとしお。筆者も「腐女子」だと聞いた瞬間に特有の仲間意識を感じるため激しく共感してしまいました。趣味を受け入れてくれる、分かち合える仲間がいることは本当にありがたいですよね……。
しかしオタクから見てもオタバレを恐れすぎな仲村さん。それは幼いころに特撮好きを母親から「女の子らしくない」「おかしい」と否定され、固定化された価値観を押し付けられた過去に起因していました。いつしか彼女は自分の趣味をおかしいものだと思い、過剰なまでに趣味を隠すようになってしまったのです。
そんな彼女の考えもオタク仲間との出会いをきっかけに変化していきます。特に第2話で吉田さんが発する「好きなものに性別も年齢も関係ない」という言葉にはかなり救われた様子。この台詞は見ているこちらの心にも強く響きます。生きづらいオタクの生態だけでなく、「周りと好きなものが違くてもおかしくない」「好きなものは好きなままでいいんだ」というメッセージを投げかけてくれるのもこのドラマの魅力です。
本作はオタクの女性という主人公を通して、同化を求められがちな現代社会の中でも自分らしく生きることの重要さを説いているように感じられます。
ちるちるでも腐女子バレに関する記事を多く発信してきましたが、BLは特にカミングアウトに勇気のいるジャンルですよね。漫画の表紙やスマホの画面を見られるだけでも死活問題! すごく感動するBL作品に出会ってもリアルで共有できる相手がなかなかいないという歯がゆさも……。そんな苦しい生活を思い出して悲しい共感をしてしまいます。
しかしこのドラマを見ていると、オープンにはできなくても「自分の趣味は恥ずかしくないんだ」と思うことができるような気がします。過剰なまでにオタバレを恐れる仲村さんに自身を重ね、「おかしくないよ」と言ってあげたくなるような……。好きなものに罪悪感を感じなくてもいいんだとわずかに勇気が湧いてきます。
そして鑑賞後は無性にオタ活がしたくなる! 趣味全開のカラオケやオフ会はオタクだけの楽しみ。オタク仲間を呼び出して全力で楽しみたくなってしまいます!
今を生きるオタクにエールを送るドラマ『トクサツガガガ』。多くの人々に支持されていることを考えると、私たちのように趣味を明るみにできず生きづらさを抱えている人が多いのでしょうか。徐々に好きなものを受け入れ、少しだけでも胸を張って生きられるようになるといいですね!
担当BLソムリエ:塩田大福 |