今回は、腐っても朽ち果てない名作BL小説の中から、動の作品を紹介します。
すべて8年以上前の作品ですが、今でもレビューが超活発! 派手、エロ、キャラ萌えがたっぷりの3作です!
1位の英田サキ「DEADLOCK」はコミカライズ進行中のいまだに抜群の人気を誇る作品!なんと9年前の作品ですが、2015年度内の順位でもいまだ32位と高順位!
そして崎谷はるひ激アマシリーズ3作目の「チョコレート密度」は、数ある崎谷作品のなかでも非常多く読まれ評価が高かった作品です。
最後に誰もが知っている榎田尤利超人気「交渉人シリーズ」!その1作目「交渉人は黙らない」を今回はご紹介します。
9年経ってもアナタの脳内HEADLOCKDEADLOCK 著者:英田サキ / 挿絵:高階佑 / Chara文庫(2006年)
司法省麻薬取締局(DEA)に勤めていたユウト・レニックスは、同僚を殺した無実の罪で捕まり、シェルガー刑務所に送られた。FBIとの取引で、テロ組織のリーダー・コルブスを見つけ出せば自由を手に入れられる事になったが、コルブスに関する情報は余りに少ない。刑務所内は人種ごとにグループが作られ、暴力が蔓延する無法地帯。困難な道のりのなか、同室のディックに惹かれていくが、ディックがコルブスの特徴に重なる事に気付き…
本編3冊、番外編2冊あるシリーズの1冊目。舞台がアメリカで様々な人種が登場することもあり、ハリウッド的な雰囲気あふれる作品です。
無実の罪で送られた刑務所内で奮闘するユウトは、厳しい環境の中様々な出会いと事件を経てディックと惹かれ合い、そして大きな事件に巻き込まれていきます。展開は派手ですが、そんな中で、ユウトとディックが静かに気持ちを通じ合わせているところが萌えポイント。ユウトはどん底からはい上がろうと必死に気持ちを奮い立たせているのですが、ディックに対してはフッと弱さをさらけ出してしまう。そうしたギャップにやられます。そして、弱い面がありつつもユウトがしっかり自分を持っていて男らしい一方で、ディックの意外なヘタレっぷりも徐々に見えてきて、ふたりのキャラがとても好印象。脇で活躍する友人達も魅力的で、最後まで目が離せない展開にワクワクが止まりません!
ほんのり苦いテイストが甘さを引き立たせる!チョコレート密度 著者:崎谷はるひ / 挿絵:ねこ田米蔵 / ルビー文庫(2007年)
城山晃司は怠惰な大学生。大学に入ってみたものの毎日をつまらなく思っていた城山は、友人の上村から紹介された好条件のバイトに飛びついた。でも、雇い主として現れた風見聖人は、目つきが鋭く、言葉も辛辣。そんな風見に怯えていた城山だが、次第に居心地の良さを感じるようになり…。
城山は一見軽い男に見えますが、それは、ある出来事がトラウマとなり、他人と深い関係を築くことを恐れ、本気の恋愛を避けているから。そんな臆病な城山の心に、風見は無遠慮に入り込んできます。オレ様で強気な風見に、城山は振り回されっぱなし。酷い扱いをされながらも、風見が時々垣間見せる優しさが城山の弱った心を翻弄します。風見はとにかく酷い男。だけど憎めないのは、その厳しさが他人だけじゃなく自分にも向かっているから。城山のトラウマは父親との関係に起因しているので、怯えながらも、心の奥では自分を叱ってくれる風見のような人間を求めている。一見するといびつな関係も、その背景を知ると、互いにないものを補い合える関係なのだと気付かされます。
…なんて、そんな堅苦しい部分ももちろん大切なのですが、とにもかくにも、ドSな風見とドMな城山のSM要素がとても美味しい! キチクな行為の先に甘さが感じられる、苦くて甘い「チョコレート」な萌えを楽しめる作品です。
ちなみに、「ハチミツ浸透率」「カラメル屈折率」のスピンオフ作品です。本編と併せて読むと、城山のかわいさがよく分かり、さらに萌えが広がりますよ!
8年たっても黙りません!交渉人は黙らない 著者:榎田尤利 / 挿絵:奈良千春 / SHYノベルズ(2007年)
交渉人・芽吹章が構える「芽吹ネゴオフィス」に、暴力団の若頭となった高校の後輩・兵頭寿悦が突然現れた。高校時代の苦い思い出もあり、芽吹は兵頭を拒絶するが、兵頭は仕事の依頼をしてくる。不本意ながらも、芽吹き兵頭と行動を共にすることになるが…。
ヤクザ×交渉人の人気シリーズ第一作。喧嘩しつつも事件を解決し、ふたりの距離も近づいていくラブコメ展開ですが、様々なものを抱えて生きてきたふたりは再会によって過去と向き合う事になります。芽吹の不器用なまでに貫き通そうとする「人を信じる」という信念。その理由はとても重く苦しい。一方の兵頭もまた、ヤクザとなるまで平坦な道を歩いてきたわけではありません。痛みや苦しみを知って大人になり、互いにバリバリ仕事をこなして充実した日々を送っていますが、心の奥は欠けたまま。再会した兵頭は強引に芽吹の心に入り込み、眠っていた恋愛感情を呼び覚まします。
この作品の魅力は、何と言っても躍動感あふれる個性的な登場人物たち。芽吹と兵頭は、コミカルなやりとりの一方で、掘り下げられていく内面はとてもシリアス。出来る男たちが持つ、そんな強さと弱さが混在する二面性に惹きつけられます。そして脇で活躍するキャラたちもとても魅力的!
エンターテインメントとしての面白さに加え、シリーズ6作(+特別編1作+スピンオフ1作)を通して築かれていくふたりの信頼関係が、とてもあたたかく、力強く、そして優しい。愛おしさで胸がいっぱいになる、そんな作品です。
動きのある作品は、人気シリーズになりやすいのかもしれません。それにしても未だに動きが衰えないのは、登場人物みなさんスタミナたっぷりな方ばかりだからでしょうか。
記者
にゃんこ
コメント7
匿名1番さん(1/1)
想像力が無くて文字だけだと物足りないんだよなあ
小説読めるくらい想像力豊かになりたいなあ。
匿名2番さん(1/1)
初めて読んだbl小説が『恋愛前夜』でした。たしかに名作です。
匿名3番さん(1/1)
『交渉人シリーズ』が一番好きだ!
心理描写が良いんだよね~
芽吹はモロ好みだし
ヤクザ嫌いだけど兵頭なら許せるしっ。
漫画読める人、尊敬します。
文字と絵の両方を見て内容理解するなんてできない・・・
頭悪いからかな?
匿名4番さん(1/1)
初めて読んだ崎谷作品が「チョコレート密度」でした。思えばこれがきっかけで年上攻めに目覚めたのかも。
英田さんと榎田さん、実は読んだことがないのでこの機会に挑戦してみようかな。
匿名5番さん(1/1)
面白い記事だけど、はたして「動きのある作品」とは
どういう意味で書いているのだろう?
絵やイラストなどなら何となくイメージできる。
「静かな作品」の反対語というなら、
「全ての恋は病から」は「動きのある作品」に入らないのか?
匿名6番さん(1/1)
不動の名作の間違いじゃ…
匿名7番さん(1/1)
英田サキさんの小説で初めて読んだのが、DEAD LOCKでした。アメリカ映画のような展開と描写に、寝不足になりながら読みふけりました。
懐かしい思い出だし、今でも大好きです!