『花は咲くか』『憂鬱な朝』などシリーズものが強いのは何故なのか
今年3月に最終巻が発売された
『花は咲くか』や大正時代が舞台のクラシカルロマン
『憂鬱な朝』、数人の登場人物たちを時間の経過と共に描いた
『シグナル』『嵐のあと』『初恋のあとさき』の三部作とシリーズものに定評のある日高ショーコ先生。
特筆すべきその特徴は、シリーズ3作の全てが1巻の発売から時間の経過した今でも変わらず愛され続けているということ。実際に、こちらの3シリーズは今でもレビューが絶えることなく多くのユーザーの支持を集めています。
今回はそんな日高先生の『シリーズもの』の魅力について迫っていきたいと思います。
日高先生のシリーズもの作品を一言で形容しろと言われたならば、筆者は「まるで映画のような作品」と答えます。それほどまでに、日高先生の創り上げている世界観は素晴らしいの一言に尽きると思います。
どの作品も、メインカップルの行く末はさることながら気が付くと脇役のその後まで気になってしまうほどにキャラクターがしっかりしていて、その群像劇のようなテイストが物語をより一層色鮮やかなものへと導いています。
また、作品の中での時間の経過を感じることができるのも魅力の一つ。物語であればその中で時間が過ぎていくのは当然のことなのですが、日高先生のシリーズもの作品においては作中での登場人物たちの成長や物事の考え方の変化などをより鮮明に感じ取ることができます。
作中で長い時間が経過しているからこそ、「あの出来事があったからこのキャラは今こういう考えに至ったんだな」とキャラの成長を見守ることができるのではないでしょうか。
そして、そうした時間の経過の中で生きている登場人物たち。日高先生の作品に登場するキャラクターたちには、BLによくあるような突飛な設定や性格、特徴を持っている訳ではないからこその立体感が備わっているような気がします。
キャラクターたちの持つ「どこかで本当にこういうことが起こっているんじゃないか」という錯覚を持ってしまうほどのリアリティを日高先生の細やかな筆遣いが後押しすることにより、唯一無二の肉厚な世界観が生まれているといっても過言ではないほど。
最後まで読むと、また最初から読み直したくなる。日高先生のシリーズものは、そんな魅力で溢れています。
コメント8
なりむすさん
LINE漫画のコメント欄ででBLを読んだことがなかった人が「花は咲くか」を読んでハマっていく様子を見るとこっちも嬉しくなります。
蓉ちゃんと桜井さんが初めてキスした回なんかコメント欄がちょっとしたお祭り騒ぎに笑
綺麗な絵とストーリーだから万人に受け入れられるんだろうなぁ
匿名5番さん(1/1)
BLにハマるきっかけが花は咲くかでした。エロは少ないながら容一を見て『これが萌えなのか!!!』と、私も攻めに感情移入してしまったり(笑)
日高さんの作品は絵が綺麗で魅力的なのも好き
匿名4番さん(1/1)
3巻で挫折して売っちゃった、再読して完結まで見とどけたくなっちゃった
匿名2番さん(2/2)
日高さんの作品はストーリーもさることながら、色気が漂う繊細で精巧な絵が好きです。
カラー絵なんか美しすぎてため息もの。
匿名3番さん(1/1)
>「まるで映画のような作品」
「花は咲くか」では登場人物たちの仕草や立ち居振る舞いなど違和感なく背景と馴染んでいてお話の中で生きている、生活している感をすごく感じましたし、あまり生々しくもなくかと言って嘘っぽさもない、いい意味で淡々とした進行…その辺りに綺麗な邦画を見ているように感じたこともありました。脇役たちのその後も気になるところで完結してしまいましたが、蓉一は、絵一本で生きていけるほどの実力はないと自覚しているようなので、将来がちょっと心配ですw
匿名2番さん(1/2)
私もこの記事の筆者さんと同じく、日高先生の作品の魅力の一つは登場人物たちの立体感だと思います。
登場人物たちのお仕事現場や大学での様子がリアルに描かれていて、そのおかげで登場人物たちに厚みが出て実際に存在するかのような錯覚になります。
また、総ホモ化しないというのも私にとって重要で、例えば完結した花は咲くかは続きを読みたいけどスピンオフとして誰かがホモになっちゃうと現実にそんなホモの方はいないよーと冷めてしまうかも。脇役たちにちゃんと奥さんがいたり女の子が好きという描写があるおかげでよりリアリティのある作品になっていると思います。
匿名1番さん(1/1)
日高先生の作品は大好きだけどどこかで本当に起こってるかもとは感じたことないな・・・
キャラに立体感、人間味があるのは確かですが。
BLの褒め言葉(それ以外の物語全般にも言えることですが)に実際にありそうな~とかよく使うけどこの表現、私はしっくりこないんですよねぇ
やっぱりBLのように出来事はそうすんなり事は進まないよ~と考えてしまいます。
よこたさん
このシリーズは日高ショーコ先生の長編2作と比べ、リアリティというのか「嫌な感じ」がまざまざと表現されています。惹きつけられるのだけれど、おススメにはどうなんだろう?と躊躇するというか・・・。お話も絵も精緻を極めています。家にBL本を置いておけない私は、一度手放した紙本を再度購入し、さらに電子書籍でも購入という3度手間をかけております。でも、惜しいとは思っていません。それくらいに「じっくり読める」作品ですよね。
今回の3年過ぎての話題作ランキングについての関連記事はとても面白く読ませていただいております。できれば、すべて網羅してください!好きな作品について語られるのはとても興味深いものです。期待しております。