1
06/16
愛し合うと死ぬ!?オメガバースに続く○○バースまとめ
BLニュースは標準ブラウザ非対応となりました。Google Chromeなど別のブラウザからご覧ください。
2015/06/24 18:26
曖昧だから、確かめたい。それが怪談BL。
「怪談」の名の通り、ホラーや不思議要素の強い幽霊や妖怪などの人外との恋。
6月19日に発売される『怪談BL』は、そんな変わった題材のオール読み切りコミックスだ。
幽霊や妖怪は、その曖昧な存在とは違い、一般的に執着、怨念、今際の想いなどの強い感情が具現化されたものを指す。
正反対のものが危うく形を保っている状態が、人々の興味を引き、呑み込んでいくのだろう。
今回は、そんな人と不思議なモノとが関わるBL作品を5つ集めて紹介する。
『さんかく窓の外側は夜(1)』/ヤマシタトモコ
霊探偵と名助手コンビの話。
強力な霊感体質の助手の身体を媒介にして、霊探偵が除霊を行う。
この作品は、読み進めると泡立つような感覚が全身を通り抜けていく。
特に霊探偵が「見えない手」を使い除霊を行うシーンが群を抜いている。
BLによくある直接的な表現の絡み方は全くないのだが、官能が見えない手で刺激されるのだ。
高層ビルの最上階から、エレベーターで地上まで一気に下りるような感覚を常に体感させられる奇妙な感覚を、どうか味わって欲しい。
『てのひら怪談』/四宮しの
九死に一生の体験と、友人を助ける為に才能を犠牲にした体験から、現世と常世が重なり合う世界に生きることになった2人の主人公。
生者と死者の境界が曖昧なその世界では、ふとした拍子に死者の持つ剥き出しの感情に触れることがある。
その刺激から、自身の内に秘めた仄暗い感情を引き出され、その暗い感情に戸惑ってしまう。
人間が生み出す因果、犠牲、そして欲望が交錯したうえで、自身と向き合い、そこから生まれる愛の話。
『この世 異聞』/鈴木ツタ
病の元凶になっている祟りを、守り神を召喚して祓ってもらおうとするのだが、守り神が全裸という、かなりインパクトが強い登場をする。
ストーリー的には「犬と飼い主」のような、じゃれあいの延長という印象だろう。
病魔を吸い取る為の情事のシーンはあるのだが、異種間だからこその、微妙な噛み合わなさがコミカルさを生んでいる。
人間と人外との感性の差で描ける最上級の愛情表現が、この作品では表されているのではないだろうか。
『眠れる月1』/宮本佳野
一言で表現すると、和風タイムトラベルミステリーロマンス作品。
現在と過去、2人の男が100年の時空を越え、寿命が短い一族の秘密に迫るといった内容だ。
この作品の主人公は、一族が短命の謎を解き明かす為に奔走し、タイムトラベルや霊的なものを視るという経験をする。
余命が短い人間は現世と常世が曖昧になりがちだと聞くが、主人公もそういった人間なのだろう。
人の命が関わるストーリーなので、ファンタジーでもシリアス要素が強い。
物語の設定が複数絡み合っていて、色々な角度から考察する楽しみがある。
『あーちゃんはそばかすっコ』/九重シャム
この作品は、ホラーとは少し違い、怪談BLの要素は比較的薄め。
つい他人と比較してしまいがちな外見的なコンプレックスを題材にした作品だ。
ナルシストな美少年が、女性の外見を批判して、好きな相手にブサイクに見える呪いをかけられる。
プライドが高くて常に上から目線の主人公だが、空回りしてしまう不器用な優しさや、もともとの素直で純粋なキャラクターが魅力だ。
日常生活の中に、さりげなく入ったファンタジー要素が、人間の深みや愛情などを強いものにしていく様を感じられる作品ではないだろうか。
今回は、同じ「怪談BL」の要素でも雰囲気が違った作品を挙げた。
括りの曖昧なこの新ジャンルは、怪談話のように幅広くはっきりとした形がない。
この記事が、特別に好きな一作品を見つける手助けになればと願う。