絶版BL小説が復刻! 『制服の愛人』4/25発売昨年12月の
『ひかげの薔薇』に続き、鹿住槇先生の絶版BL小説が復刻。2002年刊行の『制服の愛人』が、レーベル
「ハーレクイン・ラブシック」から4月25日に発売されます。
死んだ父の遺産相続の際、
父に愛人がいたことが発覚。しかし、女性はすでに他界していて、父の別宅にいたのは彼女の息子である
高校生の優斗で……。そう、彼こそが『制服の愛人』なのです!
このたびは、同作の試し読みと、麻生ミツ晃先生が担当するイラストの一部を入手! ぜひ、お楽しみください!
小説『制服の愛人』著/鹿住槇 画/麻生ミツ晃
<あらすじ>
“親父はどんなふうに君を抱いたんだ? 週に何度?”
遺産相続の際に、死んだ父に愛人がいたことが発覚する。女性は三年前に他界し、父の別宅には高校生の息子、優斗がいるだけだった。 俊之は一目で強く惹かれるが、腹違いの弟への歪んだ想いを認めまいとした。しかし、実は愛人の連れ子と知り、ある疑いを抱き始める。
「なんで親父は、赤の他人と三年も暮らしてたんだ」
優斗の無意識に誘うような眼差し、仄かに香る媚態。まだ子供の身体に夢中になって、父は年甲斐もなく溺れたのではないか、と。妻や息子がいることも忘れて。
彼を欲しくなるのは、そのせいだ。男を知っている彼がいけないんだ。こんな妙な気持ちにさせるのは……。
「君は親父の愛人だったのか」疑惑が確信に変わったとき、俊之は禁忌の扉を開ける。
<試し読み>
【これは嫉妬だ。あんなに嫌いだった親父と、俺は同じことをしてる――】
「……痛い…」
「そんなに強く握ってない」
「潰れちゃうよ…っ」
彼は半泣きの声を出す。
「潰さないさ。……これぐらいでは? 気持ちいいだろう?」
そっと指を動かして、扱いていく。
「…よく…ない…っ、……ぁ…っ」
優斗の息が荒くなっていく。手の中で膨らんでいく感触に、俺はほくそ笑んだ。
「気持ちいいって、言ってごらん」
頑なに彼はかぶりを振った。それなら、とギリギリまで昂らせてから、手を離す。
「…あ……?」
タオルケットをぱっと剥がして、床の上に広げる。身を隠すものがなくなったことに、優斗は慌てて足を閉じようとした。
そこに手をかけて開かせると、ヒクヒクと脈打つものが中心で頭を擡げているのが丸見えになる。
「イキたい?」
彼の内股が微かに震える。赤く変色した痕跡は、昨夜俺がつけたものだ。一つだけではなく、彼の身体のあちこちに俺の残した痕跡が見える。
触れるか触れないかのギリギリの場所を、つっと指先で撫で下ろしただけで、若い彼の身体は反応してきた。
俺は彼の手を取り、息衝く部分へと導いた。
「……あ、の…」
「自分でしてごらん」
「えっ」
「いつもしているように、するんだ。俺にちゃんと見えるように」
信じられない、と彼は目を剥いた。
「そんなことさせて……見て、楽しいのかよ?」
「楽しいよ」
さあ、と急かしたが、優斗は手を動かさない。苦しそうに眉が震え、胸が上下している。
押さえた太腿を軽く握ると、彼は過剰にビクついた。どんな些細な刺激も、今の彼には快感に直結してしまうだろう。
やがて観念したように、彼は自らの欲望に手を添えた。
せめて表情を見られまいと考えたのか、固く目を瞑って顔を伏せる。俺は指で彼の顎を掴み、強引に顔を上げさせた。
朝の光が差し込むリビングルームの明るさと対照的に、行われていることはひどく淫らだった。
「……っ…」
ほんの少しの間を置いただけで、容易く彼は達してしまった。引き締まった腹部に飛び散った白濁とした滴を指で肌に擦りつける。
ぐったりと弛緩する身体を、そのまま隅々まで撫で擦っていく。指で辿ったあとを唇で追いかけ、舌で舐めた。
そうして、すらりと伸びた足を抱えて、彼の体内に身を沈めた。
「う…っ、う――…っ」
苦しそうに優斗は呻いたが、昨夜開いたばかりの身体はまだ柔らかく容易に俺を受け入れた。
押さえつけた華奢な肩が、痙攣するように震える。腰を進めながら、彼のものに手を添えた。
「……やだ…」
子供のように優斗はイヤイヤをしたが、彼が感じていることは直接形となって伝わってくる。
「ん――……ん、助け、て…」
彼の腕が、俺に縋りついてきた。何度も「助けて」とくりかえす唇を塞いで、彼の奥底で想いを遂げる。少し遅れて、彼もまた俺の掌を汚した。これは、父が遺したものの中でもっとも値打ちのあるものだ。
そして俺が一番欲しかった――……。
俺は――狂っているんだろうか。
どうしてこんなことになってしまったんだろう? 先週半ばまでは、まさかこういう状況になるとは夢にも思わなかった。
俺は、彼を食事に誘ったりするだけで楽しかった。〝いいお兄さん〟気分に浸って、満足していた。それが――。
俺は力で彼を征服し、無理に身体を繋いでいる。
愛人だと口では主張しても、彼は俺を望まない。そばにいなければ、すぐにでも逃げ出してしまうだろう。
どうすればいい? これからずっと、彼を手放さずにいるためには。
俺の留守中に、彼はいなくなってしまうのではないかと思った。
縛っていくしかないだろうか――いや、それではあまりに可哀想だ。髪を撫でると、サラリと指の隙間を零れていく。まるで、彼と過ごした時間のようだ。
「また……すんの?」
胸の中で、優斗が呟く。どこかあきらめたような口調だ。もうさんざん俺に抱かれて、今さらどうでもいいと投げやりになっているのかもしれない。
「駄目か?」
「……いいけど。でも……ホント言うと俺、おなか壊しちゃったんだ。冷えるのかと思って、服借りたんだけど……それだけじゃないみたいで…」
「そうなのか? 今も? 痛むか?」
驚いて、聞いてみる。
なぜか彼もびっくりしたように顔を上げ、目を丸くする。
「精神的なものかな。……横になったほうがいいな。夕飯、お粥か雑炊にしてやろうか。……そうだ、たしか腹痛の薬が…」
「い、いいよ。もう平気だから。下痢止まったし、痛いのも治まってるし」
慌てて彼は言い、「でも」とつけ加える。
「あ…のさ、…い……れないで、ほしいんだ」
言葉の途中で、優斗は顔を伏せてしまった。大きめの綿シャツの襟から覗く項が、やけに細く頼りない。片手で捻り潰せてしまえそうだ。
「擦られると、すごく痛いんだ。……お願いします」
「わかった。入れないよ」
抱きしめた肩から、ほうっと力が抜けるのがわかった。これだけ言うのに、ずいぶん緊張していたらしい。――少し可哀想になってくる。
「触るだけならいい?」
宥めるように肩から背中を撫でて、聞いた。
優斗は観念したようすで、小さく頷く。
「キスは?」
答える代わりに、おずおずと顔が上げられる。その顎に指をかけて、唇を軽く吸った。
「舌を出して」
素直に覗いた舌先を、唇で挟む。同じように舌を出して触れあわせると、ピリリと電気が走ったような錯覚が起こった。
「……ふ……――ん…」
甘えるように彼が鼻を鳴らすのを聞きながら、そのまま深く口接ける。口を開かせ、思うさま貪って。飲み込みきれなかった唾液が彼の顎を伝うのを指先で拭い、なおも唇を挟んで、噛んで――。
がくん、と彼の膝から力が抜けた。
凭れかかってくる身体を支え、強く抱いた。
「優斗」
「……力、入んない」
「いい子だな。そのままじっとしてろ」
「…ん……っ、んん…っ」
優斗の身体を壁に押しつけ、立たせたまま身体中を愛撫する。
力が入らないというのはまんざら嘘ではないらしく、彼は何度もずるずると頽れそうになった。
たった三日で、こんなに感じやすくなった――……いや、違う。彼はもともと感じやすかったのだろう。父がそうさせた。
俺が最初に触れたときは頑なに拒むばかりだったが、少しずつ俺にも慣れてきてくれたということか?
「……優斗」
胸の奥から、ドス黒い感情がふつふつと湧いてくる。
「親父も、こんなふうにここを舐めたのか?」
「え…? ――……あ…っ」
「親父にも、そんな声を聞かせたのか?」
彼の中芯を口に含み、舌先で転がした。若い彼の性は、快楽に忠実だ。心では拒んでも、身体は貪欲に快楽を求めようとする。俺に、すべてを委ねようとする。
「……ん、……ぅ、う…っ」
「答えろ。君はここをこうされるのが好きなんだな? 親父にもしてもらったのか? 俺と――どっちがいい?」
頑是ない子供のように、彼はイヤイヤとかぶりを振った。
「言うまで、いかせないよ」
根元をきつく掴んで、快楽を引き留める。優斗は小さく悲鳴を上げて、床へと崩れてしまう。内股が痙攣するように震えて、はだけた胸元が大きく喘いだ。
「優斗」
――これは嫉妬だ。父に対して、俺は猛烈に嫉妬している。
まっさらの優斗にこびりついた父の足跡を消したいばかりに、こうして彼を汚さずにはいられないのだ。
「…おね、がい…っ」
俺の腕を掴んで、彼は懇願する。
零れ落ちた涙を舌で舐め取って、俺は彼に吐精を促した。次の瞬間、生温い液体が掌に迸る。
どうしたらいいんだろう。
愛しくて――殺してしまいそうだ。
――際限なく愛に溺れる硝子の檻のふたり。危ういアダルトラブをぜひご堪能ください。
なお、ハーレクイン・ラブシックは、絶版名作の復刻のほか、海外で「M/M(メールメール)」とカテゴライズされている男同士の恋愛を描く作品を、BL作家による“超訳”で日本の読者に届けています。
4月25日には、今回紹介した鹿住槇先生の小説『制服の愛人』のほか、英田サキ先生“BL超訳”の小説『くぐもったドラム』を発売。BLニュースでは、
後者の試し読み、えすとえむ先生によるイラストの一部も公開中です。
また、
レーベル公式Twitterでは、麻生ミツ晃先生の『制服の愛人』
ラフイラストなどが公開されています。ファンのみなさんはぜひチェックを!
(c)鹿住槇/麻生ミツ晃/ハーレクイン
コメント3
匿名3番さん(1/1)
ハーレクイン・ラブシックシリーズのあらすじ紹介よかったです!
これからもラブシックシリーズの紹介して欲しいです。
コミック派でBL小説は読まないのですが『制服の愛人』買いたくなりました。
イラストも魅力的で素敵です♥♥
匿名2番さん(1/1)
麻生さんの絵って、決して今風じゃないけど、不思議な魅力があって、ひきこまれる。絵をもっと見たいので買いたいです。
匿名1番さん(1/1)
めちゃくちゃおもしろそう。買う。決めた。