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BLアワード コミック部門 BL世界革命編

2015/02/12 11:36

2012年 世界を革命する力を
2012年は王道路線と革新路線の戦いに決着が付き、BLの流れがはっきりした年です。


1位『憂鬱な朝』掲載3年後に仕掛けられた熱狂

この年1位を獲得した『憂鬱な朝4』はいまや王道的な人気を得ていますが、1巻発売当時かなり異色であったことは前回触れました。
シリーズモノでも、準1巻完結スタイルだったセオリーを無視、かつダークな表紙でBLとは異質の印象を受けた1巻。しかし3年後に仕掛けた時限措置が発火したのです。
溜めに溜めた分、それまでの思いの激流が一気に放出されました。BLアワード始まって以来の超熱狂的コメントが連続しました。


2位シュールBL『イベリコ豚と恋と椿。』
『イベリコ豚と恋と椿。』がちるちるのランキング上位に入賞したときの衝撃的は今でもよく覚えています。

内容もギャグはあるけど、シュールでどことなくダークなものです。これまでヒットしたキュンとする王道BL漫画とはかけ離れていました。アーリーレビューアーの評価が非常によかったですが、内容が王道でないので、大衆受けは難しいだろうと勝手に判断していました。しかし春になっても順位は下がりません。
最初は私と同じような感想を持っていたユーザーも不思議に思い読んでみたのでしょう。そうしたら面白い!レビューが次々入ってきたのです。

先行レビューと後発レビューに時間的な経緯を見ると、じっくり半年かけて着実な土台を作った印象です。
これまでわかる人にはわかる!という通な作家として地位を確保していたSHOOWA先生が、いきなり表通りを歩くことに。


3位キモい女装モノ『宇田川町で待っててよ。』
女装といってもまったくきれいじゃない(笑)。男の子が出てくる『宇田川町で待っててよ。』。これまで秀良子先生は『◯◯君と◯◯君』シリーズなどを描き、デビュー間もないながら人気は盤石となりつつありました。そんななかで本作がヒットして、作家人気は不動のものとなったのです。

この作品に出てくる攻め受けはどちらもビジュアルがよいわけでなく、どちらかというとキモい。またかっこいい行動をするわけでもありません。
しかしこれまたセオリーを打ち破り、キャラがイケメンじゃなくてもヒットするということを証明した作品でした。
創刊当時は革新的に思えた掲載誌『onBLUE』の内容に、多数のユーザーがついていくことができるようになったのです。

このような作品ばかりBEST3に入賞するということは、確実にユーザーが求めている内容が変わっていたことを物語っています。


グロで苛烈な作品がヒットする
またアメコミ出身のGuilt|Pleasure先生のIn These Wordsヒットも衝撃的でした。BLアワードでも「痛い」「タブー異色部門」の2部門で1位です。
被虐的なシーンが大半、王道萌えシーンはほとんどなし。この作品の出現で、これまでBLに求められていると思われた「萌え」は、絶対要素ではないことが証明されました。

あまあまエロエロ特化の勝利
その一方でエロとあまあまに特化した『クロネコ彼氏のアソビ方』がジワジワと順位を上げてブレイク!エロエロ部門の1位に!
左京亜也先生も、これまでたくさんの作品をリリースしていましたが、『クロネコ彼氏シリーズ』により超人気作家として地位を確保しました。

◯ベテラン作家の突然のブレイク
◯新人作家への抵抗感の薄れ
◯ビジュアルより、行動とストーリーの真摯な評価

2012年は、これまでのBLセオリーでは考えられなかったことが事件が突然変異のごとく連発して起こった年でした。


2013年 さらなるタブーに挑戦 暴力、ビッチ、グロ、3P


1位『囀る鳥ははばたかない』 3位『NightS』レジェンド・ヨネダ

第3回から投票数が回を追う毎に倍増した「BLアワード」。票数が多くなれば一般的なBLがもっと支持をされるのか思っていたら違いました。
1年前に開いた扉は、もう閉められることはなかったのです。
ヨネダコウ先生がこの年もっともエグい作品『囀る鳥ははばたかない』を出版し、圧倒的支持を受けました。
リアルな暴力シーン、受けがビッチで渾名が「公衆便所」という内容。すさまじいです…。そんな作品が、過去最高票を獲得したのです。
そして3位にもヨネダコウ先生の短篇集『NightS』がランクインです。


2位『花は咲くか4』上位で唯一安心して読める作品はこれだけ
2位に『花は咲くか4』が着実にランクインです。個性派ぞろいの2013年のBEST10の中ではもっとも正統派を感じさせるのが本作というのも驚きです。
『花は咲くかシリーズは、奇抜な展開はなく丁寧な描写で魅せるコミック。第3回BLアワードで5位、第4回で2位という非常に安定感のある作品です。


3位青年漫画との境目スメルズライクグリーンスピリット
4位『スメルズライクグリーンスピリット』これはBLかどうかは判断がわかれる作品で、青年漫画とBLの中間に位置するような絶妙のポジション。とにかく贈られたコメントがすべて熱かったのが印象的。しかもBLとはちがう異質の熱さです。青年漫画として出版してもよかったかもしれませんが、ここまで熱いコメントが還ってくるのはBLというジャンルで語られたからこそではないでしょうか。


5位『チョコストロベリーバニラ』の衝撃 2013年の裏番長
コミック5位、そして異色タブー分野1位になった『チョコストロベリーバニラ』も3Pモノ、暴力、メリーバッドエンドというこれまでの3大タブーに敢然と挑戦しました。『囀る鳥ははばたかない』とともに2013年を象徴する作品であると思います。
いまでこそ3Pモノへの抵抗は薄くなりましたが、発売した当時は地雷を埋めまくった作品で、評価を受けるのにそうとう覚悟がいる作品だったはずです。

しかし『チョコストロベリーバニラ』の埋め込んだ地雷はカバー絵にあるような危険な苺だったようです。狩りにいった腐女子がお腹を壊すか?それとも作品の中毒患者になるのか?判断が真っ二つに別れる作品になりました。
しかしこの作品のヒット前後ではあきらかにBL世界が違ってしまいました。
私にとって『チョコストロベリーバニラ』という作品は、腐女子の興味の深さと業の深さに戦慄した印象深い作品です(笑)。



BLアワードが始まって以来

2009年 2007年から始まったBL革新の継続
2010年 急激な改革への反動からの揺り戻し
2011年 新旧膠着状態
2012年 革新派勝利
2013年 タブーへの積極的挑戦

とBLコミックは年ごとにテーマをもって激動してきました。そして2014年は新人大爆発です。
テーマごとに1年を切り取って見てきましたが、みなさん、いかがでしょうか。BLアワード2015年、ユーザーはいったいどういう判断を下すのでしょうか。



コメント2

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匿名1番さん(1/1)

面白いです、針がゆれ続ける状態は、どんな文化にも必ずあるってことですね。
てことは、あと1,2年したら、萌え系の新たな金字塔みたいなのが生まれて、ベテラン作家のみなさんが大絶賛を受けるような状態が訪れるということでしょうか!……かもしれないですね。

しかしあっち行ったりこっち行ったりがあんまり早いってのも考えものな気が…2,3年のスパンて少し早くないですかね?
いやでもそう古くないジャンルですし、情報も一瞬で拡散できてしまうのですから、別に早いというわけではない…のかな??

しかし思えばわたしも、2014年前半にずっと集めていた痛い・グロい系から、最近はふわふわきゅーんなものばかり読んでいるなと思っておりました。
たぶんこのままエロに突入し、それからまた痛い系に戻ってくるのでしょう…。
……くっ!死角がなくて脱け出せないぜ!!

ファッションでも流行は輪廻転生してるんで、
BLも少しずつ変わりながら輪廻していいと思う。

個人的にはあんまり変わらないんで、
流れがこっちに向くのまちです。

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