精神科医、脳外科医、作業療法士、歯科医、耳鼻咽頭科医…高学歴高収入なエリートが珍しくないBL世界の登場人物達。医師も数多く登場し、専門分野も多岐にわたります。性格も傲慢なタイプから癒やし系まで様々。普段お世話になる事も多い病院には、萌えがいっぱい潜んでいます。今回は、そんな医者モノBLに注目し特集してみました!
精神科医黒い愛情 / 秀香穂里 / 奈良千春 / ラヴァーズ文庫(2007年)
カウンセラーの伏見智紀(受)は友人である瀬戸に言い寄られ強引に押し倒されたところを、同僚のカウンセラー・加藤亮(攻)に助けられる。しかし、立ち寄った加藤の部屋で、脅され関係を持たされてしまった。その後何事もなく働く加藤に苛立ちを募らせる伏見は、帰宅する加藤の後をつけるが、そこで目にしたのは秘密のSMクラブだった。加藤に気付かれていた伏見は、そこで加藤の言葉と快楽に流され、関係を受け入れてしまうが…。
伏見はカウンセラーですが、自分の心のケアはできていません。昔受けた心の傷を忘れることで精神状態を保っていますが、自分が“性欲”に引きずられ我を忘れてしまうことを嫌悪しています。深層心理では支配されることを求めている伏見は、加藤の強引な態度を嫌悪しつつも、いつしかその誘惑に呪縛されてしまう。そして、同じようにトラウマをかかえている加藤もまた、関係に溺れていくのでした。
相手を支配したい加藤と、支配されたい伏見。カウンセラー同士の精神的なSM関係が読み所ですね! インテリ鬼畜攻がお好きな方にオススメします。
脳外科医&作業療法士復讐は闇の果てに / 矢城米花 / 笠井あゆみ / 花丸文庫BLACK(2012年)
たちの悪い入院患者に襲われた作業療法士の渡会篠(受)を助けたのは、院内で気難しく怖いと評判の脳外科医・苅谷(攻)。関わり合いになったからには最後まで面倒を見ると言われ、篠は苅谷の自宅にしばらく保護される事になるが、篠は次第に苅谷の不穏な動きに気付き始める。しかしその毒牙からは逃げられず、本性を現した苅谷に犯され、苅谷の過激な要求を受け入れざるを得なくなってしまい…。
BL本の中で医師という職業は傲慢なタイプが多そうですが、特にその傾向が強いように感じるのが外科医。無理矢理の関係から始まるこの作品の攻・苅谷も、傲慢で鬼畜な性格……と思いきや、意外にも序盤から隙が見え隠れしています。篠はそんな苅谷の言動に違和感を抱き、酷い事をされながらも、次第に苅谷の考えている事が気になるようになっていく。その背景には何があるのか? その過去を知ると、苅谷の不器用さ、人間くささが愛おしくなってきます。
そして、そんな内面の変化がある一方で、苅谷の行為は大暴走! 苅谷の執着&変態性が遺憾なく発揮されています。それに応えている篠のドMっぷりも存分に楽しめる充実の内容。笠井先生の挿絵も素敵!
鬼畜で変態なプレイの数々と、その裏にある切ない事情。傲慢な外科医の内面を覗いてみませんか?
歯科医歯科医の憂鬱 / 榎田尤利 / 高久尚子 / Chara文庫(2005年)
板金工の新城穂高(攻)は近所の歯医者「藤井沢歯科」に通い始めた。仕事に厳しい歯科医・三和悠紀生(受)の治療に穂高は怖じ気づくが、院外で出会った三和は、歯科医の三和と気づかないくらいに別人だった。白衣を脱ぐと、笑顔を絶やさず怒る事もない。厳しい三和と頼りない三和、そんな二重人格な三和から、穂高は目が離せなくなり…。
歯科医と患者のラブストーリー。徐々に三和に惹かれていく穂高ですが、三和の友人・大島を巡ってケンカしてしまいます。昔大島の事が好きだった三和は借金の要求を断れずにいて、そんな三和に穂高はイライラし責めてしまう。もちろんその背景にあるのは嫉妬心。ふたりは互いに気持ちを自覚するようになり、関係が変化していきます。穏やかで人の良すぎる三和と、不器用な穂高。タイプは違ってもお互いによい影響を与えているのが感じられて、心地よい読後感の作品です。
行くとどうしても不安と恐怖がわき上がってしまう、なんて人も少なくないであろう歯科。この作品を読めば、苦手意識を萌えに変える事が出来るかも?
耳鼻咽頭科医茨木さんと京橋君 (1,2巻、以降別シリーズと合同続編) / 椹野道流 / 草間さかえ / シャレード文庫(2008年)
K医科大学付属病院の耳鼻咽喉科の医師として働く京橋珪一郎(受)は、一年のアメリカ留学から帰ってきたばかり。お世話になったおばちゃんに挨拶をしようと売店に立ち寄ると、そこには見知らぬアルバイトらしき男性が。その男・茨木畔(攻)は、腰を痛めたおばちゃんの代わりに入ったのだと言う。明るく親切な茨木に会うことが忙しい日常の中で癒しになっていった京橋だが、ある日、夜の待合室で泣いている茨木に出会い…。
ふとした切っ掛けから、茨木に自分の生い立ちや、医者を目指すことになった経緯を話すことになった京橋。両親の不幸など、知り合ったばかりの人に聞かせるには少し重い話をしてしまい、京橋は照れ隠しで最後は軽い調子で締めくくろうとするのですが、ここで茨木は躊躇いながらも京橋の頭を撫でるという行動に出ます。吃驚しながらも京橋の心は慰められ、そこから気持ちが変化し始める…。
ベタではありますが、些細なスキンシップから心が動く展開は自然でいいですね。褒められるためにやっている訳じゃなくても、頑張っていることを認められるのはやっぱり嬉しい。茨木は基本的に優しく包容力がある世話焼き体質なので、仕事の忙しいお医者さんの恋人にピッタリですね! 作品全体が穏やかな雰囲気で癒されます。
花粉症などでお世話になる機会も多い耳鼻科の先生がこんな可愛い人だったら…妄想が膨らみますね!
ちなみに、ご自身も資格をお持ちの
椹野道流先生のBL作品には、医者モノが多くあります。そして、同じK大学付属病院が舞台になっているシリーズがいくつもあるので、医師カップル同士の交流も楽しむ事が出来ますよ!
記者:
にゃんこ
コメント1
クズの極みさん
なんで医者ってだけで萌えるんだろう。
制服の力って不思議だわ