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異論は認めません!? 私のイチオシはこれ!59

2014/01/16 00:00

新刊の中から、話題になっている作品、私のオススメ作品などをピックアップして紹介します。視点は少々(いや相当?)偏っていることもありますので、ご注意くださいませ?。
今回は2013年12月の新刊から、今後の展開が気になるシリーズを2作品紹介します。

■バグ / 夜光花 / 湖水きよ / Chara文庫

 警視庁捜査一課の刑事・比留間七生は、街中で何故か嫌悪を感じる人とすれ違う事が時々ある。その人物たちは後日失踪するという共通点に気付いた七生だが、何が出来るわけでもなく、ひとりもどかしい気持ちを抱えていた。そんな中、現場には大量の血液だけが残り遺体が見つからない連続殺人事件が起こり、特別捜査官・水雲と顔を合わせるように。偶然録画されていた映像の中で飛び回る謎の黒い物体を見た七生は、事件に隠された真実と自分の能力を知り、水雲と共に戦う事になるのだが…。

 という、現代日本を舞台にしたファンタジーで、シリーズ1作目。七生は事件を追う内に「蟲」の存在を知る事になります。人間の内臓に寄生し、10日ほど経つと身体を食い破って外に出て、次の宿主に寄生する「蟲」。その存在は一部の人間しか知らず、水雲をはじめとした特殊な能力を持つ新枦一族が代々退治しているのですが、根本的な解決策はありません。七生が感じていた嫌悪は「蟲」と関係していて、七生のこの能力があれば大きく事態が動かせるかもしれないと考えた水雲は七生に仲間になる事を求めるのですが、元々極度の虫嫌いな七生にとっては苦痛で、そう簡単に受け入れられない。でも、人が死ぬのを黙って見過ごすことも出来ない七生は、結果的に水雲を助ける事となり、秘めていた能力が明らかになっていきます。
 次々といろいろな事が明らかになっていく展開が面白い!「蟲」やそれと戦っている新枦一族の設定、七生や水雲の能力。徐々に見えてくる世界観にワクワクさせられます。「蟲」が宿主を食らい寄生していった結果、世間的には連続殺人事件に見えていたのかと思ったら、そこにも事件が隠されていたり。シリーズ1作目なのでまだ序盤というところですが、しっかり心を掴む内容でした。

 キャラも個性があって魅力的。水雲は生まれた家が家で、特別な能力も持っている事もあって性格にはいろいろと問題がありますが、人間相手にはそれなりに常識ある態度を取れるので変人というほどではない。恋愛感情になるとちょっと思考に飛躍があるけれど、持って生まれた能力のことを考えるとそれも仕方がないかなと思うし、意外とそこがかわいかったりします。一方の七生は、虫に対する拒否反応は極端だけど、ぱっと見は爽やか好青年っぽい印象で、27歳社会人という年齢相応の雰囲気。特別熱血でも、卑屈でもなく、性格的には割と普通です。生まれた時からいない父親が誰なのかが今後展開に大きく関わってきそうな気配で、七生に関してはまだこれから奥が見えてきそうですね。

 そして、普通そうに見えた七生のエロスイッチ! 水雲が七生にアプローチをかけていても恋愛にはまだまだ発展しそうになかったふたりがどう接近するのかと思ったら! スイッチがはいって欲情している七生と、それに戸惑いながらも翻弄されていく水雲のエッチシーンがとても美味しい。七生のギャップが萌えポイントです。

 ということで、夜光花先生の新シリーズが始まりました。面白い! この先の展開が気になります! 恋愛面もまだまだこれからなので、どう動くのか楽しみなシリーズ作品です。

■兄弟 -冬- / 丸木文華 / アズノベルズ

 弟であり恋人でもある涼司と一緒に暮らし、幸せな日々を送っていた悠。しかしある日、涼司が事故で記憶を失ってしまった。自分が売れっ子芸能人である事も悠が兄である事も分からず、ゲイを毛嫌いする言動をする涼司に、悠はふたりの関係を打ち明けられない。ショックを受けながらもこれを機に歪んだ関係を正すべきだと考えるようになった悠は、同僚に女性を紹介して貰い、付き合うように。そんな悠に、涼司は不信感を募らせていくのだが…。

 こちらは、新シリーズではなく、「兄弟」シリーズ第三弾作品。
 紆余曲折を経て涼司と恋人同士になり、愛される事に幸せを感じていたけれど、その一方で兄弟という関係に罪悪感を持ち続けていた悠は、これを機に離れた方がいいのだと思うように。でも、悠は女性と付き合うようになり、これで正しい関係に戻れるかと思っていますが、それを見た涼司はモヤモヤした気持ちを募らせていく。それが「兄は自分の事が好きだったのではないか」という結論に行き着き、涼司は悠を問い詰めるのですが、その裏には涼司自身処理しきれない感情が渦巻いています。
 このふたり、一見すると涼司が一方的に悠に執着して強引に歪んだ関係に引き込んだように見えますが、実際は悠も相当涼司に執着しています。いつもはその熱で悠を引っ張っている涼司が記憶喪失になり関係が一旦リセットされた事で、悠が自分の中の執着を改めて自覚し、涼司と生きていく覚悟を決めるという展開でした。記憶喪失展開としては王道で、残った方が相手の事を考えて健気に身を引くという流れも珍しくないと思うのですが、読み終わってみて悠に感じるのは「健気さ」というより「狂気」。すっかり忘れていましたが、そういえば悠もかなりの執着男でしたね。悠は弱そうな外見と言動の割に、その被虐性で無自覚のうちに相手を取り込んでいるのです。悠のそんな性質と涼司に対する執着が、涼司を暴走させている。そう思うと、振り回されているのは悠じゃなく涼司であって、今回の事件で逃げるチャンスを逃したのは悠じゃなく涼司でした…。

 2冊目の「夏」から5年以上経っているのでまさか続編が出るとは思いもよらずびっくりですが、それだけ人気があったということですね! ふたりの濃厚な執着を存分に感じられる1冊でした。ふたりの間で繰り返されるドロドロとした執着劇が、この作品の魅力ですね。さらに続編がある事を期待しています!

 萌えエロは疲れた時の癒し。
 今年もよい萌えエロに出会える事を願っています!

紹介者プロフィール:にゃんこ
長い冬眠期間を経て数年前に復活。内容はもちろん大切。でも萌えるHも大好物! 心躍る萌えを求め、腐海を彷徨う流浪の腐女子。 小説&コミックスを中心に、BLCD、BLゲームなども含めた感想をブログで書いていますので、そちらもよろしくお願いします! http://macnyanko.blog22.fc2.com/

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