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異論は認めません!? 私のイチオシはこれ!57

2013/11/18 00:00

新刊の中から、話題になっている作品、私のオススメ作品などをピックアップして紹介します。視点は少々(いや相当?)偏っていることもありますので、ご注意くださいませ?。
今回は2013年10月に100冊記念本が出た榎田先生に注目!

■交渉人は休めない?榎田尤利100冊記念特別版? / 榎田尤利 / 奈良千春・他 / SHYノベルズ

 鵜沢の事件が解決し臨時収入が入った芽吹は、七五三野のアドバイスもあり事務所のメンバーで慰安旅行に行くことに。兵頭にも内緒で、沖縄の離島・宮乃島のホテルでゆっくりとすごそうと思っていた芽吹だったが、そこでダイビングインストラクターとして現れた昔の彼女・美帆と10年ぶりに再会する。美帆の恋人であるホテルのオーナーに依頼され、隣にある大型リゾートホテルとのトラブルを調べる事になったのだが…。

 榎田先生の100冊記念という事で、大人気の交渉人シリーズが帰ってきました! シリーズ最終巻「交渉人は愛される」の後、休暇で訪れた沖縄を舞台にした話。芽吹と兵頭の関係はその後うまくいっているかと思いきや、お互いに忙しく会えない時間が多いために喧嘩が続いてしまっているふたり。喧嘩中だった芽吹は兵頭に何も言わず沖縄に向かいますが、当然兵頭はそんな芽吹を放っておくわけがなく…兵頭も部下を引き連れ沖縄に。でもやっぱり口喧嘩になってしまい、リゾート地に来てもなかなか素直にいちゃつけないふたりなのでした。一方、依頼の方は思いがけず大きな事件に発展していき、芽吹だけでなく兵頭も巻き込んで、思いがけない真相に辿り着きます。
 今回芽吹と兵頭の間の問題はシリアスなものではありません。好き合っているのは分かっていても、それぞれ忙しく働いているのでなかなか会えないうえに、ふたりとも素直に甘えるタイプではないので、喧嘩するのは当然の成り行き。時間が経てばそのうち解決するものだったのでしょうが、沖縄という日常から離れた場所でトラブルに巻き込まれた事で、ふたりは意地や不満をうまく吐き出す事が出来ます。最後はしっかりラブッとしていて一安心。ふたりの関係がまた一歩進み、きっとこれからも一緒に歩いていくのだろうなと思えるラストに、顔がにやけること間違いなし!

 100冊記念と言うことで、別冊本が同梱されています。収録されているのは、榎田先生による各作品へのコメント、絵師さんからのコメントやショート漫画と、そしてアンケート上位3作品(魚住くんシリーズ、「犬ほど素敵な商売はない」、ラブ&トラストシリーズ)の書き下ろし番外編。「交渉人は休まない」の舞台になっていた沖縄・宮乃島にやってきた男女のカップルが、3作品に登場するカップルたちと出会い交流する形で話は進み、最終的には魚住と久留米が話を〆めています。各作品のコメント読むとその作品を読んだ当時を思い出し懐かしくなりますね! 絵師さんのイラストも豪華です!

 榎田先生、新装版やコミカライズを除いた刊行数がこの交渉人特別編で100冊(榎田ユウリ名義の非BL含む)という事で、おめでとうございます! たくさんのワクワクありがとうございました! これからも先生の作品を楽しみにしています。

 今回は、記念の番外編にも登場したこちらの作品を併せて紹介します。

■犬ほど素敵な商売はない / 榎田尤利 / 志水ゆき / SHYノベルズ(2006年)

 ホストの三浦倖生は、すでに親も他界し、刹那的な毎日を送っている。そんなある日、会員制のデートクラブ『Pet Lovers』から轡田の屋敷に派遣される。『犬』になることを要求する轡田に戸惑う倖生だが、次第にその関係に溺れていくのだが…。

 倖生と轡田。愛に飢えている二人は、『犬』と『飼い主』という主従関係によってそれを満たそうとしています。歪んだ形であろうと、その関係でいれば、愛すること、愛されることに疑問を持つ必要がない。そこには無条件に信頼関係が成立しているから。プラトニックなSMといった感じでしょうか。求めること、求められることに安心するが、肉体関係はない。でも、この関係には徐々に無理が生じてきます。ふたりとも、自分に、そして相手に向き合うことが出来ず、そこから目を逸らすために偽りの形に依存しているから。
 肉体関係を持ってしまったとき、危機感を感じた轡田は、倖生との関係を切ります。そうして距離を置いたことで、倖生はようやく自分に向き合い気付きます。犬となって得られる幸福で、一時の安心は得られる。しかし、それは本当の幸せではない。『犬』としてではなく、『倖生』として愛されなければ意味がない。自分が『飼い主』としてではなく、轡田という人間が好きなのだと。
 轡田には、自分の度を超えた執着によって、悲惨な形で恋人と別れた過去があり、自分の独占欲が相手を追いつめることを轡田は分かっています。好きだからこそ、倖生との関係を自分から絶つ。結果として、昔の恋人である高見の力もあり、二人はお互いの気持ちを知ることとなるのでした。

 一見軽めですが、中身は結構シリアスな話です。言葉が胸に刺さる。かなり特異な設定なのにもかかわらず、しっかりした文章で違和感を感じさせません。榎田先生の文章力があればこその説得力。「調教」ネタは数あれど、エロ無しでここまでもっていく作家さんはなかなかいないのではないでしょうか。コメディもシリアスもあり、榎田先生の作品はバラエティに富んでいますね。シリーズになっているので、そちらも併せてどうぞ!

紹介者プロフィール:にゃんこ
長い冬眠期間を経て数年前に復活。内容はもちろん大切。でも萌えるHも大好物! 心躍る萌えを求め、腐海を彷徨う流浪の腐女子。 小説&コミックスを中心に、BLCD、BLゲームなども含めた感想をブログで書いていますので、そちらもよろしくお願いします! http://macnyanko.blog22.fc2.com/

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