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異論は認めません!? 私のイチオシはこれ!55

2013/09/13 00:00

新刊の中から、話題になっている作品、私のオススメ作品などをピックアップして紹介します。視点は少々(いや相当?)偏っていることもありますので、ご注意くださいませ?。
今回は2013年8月に完結した、こちらのシリーズを紹介します。

■花シリーズ全6冊/夜光花/水名瀬雅良/SHYノベルス

 花シリーズは本編3作、スピンオフ3作から成り、全3カップル登場しています。まずはメインカップル・尚吾×誠の話であるシリーズ本編「堕ちる花」「姦淫の花」「闇の花」3作品。

 大学生の磯谷誠は、過疎化の進んでいる鬼沢村という場所で育った。先に上京していた6歳上の義母兄・尚吾に誘われ、東京の高校に進学してからはずっと村から離れた生活を送っていたが、ある事件によって村が秘密裏に栽培していた幻覚植物「鬼喰い草」の存在を知ることに。そして、その事件を切っ掛けに尚吾の想いを知り、誠もまた兄の尚吾に惹かれ、ふたりは恋人同士として一緒に生活するようになった。しかし、鬼喰い草の事件は終わってはおらず…。

 事件の舞台は鬼沢村という閉鎖的な山奥の村。龍神が人を喰うと伝わる二鬼山の鬼喰い沼で、誠は子供の頃にある事件に遭っています。事件の時一緒にいた幼なじみのひとりが亡くなった事をきっかけに村の秘密を知ってしまった誠は、兄の尚吾と共に村の暗部に足を踏み入れていく。そうした中で、誠は尚吾が秘めていた想いを知り、自らも兄に惹かれていた事を自覚するように。事件の裏に隠されていたふたりの生い立ちや、鬼沢村が抱えていた忌まわしい過去が明らかとなっていく中で、誠と尚吾の関係も深くなっていきます。このシリーズでは血縁関係が重要なポイントとなっていて、誠と尚吾も異母兄弟。それに絡み、事件自体も血生臭くドロドロとした展開をしていきますが、それと同時にふたりの関係も濃厚なものとなっていく。次第に激しくなる尚吾の執着と、それを受け入れる誠の関係が作品の読み所! 1作目の段階で既に恋人同士にはなっていますが、その後のふたりが再び向き合うこととなる村の因習に加え、誠が本当の意味で尚吾を受け入れる過程がしっかり掘り下げられているので読み応えがあります。

 過剰な執着は当然肉体関係にも及び、ふたりのエッチがどんどん濃厚になっていくのも美味しいポイントです! 度を超した尚吾の行為に誠が泣かされていますが、読み進めるうちに、この関係が尚吾の一方的な暴走ではなく、お互いに求め合っているのだと分かってきます。肉体関係以外でも、過去の事も含めひとりでは重くなりがちな尚吾に対し、無邪気な誠はピッタリ。常識から外れていようとも、このふたりにはこの関係しかありえないと感じられる内容でした。

 次にスピンオフカップル1組目である衛×泰正の「鬼花異聞」「神花異聞」の2作品。

 実家でみかん作りを手伝っている三門泰正。25歳になる泰正だが、精神年齢は幼いまま。実家を離れ、東京で働きながら小説を書いている弟の衛は優しいが、いつまで経っても半人前にしか扱われない事を、泰正はもどかしく思っていた。山が好きでいつも走り回り山にいる不思議な人たちと親しくしていた泰正は、ある日現れた首なし男に「首を探してくれ」と頼まれ…。

 このふたりの実家があるのは、本編の舞台となった鬼沢村の隣にある神谷村で、ふたつの村の間に泰正が遊び場にしている二鬼山があります。
 7歳の時失踪で何もかも記憶をなくし、別人のように変わってしまった泰正。ひとつ年下の弟・衛はそんな泰正の変化を間近で見ていて、自分が守らなきゃという気持ちがどんどん膨らみ、兄に対して行きすぎた執着心を持つように。悶々と兄への執着を抑え込んできた弟は耐えきれず実家を離れますが、そんな弟の気持ちに泰正は全く気付いていないので、無防備な姿をさらしたり、好き(家族愛)だと言ったり、振り回しまくり。そんな中、二鬼山で泰正を助けようとした衛は鬼喰い草に惑わされ、泰正との肉体関係に溺れていきますが、泰正はそんな衛を拒まないかわりに気持ちを返してはくれません。一方通行の感情に苦しむ衛と、家族の関係が壊れる事に怯える泰正。ふたりの感情の変化に、二鬼山で起こる事件が絡んでいきます。
 花シリーズの番外ですが、泰正に妖怪的な人ならざる者が見える能力があったりと、本編の雰囲気とは少し異なります。閉鎖的な鬼沢村に対して、二鬼山に関わっていても神谷村は穏やかな空気が流れている。そうした舞台の違いと泰正の明るいキャラクターが、衛の執着や事件の背景にあるドロドロした要素を相殺していました。

 そしてシリーズの最後は、スピンオフのもうひと組・幸司×将の話である「かくりよの花」。

 東京の出版社で編集の仕事をしている長峰将。児童養護施設で育った将は、同じ施設にいた幸司と共に今は霊能者として活躍している養母に引き取られ、兄弟として育つ。血の繋がりはないが、昔から霊感の強い体質だった将にとって、幸司は一緒にいると安心出来る大切な存在だった。しかしある時期から、将は幸司から距離を取るように。その後社会人となり、多忙な日々を送るようになった幸司とは会う機会も減っていたが、鬼沢村をめぐって関係に変化が訪れ…。

 将は前作で衛の担当編集者として登場していましたが、鬼沢村や神谷村とは関係ない一般人であるにも関わらず、かなり出張っているキャラでした。将自身の特殊能力に加え、鬼沢村と繋がりのある弟の幸司との関係など、実はいろいろ抱えていると知って、その存在感に納得です。
 幸司の生い立ちを探った事で、鬼沢村の忌まわしい過去や、鬼喰い沼に沈む数多くの死者たちの存在が明らかとなり、閉鎖的な鬼沢村で事件が起こります。将と幸司はお互いに必要とし、求め合っていますが、「兄弟」の関係以上にはなっていません。しかし鬼喰い草によってふたりは心に秘めていた問題に向き合わざるを得なくなります。
 再び舞台は神谷村から鬼沢村に中心が移り、鬼喰い草に絡んだ話。泰正の登場で少し脱線していた流れが、シリーズ本編に戻っています。恋愛面は少し薄めですが、シリーズ最終巻として納得出来る内容でした。

 シリーズ通して全カップル兄弟で執着という設定でしたが、それぞれに個性があり、萌えもたっぷりで美味しい内容となっています。閉鎖的な村で起こる忌まわしい事件、という要素がさらに雰囲気を盛り上げていました。時系列的にスピンオフは本編の中盤?終盤にかけての話で、本編のその後ではなく、補足的な内容となっています。未読の方は発売順に本編からどうぞ。兄弟モノ、執着モノがお好きな方にオススメ!

紹介者プロフィール:にゃんこ
長い冬眠期間を経て数年前に復活。内容はもちろん大切。でも萌えるHも大好物! 心躍る萌えを求め、腐海を彷徨う流浪の腐女子。 小説&コミックスを中心に、BLCD、BLゲームなども含めた感想をブログで書いていますので、そちらもよろしくお願いします! http://macnyanko.blog22.fc2.com/

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