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このおどろおどろしい雰囲気がたまらないんだよね

「ゲ謎」こと某妖怪映画が話題となり、「因習村BL」が盛り上がっていますね！

「因習村」とは、その地特有の呪いや謎めいた因習、忌まわしい確執が蔓延った閉鎖的なコミュニティを指すミームのようです。
そんな「因習村」でももちろんBLは芽生えます。やはりサスペンス調の物語が多く、その吊り橋効果で(？)アツいBLやブロマンスが生まれるのです！

今回はそんなミステリアスさに溢れた「因習村BL」(一部非BLレーベル含む)コミックス6作品をご紹介します！

◆目次◆
1．警察官と美しき神職が謎に挑む『こまどりは、夜の帳』
2．マニアックで文学的なエロス『青い春を売る教室』
3．人魚×人間、とある村での異種族間の情事『山向海噺』
4．ドロドロすぎる名家の淫靡な秘密『蟷螂の檻』
5．悪神の快楽に溺れるエロ×ホラー『蜘蛛神さまのΩ』
6．ある日親友と入れ替わった化け物の謎『光が死んだ夏』

1．警察官と美しき神職が謎に挑む

2．マニアックで文学的なエロス

『青い春を売る教室』作：yoha

あらすじ
限界集落における学校というコミュニティを存続させるべく、土地で生まれ育った学生たちが取った行動とは……？ 失われゆく日本の原風景と土地に暮らす人々をおおらかに描くエロスの叙情派詩人“yoha”が送るオムニバス作品集。

ポイント
オカルト系の怖さの因習村モノもありますが、こちらは「人間怖い」タイプの因習村かもしれません。人口が減り学校の存続が危ぶまれる地で、学生たちが外部の大人たちに対して体を売ることでスポンサーを得ようとしているというおぞましい実態が。

魅力的で個性的なキャラクターたちがたくさん登場。閉鎖的なコミュニティの中で、生徒同士のみならず村医者と一生徒、兄弟など、あらゆる矢印が交錯し合います。陰鬱ながら、モノローグなどからどこか文学的な雰囲気が漂う本作。

モブ攻めだったり、3Pや飲尿などマニアックなシチュエーションやプレイも多いため、普通のBLでは刺激が足りないな……という方には全力でオススメです！

3．人魚×人間、とある村での異種族間の情事

『山向海噺』作：平眞ミツナガ

あらすじ
小さな村で孤独に生活する青年・テツには誰にも言えない秘密があった。きっかけは狐狸や鬼、大蛇などと交わる女が描かれた一枚の絵。その絵を見た日からバケモノとまぐわうことを望み、自慰に耽るようになってしまったのだ。ある日、村長から洞窟の奥にある牢の看守を命じられたテツ。そこにいたのは、この世のものとは思えない美しき人魚だったーー。見た目とは裏腹に自由奔放な彼は“暇つぶしに付き合ってくれれば望みをなんでも叶えてやる”と誘惑してくるようになり、テツの心は好奇心と欲にゆらぎはじめる。

ポイント
江戸時代がモデルと思われる時代設定で、ある村で生活する青年・テツ。子供の頃に見た光景をきっかけに、人ならざる者に犯される妄想に取り憑かれたテツでしたが、ある時村に髪や目の色素が薄い、その地では見慣れない風貌の男が捉えられ、その男の監視をすることに。

男は実は人魚で、村人たちが彼を捉えて牢に入れているのにも訳がある模様。テツの過去や、村人たちとの関係、そして謎の人魚？男の正体と、徐々にミステリアスな部分が明らかになっていくサスペンス要素がGOOD。

人魚といえば「煮付けBL」なるものも話題になりましたが、人の姿での交わりと人魚姿での交わり、両方楽しめるというお得の品となっております。海の哺乳類みたいな感じで、刀を収納しているんですね……♪

4．ドロドロすぎる名家の淫靡な秘密

『蟷螂の檻』作：彩景でりこ

あらすじ
孤独な御曹司に植え付けられた快楽。地方名家・當間家の跡取りとして厳しく育てられてきた育郎(いくろう)は、座敷牢に匿われる妾腹の兄・蘭蔵(らんぞう)に父の関心のすべてを奪われていた。辛くとも気丈に振舞う育郎だったが、そのそばには、常に一人の男がいた。典彦(のりひこ)。育郎が幼い頃から仕える年上の使用人である。典彦は、孤独な育郎を蛇のように愛でた。深い口づけを教え、性処理とうそぶきながら股を開かせ、その長い指で尻を抉った。そうして育郎に快楽の種を植え付け体をいやらしく変えていった。そして数年後、事態は一変する。當間家当主が死に、育郎が次代を継ぐ時が来て――!?

ポイント
一族の確執モノなので、ゲ謎が刺さった方はきっと刺さるはず！ 昭和の地方のとある名家を舞台にした大人気シリーズです。
當間家の育郎は跡取りとして相応しい人間になれるよう自分を抑えて生きてきましたが、座敷牢に閉じ込められて育った蘭蔵という兄がおり、父の死後その兄が財産を相続するという衝撃展開に。

自分には与えられなかった父の愛を一身に受け、一方で自分に天真爛漫な愛情を向ける蘭蔵に対し、複雑な感情を抱く育郎。
そこに、抗い難い快楽を与えてくる使用人・典彦、蘭蔵に思いを寄せる男、そして育郎の嫁として當間家に入ったさち子と、個性的なキャラクターたちが繰り広げる愛憎劇。このさち子さんがまた気丈な女性で、応援したくなるんですよね。

ドロドロにこじれ崩壊していく華麗なる一族、身分の違いを超えて身も心も求め合う育郎と典彦の関係の行方は……とページをめくる手が止まらない極上のサスペンスです。

5．悪神の快楽に溺れるエロ×ホラー

『蜘蛛神さまのΩ』作：山冨

あらすじ
大きな「秘密」のある田舎町。3年生、最後の夏休み。Ωの光（ひかる）は同級生たちと旅行に出かける。行き先は光の祖父が住む海辺の町。かつては光もそこで暮らしていたが、上京以来、親から田舎へ帰ることを禁じられていた。決して帰ってはならない――、光はその意味を知ることになる。

ポイント
「オメガバース×ホラー」という設定が新鮮な作品。「18歳になるまで帰ってはならない」と言い付けられている故郷に、一体どんないわれがあるのかわからないまま、こっそり帰ってその地を踏んでしまうΩの光。何事もないと思いきや、ふと何者かの声が聞こえて気を失い、目が覚めたら全裸で拘束されているという状態でした。

実はその地には蜘蛛神という神様がいて、その神と融合したα一族の元に嫁ぐΩは帰ってくることはない……という慣例があり、光は過去にその生き神にみそめられてしまっていたのです。

αの「蜘蛛神さま」に抱かれると発情による強すぎる快楽にドロドロに溺れさせられてしまう光。恐ろしいのに、目を剥いてしまうほど感じさせられてしまう、まさにエロティックホラーです。
光が思いを寄せるαの友人・綱平との関係がどうなっていくかも見所！

6．ある日親友と入れ替わった化け物の謎

『光が死んだ夏』作：モクモクれん

あらすじ
ある集落で暮らす少年、よしきと光。同い年の2人はずっと一緒に育ってきた。しかしある日、よしきが光だと思っていたものは別のナニカにすり替わっていたことに確信を持ってしまう。それでも、一緒にいたい。友人の姿をしたナニカとの、いつも通りの日々が始まる。時を同じくして、集落では様々な事件が起こっていき――。新進気鋭の作家・モクモクれんが描く、未知のナニカへ堕ちていく物語、開幕。

ポイント
最後はこちら！ 非BLレーベルからの刊行作品ですが、因習村BLのエッセンスが丸ごと詰まった作品なのでご紹介します。

親友の光がある日体を何者かに乗っ取られていると気づいたよしきが、光の正体を探っていく、というお話。
この光の体を介した化け物との触れ合い、体の中に(どこに!?)手を突っ込むシーンなどがなんともエロティックなんですね……。また、光の中に入った「ナニカ」は光のよしきに対する感情を一部引き継いでおり、よしきと光がお互いに抱いていた感情は友情と呼ぶには濃すぎて、でもこの「ナニカ」は光ではなくて……とやりきれない気持ちになります。

よしきもまた、これは本物の光ではないのか、本物の光はどこへ行ってしまったのか、と葛藤するのですが、その様子が切ないです。
画力が高い故に怪異の描写がリアルで、ストーリーも集落の怪事件が絡んでくるガチガチのホラー！ まだ連載中で、続きが気になります!!

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いかがでしたでしょうか？ 地方一族や、小さな土着コミュニティで繰り広げられる確執や呪いの物語は徐々に謎が明らかになっていくハラハラドキドキ感があり、どうしても惹かれずにはいられません。気になった作品があったらぜひ、チェックしてみてくださいね！

担当記者：廣井無名 完全には幸せになれない作品、CPが好き。キーワードは死ネタ、愛のないSM、流血、狂気、宗教、叶わない恋など。