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手を繋いで散った悲痛な愛――映画『シチリア・サマー』は美しく残酷な“リアル”だった

2023/11/20 18:00

時代に流され幕を閉じた愛に息を吹き込む

 

 

イタリア本国で爆発的なヒットとなった『シチリア・サマー』が、ついに日本語上陸! 2023年11月23日(木)に劇場公開がスタートします。

1980年にイタリアで実際に起きた痛ましい事件をモチーフとした本作。
W杯に湧く1982年のシチリアへと舞台を再設定し、時代に押し流された少年同士の美しくも苦しい愛を描きます。

 


予告の時点でハッピーエンドではないことがはっきり分かる……。
映像美と温かい2人の愛に悶えながら、「間違った愛なんてあるのか」ということについて深く考えさせられる作品でした。

心に突き刺さる青春と愛の物語を、一足先に試写を拝見した筆者がレポート!
ネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください!

◆目次◆
1.孤独なジャンニと愛に包まれたニーノの青春が交差
2.2人の苦しみを鮮明に訴える、リアルで美しいシチリアの風景
3.家族の愛が過酷な試練に……歪な社会が2人を阻む
4.間違った愛なんてない

 

 

 

1982年、シチリアの街中。バイク整備工場で働くジャンニは、友人たちに絶えず嫌がらせを受けています。

その理由は「ゲイである」ということが周囲に知られたから。同性愛を極端に嫌悪する、当時の空気感が表れていますね。
ある人からは嘲られ、ある人からは無理やり迫られ……。

施設からもらわれたという境遇も重なり、家にも居場所のないジャンニの深い疲れや諦めの表情に胸が痛みます。

 


一方、シチリアの田舎町。花火師の息子であるニーノの家庭は愛でいっぱいです。
両親と兄弟、叔父・叔母に小さな甥っ子「トト」も合わせて、皆でガヤガヤ食事をする家族の風景が微笑ましすぎて頬っぺた落ちそう!

はちみつ色の髪の毛をなびかせたニーノの、愛情たっぷりな「お兄ちゃん」感に一度は必ず惚れること間違いなしです。

 

 

そんな正反対の2人が、ある日バイク事故で衝突! 2人の関係は必至な人工呼吸のキスから始まるのです。

 

その夜、ニーノが上げた花火を遠くからジャンニが見つけるロマンチックな演出には、大きな変化が訪れるのを感じてドキドキしちゃいます♥

 

愛情ポカポカなニーノと凛とした顔でへにゃっと笑うジャンニ。運命のように出会った2人がお互いを特別に想い始めるまで、そう時間はかかりませんでした。

秘密の川で遊ぶ2人、大きな声で名前を呼び合う2人……。一緒にいれば心から笑える、最強のピュアラブが心に沁みわたります。

 

 

 

君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督も大絶賛の本作。リアルなシチリアの魅力を映し出す、圧倒的な映像美も2人のキラキラした恋模様を一層際立たせます。

シチリア出身のジュゼッペ・フィオレッロ監督が、現地のカラっとした空気や日差し、透き通った空気をありのまま表現。
初の長編監督作品ながら、イタリア最古の「ナストロ・ダルジェント賞」で新人監督賞にも輝きました。

また、ジャンニ役にはダンサーとしても人気の高いサムエーレ・セグレートが、ニーノ役にはなんと映画初出演ガブリエーレ・ピッツーロが抜擢され、2人揃って「ナストロ・ダルジェント賞」の最優秀新人賞を受賞。
新進気鋭の監督と、厳しいオーディションを勝ち抜いた新人スター2人とのケミストリーが本作を支えているんですね!

 


ニーノたちの上げる花火や、2人しか知らない水の畔、全ての景色が2人にとってかけがえのないものとして表現され、作品の説得力を深めています。

また、映像・演出のリアルさ故に、2人の愛に理解を示さない周囲の「100%の悪人ではない残酷さ」も際立ちます。
同性愛は悪いことだと信じ切ったような社会の空気。心優しい友人や嫌がらせの傍観者全員の、「かわいそうだが仕方がない」というスタンスに差別の根深さを感じました。

シチリアの風景が故郷のように懐かしく描かれ、その中で過ごす2人の喜怒哀楽が自分のもののように迫ってきます……。

 
 
そんな厳しい時代の中で愛を育む2人の最も大きな障壁は、愛ある家族の存在でした。

特別な空気が流れ始めたニーノとジャンニの噂はあっという間に広まり、母親たちの耳に届きます。

そこから空気は一変。にこやかだった家族の豹変ぶりは、現代社会を基準に考えるとかなり驚くかもしれません。
ジャンニを深く愛していた母の妨害や、ニーノを心から尊重していた家族の嘆き。
愛があるほど強くなる残酷な言動がやるせなく、ひたすらに2人の幸せだけを願い続けてしまいます……。

劇中の言葉を借りると「ゲイ確定」してしまったジャンニ。
周囲からの嫌がらせが堂々とした暴力に変わり、ニーノと描いた希望も消えてしまいました。

 

 

そんな中迎える、W杯決勝の夜。
街中が勝利に湧く中、最後の希望を持って一歩を踏み出したニーノそれに応えるジャンニの美しすぎるクライマックスにもう一度胸が高鳴ります!

 

そして、クライマックスの絶頂で突然訪れる、静かで衝撃的な結末。

フィクションの2人ですが、この結末だけは変わりようのない「事実」だというのがなんとも皮肉です。

このシーンの美しさと残酷さは言葉では語り尽くせない……! 是非、その目で見届けていただければと思います。

 

 

1980年、イタリアを震撼させたこの事件は、LGBTIのために立ち上がった団体「ARCIGAY(アルチゲイ)」発足のきっかけとなりました。この団体は現在でもイタリア最大規模の非営利団体として、活動を続けています。

取り戻せない事実に打ちのめされますが、明るい愛のニーノ控えめな笑顔ジャンニを最高のカップルとして覚えていたいと強く感じた体験でした。

***************

 

イタリアの険しい時代の中で、刹那訪れた心温まる時間を大切に過ごした2人。

魂がひと息つく時、君の隣に」という劇中の歌詞が心に刺さって抜けません……。

 

シチリアの温かい景色と珠玉のキャスト、音楽、演出、すべてにこだわって2人の愛をスクリーンいっぱいに映し出すシチリア・サマー』!

是非劇場に足を運んでみてくださいね!


映画『シチリア・サマー

 


制作年:2022年
制作国:イタリア
上映時間:134分
監督・脚本:ジュゼッペ・フィオレッロ
出演:ガブリエーレ・ピッツーロ、サムエーレ・セグレート ほか
配給:松竹 洋画調整室 © 2023 IBLAFILM srl

■公式サイトはこちら
■公式X @shochiku_youga
■公式Instagram @shochikuyouga


担当記者:ぽみこ 
言い合い、殴り合い、全てのケンカシーンを糧に毎日を生きている黄昏~夜明けのオタク。最近ケンカ後に攻めをヨシヨシする受けが好きなのだと気付く。

 

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