BLニュース

首を真綿で押さえられたような読後感がたまらない

『にいちゃん』
作：はらだ  作品詳細

あらすじ
幼い頃、よく遊んでくれた年の離れた近所のにいちゃん。優しくて、面白くて、何でもくれる名前も知らないおにいちゃん。でも、にいちゃんに触られているところをお母さんに見られて、にいちゃんどこかに行っちゃった。にいちゃん、どこに行っちゃったの…？

読む人の心をかき乱し、罪って一体なんなんだろう……と考えさせる名作です。
昔、仲良くしていた「にいちゃん」に手を出された場面を母に見られてからにいちゃんのことを考えて自分を慰めていたゆい。彼らの間にある情は果たして性欲か、罪悪感か、愛か救済なのでしょうか。

この作品から、ダークなメリーバッドエンド傾向のある作品にハマった！ という方もいらっしゃるようです。メリバで心が灰色に曇り染まっていく感覚は、他のものでは代用できませんよねえ……。わかる。
筆者はゆいの彼女「まい子ちゃん」と出会って、BLに出て来て物語に深く関わってくる女の子のよさみを知りました。自分の欲に惑い、突き進む3人の人間臭さに中毒不可避です。

スマート俺様×即堕ち部下！脅しから始まるエロ甘”恋人ごっこ”

『アフター・ミッドナイト・スキン』シリーズ
作：にむまひろ 作品詳細

あらすじ
真面目で地味なサラリーマン・虎谷(とらや)の秘密は、性欲がかなり強いこと。激務続きだったある日、全然ヤれないストレスから残業中に会社のトイレで抜いてしまった。そこへ居合わせたのはあまり折り合いの良くない上司の犀川(さいかわ)。無視してやり過ごそうとするが、犀川はバラされたくなければ相手をしろと要求してきて…!?

 
続いてランクインしたのは、怒涛のギャップ萌えがえちすぎるオフィスラブ！
社内のトイレでオナニーしていたのを上司・犀川に知られてしまった性欲つよつよ部下・虎谷。犀川の「バラさない代わりに抱かせて♥」→翌日「セックス中に撮った映像ばらまかれたくなかったら恋人になって♥」の手腕があんまりに綺麗過ぎてﾋｴｯ……ってなりました。

言葉責めを欠かさず、隙あらば虎谷をからかい続ける俺様の犀川。虎谷で遊びつつも、紳士な恋人、デキる上司っぷりを見せてくれるのが狡い男です。変態紳士の時もあるのもご愛嬌に見えてしまう。悔しい。

そして虎谷の乱れっぷり！！ いつもは犀川から何とか逃げようととするツンツン部下ですが、性欲が強すぎるあまりベッドでは積極的に堕ちるのがどすけべです。動画で淫らな自分の姿を見せられ赤面するリーマン、そそりすぎる。

”美麗”とはこの作品のために存在する言葉だと思う

『25時、赤坂で』シリーズ
作：夏野寛子  作品詳細

あらすじ
新人俳優の白崎由岐(26)は、大学の先輩で超人気俳優の羽山麻水(28)と同性愛ドラマで共演することになった。ゲイ役の芝居感が掴めない白崎は、男に抱かれてみようとハッテン場へ。そこでなぜか羽山に捕まり、相手を買って出られる。〝芝居のためのセフレ協力〟。即物的に始まった関係だったが、精緻な美貌と圧倒的なオーラの羽山に甘く心ごと抱き込まれ、白崎は恋心を自覚した。しかしドラマ撮影は終わりに近づき―――。

 
BLアワード2023の「BEST シリーズ」「BEST BLCD」両部門で第1位を獲得した超超超大ヒット作です！！
ドラマ出演のため、身体の関係を始めた羽山と由岐。大学からも、俳優としても先輩後輩同士の2人が惹かれ合う様子を覗き見して萌え爆発できるシリーズとなっています。

ページをめくるたびに実感させられる、飛びぬけて美しい羽山の顔面。あまりの美しさに思考停止しながら読む楽しさったらないですよね。
由岐の水面を映し出したような、輝く瞳が段々恋の色に染まっていく姿も可愛すぎます……。演技という仕事を生業にする彼らの真剣な眼差しに息を呑み、宗教画のような濡れ場に拝み倒す。筆者はシリーズ1週するたび毎度脳内のテンションがおかしくなります……。狂っちまうぜ(喜)。

人は簡単に変われない。複雑な心情描写に頭を抱える衝撃作

『窮鼠はチーズの夢を見る』シリーズ
作：水城せとな 作品詳細

あらすじ
大学の後輩・今ヶ瀬との再会…。それは恭一の妻が彼に浮気調査を依頼したのがきっかけだった。浮気の事実を隠す代わりに、今ヶ瀬に男同士の関係を迫られ…！？

 
少女漫画を取り扱うレーベルから発売されたこともそうですしその内容を指す意味合いでもまさに「衝撃作」と呼んで差し支えない作品と言えるでしょう。
常に流される気性のノンケ・恭一と、彼を想い続ける大学の後輩の今ヶ瀬。今まで流されるままに女性を抱いてきたノンケの恭一が、価値観を今ヶ瀬に崩され、ぐちゃぐちゃの心で悩み苦しんでいる姿があまりにも苦しい......。

初見、萌える準備万端でわくわくとページを広げていた筆者ですが、いつのまにか椅子の上で正座しながら真剣に読み込んでいました。
「BL」と「恋」は切っても切り離せない関連性のあるワードですよね。それでも、恋とは何か、本当に我々は恋を分かっているのだろうか、と深々と考える人間ドラマとなっています。決して綺麗な恋愛模様ではない、血の通った人間関係に触れられる名作です。

敵意は惹かれ合う純情に♥時が経てど色褪せぬ名作

『純情ロマンチカ』シリーズ
作：中村春菊 作品詳細

あらすじ
兄の友人で超有名小説家の宇佐見に、なぜか家庭教師をして貰うハメになった美咲。ところが、訪れた宇佐見の自宅で、兄と宇佐見を主人公にした「ボーイズラブ小説」を発見！思わずキレた美咲だが、寝起き最悪の宇佐見が襲ってきてしまってー！？命令口調で強引な色男×やんちゃ高校生のドッキドキ☆ファーストラブレッスン。

 
人生を狂わせた作品としてもアンケートで支持を集めていましたが、そもそもこの作品からBLに入った！ という方も多いでしょう。元祖BL入門書といえばこちらの作品ですよね！

兄の友人であり、自分の家庭教師になった男・宇佐見が兄に片思いしていると知ってしまった美咲。お互い気に入らないな……と思っていた男達が「こいつしかいない」と確信する瞬間の美しさ、プライスレスです。

萌えるBL作品としても至高の作品ですが、いつ読んでも色褪せぬテンポの良さに惹き込まれ、すいすい読んでしまうという方も少なくないのでしょうか。筆者、部屋の片付け中にこの作品に触れたら手が吸い付いて離れなくなり一生自室が散らかりっぱなしになること間違いなしです。ブラックホールかな？

それぞれの運命と願望が入り混じる号泣必須オメガバース

『狂い鳴くのは僕の番』シリーズ
作：楔ケリ 作品詳細

あらすじ
一流企業に転職し、新天地へ希望を馳せるサラリーマンの高羽。だが入社早々、直属の上司である烏丸の秘密“人を惑わし、劣情を煽る特異体質"を知ることに。烏丸は自らの体を武器に、大企業のキャリアの地位におさまっていたのだった…。今宵も股を開き、サカる男たちを受け入れる姿に嫌悪感を覚える高羽だったがからかうように、烏丸の標的は高羽へ――?

 
BLファンだけでなく、オメガバースがまだ広がっていなかったBL界全体にも激震を走らせたであろう”究極のオメガバース作品”といえばこちら！
懐かしいな、BLでぼろ泣き童〇を卒業したのはこの作品だったな……と思わず遠い目をしたそこの皆さん。わかる……わかるぞ……(号泣)。

Ωへの差別を憂うαの高羽と、抱かれることで地位を築いたΩの上司・烏丸。価値観の違う2人が、お互い惹かれ合い唯一の存在になっていく切なエロオメガバースの魅力で溢れています。

スピンオフシリーズである『狂い鳴くのは僕の番；β』では、β×Ωの痛々しくも愛おしすぎる物語が描かれ、オメガバースの可能性がグンと広がったのではないでしょうか。筆者はこの作品でαとβとΩの三角関係ほど胸が痛むものはないと思い知りました。

”BL”を楽しみたい気分の日、自然と手に取ってる

『抱かれたい男1位に脅されています。』シリーズ
作：桜日梯子 作品詳細

あらすじ
5年連続「抱かれたい男1位」の西條高人がついに首位陥落。その座を奪ったのは芸歴3年のド新人俳優、東谷だった…！敵意ムンムンの高人に対し、東谷は邪気ないキラキラ笑顔で懐いてくる。警戒心MAXの高人だったが、酔った勢いで東屋に醜態をさらしてしまってから立場が逆転！握られた弱みの交換条件として「抱かせて下さい」と提案されて……？

 
年下執着つよつよ攻めに押し負ける年上ほだされ受けの代名詞といえばこちら！！ 言わずもがな「実家」と呼びたくなるほど多くの人に愛されている大人気シリーズです。

抱かれたい男1位の座を奪った男・准太と、そんな准太に後ろの貞操まで奪われた高人。あれよあれよと捕まり捕まえセッ！！！！ し、時にお仕事で惚れ直し、時にほだされ……と大忙しな追いかけっこラブコメディです。

用意周到・暴走上等、ヤンデレに片脚突っ込んだ准太の爆走っぷりにニヤニヤしたり、准太の言動にキャンキャン騒いでいた高人の職人肌光るお仕事っぷりにどきっとしたり、かと思えば容赦なく高人をベッドやベッド以外の場所で貪り食らう准太に「いいぞもっとやれ」とサムズアップしたり……この作品でBLの楽しみ方を教えてもらった方もいらっしゃるのではないでしょうか？