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「対面」するのは座位だけではない!対面立位とはなんぞや
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2023/08/08 18:00
2023年初めに放映された名作ゲイ映画『エゴイスト』をはじめ、男性同性愛を真摯に描いた映画作品への注目が高まっているのを感じます。
その中でも筆者が特に公開を楽しみにしていたのが、知る人ぞ知る最新ゲイ映画『老ナルキソス』。マゾかつナルシストのお爺さんと、美しき売り専の青年との恋を描いた作品です。
そんな本作を早速鑑賞してきましたが、まさに“人生”を考えさせられる超名作でした!!! 一見ディープに見える作品ですが、ゲイムービーが好きな方には確実に“刺さる”作品なのではないかと感じます。
8月11日~18日に池袋シネマ・ロサで再上映があるので、これはぜひ観ていただきたい!!! というわけで、その魅力をたっぷりねっとりお届けします!
※本編のネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。
◆目次◆
1.マゾの喜寿お爺さん&美しき売り専ボーイ
2.妖しく耽美な映像美と“ガチ”すぎるベッドシーン
3.でも蓋を開けると温かいヒューマンドラマ
4.昭和から令和を生きる老年のゲイのリアル
あらすじ
ゲイでナルシストの老絵本作家山崎は、自らの衰えゆく容姿に耐えられず、作家としてもスランプに陥っている。ある日ウリセンボーイのレオと出会い、その若さと美しさに打ちのめされる。しかし、山崎の代表作を心の糧にして育ったというレオ――自分以外の存在に、生涯で初めて恋心を抱く。レオもまた山崎に見知らぬ父親の面影を重ね合わせ、すれ違いを抱えたまま、二人の旅が始まる……。
レインボー・リール東京グランプリなど数々の受賞を果たした東海林毅監督による21分の短編映画(2017年)が、2023年に長編となって復活。
長編は短編の内容とその続きまで描かれており、山崎役の田村泰二郎さんは続投、レオ役は高橋里央さん→水石亜飛夢さんと変更しています。
短編の方はU-NEXT見放題で見られるので、まずはそちらからチェックするのも◎!
喜寿も間近な老年男性と20代のウリ専男子。この歳の差こそ、物語の核であります。
ゲイで独身の山崎は、若い男の子を買って縛ってもらったりスパンキングしてもらったりするのが好き。実は絵本作家で、ベストセラー『みのむしもんた』は多くの子供たちを楽しませてきました。
タイトルからしてもダークなキービジュアルからしても、何となく「アングラ系の作品かな?」という雰囲気が漂っているのですが、見終わってみての感想は「ほっこりヒューマンドラマじゃん」でした。
確かに、過激なSMプレイシーンや耽美的な映像描写もあります。しかし、全体は一人の老人の人生の孤独と力強さや、若いカップルたちのリアルを描いた群像劇となっています。
山崎の担当編集者の女性や山崎の若い頃からのゲイ仲間など、脇役にもそれぞれの人生があるのだなと端々から感じられます。
「家族」がテーマの一つになっており、レオに恋して養子縁組手続きに奔走する山崎、結婚して孫も生まれようとしている山崎の元彼、家族観の違いによりすれ違うレオと彼氏が互いの思いを擦り合わせて自分たちのあり方を選んでいく過程など、様々な形の「家族」の葛藤が描かれています。
人生とは思い通りにいかないものだし、数えきれないほどの後悔もある。でもちょっとしたトキメキを大切に死ぬまで生きて行きたい。ラストシーンからはそんな救いを感じました。
筆者はたまたま東海林監督の舞台挨拶を見ることができたのですが、監督がその時仰っていたのは、世代によるゲイの生き方の違いについてでした。
パートナーシップ制度は「ある」が同性婚は「ない」中で、家族とは? 「ゲイ」という呼び名もまだ一般的ではない時代から日陰者として社会の方隅で生きてきたナルシストの老絵本作家。差別や偏見との闘いの時代を経てすでに性的マイノリティが可視化されたLGBT世代のウリセンボーイ。世代も考え方も違う二人の個人的な関係の中から立ち現れる、同性愛者たちの過去と未来の「家族」にまつわる葛藤の物語。ーー公式サイトより引用
山崎のような昭和の時代を生きたゲイ男性は、当時の「男は家庭を持って一人前」という価値観に添い、結婚して普段は家庭のために働き、週末に新宿二丁目で羽を伸ばす……といった生活をしている人が少なくなかったとのこと。家族にもそれを隠していた人が多かったといいます。
一方、令和においては家族観などが変化し、レオのようなゲイ男性も、独身だったりパートナーと暮らしたりと多様な生活をしていると仰っていました。
そしてこの作品では、パートナーシップ制度や養子縁組、里親制度といった、性的マイノリティーと家族に関連する社会制度についても色々と知ることができます。例えば、パートナーシップを結ぶことでどんなメリットがあるのか、逆にそうでなければ実質的には夫夫のような関係でもどんなデメリットを被るのかなど、その一端を垣間見ることができるのです。
山崎の時代とレオの時代と、大きく変わった社会。今後はどんな風に変わって行くのだろうと考えずにいられません。
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いかがでしたでしょうか?
レオは作中では基本的にタチだったのですが、山崎が「今日はタチをやってみたいんだ」と言った後に場面が切り替わってしまった時は「ちょっと待てい!」と叫びそうになりました。レオのネコパートも見たかったよ!
本文にも書いた通り、ディープ系かな〜と敬遠している方がいたらむしろぜひ見ていただきたい! 心温まる「人生」と「家族」の物語でした。気になった方はチェックしてみてくださいね!
担当記者:廣井無名 |
コメント1
匿名1番さん(1/1)
すごく面白そうな作品。
5月にウチの地域で上映してたなんて!映画館で観たかったな。