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眺めるだけで満足だったのに!突然告白してきて!7年越しの想いが通じ合う!11月20日発売コミックス、小説、CD【BL新刊】
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2022/06/12 18:00
画像全て© 2021「恋い焦れ歌え」製作委員会
■ストーリー
清廉潔白な小学校臨時教員・桐谷仁(稲葉友)。正規教員の道も開かれ順調な彼の人生は、ある夜、深い闇へと突き落とされる。覆面の男に覆面の男に襲われ身も心も凌辱された仁。 激しいトラウマを抱えながらも、収入格差のある妻・仁美(さとうほなみ)との結婚生活、そして国語教師としての自分のキャリアのため “変わらぬ日常” を送っていた矢先、謎の青年KAI(遠藤健慎)が現れ、再び彼の日常は狂い出す。「覚えてる? 俺のこと」仁の心の傷を容赦なくえぐり、それをラップで表現するよう執拗に挑発するKAIは一体何者なのか? 川崎の工業地帯の片隅にあるシェルターへと誘われた仁は、そこで暮らす人々と触れ合いながら、自らの 再生をかけて立ち上がる。社会からはみ出し、心に傷を持つ者たちが生きるための葛藤と戦い、その先にある “真実の愛” とは……。
さて、ここからはそんな注目の映画『恋い焦れ歌え』を闇の腐女子が観るべき4つの理由として、その見どころを徹底解説していきたいと思います!
◆目次◆
1.リアリティーのある映像美とキャラクター造形
2.過激な暴力シーンや性描写に込められたメッセージ性
3.日本語ラップの美しさと意義にしっとり感じ入る
4.コミックスと読み比べてまた一興。エンディングは違う?
冒頭の小学校での国語の授業シーンにおけるセリフ回しから、「こりゃ〜奇妙な映画だぞ」と思ったのですが、一つ一つのカットやセリフにちゃんと因果関係があり、のちのち伏線となって生きてきます。「本当にこんな人たちがいて、こんなことがあるんだろうな」と思わせる説得力。
また予告の映像からもわかるように、手持ちカメラが効果的に用いられたドキュメンタリー映画のような質感。その場にいるような臨場感や、登場人物の感情の昂りや動揺がひしひしと伝わってきます。
ラストの青◯エッチシーンは、鮮やかな緑と優しい自然光によって、二人だけの刹那的な空間が一層尊いものに。こんな時間が永遠に続けばいいのに……合掌。
役者さんの演技も作品にリアリティーを添えます。不安定な精神を持つ主人公桐谷を演じる稲葉さんの、憑依されたような演技は圧巻! 年下攻めラッパー・KAIくん役の遠藤さんは、本当にキレイで怖くて可愛い!! 美しくも泥臭さがあり、闇が深くやさぐれた役柄ながら年相応のピュアさも兼ね備えるキャラクター性をしっかりと表現されていて超〜ハマり役です!
裏社会のラップと格闘技がキーである本作では、犯罪やケンカも含めて暴力シーンの殺陣が満載。流血はもちろん、死人も出ます。見ていて痛々しい場面も多いですが、なぜラップなのか、なぜ格闘技なのか、物語が進むにつれてそこにちゃんと意味があることが明らかになっていくのです。
レ◯プシーンは観客の感情をも揺さぶって主人公に感情移入させるほど真に迫ったもので、桐谷役の稲葉さんはそのシーンの撮影後涙を流し震えていたそう(映画パンフレットより)。性被害に遭った人がどう苦しみ、再生を目指していくかということも、本作の重要なテーマです。
濡れ場も度々登場する本作。これがまたリアル。迫真の演技。ラストのクライマックスで初めて桐谷とKAIが結ばれるシーンは、それまでの殺伐とした雰囲気と打って変わって、束の間の多幸感が。体だけではなく二人の心も繋がった様子に、思わず涙が流れてしまう……。
本作の重要なテーマとなっているラップ。エモーショナルなリリックやトラックが、作品のしっとりとした、しかし激情を秘めたような世界観を形成しています。
今って『ヒプノシスマイク』や『Paradox Live(パラライ)』などの影響もあり、女性向け二次元コンテンツ界隈にもラップやHipHopの波がきていますよね。本作でも、そんな日本語ラップの新たな側面が見えてきます。
怒りをぶつけるような絶叫ラップ、「古池や蛙飛び込む水の音…」と俳句をひたすら繰り返す追悼ラップ、レ◯プ被害の詳細やその時の感情を語りなおし、自分の経験を客観的に見つめるためのラップ。「ラップってただ韻を踏むだけじゃないんだ」と改めてその表現の可能性を感じます。
桐谷とKAIの美しいお顔がドーン! と掲載された大判のパンフレットには、桐谷とKAI役の稲葉さんと遠藤さんのインタビューと共に、熊坂出監督のインタビューやラップ監修のハハノシキュウさんの寄稿が掲載されています。それを読むと、本作における「ラップ」がどんな意味を持つのか、理解が深まりますので、ぜひ一緒にお買い求めください!
繊細で華やかなイラストと、鮮烈なストーリー持ち味のmiso先生が手がけるコミックス版が、映画公開に先駆けて発売!
映画だと仁が既婚者で妻が重要な役柄として登場したり、ヒールの間宮が漫画だとヤクザなのに、映画だと代議士先生だったり。映画ではリアリティーを追求し、皆がマスクを付けているコロナ禍を匂わせる描写があったり。
何よりも皆様が気になるのは「エンディングが漫画と映画で違うのか?」というところではないでしょうか。ネタバレを避けてあえて言いましょう。ぜひ、両方併せて観賞してください。
記者はまずコミックスを予習し、それから映画に臨みましたが、漫画でしかできないこと、映画でしかできないこと、それぞれの良さが楽しめると同時に、「この作品は両方を読む・観ることで完成するのだな」と感じました。
2022年5月27日(金)より、渋谷シネクイントほか全国順次公開
配給:フューチャーコミックス
出演:稲葉友、遠藤健慎、さとうほなみ、髙橋里恩、松永拓野、水澤紳吾、瓜生和成、中村まこと、黒沢あすか、小久保寿人
原作・監督・脚本:熊坂出
2021/ 日本 /DCP/117分