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図書館で読める♥江戸以前の匂い系文学にガチ萌え【作品リストあり】

2021/12/29 16:00

あの『雨月物語』や西鶴も!?匂い系古典文学のすゝめ




突然ですが皆さん、日本の古典文学ってご覧になりますか?
筆者は大学で日本文学を専攻していただけあってそれなりに古典に触れる機会がありました。

皆さんは……って、え?学生時代から触れていない?

もっっっっっったいない!!!!

もったいないですよ!日本は男色大国、古くから様々な形で男性同士の恋愛が文章によって残されてきました。昔ながらの堅い絆、死をも辞さない大恋愛はBLファンの皆さんなら必ず好きなハズです!(オタク特有の早口)

ただ、ちょっと近寄りがたい、難しい、そういうイメージを持ちがちなのもわかります。
そこで今回は実際に古典BLを読んでみましょう!

時代背景やちょっとした豆知識もご紹介!
是非最後までご覧ください!

古典BLを読むための知識

 
ここでは古典BLを読むときに役立つ知識をご紹介!
歴史もののコミックスや小説でも活用できますよ



1・稚児と僧侶



稚児とは、男色の世界では僧侶のお世話係の少年のこと。僧侶の寵愛の対象となったばかりでなく、聖なる存在とも見なされていました。
仏教では女性と性的関係を持つことを禁じられていたので、僧侶は稚児と関係を持つことが多かったそうです!稚児は相当な美形が選ばれ、女性のような風貌をしていました。しかし、決して女性の代替というわけではなく仏教的な理由から多くの僧侶が男色家であったと言います。詳しくは、論文などを読んでみるととっても面白いですよ♪

この関係は平安時代から歴史があるようで稚児と僧侶の恋を描いた物語を「稚児物語」と呼びます。


2・衆道



衆道とは武士同士の男色を指します。若衆という少年兄分である武士との恋愛をこのように言うんですね!そして、若衆の特徴は前髪。前髪という表現が出てきたらその子は受けです!

そんな衆道ですが、その恋は実は儚いもの。若衆は成人すると前髪を切り、兄分である武士との恋愛は終わりを迎えます。つまり、最初から期間限定の恋なんです!
何て儚く奥深い世界なんだ……。その設定だけでご飯たべられますね涙


3・陰間



陰間とは歌舞伎の修行中の少年のこと。江戸時代には彼らが売春をする陰間茶屋が誕生しました。ちるちるのこちらの記事により詳しく書いてありますよ。紗久楽さわ先生の『百と卍』の設定にもなっていますね。


今回紹介する古典にも陰間の実情がありありと描かれています。


4・BLと言えば薔薇? 古典では……菊?



現代のBLを表す花と言えば薔薇ですよね? じつはこの薔薇はギリシャ神話に由来しているのですが、古文の世界では菊が男色を暗喩している場合が多いです。その由来については諸説あります。もしかしたらお尻の穴が菊に似ていたからとかもあるかもしれません(笑)
ただ由来の1つとして私が以前聞いたこんな伝説があります。

中国で帝に寵愛されていた童子(男の子)は、あるとき誤って掟を破ってしまい流罪になってしまいます。流された島で、離れ離れになる前に帝からもらった詩を菊の葉に書き写しそこから滴る露を飲むと不老不死の身体になりました――。


これは菊慈童という話で、能楽の題材にもなっています。これ男色に関係しているということですね! この伝説のおかげで菊は長寿の花ともいわれているんです。

実際に読んでみよう!

 

懐硯』巻一の五 人の花散る疱瘡の山 作:井原西鶴

 

浮世草子で人気を博した西鶴。近年はBL業界での需要も高まり『男色大鑑』はコミカライズ化されるほど!
古典BLを語るうえでは欠かせない人物となっています。コミカライズされた『全訳 男色大鑑』は非常にわかりやすく、ぜひ手に取ってみていただきたい作品の1つ!


せっかくですから今回はコミカライズされていない作品をご紹介♪
私のオススメは『懐硯』より「人の花散る疱瘡の山」という作品です。本文は様々な書籍で見ることが出来ますが『西鶴が語る江戸のラブストーリー―恋愛奇談集』にて現代語訳と共に注訳、コラム付きで詳しくご覧になれますよ!

あらすじ
元結(美容師)をしている千九浪は梅の花を見に来ていた時、人々の心を奪う程の美男子・左馬之丞に出会い一目ぼれしてしまいました。千九浪が左馬之丞に手紙を送り深い契りを結ぶことになった2人。しかし、左馬之丞は天然痘という病にかかってしまい、顔がただれて醜くなってしまいます。
この顔で千九浪に会うことはできないと考えた左馬之丞は、町で美少年を買い、自分の代わりに千九浪に合わせました。が、千九浪は左馬之丞のことを忘れられません。
 そして左馬之丞のただれた顔を初めて見たとき、左馬之丞の行動にますます惚れた千九浪は自分の顔を切りつけわざと不器量になり、一層深い関係になりました。


「春の光ののどかさに心浮き立つ」梅の木々と美男子……。梅の妖精さんかな? 梅の香りをまとった絶世の美男子が現れたらそりゃ一目惚れしますわ……。

醜い顔になった自分の代わりにわざわざ別の男の子をよこす左馬之丞の健気さにもキュンキュンしますが、自ら顔を傷つけ、左馬之丞と同じ顔になる千九浪には武士道を感じます!!

このお話で注目してほしいところは「左馬之丞が自分の代わりとして町で美少年を買う」シーン。実はこの買われている美少年は「陰間」。このように、金でどうとでもなってしまう男の子たちの闇を西鶴は暗示しているのだそうです。古典BLでは珍しいハッピーエンド(人によってはメリーバッドエンド?)の作品でした!


雨月物語』菊花の約(ちぎり) 作:上田秋成

 

古典の文学史で必ず登場する『雨月物語』のなかでも有名な一篇。
「信義」つまり、命に代えてでも守り抜くべき理念がテーマになっており、その解釈は文学者の研究対象にもなっています。

雨月物語を現代語訳で読む場合はちくま学芸文庫より『雨月物語』がおすすめ! また、とても有名な作品なので インターネットでも簡単に見ることが出来ますよ!

あらすじ
あるところに母と二人で住む左門という貧乏な青年がいました。彼はある日病気に苦しんでいる旅人を助けます。
旅人は出雲にくらす宗右衛門。左門の献身的な介抱のおかげで宗右衛門は快方に向かい、二人は意気投合して義兄弟の契りを結びます(お付き合いの約束)。
やがて全快した宗右衛門は出雲に戻ることになりますが、左門への思返しに九月九日の重陽の日に戻ることを約束します。
約束当日、左門は朝早くから宗右衛門を待ちますが宗右衛門はやってきません。左門があきらめて床につこうとした時、亡霊となった宗右衛門が現れました。宗右衛門はいとこに監禁されており、約束を守るために自害して幽霊になったそうです。それを知った左門は、宗右衛門を監禁したいとこを切り殺し信義を貫きました。


おっっっっっもい!!!
闇の腐女子さん大歓喜の作品じゃないですか!? 

自害してまで左門の元に行き、約束を果たす契りの硬さは古典BLならではですよね。左門と宗右衛門で受け攻めがはっきり分かるのもポイント高いです()

そしてこの物語の題名に注目!「菊花の約」
はい「菊」が登場していますね♪ ここで先程の豆知識が生きました(笑)
また、左門と宗右衛門の約束の日9月9日は菊の節句と言われている日です。だからこその題名なんですね♥


秋夜長物語』作:玄恵(諸説あり)



稚児物語の最高傑作と名高いこちらの作品。現代語訳は『お伽草子』ちくま文庫がおすすめです。ただし絶版になっているため注意! 中古で売られているものもあるので確認してみて下さい!

この作品は先程紹介した作品に比べるとかなり長いお話。
寺を越えた僧侶と稚児の恋愛から寺同士の争いへと発展する大作です。それではあらすじを見ていきましょう!

あらすじ
比叡山延暦寺の僧・桂海律師と三井寺(園城寺)の稚児・梅若はひょんなことから出会い、相思相愛の仲になります。
桂海律師に会いに行くために出かけた梅若が天狗に誘拐されてしまったことがきっかけで、延暦寺と三井寺の紛争に発展してしまいます。
何とか逃げ延びた梅若は自分のせいで重大な事件に発展してしまったことを目の当たりにして、生きる意志を失い入水自殺をしてしまいます。


二人の恋愛が大惨事に発展してしまう読みごたえ抜群の作品です!
責任を感じ寺同士の戦いの先頭に立って活躍する桂海律師がひたすらにかっこいい! 名前だけでもかわいい梅若くんの最期は涙なしではみられませんよ(涙)

この作品は男色物語の初めであるとされています。
私たちが楽しんでいるBLの、言うなれば始祖! 

BLを極めるものならば是非一度読んでいただきたいです!


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いかがでしたか?

あらすじを読むだけでもなんだか、知識が増えた気がしませんか?
調べてみると、他にもたくさんの古典BLがあるので気になる方は是非チェックしてみて下さいね!

 

担当記者:るるるたまご
推しを泣かせるために人生をかける拗らせ腐女子。勝たんしか推し。自分は光の腐女子だと信じている。

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