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\受けの羞恥顔が見たいBLオタク集まれ/
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2021/11/17 14:00
BLの世界ではすっかり当たり前になったオメガバース。今ではα×Ωという王道CPの他に、α受けやβ攻めなど、変わり種のオメガバース作品も増えて来ていますよね。
そんな中、オメガバースという「世界観」そのものを違う角度から見た、メタ的なオメガバース作品も存在します。αやΩが誕生した瞬間、すなわちオメガバース黎明期であったり、αやΩの性が絶滅した、すなわちポスト・オメガバースともいうべき時代を舞台にしたりと、その斬新な着眼点には感服せざるを得ません。
今回はそんな作品を並べることで、オメガバースが誕生し、発展し、終焉する「オメガバース史」を辿って行きたいと思います!
黎明期:人類史上最初のαとΩ、名もなき性の衝動を模索
初めて読んだ時、「こんなBLあるんだ……」と記者は衝撃を受けました。
さて、こちらはまさに人類に最初のαとΩの性を持つ個体が生まれた瞬間のお話。我々が住むこの普通の現代社会で、男子高校生喬織人と西央凛々斗が、突然自分たちの間に沸き起こった得体の知れない欲情をぶつけ合います。もともと研究者気質の織人は、この未知の現象はなんなのか? と自ら調査し、動物の発情期とよく似ていることに気付き……。
タイトルの「僕らのエデン」とはどういう意味なのか。「エデンの園」は『聖書』において人類最初の男女アダムとイブがいる場所。つまり織人と西央は……いやはや、なんと秀逸なタイトル。オメガバースのことを熟知している我々は、「そうそう、そういうコト! よく気付いたね〜〜〜!」と、神の視点で二人の試行錯誤を見守るのです。
ここからあのオメガバースの歴史が始まっていくんだなぁ、と何だかワクワクします!
あらすじ
普通の世界。世界最小の衛星ロケットが打ち上げられ、 天才中学生棋士が最年少で六段に昇格した、そんな世界――。勉強が好きなこと以外は平凡な喬 織人はある日、 密かに憧れていたクラスメイトの西央 凛々斗から 異常なほどの良い匂いを感じる。体育の授業終わり、 火照った顔で呼吸も浅い西央を心配し保健室に連れて行こうとする喬だったが、半ば強引に体育倉庫へと誘い込まれ――…?
草創期:発見される新たな性ーーΩが治療可能な「病」だった時
タイトルの「オメガ・シンドローム」は、この作品の舞台がΩ性が発見されて間も無いころ、「病気」「異常」であったことを示します。いきなり病院で、「あなたはΩという性で、男性として生きてきたが子宮があり、妊娠が可能な体です」と言われたら「えっ!???」ですよね。そんな特異な運命の下に生まれてしまった西宮ハルと、元同級生でなぜかハルを忌み嫌っていた医師の葛木の物語。
シリーズもので、巻を追う中でハルの妊娠・出産・子育ても全部描かれます。Ω男性として前例のない妊娠・出産に挑むハルを応援したくなること間違いなし!
葛木は初めこそツンツンツンツンで(そんな彼に直腸検診をはじめいろんなことをされてしまうのですが)徐々にハルに絆されていくのがカワイイです♪
あらすじ
突然変異で生殖器が発生し、男性ながら妊娠・出産ができる体になる「オメガ・シンドローム」と診断された西宮ハル。元同級生の医師・葛木の下で被験体となっていたが、ある時自分が葛木に「発情」していることに気付き……。
発展期:性差別の構造とその変革
こちらはすでにαやΩといった性が理論化され、よく見るαを頂点とした階級制が定着した、いわばオメガバースのメジャーな世界観。学校では、αは優れた個体であること、Ωは生殖の義務があることなど、差別的な教育がなされます。子供を産めなかったΩは「メガエラ」と呼ばれて忌み嫌われ、違う形で国家に奉仕しなければなりません。そうしたオメガバース社会の差別構造を、日本の近代社会に重ね合わせています。
そんな、性別を偽ると死刑にさえなりかねないという色濃い身分社会の中、「俺は絶対に都合のいい道具にならねえ」とβを装う少年・馬宮。そんな馬宮を、「メガエラ」の教師犀門がαとして祭り上げます。手を組んで差別社会に立ち向かう二人のΩと、その周りを取り巻く絢爛な恋模様がドラマチックでドキドキしっぱなしです!
あらすじ
優れた性とされるα(アルファ)が支配する世界。αを産む宿命を背負うΩ(オメガ)の人生は、αの子供を持てるか否かにかかっていた――。財閥一家である婚家・英(はなぶさ)家で子を生せず疎まれていたΩ・犀門(さいもん)は、一人のΩの少年をαと偽り、英家当主の座を狙わせるのだが…!? 性別による身分社会で最下層の、Ωたちの闘いが始まる…!
全盛期:「研究」され、「解明」されていくオメガバース
まだ多少の生きづらさはあれど、Ωへの支援が整ってきた時代。
普段はモサいけど実は隠れ美形な研究者・創明は医療センターの「オメガ科」というところで、第二次性徴のオメガについて研究する第一人者。凪の精液を週イチで採集♥ したりしながら、副作用のない抑制剤の開発などに携わっています。普段オメガバースを読んでいて普通に受け入れている「ヒート」などの用語や、抑制剤のようなアイテムも、その背景には研究機関だったり、病院だったり、薬を開発しているメーカーなんかがあるよなあと、改めてオメガバースの社会システムにも気付かされる作品です。
創明が、理想のオメガ少年・凪を「作って」自らの研究に役立てたり、楽しい同棲生活を送ったりする、ほのぼのラブコメディ。かとおもいきや! 研究にまつわる創明の意外な過去が明らかになっていくにつれ、物語は一層深まって行きます。創明のエッチな実験に付き合わされる凪くんの性に関して無知具合がカワイイんですね〜。無知エロ最高!
あらすじ
澄吉 凪が目を覚ますと、そこにはボサボサ頭で眼鏡姿の白衣の男が。なんとこの来海 創明という男、冴えない見た目に反してアルファの超優秀な研究者だという! しまいには、自分の理想のオメガとして凪を作り出したと言って――? 身体検査に精液採取、研究を名目にエッチな検診の日々が始まる! いきなり発情期が訪れた凪を、 創明は性欲処理として優しく抱くが――…… 凪はどこか懐かしく安心する匂いを創明に感じて!?
成熟期:淘汰されたはずのΩ差別の行方ーーもし世界がみんなβだったら
Ωのふりをするβ・円と、その「番」ということになっている吐木。そして警官の吐木の元には、Ωの男娼を狙った連続強姦殺人事件が舞い込んできてーー。円と吐木の過去と、事件の真相が、それぞれに解き明かされながら物語は進みます。
発情期のない円がどうやってΩを装うのかというのが見所。だって、エッチもしますからね。後ろとか……どうするの?
またこちらの作品がオメガバースとして面白いところは、「階級制がとうの昔に批判され」「しかし現在も差別としてその名残が残存している」こと。よく見るオメガバースのひし形の表は、この作中では上下関係のない棒グラフになっており、学校でも「差別はなくなった」と教えられます。しかし実態としては完全に偏見が消えたわけではなく。なんだかリアルですよね。
人類がみんながβだったら、それはどんな世界なんだろう……? 小説家である円がそう空想する世界は、まさに読み手である我々がいるこの現実世界。
とにかく分厚くて(通常コミックスの1.5倍はある!?)読み応えたっぷりなので、長めでストーリーが複雑で面白い作品を読みたい方に全力でオススメです。
あらすじ
小説家の円と警察官の吐木は、同じ施設で育った”同志”で”番”。円はフェロモン分泌が異常で番以外の人間もそのフェロモンを感知してしまう上、番関係を結んだことで遺伝子変化が起こり、一般の抑制剤も効かなくなっている――そう、[振る舞っている]。何も知らない吐木は円を支える為と出世を蹴り続け、所轄への異動初日に担当することになったのは、Ωを狙ったレイプ事件。そんな中、円は発情期に入り強烈なフェロモンを発しながら吐木を求める――まるでΩ[のように]……。
終焉期:αΩ性絶滅から100年の世界で……
最後にご紹介するのはこちら、オメガバースが遥か過去のものになった世界で、「最後の番」かもしれない二人を描くこの作品。
βだけしかいなくなった世界ですが、AV男優の受けは「幻の性」であるΩ役として「Ωパロディ」もののAVに出ていたり、攻めは「オメガバース時代」に抑制剤などを作っていた前身を持つ会社で勤めているというように、αΩ性の人間がたくさんいた頃の名残が散見されます。
そんな世の中に突然変異としてα、Ωの性を持ち生まれた犬飼と綾瀬。二人は街でばったり出会って心も体も運命的に惹かれ合うのですが、世界でたった二人しかいないαとΩ。この出会いは「性」によって結びつけられたものなのか? みんなは「普通」の恋愛をしているのに、自分の中のこの相手への想いは本能的な「発情」にすぎないのか? そんな懊悩の中、二人は自分たちの愛を探って行きます。「普通」の恋がしたい……と葛藤する綾瀬の健気な想いが胸を打ちます。
あらすじ
α・Ωという性が絶滅して100年――。すでにαやΩは、教科書で習うだけの存在になっていた。そんなβだけになった世界で、突然変異で生まれたΩ・綾瀬と、同じく突然変異のα・犬飼は運命的にめぐり逢ってしまう……。そうとは知らず惹かれあい、これまで感じたことがないほど犬飼に激しく欲情する綾瀬。けれど、初めて身体を繋げようとした夜、“それ”は起こって―――!? この身体を支配する感情は、「恋」なのか「本能」なのか…? ままならぬ性欲と純真な恋が絡み合う、ドラマティック・ラブ!
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いかがでしたでしょうか? 今回は、オメガバースの世界観をメタ的に生かした作品を「オメガバース史」として黎明期〜終焉期までご紹介して来ました。
ちょっと変わったオメガバース作品が読みたい! という方、オメガバースの世界観を学びたい! という方にオススメですよ!
担当記者:廣井無名 |