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人間くささ剝き出しなキャラに心撃たれる…読まないと損な4作をご紹介！

男子大学生のフレッシュで生々しい恋を描いた『エスケープジャーニー』、全寮制男子校で繰り広げられる超アップテンポエロとヤングなメンズたちの青(性？)春を描いた『ヤリチン★ビッチ部』など、BLファンにとって最早リビングレジェンド的存在のおげれつたなか先生。

笑い声が聞こえてきそうな笑顔にキュンとし、ぐしゃぐしゃな泣き顔と切ないストーリーに胸をヒリヒリ痛ませた読者も多いはずです。

しかし、上記人気シリーズ以前の作品の尊さも最上級なのをご存じでしょうか……！
そんなわけで、今回はおげれつたなか先生のデビュー作からシリアスなスピンオフ作までBLソムリエが厳選してご紹介！ 未履修の方も、この4作からぜひチェックしてみてくださいね♥

ピュアボーイの泣き顔に胸ギュン

『恋とはバカであることだ』

まずはこちら。おげれつたなか先生の才能とセンスを爆誕させた、著者初コミックスです！

ワンコ系大学生×ピュアボディな三十路ゲイの表題作に、暴君×陰キャの幼馴染みドツンデレストーリー「外面だけは王子様♡」、嘘嫌いな潔癖×秘密のある美人の「泣けないうそつき」も収録されています。

3作とも「こういう男子いるいるー！」と共感できるリアルなキャラクターと、いいも悪いも包み隠さない心情描写が印象的ですが、今回はあえて3作目の「泣けないうそつき」をご紹介！

嘘が嫌いで真剣なお付き合いを望むゲイ・真中は、入学式の日に一目惚れした瀬川とお付き合い中。しかしそんな相思相愛カップルに青臭い痴話げんか勃発!? 美人で健気で優しい瀬川が、何やら嘘をついているようなのです。真中に避けられ、必死で追う瀬川が可哀想で可哀想で……(涙)。

二人の仲直りもですが、仲直り後の瀬川の開き直りっぷりにも注目。詳しいことは言えませんが……すっごいです(ニコリ)。

そして何より、おげれつたなか先生の描くピュアボーイの泣き顔は衝撃的なまでに肉感的！ 怒ったり泣いたり、笑ったり苛々したり。作品の中でイキイキと動く彼らの一挙手一投足に胸キュン必須です！ ヤンチャな男子たちの、ちょっとカッコ悪い恋模様は何度読んでも飽きません。

あらすじ

32歳、童貞処女にして初めて恋人できました。大学生の彼氏はカワイイんだけど、外なのにキスをねだってきたり、とってもグイグイくる。
もしかして俺のこと"慣れてる"って勘違いしてる? これは、ちょっと、いやかなりまずいぞ…?
ガツガツ系わんこ×ビビり系カフェ店員の表題作、ほか高校生のバカなくらい真剣で切ない恋をお届け！

圧巻の心理描写に涙とまらん……！

『錆びた恋でも夜は囁く』

切なげな印象の表紙が目を引くこちらは、DVを扱った少々「痛い」一作。主人公・弓が恋人のかんちゃんに殴られて流血するシーンがあるので、苦手な人は注意です。

しかしその痛さを補ってあまりある、攻め・真山の、愚直なまでに弓に一途な姿勢が尊いんです……！ 本編は真山が院生、弓がフリーターですが、二人の出会いは中学時代。弓が真山から逃げるように離れた理由が後半になるにつれ明かされていきます。同時にかんちゃんの暴力もエスカレート……！ どんな怪我をしていても「大丈夫」と笑顔を浮かべる弓を必死に救おうとする真山。好きだから。守りたいから。笑っていてほしいから――純粋な気持ちが原動力となっている様子に、心が洗われるようです。

しかし物語は「DV彼氏から逃げ出した受けが攻めと幸せになる話」では終わりません。

おげれつたなか先生が描き出すセンシティブな心情描写には、みっともなさや見栄といった人間くささもたっぷり。単にDVを働くかんちゃんを悪者にして大団円へ導くのではなく、人と人との関係性を丁寧に魅せてくれます。

シリアスなストーリーはもちろん、もっさりした攻め・真山の性的な成長も見どころです！

あらすじ
真山(まやま)は中学の同級生・弓(ゆみ)と再会した。
彼氏持ちと知っても、弓に惹かれる真山だが、彼が恋人に殴られているのを知り……。

健気受けの最高峰・夏生登場

『恋愛ルビの正しいふりかた』

こちらは『錆びた恋でも夜は囁く』の弓、かんちゃんと同じ高校に通っていた元根暗×超絶おバカヤンキーがメインの再会ラブ。

イモ男な自分をチェンジし、リア充生活を謳歌中の美容師・ヒロに一目惚れしたのは、高校時代にヒロをいじめていたヤンキー・夏生。馬鹿にされ続けた復讐をするつもりで交際に乗り出したヒロですが……？

ヒロの思惑に気づかない夏生は、甲斐甲斐しく朝起こしてくれたり(早朝)、食事を用意してくれたり(消し炭)と超健気なとび職男子！ 無邪気な笑顔や、キスだけで手が震えるピュアっぷりは変な声が出そうなほど可愛いのです。そんな夏生がヒロと揉めたときに見せる傷ついた顔と涙にはもらい泣きしそうに……。

努力で己を磨き、変わろうとする男子は例外なくみんな尊い!! 全然カッコよくない仲直りシーンにはなりふり構わない泥臭さがあって、等身大な初恋ボーイたちを堪能できます。

そして今作には、弓のDV元カレ・かんちゃんこと林田のスピンオフも収録。弓と別れて数年後、林田は転職先でできた陽キャ後輩リーマン・秀那とセフレ関係に。不愛想で一切笑わない林田にどんどん惹かれていく秀那と、そんな秀那を受け入れられない林田。過去、弓を苦しめた後悔と痛みが今も鮮烈に残っている姿に胸が痛い……！

本来は明るく気遣い屋で甘えたな彼が、なぜあんな暴挙に出たのか……そういった部分もこのお話で明らかになります。傷つけたくないから愛されたくない、愛したくない――頑なな林田の心を秀那は手繰り寄せることができるのか、ハラハラする展開が見物です。上下巻で続編も出ています！

あらすじ

「この泣き顔が見たかったんだ」
高校時代、暗いメガネだった俺に、図々しく絡んできた、黒歴史・鷲沢夏生。
数年後、俺は夏生に再会して告られた。これはチャンスだ。
付き合って、惚れさせて、ズタボロに捨ててやる！

「どうせ、また殴って終わる」
夏生と高校時代つるんでた林田は、会社のチャラい後輩・秀那を、酔った勢いで誘惑し、セフレになった。
後悔の数だけ開けたピアスで穴だらけの俺を、おまえはずっと抱けるのかー？

チャラ男とピュアさのギャップがずるすぎ♥

『ネオンサイン・アンバー』

最後は、表情筋があまり動かないバーテンダー・緒方×パリピ系褐色男子・サヤのラブストーリーを描いた『ネオンサイン・アンバー』をご紹介。

喜怒哀楽が顔にでない緒方は、明るく賑やかなチャラ男のサヤが苦手。しかしなぜかサヤは、緒方の感情を表情から読み取ることができて……？

ひょんなことから緒方はサヤの作る朝食を食べるようになるのですが、二人のやり取りが微笑ましくって可愛いんです！ クラブで「ウェーイ！」なサヤとは別人みたいに素朴で柔らかい笑顔は、緒方だけでなく全人類落とせるくらいの破壊力……。

緒方はサヤに惹かれていき、サヤも同様に緒方を好きになりますが……立ちはだかるのは「男同士」の壁。男が男を好きになること。男が男に触れようとすること。それはノンケにとって低くないハードルであり、緒方はサヤを好きだと思う心と、男に対する拒絶を示す身体の狭間で苦しむことになります。

甘いだけじゃない、傷つき傷つける剥き出しの恋の結末は見届けないと損ですよ～！

あらすじ

クラブのスタッフ・緒方は、店の客で女好きのギャル男・サヤと出会う。
ある日サヤに金を貸し、お礼にサヤの手料理を振る舞ってもらうが……。

 
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以上、おげれつたなか先生の初期作品4作をご紹介させていただきました。

「こういう男の子たち、街ですれ違ったことありそう」と思わせてくれるリアル男子が魅力な、おげれつたなか作品たち。欲を言えば全て読んでほしいですが……人気作からハマり、これからどの作品を読もうかと悩む方の参考になれば幸いです！

担当BLソムリエ：藍沢しゅん