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【フ男子の独り言②】BLは「女性向け」?ステレオタイプに物申す!

2020/11/03 13:00

「女性向け」はもう古い?より広がりのある界隈であるために



突然ですが、皆さんは文化としてのボーイズラブやジェンダー論について考えることはありますか?
BLとLGBTQコミュニティはどんな関係を持っているのか。筆者は「腐男子」というマイノリティの立場から、BL文化と「性別」を中心とした社会問題に興味を持ちました。

 

コラム①では「腐女子」という呼び名について取り上げましたが、2回目となる今回のテーマは女性向けについてです。BLはよく「女性向け」と認識され、書店でも「女性向けコーナー」にあることが多いのですが、筆者にとってはこの「女性向け」が鬼門だったとも言えます。


BLに目覚めた当初、筆者はBL本を買うのを少し恥ずかしく感じていました。ちるちるユーザーの皆さんの中にも、同じような経験をした方がいらっしゃるかもしれません。ですが、筆者はそれ以上に
「場違い感」を覚えました。レジで店員さんに「こちらの作品は女性向けのものとなりますが間違いないでしょうか?」と確認されたこともありました。

 

「女性向け」という表現には、様々なステレオタイプや偏見が根づいています。今回はこの「女性向け」について思ったことを調べ、まとめてみました!



「女性向け」と「女性」じゃない人たち


 

「女性向け」は言葉の通り「女性」を主な対象として商品を売り込むことを意味しています。皆さんもご存知かと思いますが、BLコミュニティの大半は女性ですので、そういう意味ではBLを「女性向け」として販売することは間違っているわけではありません。

 

しかし、コーナーや作品に「女性向け」という名前を付けてしまうと、「女性ではない」人達を遠ざけてしまうのではないでしょうか。「女性向け」であれば「女性じゃない自分」は読んではいけないのだろうか、その売り場にいて良いのだろうかと戸惑う方もいると思います。加えて、「女性向けだから自分は興味ないだろう」という意識を無意識的に持たせてしまうこともあるかもしれません。

そもそも出会うきっかけがないとなると、たまたま偶然に手に取った作品によってBLに目覚めるという可能性も減ってしまいます。つまり、「BLを好きになる可能性がある人」に作品が届く機会が失われていると言えるかもしれません!



「BLが好きだから」が「女性だから」に…



「女性向け」にはもう一つ問題があります。皆さんもご存知の通り、「BLファンの多数が女性」なだけで、必ずしも「女性だからBLが好き」ということではありません。しかし、BLが「女性向け」と表現されていることから「女性オタク=BL好き」として認識する人もいます。

実際に筆者の女性の友人にも、が知人にとあるカードゲームアニメをオススメされてその理由を聞いたところ「オタクの女子は腐ってるから、男キャラ多いの好きでしょ?」と言われた経験があるとのことでした。このように不快な思いをする方も少なくないと思います。

 

前回も触れましたが、「男女」という分類にこだわることでこうしたステレオタイプが生まれてしまい、正しくない認識が広がってしまいます。そのため、このような捉え方を減らすためには、「趣味」を性別で分類しないという考え方がもっと広がってもいいのではないかと筆者は考えます。



BLは「女性のため」?



BLは日本やオタクコミュニティに限らず、海外のLGBTコミュニティや学者たちの間でも「女性による女性のためのもの」として分析されてきました。これは、ジェンダー論の目線においてBLの誕生は女性の「性欲の発散」が原因の一つとして考えられてきたことと、そのうえBLに登場する人物は現実のゲイとあまりに異なっている(美化しすぎている)と指摘されてきたためです。

 

しかし、これは「BLは女性が生み出した」理由であるとしても、「BLを楽しむのは女性である」ということの理由にはならないと筆者は考えます。というのも、近年ではBLの多様化も進んでおり、性描写が含まれない(少ない)作品や、ゲイの登場人物にリアリティを持たせる作品が増えているためです。この幅広いBLというジャンルを全て「女性のため」と一括りにまとめてしまうのは、BL作品それぞれの良さを蔑ろにしてしまうのではないでしょうか。

 

BLとゾーニング



前述の通り、こうした趣味の分野では性別を基準にすることである種のステレオタイプが生まれてしまうケースがあります。また、「なるべくBLを目にしたくない」「正直BLが苦手だ」という人たちは性別を問わず存在しており、お互いの趣味趣向を尊重するためにも、筆者は書店やSNSにおけるゾーニングをきちんと行う必要があると考えます。

 

書店などでBLコーナーは女性向けエリアの中にあることが多いですが、TL作品などのほかのジャンルの作品とのコーナーの境目が分かりにくい場合も多いですよね。以前筆者が立ち寄った某有名書店では、BLを単に「女性向け」のゾーンに配置するのではなく、BL専用の本棚をフロアの角に配置することで、他のジャンルの作品とはっきりと分けられていました。


売り場の広さなど様々な都合からすべての書店でこのような配置を行うことはもちろん難しいと思いますが、このようにすることでBLを買いたい人にもそうでない人にも適したゾーニングが実現できるのではないでしょうか。

 

また、ネットやSNS上では「腐向け」や「腐注意」などのタグやキャプションが存在しており、これらを含む投稿をミュート設定にすることができます。非常に多くのユーザーが利用しているSNSやポータルサイトで完全にゾーニングを行うことは困難ですが、「BL作品「BL要素のある投稿には特定のタグを使う」という少しの配慮によって、お互いに自然と「住み分け」ができるようなより心地いい界隈になるのではないかと思います。

***


いかがでしたでしょうか?

 

BLは確かに女性ファンが多いコンテンツではありますが、「女性向け」というフレーズから生まれる誤解や偏見も存在します。

「女性だから」ではなく、「BLが好きだから」BLを楽しむ。そんな一見当たり前のことが、「女性向け」という言葉によって見えなくなってしまうかもしれません。

そして、日々変わり続けているBLというジャンルとそれに関するコミュニティをどう分析するかという点についても、変わっていく必要があると筆者は考えました。

 

この記事が、読者の方にこのような問題について考えるきっかけになれたら幸いです。


担当BLソムリエ:ソラ 

ほのぼの、切ないものが大好きな腐男子。現実世界の日々のストレスを癒すためにBLに逃げることが多い。本棚が小さすぎて困っている。

コメント9

投稿順 | 最新順

匿名7番さん(1/1)

匿名5番さん

ジャンルを守るという点ですが、、、
女性向けのゾーニングを取り除く=男性も読むものにすれば、18禁規制されていない現状を問題にする流れは避けられないんじゃないかな。今もその流れはあるけどさらに後押しになってしまう。それがジャンルが守られない可能性があると意見してる人もいるんです。この場合の問題点は置き場所じゃないですよ?
商業BLがあの内容で18禁指定されないのは、「女性向け」としているからです。元々指定の基準が曖昧なのでどうにでもできてしまう点ですが、女性向けを盾に抵抗してる側面もある。そういう話だと思います。

匿名6番さん(1/1)

最寄りにある書店のBLコーナーが青年誌コーナーと向かい合っていて勝手に気まずさを感じていたのですが、この夏にその書店で全体的に配置が変わりBL本置き場を探すとなぜかweb発の案内板がある書架(男性モノ女性モノ両方のweb発の作品が置いている)に配置されていました。なぜweb発コーナーにBLが??と、不思議だったのですが…もしかして青年誌コーナーと向かい合っていたのも、web発コーナーにBLが置かれていたのも男性も立ち寄りやすくするなどの書店側の意図があったのかも!とこの記事を読んで思いました。
個人的にはBL本を選ぶ際に男性と並んで選ぶ勇気は無いので、客足などタイミングを見計らいながら今の書籍配置と付き合っていこうと思います^ ^

匿名4番さん(2/2)

気にならない人は大丈夫だと思うんですが、特に古本屋で男性向け成人コミックと女性向け成人コミックが隣り合っていたり背中合わせだったりするとちょっとドキッとしますね。
見知らぬ男性が成人向けエロコミックを立ち読みしてる側で女性がBLやTLコミックを物色するのは、自意識過剰かもしれませんが気持ち悪くありませんか?
リアルで望まない性欲の対象にならないためにも、女性向けのゾーニングくらいはあったほうがいいでしょう。
性暴力やストーカーやDVの被害にあうのは断然女性が多いですが、女性にも性欲はあるはずです。
でも現実で女性がパートナー以外で性を追求すると人生を踏み外しかねません。
そこを補う女性向けの成人モノが、男性向け成人モノとは別の基準で存在していてもいいのではないですか?
特にBLは男性同性愛を扱っているので男性の読者は主にゲイを想定していて、男性の欲望にさらされない安全な女性の為の成人向けジャンルだと認識されているほうがBLにとって都合が良いと思いますよ。

匿名5番さん(1/1)

ジャンルを守る(?)ために、○○向けというゾーニングがそこまで有効なんでしょうか?いまいちピンとこなくて。
男性も女性もBLを楽しんでいいんじゃないか(いいとか悪いとかっていうのも失礼かもしれない…別に誰のためということもない気がしている)と思うので、BLを楽しみたい男性を念頭に、女性向けというゾーニングを取り除く動きがあってもいいんじゃないのかなあと思います。
ところで、女性の私も、書店の男性向け?のエリアに入っていくことはままありますが、場違い感はあれど、男性向けというゾーニングを取り払ってほしいと思ったことはありませんでした。感じ方が違うのでしょうか。

半分か、3分の1くらい男性作家になれば「女性向け」というラベルも無くなるかもしれないね。でも男性のBL作家って何で少ないんだろう。ゲイ作家の作品は私小説っていうか自伝的なものが多くて、女性作家のBL作品みたい恋愛性愛を娯楽作品として消化して表現された作品が凄く少ない。SNSとかで上記みたいなこと言ってる男性みかけると四の五の言わずにあなたも書きなよーって思うけど… 当事者が書いた、私小説でなはない、エンターテイメントとして新しい創作もあったら面白いね

匿名4番さん(1/2)

若い頃、さぶとか薔薇族なんかを読んでみたことありますが、JUNEとは全く違う世界でしたね。
今でもBL(フィクション)とゲイ(リアル)は違うものだと考えます。
BLを男性が読んでも構いませんが、本質的にBL(男性の色気を女性の視点で多角的に愛でる)は女性の花園なのかもしれませんね。

匿名3番さん(1/1)

男性向けの規制に比べてBLの規制が緩いのは、「女性向け」と銘打つことで様々な言い訳が成り立つからです。感情論で女性向けのカテゴライズを排除すると、読者にとって不都合が生じ、結局自分に返ってきますよ。個人的には成人指定して同レベルに厳しくしてもいいと思いますが、女性から反発が起こり、女叩きに目がない男たちにエサを与える結果にしかならないと思うと面倒ですね。
記事の件は深堀りするとBL文化の委縮につながる未来しか見えません。男性向けのエロ本と同じ扱いになれば「女性向け」の認識は自然と消えるでしょう。そこまでお望みであれば何も言うことはありませんが。

匿名2番さん(1/1)

敢えて「女性向け」と銘打たないと、BLが別の文化に侵食されちゃうあるいはBLが別の文化を侵食してしまうのではないかと、私は心配しています。

端的にいえばゲイ文学と軋轢が生じるのを私は危惧します。腐とゲイは基本的に異なるクラスターです。それらの境界線が曖昧になれば、勢いが強い方が勝ち残り弱い方が淘汰されてしまうという不幸が残るのでは。BLもゲイ文学もそれぞれ必要としている人達がいて、両者とも市場原理で淘汰されていいものではありませんので。違うものは違うという線引きは必要だと思います。

BLの愛好者は女性だけではないというのも分かります。しかし女性向けのエロが社会においてあまり歓迎されず肩身の狭いのも確かで、「男同士のエロ」というホモソーシャルとミソジニーどっぷりの男性には触るのも嫌で放置されるというのを利に、マジョリティ男性から見えない所で女性が奔放な性表現を楽しむことができる。そのステルス性を排除して安全なほど、今の世の中って女性にとって自由でしょうか?

匿名1番さん(1/1)

多くの人と共有出来る広がりを感じるので、幅広い人とも楽しめるのは嬉しいです。
どこかで女性向けという、ワードでのくくりから感じる圧迫感・縛りを断つ手段があればいいとは思うものの、ただ、ンー・・・。
私の持つ女性視点からすると、少年誌にしろ青年誌にしろ、男性から女性を見る描写や独自の男性観で傷つく表現があったな、と思うので、そういった気持ちを防ぐためにBLにも”主に女性を読者対象としている”とつけていてほしい気持ちはあります。よく見るものとしては、少年誌のポップな異性への関心の描写。読者への共感を呼んでるかもしれませんが、面白要素として女性が使われた、性の都合の良い部分だけピックアップして取り上げられた、女性への思いやりや配慮が感じられなかった等々。少年漫画や青年漫画で見やすいな~と思ったら女性漫画家さんだったという事も多々ありますし、何ならこれ女性漫画家さんだな、って何となくわかることもあります。

個人個人で、趣味の男女差をなくすマインドを持ったり、本屋さんの対応を広く持ってもらったりするのは大賛成ですが、
なんやかんや女性作家・女性漫画家の比率や女性編集者の数も恐らく多いです。
簡単に男性や性マイノリティの方がえ?と思うような表現を消せない状況下で、そして、同趣向者へ描いてる人も多い中、BLというジャンルを誤解されて傷ついたり鬱屈とされたり、批判されたりする懸念もあるかなぁと。

例えば、女性から女性への表現がそれで批判され、全性別向けに何が何でも変化させなければならない表現だと断言できるなら、そのリスクは負ってもいいと私は思います。
大手メディアとかでは多くの方の視点に配慮した表現を使う努力を怠るべきでない、と感じますが。
男性視点や性マイノリティの方視点から見て欠けている、違和感のあるかもしれない今の表現が、全性別向け・全性趣向者向けへの表現へ向かう最中に、埋没していっていいのかどうか答えが出ません。一度埋没したら復権するのって厳しいと思うんですよね…。いや、同人活動されてる方も多いジャンルだからマイナー表現そっちで使えばいいのかね。

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