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愛し合うと死ぬ!?オメガバースに続く○○バースまとめ
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2018/12/25 13:39
「この作品がBLアワードにノミネートされなきゃ、死ぬ。アンケート」に寄せられた作品の中から今回ご紹介するのが、カサイウカ先生の『例えば雨が降ったなら』。早速頂いたコメントを見てみましょう!
誰しも経験したことがあるであろう初恋の甘くて切ない気持ちを思い出させてくれる。全腐女子のオヤジ好きの心を満たしてくれる。場末のストリップ劇場というあまり馴染みのない場所での人間関係を軸に進む読み応えのあるストーリー。LOVEの展開はまだまだこれからだけどグッと心を掴んで離さない今年私史上最高の一冊。続編が決定しているそうなのでそれを読むまでは何としてでも生きたい。
この作品、30年前からくすぶっていた恋に火をつけたという初恋ロマンがテーマのひとつになっています。
男性にとって初恋の相手というのは、いつになっても思い出されるもの。
余談になりますが、5年前に友人の結婚式を機会に中学時代の同級生たちに会ったとき、今でも当時好きだった女の子の話をみんなしているのです。みんな40過ぎているのにですよ。いまでも気になりすぎてしょうがないのです。
それだけ男にとって思春期に好きになった相手は永遠のアイドルとして生き続けるのでしょう。
◇あらすじ
久我は、共同経営者に金を持ち逃げされ、ビルの屋上に立っていた。
飛び降りる勇気も出ず空腹が先にたち、しかも死ぬ前に初恋の「男」に会いたいと
思いとどまった久我は、友人の探偵の協力もあり、初恋の男・充のもとへ。
しかしそこは、地方の場末のストリップ劇場で……!?
どん底無職バツイチ純情45歳×元美少年45歳のラブストーリー!
事業に失敗、家族に見放されて人生詰んだ主人公・久我(45)。
この年で社会的地位の後ろ盾だった会社と家族をいっぺんに失うと、誰でも久我のように飛び降りに最適な屋上に上がってみたくなるもの。
久我のモノローグが同年代のお年頃のおじさん心を締め付けます。
「そこそこな大学出ていい会社に就職してキレイな嫁さんももらった」
しかし今、手元には何も残っていません。
20代の頃、自分の手持ちの中でした最良の選択だったはず。20年経ってその結果…これで本当にこれでよかったか? いまさらながら自分の立ち位置に愕然とする久我。
自分した全ての選択に裏切られ続けられた久我ですが、唯一裏切らなかったのは、初恋の男・半田の記憶。
屋上のフェンスを半身乗り越えたところで、高校生の半田の記憶を思い出し、生きる気力まで湧いてくるのです。
それだけ男にとって初恋の相手は神格化されているんですね。
下手に付き合って別れる記憶がないだけに美しいままなのです!
そこから久我の行動は早い!大学時代の知り合いで探偵をやっている鍼沢を訪ね、半田の居所を調査してもらいます。
半田が、場末の温泉街のストリップ小屋の裏方をしていることを突き止め、久我はストリップ小屋へ半田を訪ねていくのです。
余談ですが、温泉場ストリップのドロっとした場末感が本当にリアルすぎて、80年代に吉永小百合主演でNHKで放映された「夢千代日記」を彷彿とさせます。(この世代はちるちるを見ているのでしょうか笑)
探偵を雇っての再会モノ。これはBLとしてはあまりかっこよくない(笑)。再会は、あくまでも偶然じゃないといけないわけですが、主人公は冴えないおじさん。ここはリアルに行きたいところです。おじさんは基準値が低いところから始められるので、その辺は有利ですね。
ここまでがプロローグですが、長くなってしまいました。
しかし「例えば雨が降ったなら」はこのプロローグの味わいなしに成立しえないのです。
温泉場に向かった久我はあっさり半田と再会しますが、半田は塩対応。
自分がこんな対応されたら、そのままストリップ小屋に屋上に向かって飛び越えてしまうかもしれません。久我強し!
そして久我は、ぐいぐいとストリップ劇場の仲間たちの中に入り込んでたちまち打ち解けます。超コミュ力高い!
あぁ、すべて失ったおっさんでも受け入れられて生きることができる場所。こんな場所があるんだ!こんなユートピアがあれば楽しいだろうな。
ほどよくピークを超えたストリップ嬢達。ひとつの卓を囲んでお皿をつつくシーンは古き良き昭和といった味わいで、煮物のいい香りが漂ってきそうです。
BLはファンジーといいますが、この作品の舞台となっているストリップ小屋は、第二の人生を考える男たちにとってのファンタジー空間ではないでしょうか。40代からの異世界転生としてふさわしい舞台といえます。
さて久我の初恋の相手である半田ですが、昔の面影はあるとはいえ、昔の輝きの半分以上は失っています。
預かっている姪を立派に育てあげることだけが生きがいになっているようです。ただ姪は高校生。場末の街でこのまま暮らしていくことを半田は望んでいません。「ここに残りたい」という姪の意思はあれど、必然的に卒業とともに手を離れることになるでしょう。
となればもうすぐお役御免の半田ですが、突然の久我の登場によって、諦めていた人生に弱火がチカチカと灯ります。半田は希望を捨てて生きることで精神安定を保っていましたが、久我の存在により、その生き方と対峙することになるのです。
ここからはネタバレを含みます。
その中でオヤジソムリエ・ヒロシが気になったのは、中盤から登場するヤクザの丹崎です。実は過去に半田とは肉体関係にあり、もう少しで組織の幹部に上り詰める地位にいながら、自らの脇の甘さで失脚。そしてこの田舎町へと追いやられます。
体のいい当て馬かと思いきや、この方の過去、そして現在も悲しい…。
今でも思いを寄せる半田に、子分の暴力沙汰をきっかけに再会。内心ガッツポーズの丹崎だったでしょう。昔付き合っていた頃は自分こそ半田の本命と信じていたのに裏切られ、恋人も出世も一挙に失った苦い記憶が蘇ります。
自分への気持ちが少しでも残っていてほしいと思いつつ、丹崎は半田をふたたび強引に抱くのですが…。
しかし今回も形だけ受け入れてもらえるものの、結局は蚊帳の外にいる自分をここで再確認してしまうのです。
蚊帳の外経験が多い方には、この丹崎の気持ちが痛いほどわかるはずです。いつまでたっても主人公になれない丹崎。自分であれば絶望しますね。
不遇な当て馬コレクションを自認する私ですが、どうしてもこの丹崎が気になって仕方ありません。続巻では、丹崎の過去が描かれるのでしょうか。丹崎は絶対にシアワセになれないおじさんだと思いますが、ぜひそんな男を生き様を見たい!とおっさん視点だと思ってしまうわけです。
では、本作は具体的にどんな作品が好きな方におすすめなのでしょうか。ユーザーの皆様からいただいたコメントを参考に、テイストの似ている作品をピックアップしてみました! 以下の作品が好き、という方は要チェックです!
キャラの人間くささが共通しています。読んでいて匂いが誌面から漂ってくるキャラクターということですね。香水のような匂いでなく、体臭に近いものですよね
岡田屋さんは江戸期の時代物をよく描かれていますが、ラテンキャラもお得意です。タンゴやフラメンコのような吹き溜まった情(パッション)というのは時代物、場末設定の作品と相通づるのかもしれません。
人間の業を感じるこの作品。多くの人が求めるBLの方向性とはおそらく異なるテイストが入っているからこそ、男性の私でも楽しめる作品なのだと思います。少年漫画テイストで活劇浪漫がたっぷり充填されており、どちらかというと男性が楽しめるのではないかと思っています。
世代を超えての因縁という展開が大好物な私はそこだけで評価が高くなってしまいます。
これら作品は腐女子だけでなくぜひともおじさんに読んでもらって自分の人生を見つめ直してほしいですね!
そしてなんとその続編『例えば雪が融け合うように』が、2018年12月25日(火)に配信の『enigma vol.41』からついに連載開始!
この記事の担当BLソムリエ |
BLアワード2019の投票は来年の1月下旬から。例年は、年末までに得点が200ポイント以上の作品の中からノミネートされるていることが多いです。
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