「おっさんずラブ」略して「OL」は“BLドラマ”として各方面で話題となりました。
これまでドラマにゲイ役、ゲイカップルが出てくることはありましたが、男同士の恋愛をメインにしたドラマ展開はかつてないものでした。
そしてそのテレビ初の“BLドラマ”に「おっさんずラブ」に熱烈なファンを生んだのは画期的な出来事でした。
ドラマ終盤に入り各方面から「おっさんずラブ」への意見が多く見られるようになっていきましたが、こんなにたくさんの方が語りたくなるドラマって最近あまりないような気がします。そしてさらに放送後も熱く語られていることには驚きを隠せません。
考察欲を駆られ、意見を言いたくなるドラマは一生の中でもそうたくさんあるものではありません。
様々な識者、ブロガーの意見がここまで出ていますが、すっかり「OL民」となったちるちるスタッフが熱く「おっさんずラブ」について語ってみたいと思います。
おっさんずラブ主要登場人物
春田創一(田中圭)
33歳「天空不動産」の冴えないが気持ちのやさしいノンケ社員。上司の黒沢部長、同僚の牧に同時に告白される。
黒澤武蔵(吉田鋼太郎)55歳
「天空不動産」営業所部長。既婚者であるが、春田への気持ちを抑えきれず告白。妻の蝶子と離婚を決意する。
牧遼太(林遣都)25歳
「天空不動産」本社からやってきた若きエリートイケメンゲイ。春田と同居することに。
武川政宗(眞島秀和)44歳
「天空不動産」営業所主任。牧の元恋人。
栗林歌麻呂(金子大地)「天空不動産」の新人
黒澤蝶子(大塚寧々)黒澤武蔵の妻
荒井ちづ(内田理央)春田の幼馴染み
OLが超絶もりあがった理由は?
-------どうしてこれほど「OL」は盛り上がったのでしょうか。
あべり「
弟の夫」「
隣の家族は青く見える」などゲイカップルを取り上げたドラマが近年増えてきて、OLも「王道ラブストーリー」を謳ってはいるもののマイノリティの恋愛をコメディタッチで描くのは絶対に批判の方が多いと思っていました。けれど意外にも大きな反発が無かったのはそれ以上に物語として面白かったのと、役者さんの演技が凄かったのだと思います。
ゲイ当人も牧に感情移入するリアリティがあるところと完全にフィクションの世界と割り切る2つの視点を持って観る事ができたのではないでしょうか。
大福物語は確かにコメディタッチでしたが、心理描写は緻密で感情の変化が分かるように描かれていました。役者さんの力量もあって、誰もが共感し想いを揺さぶられる王道恋愛ドラマに仕上がっていたと思います。先の読めない斜め上の展開にもヤキモキさせられましたね。6話の後は牧が気になってご飯が喉を通りませんでした(笑)。
ももんがフジテレビ公式FOD番組「久保みねヒャダこじらせナイト」を見て、久保ミツロウ先生がおっしゃっていたことから思ったのですが、「おっさんずラブ」は恋愛としてベタで王道なので、わかりやすくて一般の女性もはまったのではないかと思いました。
こばやし“オリジナル脚本だからこそ”の先が読めない展開に視聴者は夢中になっていった気がします。
BL作品が原作にあったら実写とのギャップでまずヘイトが生まれますし、仮にキスシーンに盛り上がっていても、いつキスがくるのかは原作ファンやネタバレ知ってる組は分かっているので、「おっさんずラブ」のキスほど盛り上がらなかったのではないかと。
BLを茶化す作り方ではなかったので、斜に構えて見始めた腐女子もどんどん引きこまれていき、後追い公式動画配信組も加わっていったような。
あべりここまでわかりやすい餌(という言い方は失礼ですが…)に腐女子が飛びつくのって実は珍しい気がするのですが、そういうプライドとかかなぐり捨てて牧の幸せを願わずにはいられない…みたいな感情が私にはありました!
視聴者は牧に感情移入して見ていたか?
-------このドラマを牧目線で見ていたひとが多いと言われていますね…
I牧目線で言うと「叶わぬ恋だと思ってたけどそれが叶ったストーリー」ですよね!?牧は別れるのが好きな人の為だと思っていたけど春田はそうは思っていなかった。2人だから、牧と春田だから幸せになれる…それに気付いた&牧に気付かせたのが1話からの春田の恋愛観の変化を感じさせるポイントであり、そこが「おっさんずラブ」の魅力の1つなのでは。
あべりオトナ女子が牧を他人事とは思えない、というのはあると思うし、女性がBLにはまる潜在的な理由のひとつに「他人事とは思えない」というのがあるように感じます。
ももんが牧くんに感情移入している方も多いとは思いますが、マロ君やちずちゃん目線で見ている方もいました。
大福私はガッツリ牧に感情移入してしまいました。他のキャラクターはコミカルなセリフや表情などが多かったのに対し、牧はほとんどなく、終始切ない心情が表現されていたので感情移入してしまったのかなと。かなりデフォルメされた「オトメ男性」として描かれていた部長とははっきりとした対比ではないでしょうか。
あべり部長役の吉田鋼太郎さんの演技がコメディよりだったとすると、林遣都さんのゲイの演技がリアリティの部分を担っていたことが牧くんを応援する声が高まった要因だと思います。あとはもちろん単純な顔の良さもあるかと。
部長は牧と春田の触媒だった
I実は私は牧目線では見てませんでした。私はストーリー自体を楽しんでいた。しいて言うなら春田が牧と部長によってだんだんと恋愛に向き合っていく様子にグッと来ていた…
一般の人は不明ですが、確実に腐女子OL民は牧に感情移入しておっさんずラブを視聴はしていないと思います!
大福「黒澤部長が牧春成立の触媒となっている」というのは当たっていると思います。最終的にライバル全員が春田と牧の恋を応援するという構図になりました。三角関係の皮を被った、春田と牧の純愛兼成長ストーリーとなっている点も魅力だったのではと思います。
I部長の存在については、私のように作品全体を楽しんでいた人と牧春民で意見が分かれそうですね…。ちなみに私は、最終的に牧と春田がくっついたけど作品が描いていたのは「3人それぞれの恋愛模様だったからそれぞれが必要不可欠だった!」…という考えです。牧と同じように部長も純粋に自分の恋愛と向き合っていたんだから!そこ評価しないと!と思います(笑)
あべり大企業で働くキャリアウーマンが『「応援していたのは牧(後輩)と春田(主人公)だけ。部長は正直キモいと思っていた」』と語っていたということと、それが視聴者大部分の総意だとしていることにSNS上で批判が集まっているのは見ました。
I部長の存在について…わたしは邪魔だと思ったことはなかった(むしろ好感が持てる)のですが、牧春民からすると邪魔な存在ですよね…。最終的には牧春がくっつくための障害物だった、みたいな感覚の方が多いのかもしれません。
ユメ実際Twitterで部長の気持ちを思うと本当に切ないというツイートのリツイがとても伸びていたし、私が号泣したシーンは部長との結婚式のシーンでしたし(私以外もこのシーンは涙必須だと)
部長はバイ?
I部長は元々バイだったのでは?妻に「ずっと言えなかったんだけど…」と他に好きな人がいることをカミングアウトするシーンであえて「男か女か」を言わなかったのは何故か…?
本文の通り、はるたんは元々ノンケですよね。最終的には「本当に好きになった人が男だった」みたいな。
あべり部長は異性愛者ではなく両性愛者なのではないでしょうか。(春田に恋をして気付いたのでは)
妻がいる=異性愛者はやはり違うと思います。自分がゲイ、バイと気付かないで過ごしている人もいるというくらいなので。
Iあと余談ですが、部長と春田の結婚式シーン…あれは部長が可哀想すぎましたよね。正直あそこで残された部長の気持ちを思って私は泣きました()春田は最終的に牧を選んで牧春ハピエン!な終わり方でしたが、春田は結局部長の気持ちを踏みにじった上で掴んだハピエンな気もします。それにしても最後まで春田の幸せを願って行動した部長は素晴らしい人だな…
実は振るわなかった視聴率『おっさんずラブ』は誰が見ていたのか?
SNSでは空前の盛り上がりでしたが、実は全7話の平均視聴率は約4%で、数字的にはあまりよくなかったようですが…女性と男性の評価の差が激しいようです。(
Yahoo!ニュースより)
こばやし動画配信はひとりで見ることができるので(家族と見るには多少気まずい題材なこともあり)、視聴率自体はそんなにだったのかもしれませんが、「
TVer」では上位にいましたよ。
ユメ視聴率=認知度、人気度ではないのだろうな〜と。視聴率より見逃し配信とかの再生回数を見た方が、もう少し実感に近いデータが得られそうだと思います。
ももんが視聴率の低さは家族で見るドラマではなく、家族の中の1人、2人だけ見たい人が多くで録画や配信で見るドラマだからではないか、と思います。(放送終了後の見逃し配信はテレビ朝日史上最高記録しています)内容が全ての人に受け入れられるものではないので……
また、twitterでの声が大きいのも女性の視聴者、特にBL好きなどオタクの方が多いからではないかと思います。
ですが、非腐女子の友人も見ている方が多く、田中圭さんや林遣都さんのファンの方だったので、見てハマったのではないかと思います。
実際BLのエロに引いてしまっている非腐女子の方も多いので、ライトなおっさんずラブはハマりやすかったっぽいです。
Iもっと多くの人が視聴していると思っていたので。若い女性の視聴者が多かったのは、有名&人気俳優を起用していたから。そしてSNSの多用、が理由に挙げられるのでは。また、「現実的ではないストーリー」という意見もあるため、ハマった人は見続けた→評価も高いってことでしょうか。
あべり男女差はともかく、年代別に数値で視聴の傾向があるのは事実として興味深かったです。
アイデアの勝利というのはその通りだと思います。深夜とは言えTVドラマでこの内容を放送したのが評価されるべきだと思います。仮にこれが映画だったらここまで話題にならなかったのではないかと。
「お前だから好きになった」というBLのパターン
あべり溝口彰子先生の著書「
BL進化論」では「男が好きなんじゃなくてお前だから好きになった」みたいな、言ってしまえば自分は同性愛者では無いという予防線のようなテンプレ発言があるBL=「奇跡の恋愛」がひと昔前のBL典型パターンだったとありました。(近年はゲイのリアルな生活や感情を描く作品が増えているとしている)
「OL」もそういう捉えられ方をしていると思います。牧だから好きになった・本当に好きになった人が男だったと。だからSNSでも「OLはBLじゃなくて、純粋に人が人を好きになる物語だ」という発言をよく見かけます。
またプロデューサーなどのインタビューを読む限りではBLを意識したわけではなく裏テーマは「男女の結婚」だと語っていました。
ただBLだって人が人を好きになる物語であることには変わりはないはずなので、BLじゃないって言われているのはなんかもやっとしてしまいました。OLは純愛とリアリティとファンタジーを掛け合わせた、言うなれば「究極のBL」ではないでしょうか。
大福BL以外の作品も男性同士の純愛を描いたものはありますので、おっさんずラブも「BL」と明確に線引きする必要はないと思いました。
本筋からは逸れてしまいますが、BLにも「本当の恋、幸せとは何か」を問いかける作品が多くあるので、非BL好きのおっさんずラブファンの方々にもぜひBLを読んでもらいたいと、少し歯痒さを感じてしまいますね(笑)。
-------ありがとうございました。
次回作があれば、幸せな牧と春田もみたいですが、部長がどうなるのか描いてほしいですね。
中村明日美子先生の大人気「同級生」シリーズのハラセンが「空と原」で救われたように黒澤部長にも幸せを!

おっさんずラブファンブック
記者プロフィール
大福 バディ、ライバル、近代モノをこよなく愛する腐女子
ユメ 甘々で終始イチャイチャしている作品を愛する腐女子
こばやし 切甘な作品をこよなく愛する腐女子
I 激甘から激バッドエンドまで幅広い作品を愛する腐女子
あべり とにかく「おっさんずラブ」を溺愛する腐女子
ももんが 甘口から辛口までジャンル問わず愛でる腐女子
コメント2
匿名2番さん(1/1)
部長を応援するためには蝶子さんが幸せになってからでないと無理
武川主任には幸せになって欲しい
匿名1番さん(1/1)
何度か「BLじゃない」という意見を見て私もイラッとしてしまいました(笑)。絶対BL読んだことありませんよね?って。むしろBL漫画で百万回見たみたいなシーンが沢山ありましたが。
私は腐女子OL民ですが普通に牧春好きで見てましたが…みんなそうでは?部長が邪魔だとまでは思わないですが、当て馬キャラとしてもう少し面白くできたのかな〜…とも思いましたが。
2話ぐらいから沼の予感がしていましたが、にしても腐女子以外にもこんなにヒットするとは思わなかったです。役者さん達の役に真剣に向き合う姿勢に感動しました。