実はドラァグ・クィーン×軍人!? 隠れた歴史に光当てる
戦争映画では愛し合った二人が引き裂かれ、兵士は恋人の写真を胸に戦地に向かうのが定番。しかし、そんな兵士が実はゲイで、お相手が妙齢の女性ではなく、ドラァグ・クィーンだったら……?
先日、アメリカの
パームスプリングス国際映画祭ショートフェスで、第二次世界大戦前夜のある兵士とドラァグ・クィーンの恋愛を描いた15分の短編映画『
サンセット』が公開されました。
この映画『サンセット』が映画祭で絶賛されたと、アメリカのLGBT向けニュースサイト・
PRIDEが報じています。
映画『サンセット』の舞台は第二次世界大戦を目前に控えたニューヨーク。
戦地に向かおうとする
軍人・ピーター(画面左)と、その恋人で世慣れた
ドラァグ・クィーンのアーニー(画面中央)を主人公に、ニューヨークのゲイの歴史の中でもあまりスポットライトが当たらなかった愛すべき人達の物語を描き出しています。
この映画の中で、ニコーロ・ウェルシュ演じるピーターとライアン・トルー演じるアニーは、社会で一般的に考えられているような男らしさと女らしさの決まりを覆しているといいます。
脚本家でディレクターのゲイリー・J・ジャフによると、「アーニーは情熱的なドラァグ・クィーンでありながら、二人の関係においては
“トップ”(攻め)」だそう。
「戦争に向かおうとする軍人のピーターは、一般的にはマッチョなキャラクターだと思われるだろうけど、実際には
とても優しい部分を持った人物なんだ」
実は
ドラァグ・クィーン攻め×軍人受けだったのですね……! これは意外です。
ヘンリー・ウォレスの有名なスピーチから始まるトレイラーでは、真珠湾攻撃の後、
戦地に派遣されそうになるピーターとそれを引きとめるアーニーの姿が描かれます。
戦争に行くべきか、それともニューヨークに残って恋人と一緒にいるべきか、難しい判断ですね……。
しかし、軍人のピーター、かっちりした服にかっちりした髪型で生真面目そうに見えますが、そこが逆に禁欲的でエロスを感じてしまいました……!
「行かなくていい……」とピーターに言うアーニーの言葉が切ないです。戦争に恋人を送り出したくない心情が伝わってきます。
パームスプリングス国際映画祭で絶賛された映画『サンセット』、一般公開の予定は未定のようですが、日本でも観る機会があるように祈りましょう!
記者:みかん