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腐女子の履歴書 case.1 【KTC Mさん後編】

2016/03/31 12:00

「腐女子は、なぜ腐女子になったのか?人は生まれながら、腐女子なのか?」

素朴な疑問を不躾にぶつけてみるコーナー

「腐女子の履歴書」、今回は、濃厚さと宣伝の間で揺れてます♪


今回のゲスト
キルタイムコミュニケーションのMさん

キルタイムコミュニケーション(KTC)はアダルトの老舗版元。男性向けの触手やハーレムものを制作・販売しています。後編はTL編集者としてMさんのあふれんばかりの腐女子スキルがどのように活かされているか深く突っ込んでいきます。 前編はこちら



~~~今、注目の作家さんは?~~~

 

 

・作家または、作品で注目していることはありますか?

基本BL作品は全ておいしく読ませていただいておりますが、注目しているのは作家様でも雑誌でも「振り切れ度」だと思っています。作家様は前述したので今回は “雑誌”という視点からいうと、『JUNE』は躊躇がないというか……衝撃的でした!!当時借りたときに中期くらいから、“ギャグに走っちゃったの?”っていうくらいの勢いを感じます。今よりも色々なタイプの作品が掲載されていたと思います。“え、これって…(汗)”っていう作品もたくさんありましたね(笑)。「ロクフェル」とか人面瘡が出てきたりしてホラーBLといったらいいのか当時、本を読みながら「えっ?」と言ってしまいました。

最近で言えばJUNEの後継ともいえる、ジュネットさんの「BOY’Sピアス」の振り切り度を見習おうと思います。

例えばBOY’Sピアス開発室 vol.24 安心してください、入ってますよ。ってタイトルからステキに飛ばしてますし、キャッチも「穿いてますし、入ってもいます…。」これを見たら買わずにいられませんよ!こちらも編集さんも作家様もどっちも企画・内容についてお互いに理解して、ハイクオリティで描いているので読んでいて私の中のBLメーターが振り切れます。いやもう買っちゃいます。…ええ、はい、買いました……

 

・今注目している作家の方っていますか?

幻冬舎コミックスのすごい人、丹下道先生。恋するインテリジェンスは…あれがデビューですよね。シリアスな官僚ものと思いきや全く違うという、読んで「こうきましたか!」な感じで、面白い。

 

・他に誰かいますか?

ちゃんと5人ピックアップしてきました。おわる先生、日塔てい先生…

あとわたくしの今のオススメは待緒イサミ先生(4人しかいない件について)

特に待緒イサミ先生はキレイな絵でほのぼのっぽく…と見せかけてHシーンが基本あまあまなんですけどもねっとりエロいです。

Hシーンの擬音がバリエーション多いし、言葉攻めがすごいです。例えば言葉攻めなんか「旦那様といとおし暮らし」でHした翌日に攻めが受けに後始末をもうしちゃったのか見せろ、もう1回注いでやるから見せろって言うシーンがたまらなくエロいです。

…他社様の回し者じゃないですが、オススメします。

 

 

~~~今、注目のレーベルはこれ!~~~

 

 

・今注目しているレーベルありますか?とりあえず新刊チェック必須な感じで。

やっぱり竹書房さんですね。Qpaでございます。

 

・意外とメジャーなのですね

王道は王道でとてもよいのですよ。だって大多数が良いと思ってるのですもの。

おわる先生とかもそうだけど、はらだ先生とか、これぞ!っていう人を発掘してしっかり良い作品出してますよね…見習わないと。

 

・竹書房さんのQpaのレーベルのカラーっていうのはどんな感じだと思います?

絵柄はちょっとかわいい系で中身はしっかりハードという感じがします。格調高い攻め様がドーンと攻める、ではなくかわいらしい感じだけど、Hはしっかりしているイメージです。

 

・ああ~新世代な感じですね。

そうそう、ライトな感じだけどエロいという

なかなか竹書房さん、最近勢いがあってズルいわぁっていうw(まだ言う)

 

・編集者の能力差出ますよね、それは(笑)

だから情熱なのかなっていうのはあります。後は、遅まきながら言っておきますけれど、メディアソフトさんはBLは攻めてるっ。

 

・アンソロジーだけで、かなり頑張っているレーベルですよね

ああいう企画を立てられる編集もそうだけど、コンセプトを理解してしっかりハイクオリティに描いている作家さんたちがすごいです。……露出BLとか縛りBLとかね。

 

 

 ~~~BLはこう変わった!~~~

 

 

・話が変わりますが、ここ10年くらいのシーンの変遷を軽く振り返ってもらえますか。

昔って、もっとすご~く“濃い”話が多かった気がするんですよ。さっき言ったJUNEに掲載されていた間の楔(1986年『JUNE』に掲載された、吉原理恵子著による知る人ぞ知るBL界の代表作の1つ。アンドロイド達が人間を隷属させる世界が舞台で、SF小説としても高い完成度を誇るその後、ドラマCD,OVA化も果たす)とかも“濃い”んですよ。何が“濃い”かっていうと、ストーリーだったりキャラだったり世界観だったり……どこか“文芸臭”を漂わせてたり……。攻めはあくまで攻め様だったのが、近頃は細分化してきたのか、尽くし攻め、ヘタレ攻め、鬼畜攻め……受けも襲い受けとか好みが多様化してきてその辺り役割的にライトになってきたのかなーと。

 

・でも他ジャンルに比べると、BLは多様化していて、さらに未だ新しいジャンルが生まれているじゃないですか。それって良いことというか、今の時代珍しくないですか?

確かに多様化という点では良いと思うんですよ。でも、BLを黎明期から読んできた人間からすると、多様化しているからこそ、攻め様が攻めとして構えている王道作品を読みたくなります。

…でも筋肉受けはベツバラですからねっ。

 

・ちなみに最近はBL以外で何かハマっているものってありますか?

小説家になろうに注目していますね。投稿作品、いっぱい読んでいます。

(「小説家になろう」:株式会社ヒナプロジェクトが運営する小説投稿サイト。小説投稿サイトで老舗かつ、最大手)

 

・それは仕事として?

仕事としても読むけれど、プライベートでも読んでいます。何が面白くて何か良くないのか、読者がその場で意見する様子もそっと見ております。読者からの指摘や感想によって、もっといいものを書こう!とよくなっていったりしていくのを見るのが好きです。

たまに読者さんからの意見がダイレクトに伝わりすぎて、好きだった作品が途中で更新止まったりすると悲しくなります……続き読みたいです……

 

・才能がある人でも、アンチによって潰されてゆく?

アンチ、とまでいかなくてもネットという匿名性が強い媒体なので簡単に意見が書き込める分、言い方ひとつで悪意として書き手側が受けやすいと思います。それでなくても私は某密林さんで弊社の刊行物に星ひとつだと魂が抜けてしばらく凹みます……投稿されている方はそれ以上に衝撃があるのではないかと。

でも「小説家になろう」のいいところは、間違いや分かりにくい表現について読者が指摘してくれるので、どんどんブラッシュアップされていくところ。やる気のある人は、どんどん直して、どんどん良くなっていくんです。

 

・まさに弱肉強食!

伸びる人は伸びるし、止まっちゃう人は更新が止まっちゃう。でも投稿されている方は最後まで頑張って書ききって欲しいです。

 

・うーん、なかなか難しい問題ですね。紙の作品で気になるものは?

……最近、紙は男性向け女性向け問わずエロ本以外買っていない……。電子書籍が多い……いやそんなことは……ちょっと待って思い出します……

 

・それは…(笑)。例えば、少女漫画とか読まないんですか?

あ、読む読む!少女漫画ね!

 

・最近面白い作品は?

主に『マーガレット』で活躍している高梨みつば先生の作品は面白い!男の子がカッコいいのと設定がとても面白いのです。

 

・具体的な作品名、教えてください。

スミカスミレは、TVドラマ化ということで気になっていたのでちょうど昨日読んでました(笑)。60歳のおばあちゃんが17歳の高校生に戻って人生をやり直すんだけど、絵もズバ抜けて巧いし、一気買いしてしまいました!

私も人生やり直したい……でもきっとまたBL沼にハマることだけは断言できます(笑)

あとは星海社刊の「女と友情と筋肉」も面白いですね。ヒロインが3人いるんだけど、これがまたいい感じの筋肉キャラで(笑)。基本はギャグ漫画なんですよ。アラサー女子の悩み事を全て筋肉で解決していくのです。なぜか。時にはなぜか空も飛んじゃうっていう(笑)。

ヒロイン3人というとモンキーパトロールを思い出します。こちらの作品は筋肉、出てこないけど(笑)。

 

 

 ~~~あなたはなぜTL編集者に~~~

 

 

・ご自身についても少し伺わせてください。なぜTL編集者に?

昔から女性向け作品を作りたかったのです。たまたま、社内でTLの企画が出た時に即手を挙げて担当させていただくことになりました。資料と称してたくさんのコミックスを貪るように読みまくったら今度はTL沼にハマりました。

かっこいいヒーローとかわいいヒロインがたまらなく好きになってしまいました。私の心にはいくつのジャンル沼があるのでしょうか……

 

・ということは……最終的に行き着くのはBL?

BL“も”視野に入れております。いつか弊社もレーベル作りたいです。

 

・ではご自身でBLを作るとしたら、どんな作品を作りたいですか。

新しいジャンルに挑戦したいですね。例えば触手受けとか、危険なネタを……(笑)。あとは極めているBLといえば弊社みたいな作品にしたいです。モンスター息子とかやってみたいです。多分どこかから怒られると思いますので先に謝っておきます。ごめんなさい調子に乗りすぎました。

 

・最後に、ご自身が担当されている『ショコラシュクレ』について何かアピールがあれば、ぜひ。

3/25に新刊発売しました!小さくアピール。

詳しくはサイトをご覧ください。

 

・御社の作品を見ていると、歴史モノが多くあるような印象ですが。

現代ものと歴史もの、半々くらいでしょうか。それでも他レーベル様と比べれば、多いといえば多いですね。

 

・どっちの方が売れる傾向にある?

う~ん、特にどっちが売れるというのはありません。弊社は、“面白い作品はどんどん出しちゃえ”ってスタンスなんで(笑)。自分で読んで面白いと思った作品を出版させて頂いております。

 

・あえて空気を読まない、と(笑)。

ええ。たまに編集長に物凄く怖い顔で睨まれることがありますが、同様に空気を読みません。当レーベルの読者様から「買ってよかった」と思って頂けるよう沼の底から頑張らせて頂きます!

そしてこの記事をみてお仕事をお願いしたときに「あの記事はおまえかー!」といつか作家様に気付いていただければ…。

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コメント1

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匿名1番さん(1/1)

待緒イサミ先生のお名前に
「すっげーわかるofわかる!!!」と力強く頷いてます!!

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