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愛し合うと死ぬ!?オメガバースに続く○○バースまとめ
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2016/01/13 15:30
2017/11/09 12:25
ポエミーな厨二病にならずにはいられない!?『救済BL』とは
皆さんは、BL作品を祈りと共に読み、そして物語の結末とともに自身の心も救済される…そんな経験をしたことがありますか?
かくいう筆者は、エロシーンやキャラクターに特別に萌えたわけでもないのにその作品のもつ雰囲気に圧倒されてしまい、喋る言葉全てがポエム調になってしまうというような厨二病経験をしたことが何度かあります。そして、筆者は当記事の執筆にあたり、そうした経験をもたらしてくれるBL作品を『救済BL』と呼ぶことにしました。
では、救済BLとはそもそもどういうものなのか。
【救済BL 3つのポイント】
・厨二病風味のスパイスの効いた耽美でダークなストーリー
・重みの増していく先の読めないハラハラ感
・物語の結末を見届けた時に心に訪れる開放感
こうしたポイントから筆者の魂を震わせて止まない3作と共に紹介したいと思います。
毎週火曜の夜、娼夫・キョウスケのもとに通い夜明けまで他愛のないことを語り、帰ってゆく謎の男"イトウ"。
ある日、アタッシュケースに一杯の札束を持って「仕事をやめて好きなことをしてほしい」とキョウスケに手渡そうとするが…。
初めにご紹介するのは冥花すゐ先生の『イトウさん』です。黒地に施されたショッキングピンクのタイトルと鮮やかな花たちのイラストが目を引く今作ですが、帯には「殺し屋×娼婦」といかにも厨二心をくすぐる文字が。裏表紙には銃も描かれており、何やらダークな雰囲気が漂っています。
正体の掴めない殺し屋・イトウさんと健気な娼婦・キョウスケを巡るスリリングな展開に、「幸せになって欲しい…」と祈りつつハラハラしながらページを捲る…。そんな息もつかせぬBL体験の先には、ふっと心が解き放たれ思わず合掌してしまいたくなるような"救済"が待っています。
ここで主張しておきたいのは、救済BLには多かれ少なかれ"厨二病感"がスパイスとして欠かせないという点です。『イトウさん』における殺し屋・娼婦という設定のように、穏やかな日常とは乖離したどこかアンバランスで危なっかしい雰囲気が不可欠なのです。
カルト宗教に心酔している若者・リブを救おうと教団に乗り込んだ神父のロースだったが、逆に捕われ監禁されてしまう。
「つがいになれば、2人とも救われる」
そう盲信したリブは、ロースにドラッグを飲ませ朦朧とする彼をむりやり犯すのであった。
教えを一途に信じるリブが不憫になり、ロースは甘んじてその関係を受け入れるが…。
救済BL二作目は朝田ねむい先生の『Dear, MY GOD』です。表紙の二人の構図、そしてあらすじの「宗教」「神父」といったワードから滲み出る隠しきれない"厨二"っぽさ…完全に掴みはOKですね。
カルト宗教を盲信する若者・リブの身体に刻まれた痛々しい傷痕やそんなリブを心身共に包み込もうとするロース神父の湛える静かな表情には、『イトウさん』同様やはり祈らずにはいられません。考えさせられるタイトルも秀逸です。
純粋であるがゆえに差し伸べられたかりそめの優しさに縋ってしまうリブと、そんなリブを慈しみ愛そうとするロース神父。二人の関係は薄く膜を張った氷のように繊細で、触れたら壊れてしまいそうなほど。尊い以外の言葉が出てきません。
二人の行く末をハラハラドキドキしながら見届けるという点は通常のBL作品においても言えるかもしれませんが、ダークなストーリー展開の作品においては題材が題材なだけに通常以上のスリルが加わります。読んでいく内にどんどん心に負荷が掛けられていきますが、それが物語のラストと共にどう昇華されるのかを体験するという点が救済BLの持ち味であるように思います。
兄の妻が愛用する薔薇の香水をまとって、兄の寝室に忍び込んだ。目を怪我して見えない兄を、声を押し殺して愛撫する。やがて行為はエスカレートし、兄を犯し…。 義理の兄弟のインモラルラブ。
最後に、中村明日美子先生の『薫りの継承』を見てみましょう。
こちらは前に紹介した二冊に比べると設定における所謂厨二っぽさはそれほど濃くはないのですが、重要なモチーフとして作中に登場する香水の描き方やタイトルから滲み出る耽美さ、そして黒地に映えるイラストが何ともグッときます。
義兄が目隠しをすることにより成立し、互いに余計なことを口に出さないという暗黙の了解のもとに行われるアンビバレンスな行為の数々。
二人のそうした関係は周りの人間も巻き込んでいき、俗っぽい言い方をすれば状況は泥沼化していきます。
多くを語らず繊細な筆致によって淡々と進行していく物語の孕む危うさが、じわじわと胸の内に溜まっていく感覚。ネタバレになってしまうので深く触れることは避けますが、二人の迎える結末とそれを通して訪れる読後感は是非皆さんにも味わって頂きたいと思います。目一杯に膨らんだ風船から少しずつ空気が抜けていくように、緩やかに救済される作品です。
さて、ここまで様々好き勝手に語らせて頂きましたが、なんだか厨二病ポエムを書きたくなってきませんか。
【救済BL 3つのポイント】
・厨二病風味のスパイスの効いた耽美でダークなストーリー
・重みの増していく先の読めないハラハラ感
・物語の結末を見届けた時に心に訪れる開放感
いかがでしょうか。ほっこりと幸せな気持ちになれる日常系BLやエロや萌えのたくさん詰まった王道BLを極める道すがら、少し寄り道したくなった時はぜひ危うげでスリリングな救済BLに触れてみてください!
記者 星野
コメント7
匿名1番さん(1/1)
小説編もぜひお願いしたい!
匿名2番さん(1/1)
救済BLとてもいいですね。さる年で特集してもらったARUKUさんの「猿喰山疑獄事件」は、まさに救済BLだと思いました。
匿名3番さん(1/1)
興味深い記事ありがとうです。とても気になるのでチェックしてみます。他にもあったら教えて欲しいです
匿名4番さん(1/1)
イトウさんも薫りの~も好きなので、もう一作も是非読ませていただきます!
イトウさん本当に良いですよね。ドラマチックな展開なので、音声化とかしてくれたらいいのに…。
匿名5番さん(1/1)
救済BL っていう言葉のセンスがまずすばらしい。
「上質な暮らしBL 」くらい秀逸。
匿名6番さん(1/1)
リベンジBLもそろそろ?
モテない読者の代償として最もカタルシスが得られるBL作品3選!
なんていうのを企画したら荒れるかw
匿名7番さん(1/1)
「救済BL」は素晴らしい言葉だと思うのですが、厨二病って「俺邪気眼がうずく」とか突然飲めもしないコーヒーを飲みだし、その味について語り出したりする残念すぎる現象のことですよね。基本自虐か、残念な人にしか使わないネガティブな言葉なので、あんまりこういう記事には使わないほうがいいかな~と。
ギャグ作品を紹介するときにはピッタリな言葉なんですけど、シリアスものに使うと、作品自体や、作品を好きな人をバカにしてるように感じる場合もあるので厨二って言葉は使って欲しくなかったです。
作品自体大好きなので、ちょっと気になりました。
言葉の表現方法って難しいですね。