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異論は認めません!? 私のイチオシはこれ!53

2013/07/13 00:00

新刊の中から、話題になっている作品、私のオススメ作品などをピックアップして紹介します。視点は少々(いや相当?)偏っていることもありますので、ご注意くださいませ?。
今回は2013年6月の新刊から、こちらの作品を紹介します。

■息もとまるほど/杉原理生/三池ろむこ/Chara文庫

 小学生の頃に両親を事故で亡くし、伯父の家に引き取られた透。ひとつ年上の従兄・彰彦はしっかりとした優等生で、泣き虫だった透にとって、彰彦は大きな存在だった。そんな彰彦にいつしか恋愛感情を抱くようになった透は、気付かれないよう距離を置くようになっていく。しかし、透の変化に気付いていた彰彦は、透が高校3年生のある日、自らの想いを告白し、透の気持ちを確認してきた。一度は想いが通じた事を喜び、身体の関係も持った透だったが、「家族」という現実に押し潰され彰彦を突き放してしまう。それから11年が経ち、疎遠になっていたふたりだったが、彰彦が突然実家に戻ってきた事で再び心が揺れ…。
 
 いとこ同士だけど兄弟のように育ったふたりの話。
 透が彰彦への想いをハッキリと自覚したのは中学生の頃ですが、家族で男同士という関係に、最初から叶う期待はしていません。透は彰彦から距離を置こうとしますが、結果的にそれが彰彦に疑念を抱かせるきっかけになってしまう。一緒に暮らしていたら、気持ちを隠し続けるのは難しいですよね。でもそんな片思いの時よりも、試練が待ち受けていたのは気持ちが通じ合ってからでした。実の兄弟ではなくても「家族」である以上、親の問題は避けて通れない。しかも舞台は田舎で、親は土地持ち。透は引き取って育ててもらった立場で、恩を仇で返すような事は出来ません。これで彰彦の親が酷い人だったらこんなに悩むことはなかったのでしょうが、いい人たちだからこそ裏切れない。そんな中で彰彦を選ぶことが出来なかった高校生の透を、責めることなんて出来ません。これで自分の事だけ考えて行動しているような透だったら、共感出来なかったと思います。
 そして、気持ちを抑えきれずそのタイミングで彰彦が告白してしまったのは、若さ故。ひとりで何でも出来ていつでも優秀な彰彦が、透に関しては冷静さを欠いている様子が徐々に見えてきます。それによって、全編透視点書かれていても、彰彦が身近に感じられる存在になっていく。ふたりが手を取り合う上で1番の懸案事項に対して、大学生の頃とは違う考え方が出来るようになった彰彦なら、きっと透と上手くやっていけるのでしょう。他の人には見せない弱さを、相手には見せてしまうという関係っていいですね。

 ふたりは兄弟ではないけれど、「家族」は血の繋がりより一緒に生活していく中で形作られていくものですよね。透は本人が思っている以上にちゃんと家族として愛されている。終盤、透が彰彦の姉から言われた言葉に思わず涙がこぼれました。家族の問題に一体どう決着を付けるのだろう?と思いながら読んでいましたが、きちんと納得のいくラストでよかったです。
 杉原先生らしい、落ち着いた中にも情熱が感じられる作品でした。

 「家族」BLは、ふたりの距離が元々近いところから始まるという所が大きなポイントだと思います。いつの間にか家族愛が恋愛に変化し、その感情の境目が分からなくなっている関係が好き。今回は、そんな家族モノのBLをもう1作品ご紹介。

■同い年の弟/菱沢九月/穂波ゆきね/徳間書店(2012年)

 同じ大学に通う白崎雪宏と景輝は、中学生の時、親同士の再婚で兄弟になった。同い年だけれど三ヶ月差で雪宏は兄となったが、体格は景輝の方が大きく、明るくて外向的な性格の景輝に身体の弱かった雪宏は多く助けられてきた。血は繋がらなくても仲のよい兄弟。しかし、景輝が自分に向ける執着を、雪宏は恐れるようになるのだが…。

 義理の兄弟モノ。
 性格も体格も正反対のふたりなのですが、出会ってすぐ仲良くなり、次第に特別な関係になっていきます。特に景輝は雪宏に対して執着を隠さず、雪宏が自分の知らない人と仲良くしていたりすると、その相手に対しても警戒心をあらわにする程。一応「仲のよい兄弟」だからという事で周囲には呆れられながらも受け入れられているのですが、実際はそれ以上の熱さを秘めていて、ふたりきりの所ではキスもしています。それは兄弟の関係を超えているけれど、ふたりとも表向きはその感情を「恋愛」に繋げていないので、キスも兄弟としてのスキンシップという事になっている。そんな危うい関係が続いているのは、まだ性的な行為の理解が出来ていない頃に起こった出来事を引きずっているから。大切な存在をなくさないためにその出来事を見て見ぬ振りをしているけれど、大学に進学してふたりで暮らし始めて、それが限界に近づいてきている事を雪宏は感じています。互いに惹かれ合っている事は分かっているけれど、恋愛感情を認めたら、穏やかであたたかい家族との関係が崩れてしまうのではないかと雪宏は恐れている。でも景輝と離れる事も出来なくて雁字搦め。そんな膠着状態の緊張感やもどかしさにドキドキさせられます。
 こうした状況の中、キャラの意外な一面が見えてくるのが面白い。執着してくる景輝の気持ちに流されないよう雪宏は踏ん張っているのかと思いきや、雪宏も景輝に負けないくらいの熱い気持ちを秘めている事が読み進めると伝わってきます。兄弟としての役割分担みたいなものがありつつ、お互い支え合い、必要とし合っている関係がいいですね。

 ずっと近くにいて相手の気持ちに気付いているのに、兄弟という関係を壊すのが怖くて気付かないふりを続けている…そんないつ崩れるか分からない距離をギリギリのラインで保っていたふたり。その緊張感、押し込めてきた幼い頃の無邪気な性体験の記憶、そして穂波先生の挿絵の効果で序盤から萌えの予感満載! 切なさに加え甘さもたっぷりな1冊です。

紹介者プロフィール:にゃんこ
長い冬眠期間を経て数年前に復活。内容はもちろん大切。でも萌えるHも大好物! 心躍る萌えを求め、腐海を彷徨う流浪の腐女子。 小説&コミックスを中心に、BLCD、BLゲームなども含めた感想をブログで書いていますので、そちらもよろしくお願いします! http://macnyanko.blog22.fc2.com/

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