新刊の中から、話題になっている作品、私のオススメ作品などをピックアップして紹介します。視点は少々(いや相当?)偏っていることもありますので、ご注意くださいませ?。
今回は2010年10月の新刊から、「天使」繋がりの2作品を紹介します!
■ 天使憑きの男/沙野風結子/高宮東/SHYノベルズ 9歳の頃、事故で家族を失った幸成。
その時から幸成の目には、何故か人々の背中に生える翅が見えていた。
幸成は修道院の養護施設で暮らすことになり、翅のない慎というひとつ年上の少年と出会う。
慎と出会ったことで自分が『天使憑き』である事、背中にある天使の羽の存在を知った幸成は、それ以来慎と秘密を共有してきた。
18年が経ち、カウンセラーとなった今でも、慎の存在が精神的支えと成っていた幸成。
だが、ある時トラブルに巻き込まれた幸成は、その弾みで慎の心臓に触れ、その味を知ってしまい…。
という、『天使憑き』という存在をめぐるファンタジー。
「天使」のような羽は持っているけれど、「天使」とは少し違う『天使憑き』。
『天使憑き』は罪を喰う、つまり喰罪(贖罪)する存在で、教会は密かに『天使憑き』を集めて喰罪を行わせている。
大きな流れとしては、幸成や慎たちが『天使憑き』を滅ぼそうとする『悪魔憑き』たちと戦う話で、そこにふたりの恋愛模様が絡んできます。
元々は『天使憑き』のバイオリズム故の依存ではあるけれど、18年という年月の中で、慎に幸成は肉体的にも精神的にもすっかり依存している。
訪れた危機によってそれが恋愛感情だと気付きますが、神父である慎に淫らな行為をしてもらっているという状況に、幸成は素直に気持ちを打ち明けられないまま。
この状況だからこその、慎に対する申し訳ない気持ちと慎を求める気持ちの葛藤や背徳感がとても美味しいです。
序盤からドキドキの展開なので一気に話に惹き込まれました。
恋愛面以外も、同じ『天使憑き』である聖良や『悪魔憑き』の叶枝など、存在感のあるキャラも登場し話が盛り上がっていきます。
後半は敵との戦いの部分の展開が呆気なく感じてしまったのが少し勿体ないなと感じましたが、叶枝と聖良メインのスピンオフの予定があるようなので、そちらで補完されるといいなぁと思います。
そして…沙野先生で忘れてはいけないのがエロ描写!
“天使”とつくくらいなので幸成は純真無垢な性格かと思いきや、かなり性欲に振り回されていました…!
元々設定として心臓に触る行為が性的興奮に繋がっているので、慎の心臓を触る味を知ってしまってからは定期的にエッチして貰わないと身体が治まらないというエロい子なのですよ。
飢餓状態で本能のまま慎を欲しがる幸成のエロさと言ったらもう!
こんな幸成を喰わなかったら(喰われなかったら)男じゃないよ!
そして、沙野先生特有のネットリとした性描写が、そのエロさをさらにパワーアップさせています。
ということで、「天使」な新刊1冊目は沙野先生のファンタジーでした。
沙野先生のイメージは粘度の高いエロなので、今回の作品はタイトル、表紙共にそのイメージとは違っていて少し吃驚。
趣向を変えてあっさりした話なのかしらと読み始めたら…全然そんなことありませんでしたよ!
相変わらずの沙野先生クオリティに、テンションが上がりました。
『悪魔憑き』のスピンオフが楽しみ!
■エンジェルヒート?Blood?/西野花/鵺/花丸文庫BLACK 裏の世界で売買されている媚薬・エンジェルヒート。
ある事件で、その元締めである組織『ヘブン』のトップである兄弟・景彰と漣に捕らえられてしまった七瀬。
ふたりに気に入られた七瀬は「エンジェル」と呼ばれる性奴隷にされてしまう。
無理矢理始まった関係はずが、七瀬はいつしかふたりを愛するようになり、その関係を受け入れる事で幸せを感じていた。
しかし、景彰と漣の実家である暴力団・桔梗会の会長が倒れたことで、三人の置かれた状況が一変。
次期会長であるふたりの兄・北城剛成は、七瀬にふたりのうちどちらか1人を選べと迫るのだが…。
こちらは「エンジェル」という名の性奴隷になった七瀬の話。
スピンオフ含め、この巻がシリーズ4作目になります。
前作で七瀬がふたりへの恋愛感情を自覚し、3人の関係は安定期に入っていますが、そこに突然訪れた危機!
3人の関係のバランスは崩れ、景彰と漣は、自分を選んで貰うためにそれぞれ別々に七瀬と時間を過ごすようになる。
そんな中で、七瀬はやっぱり3人じゃないとダメだ!という想いを強くしてゆき、自ら行動を起こすという展開。
3人で関係を続けていくには、この手の葛藤は乗り越える必要はありますね。
七瀬の気持ちよりも、私は景彰と漣がお互いをどう思っているかの方が気になりますが…。
兄が登場し、景彰&漣兄弟の背景が少し分かってくる話でした。
と、そんな3人の関係性はもちろん面白さのベースにありますが、このシリーズにおいて話の中心にあるのはエロであり、すべてはエロの為の伏線と言っても過言ではない!と、私は思っています(笑)
なので、流れはシンプルで、突っ込みどころもいろいろとある。
でもいいんです、エロければいいんです!
その域に達すれば、どんな強引な展開も「ここからどんなエロ受難が七瀬の身に!?」というワクワクに脳内変換されて萌え爆発。
このシリーズの場合、どうしても強引にならざるを得ない、出会いから関係が落ち着くまでが1作目で終わっているので、2作目以降は気楽に読めるのがいいですね。
期待通り、萌えいっぱいな1冊でした!
ということで、「天使」な新刊2冊目はエンジェルヒートの続編。
こんなにハイテンションで読むBL本はなかなかない!
正直なところ、2作目の「in Love」よりは萌え度が低いのですが、それでもしっかりと萌えをいただきました。
兎にも角にも、苦しくてもその先に快楽がある事にハァハァしている七瀬のドMさに萌え滾る!!
このシリーズで最強なのは間違いなく七瀬ですね(笑)
続編を全力でお待ちしております?♪
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趣向の違う2作品紹介しましたが、どちらもエロ「天使」ですね(笑)
精力を吸い取り、男を喰らう「天使」に萌えて、疲れた心にエネルギー補給してみてはいかがでしょうか?
紹介者プロフィール:にゃんこ長い冬眠期間を経て数年前に復活。内容はもちろん大切。でも萌えるHも大好物! 心躍る萌えを求め、腐海を彷徨う流浪の腐女子。 小説&コミックスを中心に、BLCD、BLゲームなども含めた感想をブログで書いていますので、そちらもよろしくお願いします! http://macnyanko.blog22.fc2.com/