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愛と悲しみのSHOOWAさん

2010/04/23 00:00

いったいこの SHOOWA ってどこから来ているのよ? 不思議なペンネームが多いBL界でもひときわ謎の輝きをみせる SHOOWA さん。
笑いを取るようでいて、昭和ムード歌謡のような一抹の寂しさをたたえたストーリーは、読めば読むほどドツボにはまっていく感覚。
とにかくこの不思議な感覚をみなさんにわかっていただきたい!

 SHOOWAさん。このひとの引き出しの多さには、感動させられます。しかしまず、本当にいろいろなペンネームがあるボーイズラブ界でも、SHOOWAっていうペンネームって、相当なものというところから、感動。不思議です。SHOOWAの由来って、何なんでしょうねぇ。
 SHOOWA、ショーワ、昭和…!? ひょっとして、「昭和」ですか? 確かに、『麗人』2010年1月号の『月影』は、遊郭を舞台として、男ながらも客を取らされ、苦界に沈んでいく主人公を愛していて身請けしたくても、家族を持ち、それほどのお金もない医者の「先生」と、金持ちの客によって身請けされる清人の、結ばれない悲しい恋の物語(関係ありませんが、義理の父の名前が「清人」なんで、微妙な気持になりながら読みました。いや、本当に関係ないわ)。明るいBL界において、たった1回エッチしただけで、最終的には結ばれない悲しい愛の物語なんて、本当に珍しいですよね。まるで、JUNEの世界。まるで、昭和の物語だわ。だから昭和なのね、って一瞬思いましたが、きっと違いますね。すみません。ふざけるのはこれくらいにしておきます。
 でも、SHOOWAさんの作品には、例えハッピーエンドでも、何とも言えず「淋しさ」「切なさ」「物悲しさ」が貼りついている。音楽に例えると、長調じゃなくて、短調。マイナーな感じです。セックスの場面だって、いやらしいんだけど、その裏にぴたりと貼りついた「淋しさ」が、胸をざらりと撫でていく感じ。ぐっときます(例えば『向日性のとびら』)。
 しかし。SHOOWAさんのシリアス物もいいんですが、最初に引き出しが多いって書いたように、シリアスなんだか、コメディなんだかわからない作品も多いんですよ(人生自体が、真剣で滑稽なもんですけどね)。とくに、デビュー作品の『Nobody Knows』に収録されている「愛と現実の狭間に」。タイトルだけみると昼メロみたいですが、実際は浦島太郎を下敷きとしたパロディで、「カメ」と「裏筋太郎」の物語。裏筋、太郎。…。すごい名前ですね。
 で、ストーリーは、オス同士のセックスでつぶれてしまったカメを助けた裏筋太郎。カメが助からなくて可哀想だと涙を流すと、カメは人間の姿となり、ふたりは寝ます。カメの使命は、おとひめ様に男を連れていくことだったのですが、太郎を愛してしまったカメは、おとひめの呪いもものともせず、竜宮城からの脱出を試みます。カメから太郎の愛の囁きは、「これからもお前を鵜飼にして漁をしたり、フロがうまくたけないお前をなじりながら暮らしたい」。そうです。カメは、人間の太郎に紐をつけて、海に潜らせ魚を捕らせて、暮らしていたのです。そもそも太郎のほうが受けだし(なんだかカメのほうが受けっぽい気がしませんか?(笑))。
 ところが、玉手箱を開けたふたりは、定番通りに老人になってしまいます。現実を受け入れられない太郎。「カメはどこだ?」「オラのカメをどこさかくしただ???!! 言えやこのハゲジジイ!!」。恋人の名前がずっとカメっていうのも、考えてみればすごいですが、太郎は自分も老人になっているのに、老いたカメを否定することしかできません。愛した男を「ハゲジジイ」扱い。おとひめの呪いで声をなくしたカメは、声もなく涙を流すのみです。
 「ホントの愛ってなんだろう」。SHOOWAさんは最後で、冗談っぽく問いかけますが、本当にホントの愛ってなんでしょうね。人間はいつかは老いるもの。それを受けいれられず、玉手箱の煙に巻かれ、愛する人の姿を見失ってしまった太郎の物語は、やっぱり切なく物悲しい。笑っていいのか、泣いていいのか、わからなくなります。

紹介者プロフィール:桃園あかり
腐っていることを周囲に隠していないカミングアウト済み貴腐人。しかし流石に、子どもからはBLをどう隠すかが最近の懸念。職業は、意外にまじめなプロフェッサ?。思うより職場のスーツ率が、低くて悲しい。

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