新刊の中から、話題になっている作品、私のオススメ作品などをピックアップして紹介します。視点は少々（いや相当？）偏っていることもありますので、ご注意くださいませ〜。
今回は2009年10月の新刊からこちらの2作品をオススメします。
■藍より甘く／著者：一穂ミチ／挿絵：雪広うたこ／ルチル文庫 
ある日、大学の同級生で友人の柘植遙から「好きだ」と告げられた入江暁行。
突然のことに戸惑う暁行に遙は「告げたかっただけ」だと言い、ふたりはいつもの日常に戻った。
自分には恋人が居て、男の遙に恋愛感情を持つことはない。
そう分かっていても、暁行は遙が気になっていて…。
大学に入って間もない頃に出会い、同じ店でバイトをしているふたり。
気の合う友達がいて、恋人がいて、将来にも不安はない。
遙ともこれからも同じように続いていくのだろうと漠然と思っていたのに、突然告白されてしまった。
遙の想いには応えられないけれど、友人関係を続けていくことを望んだ暁行。
でも、それ以来遙を意識してしまう。
大学最後の夏が過ぎ、暁行の心は揺れるのだが…。
という展開で、話はシンプルです。
友人から告白された主人公が、次第に友人に惹かれていく。
大きな事件があるわけではなく、友人の距離を保ちながら日々を過ごしていくなかで、静かに、本人も気付かないくらいゆっくりと、気持ちが変化していきます。
友人として近くにいたのに、恋愛という要素が入ったことで今まで見えてなかった遙の一面を知っていく。
もちろんそんな簡単に友人に、しかも同性に対して恋愛感情が生まれるわけはないし、恋人の真希に不満を感じていないので、暁行が遙を気にしていると言っても、最初は恋愛とは別の部分が大きいです。
誰だって、親しい人から告白されたら気にしちゃいますよね。
でも今まで気付かなかった、友人の強さや弱さ、自分へ向けられている熱、そういったものを垣間見たことで、暁行の心もいつの間にか変化が訪れている。
真希はその本人も気付いていない僅かな変化を敏感に感じ取って、不安になっているのでしょう。
小さな積み重ねで気持ちが変化して、そして暁行自身も成長している。
一方の遙も、今までずっと押し込めていた自分の気持ちを表に出したことで前に進んでいる。
例え結果的に上手くいかなかったとしても、その一歩が遙を成長させる。
失うかもしれないのに何故告白するのか？
その答に気付く過程がすごく好きです。
なんとなくじゃなく、しっかり向き合って恋愛しているふたりがとてもいい。
単調になりがちな話なのに、しっかりと読者の心を掴む一穂先生の文章がすごいと思います。
言葉の使い方も上手いのですが、私は日常の中にある一瞬の情景を描写している場面で、いつも胸を突かれます。
楽しい瞬間や感動する瞬間は、いろいろな要素が偶然重なって起こっていて、それは二度と再現は出来ない。
日常は同じ事を繰り返しているようでいて、実際は常に変化に満ちている。
それを忘れていると、大切な瞬間を逃してしまうのではないかと思うし、だからこそ大切にしたいなぁと思う。
恋愛とは関係ない場面でも、切ない気持ちにさせられます。
若い男の子たちの話は、恋愛について、忘れていた気持ちを思い出させてくれる。
改めて一穂先生の魅力を感じました。
一穂先生の新刊、とても面白かったです！
恋愛は大変だけど、それでもしたいなぁと思わせてくれる作家さんだなと思います。
ふとした瞬間の情景描写や、言葉の選び方にいつも胸を打たれて、思いがけない場面で泣きそうになったりする。
そして、登場人物がそこに嵌ると益々話に惹き込まれてしまいます。
今回はとてもよかった！
泣きツボも萌えツボもしっかりあります。
オススメ！
■人はなぜ働かなければならないのか／著者：山田ユギ／バンブーコミックス 
『人はなぜ働かなければならないのか』他3話
ダメ上司の中津（38歳）に対していつも辛口で扱いは雑だけど、なんだかんだ言いつつフォローしている部下の門倉（28歳）。
ある時、中津に自分の気持ちを知られてしまった門倉は…。
本当に中津の事が好きなのかと読んでいても疑うくらい、気持ちを知られてしまってからも辛口な門倉。
中津はそんな門倉のアタックに怯えながらも、時々垣間見せる健気な姿にほだされていってしまいます。
…単純なんだな中津は（笑）
ヘタレたおっさんなのに、そんな中津を可愛いと思ってしまう門倉の気持ちはよーく分かります。
門倉も、計算ずくで健気な姿を見せているようでいて、実はそこに本気の部分が見え隠れしているのがもう…！！
不器用な二人の男が可愛くて仕方ありません。
『CALL ME』 ある日突然ブラジルからかかってきた電話。
入社早々ブラジル支社に配属された広瀬と、何故か定期的に電話で話をするようになった河野。
次第にその電話が心の支えになっていくのだが…。
同じ会社の社員で、研修が一緒になった広瀬の事を、河野は全然覚えていません。
でも、電話で話していくうちに、広瀬が特別な存在になっていく。
すぐに身体の関係が始まる事が多いBLで、こうした方法で心が繋がっていくのがとても新鮮でした。
しかもこんなに遠距離って！
電話代がどのくらいになるのか想像つきません。
確かに冗談や友情では続けられないですよね…。
それにしても、携帯がこんなに便利になる前だったら、きっとこの二人はこんな関係になっていないんだろうなぁと思うと、携帯の進化に改めて感動します。
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上記以外に2話収録されていますが、いずれもリーマンものです。
ということで、ユギ先生の新刊はとってもリーマンな一冊でした！
スーツ萌えるよスーツ！
ワイシャツをまくった袖口から見える、ユギ先生の描くがっしりして筋張った腕に悶えそうなくらい萌えます。
そんな男らしい外見をしているのに、実は結構健気だったり、不器用だったり、ヘタレだったり…そのギャップがまたいいんです。
女相手には見せないだろうけど男同士だから出てしまう、そんな所にやられてしまう。（中津は常にヘタレてそうだけど…）
ユギ先生は受も男らしくて、そこも好きなポイントです。
あー、やっぱりいいなぁユギ先生。
スーツはなぜこんなに美味しいのか。
ユギ先生の描くリーマンはなぜこんなに可愛いのか…！
誰か教えてください！
紹介者プロフィール：にゃんこ長い冬眠期間を経て数年前に復活。内容はもちろん大切。でも萌えるHも大好物！ 心躍る萌えを求め、腐海を彷徨う流浪の腐女子。 小説＆コミックスを中心に、BLCD、BLゲームなども含めた感想をブログで書いていますので、そちらもよろしくお願いします！ http://macnyanko.blog22.fc2.com/
